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うつの分類

うつの分類 について紹介します。うつには、神経症的うつと精神病的うつを区別する前に、間単におさらいをしておく必要があると思います。

うつの分類

うつの分類

1.悲しい感情

うつの人は悲しそうに見えます。感情をかくそうとしても、落ちこんで見えます。額は普通眉間にしわがより、口元は下向きになっています。よく泣くか、泣きたいかどちらかです。

女性は化粧をしなくなり、男性はひげそを剃らなくなったりします。そのような悲しそうな顔の表情が、神経症的うつの一大症状です。

2.つらい思考

うつが深くなるにつれ、つらい気持ちが増してきます。憂うつで、悲しく、希望がなく、無価値、うしろめたい感じがして、考えることがつらくなります。

過去のあやまちをくりかえして思いめぐらし、罪悪感にとらわれます。めいあまりにも気分が滅入って、耐えがたくなり、悲観的で、未来は暗闇に思えます。自分が完全な人間失格だと思うようになってきます。生きていてももはや何の楽しみも満足感もなくなります。

かつては楽しめたことももはや楽しめなくなり、まるで自分が罰を受けているように感じます。自分を責め、自分に非常に批判的になり、多くのことで自分を責めます。つらい思考は自分が傷つくことを願い、自殺を考えることもあります。

イライラして、人とうまくやっていけなくなります。うつが進むにつれ、社会から引きこもるようになり、かつてはともに楽しんでいた人々や活動への興味も失せてきます。なかなか決心できず、ささいなことでも迷ってしまいます。挙句のはてに、まったく仕事ができなくなるところまでうつは進みます。何かをやりとげても、やりがいが得られず、つらい思考が支配します。

3.精神運動の抑制

うつがひどくなってくると、身体的症状も出てきます。動きが緩慢になり、話し方も遅くなります。睡眠障害も表れることがあります。睡眠時間が長すぎたり、不眠になったりします。

さらにうつが進行すると、入眠障害かや、早朝覚醒が見られるようになります。食べすぎたり、逆にほとんど食べなくなったりします。はじめは逃避のためにむちゃ食いをするのですが、しだいに食欲がなくなり、体重も減ってきます。

実際、ガンを除いてはうつほど体重が減るものはないでしょう。頭と体の反応はゆっくりで、そのため精神運動の抑制と呼ばれます。ものごとをするのにかつての二倍も時間がかかります。性欲も変化(普通は低下)します。下痢や便秘もよく見られ、頭痛、胃痛などの身体症状も出てきます。いつも疲労感があり、朝起きあがって1日をスタートさせることができません。事実、朝は最悪の時間です。健康について、よりいろいろなことが気がかりになります

4.過剰な不安

不安はよくうつをともないます。うつが進むにつれて不安も多くなります。普段よりイライラし、混乱します。昔のようにものごとにうまく対処できなくなります。歪曲された思考うつが進むにつれ、しだいに神経症性うつから精神病性うつに移行していき、思考は歪曲していきます。

批判的な非難の声が聞こえたりします。最近、ある患者が自分を責めたてる声を聞いたと言うのですが、うつが晴れるにしたがって、この声も消えていきました。歪曲思考の人は、幻覚、妄想があります。自尊心が欠如しているため、誇大妄想が現れてきたりします。自分はナポレオンであるとか、マフィアに追われているといった妄想にとらわれます。

前述した1 〜3 の症状(悲しさ、つらい思考、精神運動の抑制) があるときは、神経症性うつです。もし不安もあり、非常に顕著な場合は、いわゆる激越うつ( これはやはり神経症性うつに分類されます)で、精神病性うつは、五つ目の症状である歪曲思考が加わったときにおこります。

