「子供のガン」早期発見、早期治療は母親次第

子供のガン基礎知識

  1. 子供のガンは、胎児の時代にすでにその「芽」ができていることが多い。
  2. 大人のガンが皮膚や粘膜から発生しやすいのに対し、子どものがんは肉腫が多い。
  3. 子どもは細胞の成長が早いので、ガンの進行も早い。気づいたら、ただちに診察、治療を受ける。
  4. 乳幼児のおなかに大きなしこりができていたら、ウィルムス腫瘍か神経芽細胞腫を疑う。
  5. ガン特有の症状は少なく、元気がない、食欲がない、発熱、体重減少などの全身症状で気づくことが多い。
  6. 子どもは異常を訴えないので、お母さんの注意が大切。とくに、首のリンパ節のは腫れ、皐丸の腫れ、腹部の腫れ、眼の異常(猫の限のように光る)に注意。
  7. 子どものガンには、放射線や抗がん剤がよく効き、治癒率も向上している。
  8. 子供のガンは、治療後2年を経て異常がなければ、再発の危険は非常に低くなる。
  9. 子どもガンには、遺伝的素因や奇形と関係が深いものも多い。

子供のガン

15歳以下の子どもでガンになるのは年間約2000人あり、肺炎や疫痢などの感染症、症死亡者が抗生物質で激減している今日では、ガンは不慮の事故に次ぐ死因になった。とくにがんが多いのは4歳までの乳幼児である。お母さんのショックは大きいが、子どものガンの専門医ほ「多くのガンは治せる」という自信を持つようになった。よく効く抗ガン剤の登場など、治療成績の向上が著しいからである。

治療も手術による器管や臓器の摘出をできるだけ避け、化学療法や放射線で治す方向に進んでおり、大人のガン以上に理想的な治療が確立されつつある。これは、子どものガンがおとなのガンとはかなり異なるためでもある。

大人のガンは、皮膚や粘膜などからだを包む、あるいは管の内面をおおう組織から発生するものが多いが、子どものガンはその内部から発生する「肉腫」が多いという特徴がある。また、おとなのガンは老化と関係が深いとされ るが 、子 ども ガンは からだ の発育と関係が深い。胎児期に消えるはずの細胞が残ってガン化することがある。発生異常がガン結びついている場合にほ、奇形との合併がしばしばみられる。
これらのがんは、胎児期から増殖を始めているようだ。遺伝に原因があるものも少なくないが、母体の中にいる間に「がん誘発因子」と出あった可能性も高い。

子どものがん細胞は、増殖スピードが早く、大人のガンの10倍ともいわれる。治療が1日遅れたために後遺症が残ったり、生命を左右するおそれもある。

一刻も早い発見と治療が必要である。「様子を見て 」という余裕はないと知らなければならない。だが、子どもは異常を訴えないし、ガン特有の症状も少ない。元気がない、食欲がない、発熱した、体重が減ったなどちょっとした変化に母親が気づき、見つかるのが子どものガンである。
お母さんが、日ごろから子どもの様子に注意し、入浴時などにからだのすみずみまで手で触れていることがたいせつである。くびのリンパ節、おなか、睾丸の腫れなどにほとくに注意する。

ガンになっても、子どもには旺盛な自然治癒力が備わっているし、子どものガンに対しては、放射線や抗ガン剤がよく効く。たとえ転移があってもおとなのがんより治る望みは高いので、あきらめずに子どもの生命力と治療の進歩を信じて見守っていくことである。

ウィルムス腫瘍(腎芽腫)

腎臓にできる子ども特有のガンで2歳に多く、約80%が5歳までに発病する。子どものガンのほぼ10%を占める。奇形との合併率が高い。
眼の虹彩が欠損している「無虹彩症」、手足が異常に肥大する「半身肥大」などにはとくに高率に合併する。これらの奇形は、遺伝子の座である染色体の2番目の異常が原因とわかったが、ウィルムス腫瘍もその染色体異常と関係しているらしい。

