「 皮膚がん 」 日本人のがん、白人のがんでは大きく異なる

皮膚がんに関する情報です。「 皮膚がん 」 日本人のがん、白人のがんでは大きく異なる のはどういったことからでしょうか?

皮膚がんの基礎知識

  1. 皮膚がんは大きく2つの種頼に分けられる。
  2. 発生率は人種や地域に大きく関係し、赤道近辺の住民や白人に多く日本人には少ない
  3. 顔、とくに唇、まぶた、鼻など皮膚と粘膜の移行部にできやすい。
  4. 太陽光線に長い時間さらされると、皮膚がんの危険が高まる。
  5. 広い範囲のやけどや、広い範囲のひきつれなどががんに移行することがある。
  6. ひどい湿疹が続き、分泌物が出るようなら要注意。
  7. 進行の遅いものが多いが、ほくろが急に大きくなり始めたら悪性黒色腫を疑う。
  8. 痛みやかゆみが必ずあるわけではなく、皮膚の色や形の変化もだいじな症状である。
  9. 出血したり、分泌物の出る変なほくろ、いぼ、うおのめなどができたら安易に切除せず、専門医の診断を受ける。

皮膚がん

皮膚がんは「一般的な皮膚がん」と「悪性黒色腫」に大別される。「一般的な皮膚がんはさらに「有棘細胞ガン」と「基底細胞ガン」に分けられる。男女差はほとんどない。

有棘細胞ガン・基底細胞ガン
どこに起こるがんか

皮膚は表面から表皮、真皮、皮下という三層構造になっているが、表皮をつくる「有棘細胞」におこる皮膚がんが「有棘細胞がん」である。
この「有棘細胞」の層の下にある「基底細胞」にできるのが、「基底細胞がん」である。
できるのは顔がほとんどで、鼻、目の周囲、ほおなど中央部に多い。がんは隆起したり、進行性の潰瘍をつくったりする。とくに頭、顔、手足など太陽光線にさらされる部分に多くできやすい。

どういう人に起こりやすいか

太陽光線がひとつの引き金になる。太陽光線の影響を弱めるメラニソ色素が少ない白人に多いのはそのためである。米国人の皮膚がんの7~8割がこのタイプである。日本人では皮膚がんの3割がこのタイプとされる。北海道、東北地方より四国、九州地方のほうが患者数が多いというのは、やはり太陽光線の強さの違いだろう。

また、外傷ややけどのあとのひきつりや潰瘍、放射線による皮膚炎などの異常からもおこることがある。20年も前の傷あとががんになることもあるので、気をつけておいたほうがいい。ただし、狭い範囲の皮膚異常から発生することは、ほとんどない。有棘細胞ガは皮膚がんの4分の1を占めるていどで、わが国では患者の数も少なく米国の100分の1程度で少ない。

自覚症状

いばやうおのめ、ほくろができ、次第に隆起し、それがザラザラしていたり、つぶれて出血したり浸出液が出たりしたら、皮膚がんの疑いは大きい。
ひどい皮膚湿疹もがんの可能性がある。いぼやうおのめの表面がツルツルしているのならば、がんを疑わないでいい。皮膚の一部が黒ずんだり赤くなり、その範囲がだんだん広がるのもがんを疑う。基底細胞がんでは、「結節潰瘍型」と呼ばれる特殊な隆起をもつものが多い。
いぼかほくろのようなものが次第に大きくなり、中央が潰瘍になって周りに堤防のような盛り上がりができる。日本人の結節潰瘍は黒ずんでいることが多い。

診断

体表にできるので、診断はつけやすい。組織の一部を切り取って調べればわかる。

ここまで治る

ここまで治るいずれのがんも、よく治る。有棘細胞ガンで転移のない直径5センチ以下のものなら治癒率は89パーセントに達している。直径5センチ以上、あるいは皮膚の深部にまで達していても転移がなければ約60パーセントは治る。
たとえ転移があっても、約40パーセントは助かる。

基底細胞がんは、転移もほとんどなく進行も遅いので、治療成績はさらによい。まず死亡することはない。ただし顔に多いので治療後の整形美容的な処置が必要になる。レーガン元大統領の鼻の頭にできたのがこのがんで、簡単な手術で復帰できたのは周知のとおり。米国では皮膚がんは簡単に治せるので、皮膚がんをがんの統計に含めていないほどだ。治療は切除が中心である。

