1日15分の早歩き

運動と脳は、非常に重要な結びつきがあります。脳から筋肉を動かせという命令がでなければ、走ることもできませんし、歩くこともできません。

運動神経の中枢は大脳の前頭葉にあります。運動の命令はそこからだされます。脳の血液の流れ具合を見る器械を使うと、手足を動かせという命令がでる前に、大脳の運動神経の中枢部分では、すでに脳の血流が増えていることがわかります。

運動をすることで結果的に脳も使っていることになります。一流のスポーツ選手の記者会見を見ていると、新人のときに比べ、次第に話の内容が深くなっていきます。これは話すことに慣れたというだけでなく、運動をすることで脳そのものの機能が洗練され、脳の働きがよくなったということでしょう。

動かす筋肉が大きいほど、脳への刺激も大きくなります。ということは、太ももを動かすのが一番ということになります。だから、走ったり、歩いたりが運動の中では一番脳を刺激するのです。

最近の研究では、毎日運動をしている人のほうがアルツハイマー病になる確率が少ないことがわかっています。これは海外の研究ですが、その理由の1つとして、運動による脳血流量の改善が考えられています。また別の研究者は、運動によって脳自体が刺激され、脳を活性する物質がでているのではないかと結論づけています。

ダイエットもかねた適度な運動となると、1日15分くらいの早歩きがちょうどよいでしょう。通勤のとき、家から駅まで早歩きをすれば、十分な運動量となり、脳の活性化にもつながります。会社の中をいつもより早歩きするのもおすすめです。

一方、息が切れるような運動では脂肪が燃えないので、ダイエットの効果が期待できません。また、部屋の中で走るようなダイエットマシンが通販で売られていますが、長続きしません。最近は、ダイエットマシンも速度をこまかく調整できるものがありますのでこういったものならOKです。

その点、散歩はただ外を歩くだけで季節の変化を感じ、花や木々の変化を見ることができます。こうした視覚的な情報がいくつも入ってきて、複数の感覚を同時に刺激することは、脳をさらに鍛えることになります。視覚から入ってくる情報は脳のためにもいいのです。

花の匂い、街の匂いを感じれば、嗅覚の刺激になります。犬は喚覚がすぐれ、散歩に行くと、匂いばかり喚いで動こうとしなくなるときがあります。犬は電信柱につけられたほかの犬の尿の匂いで、このへんにはどれくらい犬がいて、その中でもっとも強い犬はどれで、この尿はいつつけられたものなのかまで喚ぎとることができるといいます。

電信柱につけられた尿は、まるで掲示板のようなものなのです。だからこそ、犬たちは長い時間かけて匂いを喚ぎ、解析しているのです。私たちはその点、喚覚は劣っていますが、視覚はすぐれています。歩くと同時に街の中の変化を感じたり、時には、通ったことのない裏道を歩くことが、脳への刺激になるのです。