初期症状はない。お腹にガンの大きなしこりができて、ようやくお母さんが気づくことが多い。そのためしこりが1kg以上になっていることが珍しくない。
発熱、食欲不振、腹痛などの全身症状で発見することもある。超音波診断で90%はわかるが、CT、血管造影によるレソトゲン撮影や腎孟尿管撮影などの画像診断がおこなわれる。

このガンはおとなのがんとは異なり、周囲の組織にくいこんでいくことが少ないため、かなり大きなものでもすっきりと取り切れることが多い。
そのおかげで、2年生存率は腎臓に限定したがんならば80%以上が期待できる。周囲に広がっていても、完全に切除できれば65%以上にのばる。

補助的に抗ガン剤と放射線療法が実施されるが、抗ガン剤が効きやすい子どものガンのなかでも、ウィルムス腫瘍ほとくに効果が高い。治療後2年間異常がなければまず安心してよく、おとなのがんを含めてもっとも治しやすいガンである。ただ、放射線の後遺症で骨の発育不良や別のガンになりやすい体質もまれにあるので、定期検査は受けてほしい。

神経芽腫

内臓や血管など臓器の働きをコントロールしている交感神経の細胞におこる。くびや、胸の縦隔洞、副腎、大動脈周辺、骨盤内のなかの神経におこりやすい。
0~2歳の幼児に多く、ウィルムス腫瘍と同じようにおなかのしこりや全身症状が発見のきっかけになる。骨に転移しやすいので、足の痛みや頭のコプ、眼の周辺の腫れなどの骨転移で気づくこともある。
低年齢で発見されるほど治癒率( 2年生存率) が高いため、最近は乳児の6ヶ月検診時に「VMA検査」が導入されている。このガンは早期のものでも、尿中に「VMA」という物質が出ることを利用している。

早期例では手術で取り切ることが可能だが、進行した例では手術による切除が難しいので、強力な化学療法が中心になる。しかし、そのため副作用として骨髄の造血機能の低下がおこりやすいので、骨髄移植によって骨髄の働きの回復がほかられる。

リンパ節や骨に転移してしまうと治癒率は低くなってしまうが、広がっていなければ2年生存率は90%近い。

肝臓、皮膚、骨髄など特定の場所に広範に転移しているケースもあるが、この場合の2年生存率ほ不思議と高く60%をこえる。そのため、これは転移ではなく「多発性のガン」ではないかという説がある。また、「VMA検査」で早期発見されたものでは生存率は96%という成績もでているが、神経芽腫にほ自然治癒するものがあり、本来はほっておいても治ったほずのものが発見され治療されたため高い治療成績が得られているのでほないかという説もある。

肝芽腫

肝臓におこるがんで、0~2歳が発病のピークである。おなかのしこりで気づくことが、ほとんどだが、黄痘が出ることはない。おとなの肝臓がんは肝硬変の併発が多く治しにくいが、子どもの肝臓ほ回復力が大きいので思い切ってガンを切除できる。ガンを完全に切除できれは、生存率はかなり高い。
抗がん剤がよく効くので、これでがんを小さくしてから切除することも試みられている。

横紋筋肉腫 (おうもんきんにくしゅ)

筋肉にできるガンで、からだ中どこにでも発生する。膀胱、膣など泌尿器や生殖器に多い。症状は、膀胱の場合は尿が出にくくなったり血尿がある。膣の場合ほ膣から肉腫がの最近は抗がん剤や放射線療法が発達したおかげで、手術前にガンを小さくしてからの切除が可能になった。
ガンが子どもの頭大になった膀胱を、放射線照射で握りこぶし大まで縮小することも可能である。この方法によって摘出範囲も小さくてすみ、生存率も10年前の2倍になっている。

悪性奇形腫

おもにお尻の仙骨周囲(尾てい骨)におこる不可思議ながんである。卵巣や睾丸に発生することもあり、2歳以下に多い。「体の発生」に関係したさまざまな組織がありえない場所に発生する。良性のものでは髪の毛や骨、歯、皮膚などが生えてくることもあるが、放置すると悪性化する危険があるので手術によって切除する。
抗がん剤が有効で、肺などに転移があっても助かる例が、年ごとに増えてきている。