肺ガン 症状 治療 に関する情報です。肺がんは男女とも胃がんの次に死亡者が多く、近い将来がん死亡数の1位になるかもしれないガンです。
肺ガン 現状
- 肺がんは男女とも胃がんの次に死亡者が多く、近い将来がん死亡数の1位になるかもしれない。
- 肺がん死亡者は、男性が女性の3倍程度。
- 肺のなかでは、気管支が細かく枝分かれしているが、このうち比較的太い気管支までに発ぶ生したものを肺門部肺がん、肺の末梢にできたものを肺野部肺がんと呼ぶ。
- 肺門部肺がんは、せき、たん、血たんが初期症状。
- 肺野部肺がんはレントゲン撮影で発見されやすいが、自覚症状はほとんどない。
- がんのうち契煙ともっとも関係が深いとみられるのは、扁平上皮ガンと呼ばれる種類のもの。肺門部に多い。
- 治せるポイントは、早期発見とがんの種類、発生場所である。
- 早期発見されたものでは、治癒率は80%をこえている。
- 手術は、がんの部位の肺葉を切除するのがおもな方法である。
- がんの種類によっては進行が遅いものがあり、治療後5年を経過しても定期検診を怠らないことが大事。
肺ガン について
肺がんによる死亡者は、すべてのがん死亡者のうち、男性で20%、女性で12%をしめる。その数はここ10年ほど毎年2000人ずつ増加しており、がん死亡の1位を占める。末期まで含めた治癒率は10%にすぎないが、早期であれば80%以上が手術で命をとりとめている。
ガンが起こる部位
肺のなかには空気が出入りする気道が木の枝のように走っている。その気道は、気管→主気管→葉気管支→区域気管支とと、20回ほど枝分かれをし、終点の「肺胞」に達してはいせついる。
肺胞は、血液に酸素を供給し二酸化炭素(炭酸ガス)の排泄をおこなう「ガス交換器」で、約2億もある。比較的太い区域気管支までの間にできるがんを「肺門部肺がん」と呼び、それより末梢にできるがんを「肺野部肺がん」と呼んでいる。
肺ガン かかりやすい人
肺がんの重要な危険因子は、喫煙です。日本では、紙巻タバコの消費量の増加に平行して、肺がん死亡数も急増しています。1日20本の煙草を吸う人は、吸わない人に比べて肺がんになる率は、4.7倍も高い。
当然のことだが、契煙本数が多く、また吸い始めてからの年数が長いほど、肺がんになる危険率は高くなる。しかし、喫煙を中止すると肺がんになる危険度は年ごとに低くなり、総喫煙本数(1日の喫煙本数×契煙日数) が19万本以下の場合、その低下は著しい。
また、同じ肺がんでも、「扁平上皮がん」という種類のものが、契煙と大きく関係していることがわかってきた。禁煙は、肺がん予防の第一歩である。
大気汚染による発生もあるようだし、アスベスト(石綿)やニッケル、クロムなどの工場労働者にも発生率が高いことが知られている。
肺がんは、0歳以上の人に多く、他のがんに比べて「高齢者のがん」といわれる。
男女別では3対1で男性に多いが、これは契煙や生活環棲現などの影響が大きいと考えられており、女性の喫煙が増えているのでこの差は縮まってくるだろう。
禁煙はこちら。
せきとたん、特に血たんには注意しなくてはいけない。もっともこれらの症状は「肺門部肺がん」にかぎられる。がんによって気管支が刺激され、これらの症状が早くから出る。
レントゲンに異常が現れるより早いことが多い。がんが進むと、気管支ががんによって狭くなったり、つまるために、その部位の末梢肺に「閉塞性肺炎」や「無気肺」と呼ぶ異常がおこることがある。
このあたりまでに発見されれば治る率は高い。
「肺門部肺がん」とはちがって、初期にまず自覚症状が出ないのが「肺野部肺がん」である。がんが広がり、肺の外側を包む胸膜をがんが破って初めて胸痛やせきが出るが、ここまで進んでいるとかなり危険だ。もっともこの「肺野部肺がん」は直径1~1.5センチ前後の早期でもレントゲン写真に影をおとすので、定期検診さえ受けていれば早期発見が可能である。
肺ガン 診断
