脳の若返り コーヒーの香りを嗅ぎながら動物の写真を見るのがおすすめです。匂いの刺激と、目の前にあるものは一致しているのが普通です。コーヒーの匂いがすれば、同時にコーヒーをイメージします。視覚的にもコーヒーカップなどを思い浮かべているはずです。匂いの記憶を混乱させることで、脳が十二分に働く状態をつくることができます。
脳の若返り コーヒーの香りを嗅ぎながら動物の写真を見る
しかし、目の前にあるものが動物の写真だったらどうでしょう。
脳は、いままでの経験からありえない状況が設定されると混乱をきたし、それを解析するために働きます。
コーヒーの匂いがするのに、目の前にあるものが動物の写真となれば、違和感を覚え、脳は「何が起きたのか?」と状況の解析を開始します。
「動物にコーヒーがかかってしまったのだろうか」「動物がコーヒーを飲もうとしているのだろうか?」などなど、脳はいろいろな状況を想像し、現実に起こっていることを考えます。
こうした混乱こそ、脳を活性化させるには必要です。匂いと脳の関係については、さまざまな実験データがだされています。たとえば、コーヒーの香りを喚いでいるときの脳波にはα波が増え、ほかの香りに比べリラックスした状態になることがわかっています。
嗅覚は「記憶」とも深く関係しています。快感神経と呼ばれるA10神経は、電極で刺激すると快感をつくりだしますが、この神経を刺激するには、香りでもいいことがわかってきました。
その際、神経伝達物質もたくさん分泌されるので、脳の働きがよくなります。また、人間はある香りをどんな状況で嗅いだかということは、けっこう思い出せるものです。
それは、人間は匂いの感覚がほかの動物に比べ退化しており、普段はあまり香りを感じることのない、基本的には無臭の世界にいるため、特徴のある香りだとしっかりと記憶に残るからだといわれています。
アロマなどの匂いでリラックスしたり、集中したりする効能もこうした理由からでしょう。
ハーブ&アロマを活用して腸の緊張をほぐして便秘解消などもこうした匂いの効果を利用したものです。
作家のブルーストは、紅茶とマドレーヌの香りを嗅ぐと過去の記憶が鮮明に写しだされ、膨大な小説の執筆活動を行ったそうです。
このように、香りと記憶の結びつきは強いため、「この香りのときはこんな状況」と、パターンが決まっているともいえます。これを逆手にとって、コーヒーの匂いを喚ぎながら、動物の写真を見るといった、いわば「だまし」を行なって脳の活性化をはかるのが、このトレーニングの目的です。
コーヒーの香りを嗅ぎながら動物の写真を見るという組み合わせは、脳の活性化やリラックス効果が期待できる、興味深いアプローチですね。それぞれの要素が脳に与える影響について、分かっていることをご説明します。
コーヒーの香りが脳に与える影響
コーヒーの香りには、科学的な研究によって様々な脳機能への影響が報告されています。
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リラックス効果: 深煎りのコーヒーの香りは、脳波の中でもリラックスした状態を示すα波を増加させることが確認されています。これは、香りが脳の情緒を司る部分に作用し、心を落ち着かせる効果があるためと考えられます。
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集中力・認知機能の向上: 中煎りのコーヒーの香りでは、脳の情報処理能力に関連するP300波の電位が上がるとの報告があり、集中力や知的作業の能率アップに繋がる可能性が示唆されています。また、コーヒーを飲むだけでなく、香りだけでも脳をほどよく覚醒させ、認知処理をスムーズにするという研究結果もあります。
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ストレス軽減: 睡眠不足のラットを用いた研究では、コーヒーの香りを嗅がせることで、脳内のストレスに関連するタンパク質のレベルが低下したことが報告されており、ストレスを和らげる可能性が示されています。
これらの効果は、コーヒーに含まれるカフェインによるものではなく、あくまで「香り」そのものが脳に直接作用することによるものです。
動物の写真を見る効果
動物の写真を見る行為自体が、直接的に「脳の若返り」に繋がるという明確な科学的証拠はまだ限定的ですが、いくつかの側面から脳に良い影響を与える可能性が考えられます。
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ポジティブな感情の喚起: 可愛らしい動物や雄大な自然の動物の写真を見ることは、癒しや喜びといったポジティブな感情を引き出すことがあります。ポジティブな感情はストレス軽減に繋がり、結果として脳の健康に良い影響を与えると考えられます。
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注意の喚起と視覚刺激: 動物の多様な姿は、視覚的な刺激となり、脳の注意機能や視覚処理能力を活性化させる可能性があります。特に、様々な種類の動物や動きのある写真を見ることで、脳が活発に情報を処理しようとします。
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記憶の想起: ペットを飼っていた経験がある人にとっては、動物の写真を見ることで楽しかった思い出や感情を想起させ、記憶力を刺激する可能性があります。
組み合わせることの相乗効果の可能性
コーヒーの香りを嗅ぎながら動物の写真を見るという組み合わせは、それぞれの単独の効果を超えた相乗効果を生む可能性があります。
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リラックスと活性化のバランス: コーヒーの香りでリラックスしつつも、脳を適度に覚醒させる効果が期待できます。その状態で動物の写真を見ることで、視覚的な刺激による注意の喚起や感情の活性化が、より効果的に脳に働きかけるかもしれません。
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五感への刺激: 嗅覚(コーヒーの香り)と視覚(動物の写真)という複数の感覚を同時に刺激することで、脳の様々な部位が活性化し、総合的な脳機能の向上に繋がる可能性が考えられます。
まとめと実践のヒント
「コーヒーの香りを嗅ぎながら動物の写真を見る」という行為は、科学的に確立された「脳の若返り治療法」ではありませんが、リラックス効果、ストレス軽減、集中力・認知機能の適度な活性化、そしてポジティブな感情の喚起といった効果が期待でき、日々の脳の健康維持や気分転換に役立つ可能性を秘めていると言えるでしょう。
実践する際は、以下のようなことを試してみてはいかがでしょうか。
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お気に入りのコーヒー: 自分が最もリラックスできる、あるいは集中できると感じる焙煎度のコーヒーを選んで香りを楽しみましょう。
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様々な動物の写真: 一種類の動物だけでなく、様々な動物の写真を眺めることで、視覚的な刺激を多様に与えることができます。
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ゆったりとした時間: 忙しい日常から離れて、この組み合わせをゆっくりと楽しむ時間を持つことで、より効果的なリフレッシュに繋がるでしょう。
日々の生活にこのような「脳に良い習慣」を取り入れることは、心身の健康を保つ上でとても大切です。