さらさら血液より「血管力」が健康に大事な理由

突然に切れる、詰まるの恐怖

大切なことなので、繰り返しますが、「血管力」とは
血管全体がしなやかさを保ち、内壁はなめらかで、血液をスムーズに循環可能な力のことです。

人間は、「血管力」こそ、あなたの健康や寿命を左右するということです。日本人の死因の上位を占める脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)、心疾患(心筋梗塞や狭心症) は、主に血管が詰まったり、切れたりして心臓や脳に大きなダメージを受ける病気です。これらはすべて血管の病気といってもいいでしょう。

困ったことに、こうした血管の病気は、何の前触れもなく、「ある日突然」やってきます。ついさっきまで元気だった人が倒れ、命を落としてしまうケースも少なくありません。

ある調査によると、心疾患の約2割、脳血管疾患の約1割はそのまま亡くなっています。また、一命を取り留めたとしても、言語障害、マヒ、脳の機能障害などの後遺症に悩まされることも少なくありません。なかには半身不随で寝たきりということだって起こり得るのです。

こうした血管の病気を防ぐには「血管力」を高くするのが一番です。一般的な健康診断などでは、高血圧、高血糖、脂質代謝異常など、血圧や血液の異常は指摘されますが、「血管が危険な状態ですよ」とはいわれません。

でも、こうした生活習慣痛が「よくない」とされるのは、血管に負担をかけ、血管の病気を引き起こすからに他なりません。それぞれの検査の異常値を改善することはもちろん必要ですが、それ以上に「血管」についても思いを巡らせていただきたい。そう考えてこの「血管力」という言葉を考案し、みなさまにお伝えしているのです。

「血管年齢=血管力」ではありません

血管というと「血管年齢」という言葉を思い浮かべる方も多いでしょう。健診や人間ドックなどにも取り入れられている検査なので、実際に調べたことがあるという方もいらっしやるでしょう。心臓から動脈へ向けて血液がリズミカルに送り出されると、そこにドッキンドッキンと「脈」が生じます。

この脈打つ血管にセンサーを当てて、その変化を波みやくは形として描いたのが「脈波」です。この「脈波」は、血管の状態に応じて変化し7 ます。それらを記録し数値化して、「血管が何歳相当にしなやかさを失い硬くなったか」を表わしたのが「血管年齢」です。血管年齢を調べる検査は大きく分けて2つあります。

加速度脈波検査
指先で脈波を記録し、その波形を数値化して血管年齢を推定する
脈波速度検査
四肢の血圧と脈波を計測して、動脈壁を伝わる脈波の速度を測る。動脈が硬化するほど脈波は速く伝わるのでその速さから血管年齢を推定する

一般的に普及しっつある「血管年齢検査」ですが、その結果に表われにくい動脈硬化があるのです。初期の動脈硬化では、とても軟らかいコブのようなもの(プラーク)が血管の内側の壁の表面にできます。その後、時間が経過し、プラークが大きくなったり、新たなプラークが次々とできるようになると、次第に血管の壁全体が厚く硬くなっていきます。ちょうど雪が降り始めると所々に軟らかい雪が積もり始め、やがて本格的に積もり、全体が硬くなつて行く様子に似ています。

ところで、「血管年齢検査」は、加齢とともに硬くなる動脈壁が、何歳相当まで硬くなったかを表わす指標です。ですから、軟らかいプラークができているけれど、血管の壁全体がそれほど硬くなっていないような段階の動脈硬化は、「血管年齢検査」では過小評価されてしまうという問題があるのです。

「血管年齢」= 「血管力」ではないことの理由はここにあります。前述の通り、血管力とは「血管全体がしなやかさを保ち、その内壁はなめらかで、血液をスムーズに循環させることのできる力」です。つまり、血管年齢検査では「血管全体がしなやかさを保っているか否か」のみを評価していることになるのです。「その内腔がなめらかで、血液をスムーズに循環させることができる」ことの評価において、なにか他に手段が必要なのです。そこで有用なのが、「頸動脈エコー検査」です。

