脳の若返り 新聞のTV欄を声に出して読むという方法があります。黙読というのは視覚から情報を得る、一般的な読書の方法です。一方、近年は音読が大流行です。たとえばある小学校では、音読で文章のリズムを覚えることが、本を読むくせにつながるということで、授業に採り入れているそうです。
脳の若返り 新聞のTV欄を声に出して読む
「新聞のテレビ欄を声に出して読むのが、脳の若返りに良い」という話、聞いたことがありますか?これは、単なる都市伝説ではなく、脳科学的な観点からもいくつかのメリットが考えられます。
声にだして文字を読む場合、視覚だけでなく、聴覚をも刺激して情報を得ていることになります。脳へ情報を入れる際には、あらゆる感覚を動員したほうが強い記憶になります。
なぜ「新聞のTV欄を声に出して読む」のが脳に良いのか?
このシンプルな行動には、複数の脳機能が同時に活性化される要素が含まれています。
- 視覚情報の処理と読解力(見る)
- 文字を目で追い、内容を理解する(認知する)という、基本的な視覚情報処理と読解力が使われます。特にTV欄は、番組名、時間、出演者など、限られたスペースに多くの情報が詰まっており、効率的な情報処理が求められます。
- 音読による言語機能の活性化(話す)
- 声に出して読むことで、脳の言語野(ウェルニッケ野やブローカ野など)が活発に働きます。文字を認識し、それを音声に変換するプロセスは、脳にとって良い刺激となります。
- 黙読とは異なり、自分の声を聞くことで、聴覚も刺激されます。
- 注意力の向上とワーキングメモリの活用
- 声に出して読む際には、途中で読み間違えないよう、より一層の集中力と注意力が必要です。
- 次に読む単語やフレーズを一時的に記憶しながら読み進めるため、ワーキングメモリ(作業記憶)が使われます。これは、情報を一時的に保持し、操作する能力であり、日常生活の多くの場面で重要な役割を果たします。
- 前頭前野の活性化
- 計画、判断、意思決定、感情のコントロールなどを司る前頭前野は、脳の中でも特に高次の認知機能に関わっています。音読や集中を伴う作業は、この前頭前野を活性化させると考えられています。前頭前野の機能が維持されることは、認知症予防にもつながると言われています。
- 習慣化による継続的な刺激
- 毎日少しの時間でも継続して行うことで、これらの脳機能への刺激が習慣化されます。脳は使えば使うほど活性化されるため、日々の小さな積み重ねが、脳の健康維持に繋がります。
他にもある!日常生活でできる脳の活性化法
新聞のTV欄を読む以外にも、脳の若返りに役立つとされている行動はたくさんあります。
- 新しいことに挑戦する: 趣味を始める、新しい言語を学ぶ、行ったことのない場所へ出かけるなど。
- 人と交流する: 会話は脳を刺激し、孤独感の解消にもつながります。
- 適度な運動: ウォーキングや軽い運動は血流を良くし、脳に酸素や栄養を届けやすくします。
- バランスの取れた食事: 脳に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。
- 良質な睡眠: 睡眠中に脳は情報を整理し、疲労を回復させます。
- 簡単な計算やパズル: 脳トレアプリや、簡単な暗算なども効果的です。
まとめ
新聞のTV欄を声に出して読むという行動は、手軽に始められる「ながら脳トレ」として非常に有効です。複雑な準備も特別な道具も必要ありません。ぜひ、日々の習慣に加えて、脳の健康維持に役立ててみてはいかがでしょうか。
感動したことは、体験として記憶に入るためなかなか忘れませんが、普通の文字情報はそうそう記憶に組み込まれません。音読は、視覚的な刺激を聴覚にフィードバックして確認しますし、また、唇や舌、喉など、からだのさまざまな部分も使います。
これだけからだをフル動員するわけですから、黙読よりはるかに大きな脳への刺激となり、強い記憶となるのです。音読の効果はそれだけではありません。脳は内容をすばやく理解していこうと努力するので、情報分析も早くなるといわれています。
英語を覚える場合も、やはり口にだして発音したほうがいいそうです。これは音読と同じような理由によります。さらにもう一つ、英語を声にだして読むと、アタマの中で日本語に翻訳して理解する時間がないので、直接、英語から理解していけるようになるといいます。
こうした訓練は、外国語の上達に欠かせません。ただし、音読にも欠点があります。それは読むのに時間がかかり、情報を得るのが遅くなってしまうことです。
ですから、スピードがいるなら黙読、内容をしっかり分析するなら音読と、使い分けをするとよいでしょう。