肝臓病 や 肝臓がん を防ぐ ビタミン には βカロチン や ビタミンA の不足も防ぐ ようにします。 ビタミンA にも肝臓を守る作用があります。特に ビタミンA になる前の物質である βーカロチン には、肝障害の原因となる活性酸素という物質を抑える働きがあります。
ビタミンA を多く含む食品
そのうえビタミンAは、肝臓ガンを防ぐ働きをも持っています。
「ビタミンA」のガンに対する予防効果と作用
A が働くのは主に目や皮膚の細胞ですが、貯蔵されるのは肝臓です。アルコールによる肝障害が進行して肝細胞の数が減ってくると、Aの貯蔵場所も少なくなります。
そこで、Aも十分補給してやらなくてはなりません。ビタミンA はレバーやうなぎ、卵黄、バター、牛乳などのほか、β-カロチンとして、色の濃い野菜、たとえばほうれんそうやブロッコリー、にんじんなどに豊富に含まれています。
なお、急性肝炎のときには、β -カロチンは十分にとってもかまいませんが、ビタミンA は補う程度にしてとりすぎないようにしましょう。
βカロテン・ビタミンAと肝臓の関係
1. 抗酸化作用で肝臓を守る
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βカロテン(ビタミンAの前駆体)やビタミンAには、強い抗酸化作用があります。
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活性酸素による細胞の酸化(ダメージ)を防ぎ、肝細胞の損傷や炎症を抑える効果が期待されます。
2. 肝臓に蓄積される栄養素
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ビタミンAは主に肝臓に貯蔵される脂溶性ビタミンです。
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慢性肝疾患や肝硬変が進むと、このビタミンAの貯蔵機能が低下し、結果的に全身の免疫力も弱まります。
3. 免疫力を強化
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ビタミンAは粘膜や皮膚の健康を保ち、免疫細胞の働きを助けるビタミンでもあります。
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肝炎ウイルスや有害物質に対抗するためには、日頃から免疫機能を高めておくことが大切です。
βカロテン・ビタミンAを含む主な食品
食品 | βカロテン含有量(μg) | 備考 |
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にんじん(根) | 約8,700/100g | 最も豊富な食材の一つ |
ほうれん草(茹で) | 約5,400/100g | 鉄・葉酸も豊富 |
かぼちゃ | 約4,100/100g | 食物繊維も含有 |
小松菜(茹で) | 約3,100/100g | カルシウムも豊富 |
あん肝(ビタミンA) | 約20,000 IU/100g | 非常に高濃度、摂りすぎ注意 |
肝臓病 や 肝臓がん を防ぐ 栄養
肝臓病や肝臓がんを予防するには、特定の栄養素に注目するだけでなく、バランスの取れた食生活や全体的な健康的ライフスタイルの実践がとても重要です。とくに、肥満や糖尿病、アルコールの過剰摂取は肝疾患のリスクを高めるため、これらを改善する食習慣が求められます。
以下に、肝臓の健康維持や病気予防に役立つとされる栄養素と食品を紹介します。
1. 良質なタンパク質
肝臓は、傷ついた細胞を修復・再生するためにタンパク質を必要とします。また、代謝を担う酵素の材料にもなります。
- 食品例: 鶏むね肉(皮なし)、ささみ、青魚などの魚介類、大豆製品(豆腐・納豆など)、卵、乳製品。
- ポイント: 肉類に偏らず、魚や大豆製品、卵など多様な食品からバランスよく摂取することが大切です。
2. ビタミン・ミネラル
肝機能をサポートするだけでなく、抗酸化作用によって肝細胞の損傷を防ぐビタミンやミネラルの摂取が重要です。
- ビタミンA・C・E(抗酸化ビタミン): 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、にんじんなど)、果物(柑橘類、いちごなど)、ナッツ類、植物油に多く含まれます。
- ビタミンB群(代謝を助ける): 豚肉、豆類、きのこ、玄米、もやしなどが代表的です。
- 亜鉛(タンパク質合成や脂質代謝に必要): 牡蠣、牛肉、豚レバー、ナッツ類に豊富です。
- タウリン(肝細胞の保護・解毒作用): しじみ、いか、たこ、魚の血合いなどに多く含まれます。
- セサミン(肝機能を高める成分): ごまに多く含まれ、抗酸化作用もあります。
3. 食物繊維
腸内環境を整えることで有害物質の吸収を抑え、肝臓の負担軽減につながります。血糖値の急上昇を防ぎ、肥満や脂肪肝の予防にも役立ちます。
- 食品例: 野菜、きのこ類、海藻類、果物、豆類、全粒穀物など。
- ポイント: 生野菜だけでなく、煮物や炒め物などで食べやすく調理して量を確保する工夫もおすすめです。
4. 複合糖質(炭水化物)
肝臓にとって主要なエネルギー源ですが、摂りすぎると脂肪肝の原因となります。消化吸収がゆっくりな複合糖質を選びましょう。
- 食品例: ご飯、パン、麺類(できれば未精製や全粒粉などを含むもの)。
- ポイント: 朝昼晩の三食を規則正しく摂ることが大切です。極端な糖質制限や過剰摂取は避けましょう。
5. 不飽和脂肪酸
動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸の摂りすぎは肝臓に負担をかけます。代わりに植物性や魚由来の不飽和脂肪酸を適度に取り入れることがすすめられます。
- 食品例: オリーブオイル、アマニ油、えごま油、青魚などのDHA・EPAを含む魚油。
肝臓病・肝臓がん予防のための食生活のポイント
- バランスの取れた食事: 主食・主菜・副菜を基本に、いろいろな食品を組み合わせて食べましょう。
- 適正体重の維持: 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は脂肪肝のリスクとなるため、食事の質と量に気を配りましょう。
- アルコールを控える: 肝臓への負担が大きくなるため、節度ある飲酒や休肝日を設けるなどの配慮が必要です。
- 加工食品・添加物を減らす: 肝臓は体内に入ったものを解毒する臓器なので、添加物の多い食品は負担になります。
- 塩分を控える: 肝臓病が進行している場合、むくみや腹水の原因になるため、塩分摂取は控えめにしましょう。
- コーヒーの適量摂取: コーヒーを習慣的に飲む人は、肝がんの発生率が低いというデータがあります。明確なメカニズムは解明されていませんが、適量であればプラスに働く可能性があるとされています。
肝臓病や肝がんの予防には、栄養素だけでなく、食習慣全体の見直しが欠かせません。すでに肝臓に疾患がある場合は、医師や管理栄養士の指導を受けながら、適切な食事療法を行いましょう。