間違いだらけの睡眠情報 頭脳・肉体・自律神経を休息させる睡眠

こうすれば頭脳の活動はグンと高まる

人間が活動するためには、大脳と自律神経系に休養をあたえておかなければなりません。この休養が、睡眠です。大脳が疲労すると、ガンマハイドロオキシ酪酸という有害物質がたまり、これを脳から取り除くためには、睡眠をとる以外に方法がありません。

では、肉体の疲労はどうでしょうか。1日中身体を動かしていると、筋肉に乳酸が蓄積します。しかし、この乳酸は、筋肉に休息がもたらされると炭酸ガスと水に分解されます。つまり、肉体の疲労は、ただ横になって休むだけで十分に回復するということです。

ここで、大脳の構造についてです。

大脳には3つの皮質があります。まず1つは、人類の進化の過程においてもっとも古くからある旧皮質。これは人間の本能を司るところで、性欲や食欲など、本能的欲望はここから発生します。
2つ目は、古皮質です。
これは旧皮質のすぐあとに生まれたもので、旧皮質で発生した本能的欲望に方向づけをしたり、ブレーキをかけたりする働きをしています。
そして3つ目が、新皮質である。ここは、知性と人格の中枢。
ここには前頭葉、側頭葉、腹頭葉、頭頂葉などがある。前頭葉は別名を「人格の座」と呼ばれます。
ここには、人間を社会的生物として制御する神経があります。そして、側頭葉は言語の中枢ともいうべきものです。

それでは、われわれの睡眠と覚醒を司るのはどこでしょうか?それは、いまあげた3つの皮質の下にある脳幹で。ここには無数の神経が網の目のように張りめぐらされており、網様体と呼ばれています。この網様体の活動が活発になると、大脳の活動はグンと高まります。
逆に、活動がゆるやかになれば、大脳も休止状態になります。つまり、網様体は人間の覚醒センターであると同時に、睡眠センターの役割も果たしているのです。

いいかえれば、筋肉や皮膚の感覚、目、耳、鼻、内臓などからの信号がぐっと少なくなり、大脳皮質と網様体が刺激されなくなるから、人間は眠くなるのです。このことは、私たちの日常生活が、いくらでも証明しています。

たとえば、眠るとき、ほとんどの人が部屋を暗くし、身体を横にします。こうすると、網様体への刺激が少なくなるからです。また、退屈きわまりない単純作業をしているときや、おもしろくもない話を聞いているときに睡魔に襲われるのも、同じ理由からです。

脳のトレーニング「脳のための睡眠時間は6時間以上」は短深眠法とは逆のことを言っていますが、このあたりの情報が現在、一般に浸透している情報でしょう。

炭水化物は頭脳・肉体の休息に絶対欠かせない

ところで、大脳は、どのような栄養素を必要としているのでしょうか。まず欠かせないのが酸素です。呼吸によってとり入れられる酸素こそ、大脳にとって、もっとも重要な活動源です。

たとえば、10歳ぐらいまでの児童の場合、体内に送り込まれる酸素の半分が大脳で消費されます。それが成人になると、20~25%に減ります。したがって、汚れた空気を吸ったときなどにいちばん被害を受けるのは大脳なのです。つまり、最悪のケースが、一酸化炭素中毒です。

つぎに大脳が必要とする栄養は、良質の蛋白質です。とくに、海草類などに多く含まれているグルタミン酸が重要です。これが大脳に豊富に送り込まれることで、人間に必要な興奮作用と抑制作用がともに活発になります。

つまり、いま説明した大脳の旧皮質(本能を司る)と古皮質(本能の抑制を司る)の両方を活発に機能させるのです。グルタミン酸は脳内でガンマアミノ酪酸とガンマハイドロオキシ酪酸に分解され、前者は旧皮質の、後者は古皮質の働きをうながすのですが、このガンマアミノ酪酸は炭水化物の助けを借りないと生まれません。
つまり、グルタミン酸は、炭水化物の補助がないと一本立ちできない、ということになります。そこで、ひとつ問題が出てきます。大脳が炭水化物を必要とするように、筋肉もやはりそれを欲するのです。とすると、一方が炭水化物を消費しすぎると、他方は活動が停滞して迷惑をこうむることになってしまいます。

これは酸素についてもいえます。私たちの身体は、首を境界線として、上と下とで酸素と炭水化物の奪い合いをしています。よく、スポーツをやりすぎると頭が空っぽになるといわれるが、これはある意味正しいのです。
適度の運動であれば、炭水化物は全身にくまなくまわりますが、ふつうの人より激しい筋肉運動をすると、炭水化物はほとんど首から下のほうにとられてしまい、大脳は栄養不足になります。この炭水化物を体内にとり入れるには、胚芽のついた玄米を食べるのが一番いいでしょう。
玄米を主にした食生活をしていれば、炭水化物が不足をきたすことはないからです。

眠りは副交感神経に支配されている

当たり前ですが、心臓や胃などの諸器官は、眠っているあいだでも、きちんと機能しています。このように、意識の圏外で身体諸器官の活動をうまく調節している神経組織を自律神経といいます。この自律神経には2つの顔があります。

1つは交感神経といい、もう1つを副交感神経という。「顔」というくらいなので、この2つは同時にあらわれることはありません。

では、交感神経の働きが活発になるとどうなるのでしょうか。まず、瞳孔が広がり、心臓の動きは力強くなります。気管支が太くなり、腎臓の尿の量が増え、血圧が上がります。汗腺もよく働くから汗をかきます。つまり、交感神経というのは、われわれが昼間起きて活動しているときの顔です。

これに村して、副交感神経というのは、完全に夜の顔です。これが活発になると、瞳孔は縮まり、心臓の鼓動はゆるやかになり、気管支は収縮し、汗腺もすぼまって発汗が抑制されます。しかし、自律神経の活動の中でも、胃腸の働きだけはすこし変わっています。というのも、交感神経が興奮すると胃壁の平滑筋は弛緩状態になり、逆に副交感神経が興奮すると、胃壁の平滑筋が収縮運動をはじめるからです。つまり、胃腸の働きというのは他の器官と異なって、昼間よりも夜のほうがより活発になるからです。

たとえば、寝る前に食べたり飲んだりして、満腹の状態でベッドにもぐりこんでも、朝になると、すっかりおなかがすいて、食卓に飛びつくことがあります。これは、眠っているあいだでも、胃腸がひじょうに活発に働いている証拠です。

不眠の原因のひとつに副交感神経優位、いわゆるリラックスモードにうまく切り替わらないケースがあります。これは、寝る前にたくさん、食べたり、飲んだり、寝る間際までPCで仕事をしているような人に多いタイプです。リラックスモードに上手に移行するためには、静かなオルゴールなど音楽などを聞くのが推奨されていますが、理にかなっているということです。
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