頸動脈エコー検査
首の動脈(頸動脈)に超音波を当てて、動脈の状態(血管の内腔にプラークなどが生じて狭くなっていないかなど)を調べる

この検査で、心臓から脳に血液を送る頚部の動脈壁を超音波で観察すると、プラークの状態や内腔が狭くなっていないかなどを確認できます。血管年齢の異常として検出されない、すなわちまだ軟らかいプラークもこの方法なら見つけることができるのです。

例えば、健診で「脂質異常」を指摘され、受診された50代男性の患者さんです。この男性は喫煙者でもあったことから、動脈硬化の進行が危倶されました。ところが「血管年齢検査」を行なってみると、血管年齢は年齢相応の50歳代の結果でした。

そこで、さらに詳しく調べるために「頸動脈エコー検査」を受けていただいたのですが、頸動脈の壁の内側にはプラークが数カ所検出されたのです。内腔はまだ十分に保たれていて、血流にも支障のない状態でした。

つまり、この男性は「脂質異常症」と「喫煙」というリスクによって、生理的な範囲を超えて動脈硬化が進行し、少なくとも頸動脈にはプラークができていました。しかし、まだ血管壁はそれほど硬くなっておらず、「血管年齢検査」では実年齢相当という結果だったというわけです。

このような例は決して少なくありません。これまでも、「血管年齢検査」で年齢相応だった患者さんでも、「頸動脈エコー検査」を行なうと、動脈硬化が進行してプラークがあり、血管の内腔が狭くなっていたケースも少なからずありました。

自覚症状なし!初期の動脈硬化は「サイレント・キラー」

心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を送っている「冠動脈」にできた動脈硬化の「コブ(プラーク)」が傷つき、そこに生じる血栓によって血流が途絶えて発症します。心筋に血液が流れなくなるとその部分が壊死してしまい、危険な不整脈や心不全を引き起こして命を奪うことも少なくありません。
心筋梗塞の治療はこちら

「心筋梗塞」を発症するとき、その直前の冠動脈のプラークはどのくらい大きくて、内腔はどの程度まで狭くなっているのでしょうか?血管の内腔に対して25%程度です。心筋梗塞は25%程度狭くなったときにもっとも起こりやすいことがわかっています。
最近は、無痛のまま突然死する「隠れ心筋梗塞」などもあり突然死の危険性は高まる一方です。

血管が狭くなると、血液が流れにくくなっているので「狭心症」(血流が不足することによって、心筋が酸素不足に陥り、痛みが生じる) を引き起こしている状態であると考えられます。狭心症は症状が出やすく発見されやすいので、は心筋梗塞になる前にすでに治療を受けていた可能性も考えられます。
狭心症と心筋梗塞の異なる点

ここで強調しておきたいことは、自覚症状のない動脈硬化が原因となって、急性心筋梗塞などの血管事故を突然発症するケースが多々あるのだということです。動脈硬化や、その原因となる生活習慣病が、サイレントキラー(静かなる殺し屋)と呼ばれる理由はここにあるのです。

あなたは大丈夫?「いつ詰まるか分からない血管」の調べ方

動脈硬化は、ごく初期であってもあなどることはできません。動脈硬化の初期段階の血管はまだ軟らかいといいましたが、血管の内側にできたコブも不安定で軟らかいのです。つまり、破裂して血栓ができやすく、血管がいつ詰まるかわからない状態といえるのです。

動脈硬化が進行していくと血管全体が厚く硬くなっていきます。さらに動脈硬化の原因となる悪しき生活習慣を改めずに放置すれば、血管内壁には、いつまでも脂ぎつてジュクジュクした内容物を有する、不安定で傷つきやすいプラークが存在し続けることになります。

動脈硬化の対策は、早ければ早いほどいいのです。前にも述べた通り、初期の動脈硬化は、「血管年齢検査」では発見しにくいのです。ごく初期の段階で発見するためにも、「加速度脈波検査」や「脈披速度検査」による「血管年齢検査」のみならず「頚動脈エコー検査」をあわせて行ない、血管の硬さとともに、血管内壁に生じた動脈硬化のプラークの有無を調べる必要があります。

そう、つまりご自分の「血管力」を知っておくことが大切なのです。

なんとなくだるい、がんばれなくなってきたような気がする…は「血管力」低下の黄信号

たとえば、普段の生活の中で揚げ物大好き、ラーメンの汁は飲み干してしまう人人は要注意です。
血管は「ものを言わぬ臓器」といわれます。血管の病気は、自覚症状がないまま進行し、最終的に突然、命を奪うことが多いからです。

