なぜ、たんぱく質が肝臓にとってそれほど大切なのというと、たんぱく質は主に次のような重要な働きを持っているからです。
- 酵素をつくる材料になる
- 肝細胞の修復に必要
の2点です。
まず酸素をつくる材料になるという点からです。
肝臓は、食べ物からとったいろいろな栄養素を体内で利用したり蓄えたりするために、用途に応じてつくりかえる働き(代謝)をしています。
また有害な物質を分解して無害な物質につくりかえる働き(解毒)も行っています。
ところが、このような肝臓の仕事を請け負っているのが、たんぱく質からできている数多くの酵素であるため、たんぱく質が十分にないと肝臓の機能を正常に保つことができないのです。
お酒を飲む人は、アルコールを分解するために多くの酵素が必要ですから、その分よけいにたんぱく質を補給しなければなりません。
次に肝細胞の修復についてです。
アルコールを多量に飲むと、肝臓の細胞が壊されます。肝臓は、細胞が壊されてもすぐに細胞がふえて元に戻るという不思議な臓器ですが、細胞自体はタンパク質が主材料となって構成されているため、肝細胞の破壊と修復を繰り返している人は、たんぱく質がたくさん必要なのです。
かつては、肝臓病になったら低脂肪、低たんぱく質の食事にしなければならないといわれていた時期もありました。しかし、たんぱく質には以上のような役割があることがわかり、いまでは肝臓障害で肝細胞が壊されている人の治療には高たんぱくの食事が与えられるようになっています。
ところで、食べ物からとったたんぱく質は、そのままの形で体内で利用されるわけではありません。たんぱく質は腸から吸収されるときにアミノ酸という物質に分解され、肝臓でアルブミンをはじめとするさまざまなタンパク質に組みかえられます。というのも、肉や魚のタンパク質はそれぞれ特有のアミノ酸の組み合わせから成り立っていますが、私たちは人間ですから独自のアミノ酸の組み合わせによって人間特有のたんぱく質がつくられるのです。
さて、このたんぱく質は、人体のほとんどの器官に使われ、肝臓自体もたんぱく質からできています。しかし、肝臓の機能が低下するとたんぱく質をつくることができず、体の中でそれが減少してしまいます。そこで肝臓の働きを強くして、たんぱく質を積極的につくらせるよう栄養を補給してやらなければなりません。
では、どのような食品を食べて栄養を補給すれぼいいのでしょうか。肝臓がアミノ酸からたんぱく質をつくるとき、すべての種類のアミノ酸が欠かせません。
一部のアミノ酸は体の中で合成できますが、ほかに体内では合成できず、どうしても食べ物からとらなければならないアミノ酸もあります。
これを必須アミノ酸といい、8種類あります。つまり、人間に必要なタンパク質を得るためには、これらの必須アミノ酸を必要十分に含んだタンパク質をとることが望まれます。
必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食品かどうか、それをはかる尺度にアミノ酸価があります。最も産想的なのは、アミノ酸価が畑かそれに近い価を示すもので、畑に該当する食品は卵や牛菰、肉類などです。
肝臓を強化するために必要たんぱく質(男性)
体重 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g/日) | 動物性たんぱく質 (g/日) |
|
30~39歳 | 55kg | 2080 | 94 | 94 |
60kg | 2280 | 102 | 102 | |
65kg | 2480 | 111 | 111 | |
40~49歳 | 55kg | 2000 | 85 | 85 |
60kg | 2160 | 93 | 93 | |
65kg | 2360 | 101 | 101 | |
50~59歳 | 55kg | 1880 | 77 | 77 |
60kg | 2040 | 84 | 84 | |
65kg | 2200 | 01 | 91 | |
60歳~ | 55kg | 1600 | 63 | 63 |
60kg | 1750 | 69 | 69 | |
65kg | 1920 | 75 | 75 |