昔から「塩梅(あんばい)」などといって、塩は、調理に欠かせないものとされてきました。確かにそのとおりで、塩味がきいていない料理は、味気ないものです。
しかし、だからといって、塩味の強いものしかおいしいと感じないのは問題です。それは本当の意味でおいしいのではなく、濃い味に慣れてしまって、薄味の料理をおいしいと感じなくなっているだけです。
一流といわれる料亭やホテルで出される料理で、必要以上に味の濃いものはいっさいありません。味覚も習慣です。血圧の高めの人は、今日から塩分を減らし、薄味に慣れるよう習慣づけます。素材そのものの味を生かした料理というのに慣れてくると、塩分も邪魔になります。まずは「薄味=おいしくない」というイメージを取り除くことが大切です。
高級料亭で、季節の料理を食べてみるといいでしょう。その品のある剤に驚くはずです。
薄味でも美味しい!体験が減塩へのエネルギーになります。
増加傾向にあった日本人の塩分摂取量は一時期、減少しましたが、ここ数年また増加してきており、現在では1 日12~13gにも達しています。
これは塩分量の多いファストフードも含めた外食産業の拡大と、コンビニエンスストアを中心とした弁当の売上増が影響しているものと推測されています。人間にとって望ましい塩分摂取量は、健康な人でl日に10g以下、血圧が高めの人では6g以下とされています。現代人は知らず知らずのうちに適正量の2倍もの塩分をとっていることになります。これは見過ごすわけにはいきません。
塩分を減らすためには、食品に含まれる塩分量をきちんと計算して食事をつくるのが一番ですが、なかなか現実には難しい面があります。そこでまず手始めに、どんな食品に塩分が多く含まれているかを知り、そうした食品を食べすぎないようにすることから実行します。できれば塩分の多い食品、食材は使わないぐらいの気持ちが大切です。
高塩分の食品の代表的なものとして、漬物やつくだにひもの佃煮、さらに塩辛や干物など魚介の塩蔵品があげられます。日本の伝統的な食品が多いのですが、こうしたものを食べないようにする、あるいは量を大幅に減らすだけで、塩分摂取量は確実に1g前後減らすことができます。また、塩分の強い料理を見分け、遠ざけるように心がけていれば、味覚は自然に薄味に慣れ、塩分が少なくてもおいしいと感じるようになるものです。何事も慣れですから意識してこうした習慣を取り入れていくことが大切です。
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