本当に血管は「ものを言わない」のでしょうか。もちろん、なかには自覚症状があるケースもあります。動脈硬化は本当に自覚症状がないのか、それは別として、私は「血管力」の低下が出す「サイン」はある程度察知できると思っています。
それが、「末病」なのです。「未病」という言葉、最近よくテレビや雑誌などで取り上げられるので、耳にされたことがある人も多いのではないでしょうか。「未病」とは、東洋医学の考え方で、「病気ではないけれど健康でもない状態」のことです。漢方薬の考え方は「未病」という言葉が登場します。

日常の診療で目指しているのは、『病気をその一歩手前の「未病」でとらえ予防する「東洋医学」の考え方』と『「西洋医学」の最新のエビデンス(科学的根拠や治療法』を組みあわせることです。

古くて新しい予防医学の考え方

朝起きたときに体がだるい、最近疲れやすくなった、肩こりや腰痛、目の疲れがひどい、階段を上るのがつらい、手先や足先に冷えを感じるなど、ちょっとした不調を感じたことは誰しもあるのではないでしょうか。
これらは「未病」の最たるものです。一時的なことであれば、無理をしたから、睡眠時問が少なかったから、疲れていたなどの理由が考えられますが、ずっと続くようなら、残念ですが、あなたの「血管力」は低下していると考えられます。

「未病」と「血液」の切っても切れない関係

なぜなら、「未病」に大きく関わってくるのが血管や血液だからです。私たちが生命活動を維持するために必要な栄養素や酸素、水は、すべて血管を流れる血液とともに全身の細胞に運ばれます。それだけではありません。

細胞で生じた老廃物や体に有害なものは、血液とともに回収されて無害なものに代謝されたり、体外に排泄されたりしています。それが、なんらかの理由で血液の流れが滞ってしまうと、酸素や栄養の受け渡しや老廃物の排泄がスムーズにできなくなり、疲れやすくなったり、だるさがとれなくなったり、肩こりや冷え性といった「未病」に悩まされることになるのです。

つまり「未病」がある人は、多かれ少なかれ「血管力」が低下していると考えられるのです。私が「未病」にこだわるのには理由があります。血管力をあげると多くの方が血管がよみがえって元気になる方が多いのです。みなさん、「肌の調子がよくなった」「朝、すっきり目覚められるようになった」「だるさと腰痛、肩こりが解消した」なにかしら体調の改善を実感されています。

「血管力」が上がると「未病」も解消される、それを実際に患者さんが証明されているからです。最初は半信半疑、またはご家族が心配しているからと、なんとなく「血管力」アップに取り組んでいた患者さんも、体調の変化を実感されると、「もっと血管力を高めたい」というモチベーションが生まれます。そのまま続けていると、そのうちに血液状態が改善し、血管年齢が若返るなど、数値に結果が表われて、もっといい状態を目指してさらに続けたくなるという、とてもよい循環が生まれるケースをたくさん見ています。

未病の解消という、うれしい結果がついてくる「血管力」アップによる変化を、あなたも実感してください。

男性9年、女性12年!「寝たきり期間」をなくすために知っておきたいこと

最近、よく耳にするようになった「健康寿命」ですが、正しく理解されていますでしょうか?

日本は世界でもトップクラスの長寿国です。厚生労働省の発表によると、2012年の日本人の平均寿命は女性が86.41歳(世界第1位)、男性が79.94歳(世界第5位)とすばらしい数字です。ただ、「平均寿命=死因にかかわらず、生まれてから亡くなるまでの年数」をあらわしているのに対し、「健康寿命=WHOが2000年に提唱した指標で、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」のことです。

つまり、健康寿命は、病気や認知症、衰弱などの健康上の問題がない状態で、自分で好きなところに出かけるなど自立して過ごせる年齢を表わしています。単なる寿命の長さだけではなく、「日常の生活の質が大切」という考えに基づいて提唱されました。

寝たきりで生活するよりも、元気で生き生きと暮らしたほうがいいに決まっています。健康長寿を実現するためには、「平均寿命」ではなく「健康寿命」を参考にしたほうがいいでしょう。ちなみに、厚生労働省が2010年のデータを基に算出した「健康寿命」は、男性70.42歳、女性73.62歳です。