現在のところ、うつ障害に関しては基本的に10に分類されています。それは、

  1. 大うつ病エピソード、メランコリー型
  2. 双極感障害、躁病型
  3. 双極感感情障害、うつ病型
  4. 双極感情障害、混合型
  5. 精神症状をともなう大うつ病
  6. 分裂感情障害、双極型または両極型
  7. 分裂感情障害、抑うつ型
  8. 気分変調性障害(抑うつ神経症)
  9. 循環気質性人格
  10. 抑うつ気分をともなう適応障害
1.大うつ病エピソード、メランコリー型
その中の退行期うつ病の診断は、中年期に発症するうつにかぎられています。明らかにこれといった誘因は見られません。一度もうつを患ったことのない人で、うつのつらさをまったく体験していない人でも、このうつは非常に深刻です。
2.双極感情障害、操病型
双極感情障害の操病型は、多幸感、早口、動作が速くなることなどに特徴づけられます。話題も次から次へと変わり、判断力が鈍ります。
たとえば、躁状態の人は 1 日のうちに車を数台買うなど、実にお粗末な金銭上の判断をしたりします。
本人は極めて気分がいいのですが、この多幸感は根底にあるうつをカバーするものであることが多いのです。この双極感情障害は事実、精神病にまで発展します。
たとえば、ある女性は躁状態のときに、自分が処女マリアだと思ったのです。このような状態のときは、つかえがとれたかのように、性的にも活発になります。
ほとんど一糸まとわずに精神科の病棟を歩きまわったりします。宗教が重要な意味を持つようになる場合も多々あり、宗教的な言葉使いで話すようになったりします。双極感情障害は他のどのうつ障害よりも、家系、遺伝的要因を強く持っています。現在の研究によれば、Ⅹ 遺伝子が運ぶらしいことがわかっています。後述の9の循環気質性人格が極端に出たのが、操うつ性精神病です。
3.双極感情障害、うつ病型
このタイプは躁病型の逆です。たとえば、非常に落ちこみ、滅入って、悲しい気分に支配されます。動きも話し方も緩慢です。
以前は操状態だったのが逆にうつになったというケースもあります。真の双極感情障害のうつ病型の人は、単極性、つまり通常のうつの人と区別がつかないこともあります。家系を見れば、どのタイプのうつかがわかることもあります。双極感情障害のうつ病型の人は、通常の処方薬とうつの治療に反応します。一方、前述した操病型は、リチウム、テグレボール、デパコテ などに反応します。
4.双極感情障害、混合型
双極感情障害、混合型は、躁とうつとをくりかえすことに特徴があります。たとえば、数週間躁状態で、そのあとは正常、通常状態4が少しあり、そしてうつの時期がやってきます。
うつ状態のとき、内側からの自己批判にとらわれっきりになっているように見えます。自分が自分を攻撃する最大の敵になります。
一方、操状態のときは内側からその敵を打ち負かしたように見えます。非常にうきうきして、内側から自己批判的性格を克服したことで多幸感を感じています。その 2 つのバランスがとれれば、普通の行動がとれるようになりますが、うつになると内側からの自己批判が勝って、またうつになる、というふうにサイクルがくりかえされます。
5.精神症状をともなう大うつ病
精神症状をともなう大うつ病は、前述したうつの通常の症状に特徴づけられます。つまり、悲しみ、つらい思考、滅入った気分、悲しく、希望がなく、絶望感、罪悪感があります。
さらに、生物学的症状と不安があります。それに加えて、幻想、妄想、思考の歪曲が出てきたりします。幻聴が聞こえたり、マフィアにつけられていると思いこんだりします。このタイプはつらい思考と程度の差があるだけです。患者はつらさから完全に歪曲された、妄想思考に移っていきます。これが精神症状をともなう大うつ病です。
6.分裂感情障害、双極型または両極型
これは、気分障害によっても特徴づけられる精神病性障害です。統合失調症(精神分裂病) と双極感情障害との違いをここで区別しておきましょう。
統合失調症(精神分裂病)は、おもに思考障害と気分障害とに特徴づけられる病気です。
一方で、双極感情障害はおもに気分障害、そして次に思考障害に特徴があります。つまり、統合失調症(精神分裂病) を患うと、第一次的症状として思考障害がおこり、考えがまとまらなくなっていきます。
多くの思いが押し寄せてきて、それらをロで首尾よく表現するのが難しくなります。なんの脈絡もなく、ひとつの話題から次の話題へ移る、いわゆる連合弛緩と呼ばれるものがある場合もあります。
分裂感情障害は、統合失調症(精神分裂病)と同様に、まず思考障害に特徴づけられます。そして、分裂病のいくつかの通常の症状が見られます。顔の表情はのっぺらとした(表現が乏しい) 感じです。
連合弛緩も見られます。極めて二律背反的で、なかなか意思決定ができません。非常に自閉的で内側に引きこもっています。よって統合失調症(精神分裂病)によく見られる「4つのA」が見られます。 4 つの A とは、平坦な感情 ( Affect )、連想(連合)( Association )、両価性( Ambivalcnce )、自閉性( Autism )です。
また、幻覚、妄想、幻想などの分裂病の第二次兆候をいくつか持っているかもしれません。思考にはまとまりがなく、判断力も劣り、社会からも退行し、引きこもるようになります。こうした統合失調症(精神分裂病) の症状に加え、分裂気質はまた気分障害もあります。もし過剰に興奮しているなら(躁状態)、気分がハイで多幸感があり、分裂感情障害の双極型または両極型です。
7.分裂感情障害、抑うつ型
分裂感情障害、抑うつ型は、思考障害をともなう気分障害と同じであり、ただ躁タイプのかわりにうつタイプになったものです。
8.気分変調性障害(抑うつ神経症)
抑うつ神経症は、まず最初に何よりも精神病的というよりは神経症的であることに特徴があります。生物学的にも社会的にも長期間、無能力になっています。生物学的には、たとえば、食べない、眠らない、体重が減る、増える、インポテンツなどの症状があります。
また社会的不能としては、たとえば、働こうとしないなどです。こうした社会的症状ゆえに、まわりの人は何かがおかしいと気づきます。生物的、社会的に短期間(敷か月)無能力な場合、その人は神経症です。
抑うつ神経症は悲しい感情、つらい思考、生物的症状、過剰な不安感などに特徴があります。本人は非常にみじめで、落ちこんでいますが、現実との接点はあり、自分がだれか、どこにいるか、自分のまわりで何がおこつているのかがわかつています。一方、精神病者は現実との接点を失っています。<
9.循環気質性人格
循環気質性人格は、生涯続く人格パターンが特徴です。また、ある予測可能な防御メカニズムも見られます。この人格パターンは通常、人生の早期に始まり、生涯つきまといます。循環気質性人格は双極感情障害と似ていますが、それほど深刻ではありません。生涯、本人はある期間ハイで浮き立っており、そしてある期間ひどくうつに落ちこんでいます。つまり、生涯を通してハイとロー(上機嫌と落ちこみ) の間を行ったり来たりくりかえすのです。以下は循環気質性人格の特徴のリストです。これらの特徴のうちのいくつかは、双極感情障害の操状態との接点があります。
10.抑うつ気分をともなう適応障害
これは、かつて明らかな精神障害を経験したことがなく、極めて困難な環境的ストレス下にある人で、深刻な一時的障害におちいっているケースです。症状はうつ的特徴を含み、短期の精神療法を受けて、ストレス状況がなくなると、症状はすぐに消えます。たとえば、喪失による深い悲しみにある人のグリーフ反応は、適応反応と診断されるものです。
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