脳のトレーニング「目を閉じて食事をする」

普段、ほとんどの人が多くの情報を「目」から得ています。たとえば、部屋に入って明かりのスイッチを押すときや、鍵をかけるときなどは、指先の感覚だけでなく、必ず視覚でも確認しています。

しかし、これが停電になってしまったらでしょうか。ほとんど何も見えないため、いままでの記憶をたどって、スイッチがどこにあるのかを手探りで探すことになります。鍵穴も「このへんかな」とカンに頼らなければいけません。

停電で何も見えなくなれば、普段の記憶に頼って何とかしようとします。そのため、ひとつつひとつの行動を意識するようになります。

また、指先に感覚を集中させて行動しますから、いかにも頭を使ったという感じになります。こういった方法は脳の刺激には重要なことです。
私たちはあまりにも多くの情報に囲まれて生活しているため、その行動が無意識になりがちです。

たとえば、「サトイモを食べる」という動作。箸でサトイモを取るために、視覚が働いて目の前のサトイモをとらえます。箸でサトイモを取ったときは、その重さや大きさなどの情報を指先から大脳皮質(大脳の表面)へ伝え朋ます。

また、口までサトイモをスムーズに運ぶ動作は、小脳がコントロールしています。しかし、普段の食事では、こうした意識はほとんど働いていないでしょう。

それは、長年同じような動作をしているため、その動作が小脳にプログラムされ、無意識のうちに行なえてしまうからです。だから、テレビを見ながら、新聞を読みながらでも食事ができるのです。

私たちは何かをするとき、頭を使っているようで、じつは決められたところしか使っていません。ゲーム機でいえば、脳の記憶の部分に匹敵するROM(リード・オンリー・メモリー)から、決められたプログラムを読み出しているだけなのです。

しかし、これでは脳への刺激になりません。もっと脳を意識して使わなければなりません。

視覚情報をカットすれば、味覚がフル回転

脳を意識して使うためには、多くの情報をカットし、どこか不便さを感じるような状況をつくる必要があります。そうすることで、脳の普段使っていない部分を刺激することができるのです。

そこでまず、視覚的な情報をカットしてみましょう。方法はじつに簡単です。目をつむればいいのです。ここでは、目をつむって食事をするトレーニングをご紹介しましょう。

まず、目をつむってください。そして、想像力をフル回転してどこに食べ物があるか探します。こうした空間にまつわる想像は右脳を使います。食べ物が見つかったら、箸でそれをつかんでみましょう。

そして、それが何なのか触覚や喚覚を使って探っていきます。最後に、口に入れて、匂い、味、食感で自分の判断が正しいかどうかを最終確認します。

このように、視覚情報をカットするだけで、普段使っていない脳の機能を意識することができます。いい換えれば、それは、私たちが普段の生活でどれだけ視覚情報に頼って、無意識の動作を繰り返してきたかの表れでもあります。

そして、こうした環境にどっぷり浸かってしまえば、私たちの感覚は次第に麻痔していってしまいます。目をつむって食事をする。こんな簡単な方法で、普段使っていない脳の部分に大きな刺激を与えられるのです。