食道ガン の治療やなりやすい人、生活上の注意。そして、検査、診断、治療について。食道ガン と診断された人、疑いのある方が最初に見るページです。食道ガン とは~治療の現状までを大きくとらえています。
食道ガン とは?
- 男性に圧倒的に多く、女性の4倍にもなる。
- 大酒飲み、ヘビースモーカーは危険。
- 熱いものを長年にわたって食べ続けている人もおこる可能性がある。
- 自覚症状が少ないので発見がむずかしい。
- 食物がつかえる、しみるといった自覚症状があったら、すぐ検査を受ける。
- 痛みが出ているようなら、かなり進行している。
- 進行が早く、転移が多いので治療は簡単ではない。
- 40歳代を過ぎたら1年に1回、内視鏡の検査を受けるほうがよい。
- 早期がんなら8割は治る時代になった。
- 術はリンパ節の郭清も同時におこなうことが多い。
どこの部位にできるか
食物の通り道である食道は、のどから胃にいたる長さ25センチの筒状の器官である。構造は複雑でほないが、消化されていない食物の刺激につねにさらされているので、がんがおこりやすくなっている。
とくに、酒やタバコと食道がんは深い関係がある。発見がむずかしく進行も早いため、治癒率ほまだ低い。自覚症状が出にくいことも、発見を遅らせている。転移しやすいので、発見時にはすでにほかの臓器に転移していることも少なくない。
食道ガン になりやすい人
圧倒的に男性に多い。年間1万人近くがこのがんで亡くなっているが、女性ほそのうち2割以下にすぎず、患者数でも同じ傾向がみられる。
この男女差は、酒とタバコにあると思われる。飲酒率、喫煙率ともに男性が高いからである。アルコール度の高い酒、ニコチンやタールの多いタバコを吸う人ほど、危険は増す。
熱い食物のとりすぎも、このがんの危険因子となる。毎朝茶がゆを食べる習慣をもつ地方この人は食道がんになりやすいことがつきとめられている。
また、喉頭や咽頭、舌など食道と隣接する器官ががんになった人は、食道がんにもなりやすい傾向がある。50~60歳代が発生のピークで、高齢者に多いがんである。
自覚症状
自覚症状が出るのは遅く、発見も遅れがちになる。自覚症状が出たときほ、あるていど進行しているのである。
おもな自覚症状は食物の通過障害で、水分をとるとのどがしみる、のどに違和感がある、今まで抵抗なく飲み込めた食物がなんとなくつかえる、そのつかえがだんだん大きくなる、といった症状があれば食道がんを疑う。さらに進行すると痛みを感じ、なお進めば食物が飲み込めなくなる。飲み込んだものが逆流することさえおこる。
診断
食道がんは胃がんの定期検診で発見されることがよくある。胃のⅩ線検査では、食道も同時に検査するからである。しかし、胃の定期検診で偶然発見される食道がんほ、かなり進行していることが多い。よって、胃がん検診を受けているから食道がんもだいじょうぶだと安心するわけにほいかない。
早期発見には、ファイバースコープ( 内視鏡)検査が重要である。食道を洗浄し「ルゴール液」を塗り、ヨードででんぷん反応を調べる。がんがあるところはでんぷん反応が出ず、黒くならない。この変化を内視鏡で調べる。50歳代をすぎた輿煙老、飲酒者は、この内視鏡検査を1年に1回は受け、早期発見につとめたほうがいいだろう。CT検査も診断に用いられるようになってきた。これは、リンパ節への転移やほかの部位への広がりぐあいを調べるために用いられる。
最近はCTやMRI、超音波内視などの性能が高まったので、かなり精密に転移や浸潤のていどが調べられるようになった。
ここまで治る
食道がんで手術を受けた人の5年生存率は、約10パーセント台です。これは、喉頭、咽頭、胃など隣接器官のがんの生存率に比べても低い。
しかし最近は早期発見の技術が進み、生存率も向上している。浅くて転移のない早期がんなら5年生存率は80パーセント以上になる。
また、理由ほはっきりしないが女性のはうが治療成績がややよい。進行は早く、1ヶ月で急激に大きくなるものもある。
粘膜の表面にできる「表在型のがん」でも、半年で手術不能になるはど成長してしまうものすらある。食道は筋肉層の上を粘膜層がおおっている。その粘膜と筋肉の間にはリンパ管が通っている。
そのため、がんが進行して粘膜の下の層にまで達すると、リンパ節への転移がとても多くなる。したがって、粘膜の下の層に進むまでにがんを切除できれば治療成績はよくなる。切除が最善の治療法である。
以前は手術前に放射線を大量に照射することもあったが、期待したほどの効果がないことがわかり、現在ではおこなわれていない。食道がんの手術ほ、むずかしい。がんそのものの切除ほさほどむずかしくないが、リソかくせいパ節への転移が多いためリンパ節郭清も同時におこなわなけれはならないからである。転移しやすいのは、右側の鎖骨後部(右上縦隔最上リンパ節)、胃の入口(胃噴門リンパ節)、胃の動脈(左胃動脈リンパ節) などのリンパ節で、全体の50パーセント近くがこの3つのどこかに転移する。手術では、これらのリンパ節の郭清がおこなわれる。手術ほ大がかりになってしまう。
食道切除後には、代用の食道を作る。多くの場合切除手術時に、胃で管を作り上に引っ張り上げ、残った食道とつなぐ手術を同時におこなう。
腸の一部を切り取り、食道の代用にすることもある。再発は6ヶ月から1年以内におこることが多い。とくに、くびや縦隔での再発が目立つ。再発がおこったら、放射線や化学療法がおこなわれることが多い。最近ほ再発予防のための集学的治療の効果があがっている。