有棘細胞ガンはがんといっしょに周囲の皮膚を3 センチほど切り取る。基底細胞がんでは、切り取る部分は有辣細胞がんより小さいことが多い。切除したのでは機能を失うような部位( まぶた、唇、耳など) では、放射線治療をおこなう。小さく転移がないのなら放射線治療だけで完全に治せる。リニアックという装置の電子線を25回照射するだけで終る。化学療法も効く。しかし、完全治癒はむずかしいので、初回の治療にこれを用いるのはよくない。治療の際には抗がん剤を週2回、注射する。その軟膏をがんに直接塗ることも試みられている。

悪性黒色腫

どこに起こるがんか

「メラノーマ」「ほくろのがん」とも呼ばれる悪性黒色腫は、皮膚がんのなかではきわめて悪性で、進行が早く、全身に転移しやすい。日本人でほとくに足の裏にできやすい。
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どういう人に起こるがんか

30~40年前まではきわめて少なく年間の死亡者数も50人に満たなかったが、年々増え続け、1988年には302人にまでなっている。不気味な増加率である。

40歳以降に多く、60~80歳がピークである。また、男性の発生率が女性の1.3倍と高い。なんでもない「ほくろ」が、この悪性がんに変わることが多い。日本人ほ人口の約4パーセントの人が足の裏にほくろやしみのような黒い斑点をもっているが、それが悪性黒色腫になる率は55万分の1といわれている。それでも、広い範囲のもの0は要注意。皮膚表面に露出し、分泌物を出すようになったら極めて危険である。

自覚症状

どんな自覚症状があるか今まで何もなかったところ(とくに足の裏)にほくろができる、ほくろが1ヶ月で2~3ミリも大きくなる、ほくろの周囲がピンク色に染まるといった変化が現れたらがんを疑わねはならない。
顔や手足のしみのなかにできた色むらが、このがんである場合もある。ほくろを自分で削りとったり、美容整形で取ってもらったりする人がいるが、もしそれが悪性黒色腫だと全身への転移の原因になるので、必ず専門医にまかせなければならない。顔や爪のつけ根が変に黒ずみ、それが広がってきた場合も悪性黒色腫の疑いがある。

診断

疑いのある部分の色を調べる。「黒色」腫というものの紫色、赤褐色、青など色はさまざまだからだ。周囲の健康な皮膚との境目がピンク色になっていたり、病変部の色がにじみ出していないか、表面の凹凸はどうかといったこともチェックされる。皮膚がんでは、皮膚のひび割れや角化、びらんが見られるが、悪性黒色腫も同じである。最終的に組織をとり顕微鏡で検査するが、一部だけをとると転移の可能性大になる。悪性とわかったらできるだけ大きな病院を受診したほうがいい。

がんが表皮にとどまっていれば約80パーセントは治る。皮膚の深い部分へ浸透していくほど治癒率は低くなる。真皮の深い部分まで広がっていると、転移がなくても治癒率は20~30パーセントになる。転移が早いがんなので早期発見、早期治療が欠かせない。治療は、患部を切り取る手術が中心になる。早期なら、がんと周囲の健康な皮膚を5センチの範囲で切り取る。しかし広がるのが早いので、足の裏にできた場合は足首から先を切断するケースも少なくない。

手術に放射線治療が組み込まれることも多くなった。普通の電子線より粒子の大きい連中性子線(サイクロトロン) はがん細胞に与える衝撃が大きいので、これでがんを小さくしてから切除手術をするといった方法がおこなわれ、効果をあげている。
かつて悪性黒色腫は手術後に再発したり転移するとほとんどなすすべがなかった。全身への転移で、内臓がまるで墨で塗りつぶしたようになりお手あげという悲惨なことも多かった。しかし、放射線治療の進歩などにより、手術後の再発や転移もかなり防げるようになった。
また、このがんは人間の免疫力と深いかかわりのあることがわかってきたので、免疫力を高める薬を与え手術後の再発防止に役立てようという試みもおこなわれている。皮膚がんは色素の多い黄色人種や黒人よりも色素の少ない白人に圧倒的に多い。
ガン治療のポイントと現状

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