同じ年の平均寿命は男性79.55歳、女性86.3歳ですから、男性は約9年、女性は約12年もの介護や寝たきり期間があるということになります。この期間をできるだけ少なくするためにも、「血管力」を上げることが大切だと私は考えます。

健康長寿の3つのカギ「血管年齢」「骨年齢」「腸年齢」

では、「血管カ」がどうして健康長寿を左右するのでしょうか?答えはいたって簡単です。「血管力」が高ければ、動脈硬化の進行をある程度抑えることができます。それは生命にかかわる血管の病気をかなり防げる、ということにつながるからです。

実際、国がすすめる「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、健康長寿を左右するものとして「血管年齢」「骨年齢」「腸年齢」の3 つが挙げられています。

血管年齢が重視されているのは、寝たきりの大きな原因となる認知症に脳卒中が大きく関係しているためです。寝たきりになる二大要因は脳卒中と骨折ですから、骨年齢が入っているのもそのためです。腸年齢は、腸内環境をよくすることで、感染症やガンのリスクを低減させることを目的としています。これも健康長寿には大切ですね。

30代でも早すぎない!「血管にいいこと」始めましょう!

繰り返しになりますが、「人は血管とともに老いる」のです。たとえば、あなたが30代、40代だとしたら。まだ若いので、血管について考えたことも、ましてや血管の老化なんて想像すらできないかもしれません。

生活習慣によって異なりますが、もしも、あなたが好きなものを好きなだけ食べ、体を動かすこともなく、タバコをスパスパ吸っているとしたら、たとえ30代、40代であってもかなり「血管力」が低下しているでしょう。

血管の老化が始まり、気づかない問に動脈硬化はどんどん進行していきます。さらに、朝起きられない、なんとなくだるい、気力がわかないなど、「未病」に心当たりがあれば、もう黄色信号が点滅しているようなものです。
仕事は波に乗って責任あるポストをまかされ、子育ても忙しく、マイホームの購入なども検討する時期でしょう。男性も女性もとても忙しく、自分の体のことまで考える余裕がをい人がほとんどではないでしょうか。

すでに血管の老化が始まっていても、それが表面に出てくるまではもう少し時間がかかります。若く、体力や健康に自信があるので、無理をしてストレスや疲労をため込んでしまいがちです。また、忙しさから遅い時間に食事をするなど、暴飲暴食して太ってしまい、メタポリックシンドロームが増えてくる年代でもあります。

最近、お腹まわりが出てきた、体重が一気に増えた、睡眠時間があまりとれていない、健康診断で血圧や血糖値などに異常が出てきた…。そんな人も少なくないでしょう。こうなると、50歳を過ぎるころには、モノを言わないはずの血管が主張を始めます。「ささやき声」で気づくことができればいいのですが、突然「大声」で騒ぎ出すこともけっして少なくありません。

血管が限界を迎え、大声を上げるときには、心筋梗塞、狭心症、脳卒中をはじめ、深刻な血管の病気を発症してしまうでしょう。その先は、突然死、重い後遺症など健康長寿とはほど遠い結果が待っています。

そうならないためにも、あなたの生活習慣を見直して、血管の老化を防ぐ「血管力」を高める生活を送っていただきたい、そう願っています。50歳になって血管事故が起こってから「しまった!」と思うのではなく、30歳を超えたら、血管にやさしい生活を送る。

それが、突然死を防ぐ階段への第一歩となります。もし、あなたが50歳を過ぎていたとしても、遅すぎることはありません。70歳になっても血管は若返るのですから、あきらめる前にぜひやってみてください。
ひと昔前、心筋梗塞や脳卒中は50~60代以降の病気でした。いまは30代で発症する人が増えてきています。
20代という例もありました。「血管力」を高めるのは、遅すぎることも早すぎることもありません。

気がついたいまがチャンスです。いくつになっても元気で充実した生活を送るために、「血管力」を高めましょう。すでに血糖値が高い状態なら高い血糖値、ヘモグロビンA1Cをテンペ菌発酵茶が下げてくれて合併症にも負けないを参考に日頃から血糖値を下げるお茶を飲むようにしましょう。