肺がんの検査は、胸部レントゲソ撮影と、たんの細胞診が中心である。簡単で苦痛も少ない。CTスキャナーによる検査もおこなわれるが、これで9割は「疑わしきもの」が発見できる。
ただし、がんである「確定」には、気管支に気管支ファイバースコープを入れ、肉眼で観察し、さらに細胞をこすり取って検査をおこなう。肺門部より先の部分に「怪しいもの」がある場合は、細いブラシを肺に挿入して細胞をこすり取る。
以上の検査で、10割近く診断がつく。
肺ガン 治癒
がんは正常な細胞が悪玉に変身したもの。そこで、どのような細胞、組織から変身したかによってがんの種類は区別される。また、それにより進行度や悪性度が異なる。肺がんの組織についていえば
- 扁平上皮ガン(35%)
- 腺ガン(45%)
- 小細胞ガン(15%)
- 大細胞ガン(5%)t
の4種類。
「肺門部肺ガン」に多いのは扁平上皮がんで、これは比較的転移が遅くタチがよい部類に入る。「肺野部肺がん」に多いのは腺がんで、発育は遅いが転移しやすい。
もっとも、治癒率は扁平上皮がんと同じで治しやすい。とりわけ悪性度が高いのが、小細胞がんである。発育が早く、2週間で10%も大きくなることもある。
そのため半年に1度の定期検診では、網にひっかからないことが多い。
肺がんの進行は四期に分けられている。Ⅰ期はがんが肺の中に止まっているもの、Ⅱ期は肺門のリンパ節にまで転移しているもの、Ⅲ期は縦隔リンパ節という場所にまで転移しているもの、あるいは胸膜の外まで広がっているもの、Ⅳ期は遠くの臓器にまで転移してしまったもの。
治療は、手術が原則。手術ができるのは、Ⅰ期とⅡ期、Ⅲ期の一部までだが、小細胞がんの場合は、Ⅲ期までとされている。手術に際して大事なことは、患者さんの呼吸機能になる。
肺はいくつかの「葉」状のものからできているが、右肺は三業、左肺は二葉に分かれている。
手術はがんの含まれる「葉」の単位で切除する。範囲が広い場合は片肺全部を切除することもある。こうなると手術後は肺活量の低下が激しくなるので、もともと肺機能が弱い人やぼかに重い病気を抱えている人は手術ができない。
しかし最近では、がんを切除したあと残った健康な部分の気管支をつなぐ「気管支形成術」という方法もおこなわれるようになり、肺の機能低下を最小限に止められるようになった。
また、新しい試みとして注目されているのが、レーザー治療と温熱療法である。レーザー治療は、高齢者や手術が難しい早期の肺門部肺がんの人におこなわれている。
この治療では、あらかじめへマトポルフィリン誘導体という光に過敏に反応する薬物を注射しておく。この薬物はがん細胞によく取り込まれるので、鼻から挿入した気管支ファイバースコープで患部をのぞきながらアルゴンダイレーザーを照射すると、がんの部分にこの光エネルギーが集中し、酸化作用によってがんが殺せるというものだ。
気管支ががんでふさがりそうになったときに、アルゴンダイレーザーの100倍の出力をもつヤグレーザーで患部を焼き広げることもある。
温熱療法は、がんが熱に弱い性質を利用したもので、局部的加温と全身加温の2つの方法がある。しかし単独では効果が薄く、放射線療法や抗がん剤との併用なら効果があるとされるが、肺がんでの本当の評価はまだこれからである。
放射線療法や抗がん剤は手術できないケースでおこなわれているが、あまりよい成績は上がっていない。ただし小細胞がんについては、ときに抗がん剤がよく効くことがある。
肺がんの5年生存率は残念ながら手術できない人も含めて全体で約15%にすぎない。したがって、根治手術が可能な段階で発見することが大事。
おおざっばにいえば、肺門部肺がんはⅩ線写真にがんそのものの影が写る前、肺野部肺がんは直径1.5センチ以下で肺を包む胸膜に出ていないもの、それに転移がなければ5年生存率は80%以上にのぼる。
少なくとも「Ⅰ期」で手術を受けれは、5年生存率は62%と、半数以上は治る。