はじめての補聴器 完全ガイド これから補聴器を使ってみたい!と言う人のための補聴器完全ガイドです。補聴器の必要性から購入手順まで。初心者向けの補聴器情報。
はじめての補聴器補聴器の重要性
難聴を放置すると認知症を発症しやすい
中高年以降になると難聴になる人が急増します。ところが、難聴の症状は徐々に進むことがほとんどなので、聞こえにくい状態に少しずつ慣れてしまい、自分では気が付かないケースも多いのです。その結果、難聴の症状がかなり進んでしまい、周りの人とのコミュニケーションがうまくいかなくなり、人間関係や仕事などに、さまざまな問題が生じることもあります。
「音の開こえが少し悪くなったけど、大丈夫」「聞こえにくい音もあるけど、気にならない」そう思う人もいるかもしれませんが、たかが難聴と軽視していい病気ではありません。
日本では補聴器が普及していないのでしょうか。さまざまな要因がありますが、日本では、補聴器を着けていると、「わずらわしい」「見た目が気になる」「いかにも年寄りつぼい感じ」というイメージを持つ人がまだまだ多いのです。
しかし、日本のこうした現状はこのまま放置しておいてよいものではありません。というのは、難聴になったとき、補聴器を使わず聞こえの悪いままでいるとさまざまな問題が起こってくるからです。
早い段階で補聴器の利用を考える
米国の研究では、難聴の人639人を対象に11年後の状況を調査したところそのうち58名が認知症になっていることがわかりました。しかも軽度難聴で2倍近く、中等度難聴では3倍、高度難聴では5倍近く認知症になりやすことがわかっています。難聴の程度がすすめば認知症のリスクも比例して高まってしまうということです。
耳の遠い人に話しかけるときは、何度か言い直したり、大きな声をださないと伝わりません。そうなると、周囲の人は次第に話しかけなくなってしまうのです。こうしたことがさらに認知症を悪化させてしまうのです。
補聴器はいつ使い始めればいいのか?
え?は?は軽度難聴のはじまり
加齢による難聴には、以下の3つの特徴があります。
- 高音域から昔が聞こえにくくなってくる。
- 同じ程度の聴力でも、若い人に比べると、「言葉の聞き取り」が悪い。音自体は聞こえているのに、何を言っているのか理解できないという現象が起こる。
- 左右が同じように悪くなる
ただ、困ったことに、こうした特徴は一般の人にとっては、なかなか実感しにくいものです。加齢による難聴は徐々に進行し、聞こえにくいことに少しずつ慣れていくため、難聴がひどくなるまで自分で気付かないことが多いからです。
WHO(世界保健機関)の難聴度分類に従えば、聴力で26~40デシベルまでの音が聞こえるのが軽度難聴、41~60デシベルが中等度難聴とされ、一般には中等度笹となると、補聴器が勧められます。しかし現在では、より軽度の難聴でも補聴器を使ったほうがよいと考えられています。
加齢による難聴は、一般に高音域から音が聞こえにくくなりますが、高音域の聞き取りだけが低下した初期の難聴でも、このことが当てはまります。こうした初期段階では、自分には補聴器はまだまだ早いと考える人が少なくありません。ですが、聞こえが悪いのに、補聴器を使わずに我慢することは決してよいことではありません。
むしろ、若いうちから、そして、軽度のうちから補聴器を使っている人のほうが、その後も補聴器をうまく使いこなし、聞き取りのよい状態をより長期問維持できる傾向があるからです。
では、いつから補聴器を使い始めればよいでしょうか。その目安として、軽度難聴に表れる兆候の10項目を目安にするのがいいでしょう。
- 聞き返しが多くなる会話で聞き取りにくいところが出てくるので、「え?」とか「は?」とか、聞き返すことが多く、それがクセになります。
- 耳の後ろに手を当てるこうすると、音を大きくできて、後ろからの雑音をカットできるため、聞き取りやすくなりやすくなります。無意識にこの動作をするようになったら要注意です
- 早口の声が聞き取りにくい早口の言葉に耳の理解がついていかなくなり、問き取れなくなってきます。
- 呼びかけられても気づかないことがある難聴になると、予期していない声は、聞きもらしてしまう回数が増えてきます。
- TVドラマの声が聞き取りにくい明瞭な声でないと、聞き取りにくくなります。報道番組のアナウンサーはわかりやすく話すように心掛けているので聞こえますが、ドラマでは、効果音が入ったり、言葉の伝わりやすさより役作りが優先されたりするため、聞き取りにくいのです。
- 周囲が騒がしいと聞き取りにくい難聴になると、周囲の雑音に弱くなります。雑音があると、人の声は、雑音よりはるかに大きくないと聞き取れません。このため、騒がしい町の中や交通量の多いところでは聞き取りにくくなります。
- 1対1だとよく聞き取れるが数人での会話は聞き取りにくい難聴になると、離れた人の声が聞き取りにくくなります。人は相手の反応を見て微妙に昔の大きさを調節しています。1対1だと、相手が難聴の人に向かって大きな声を出してくれるため、聞き取れますが、大人数になると、相手を見て声の大きさを調整しなくなるため、とたんに聞き取りにくくなるのです。
- 家族で見ているテレビの声が聞き取りにくい家族と一緒に見ているときと、自分1人で見るときとで、テレビの音量が大きく違っていたら、難聴がかなり進行している可能性があります。
- これまで聞こえていた虫の声などが聞こえなくなる虫や鳥の声は、高い周波数の音の成分が含まれています。難聴は高音域から聴力が落ちてきますので、虫や鳥の声が聞き取りにくくなります。また、体温計の電子音が聞こえないことで気付くこともあります。
- 耳鳴りがしはじめたほとんどの耳鳴りは、難聴があると起こります。逆に耳鳴りがあるなら、難聴を疑ってみてよいでしょう。
本人に自覚がないのに、家族や友人などから、「補聴器を使ってみたら?」と勧められることがあります。周りの人は、難聴の人とコミュニケーションを取るのに苦労しているのに、聞こえない状態に慣れた本人は、それに気付いていない。こうしたケースがしばしばあります。
補聴器の賢い選び方(手順)
- 耳鼻咽喉科で診察を受けて難聴の原因を調べる補聴器の使用を考える場合、まず、耳鼻咽喉科を受診し、難聴の原因を調べてもらいます。実際に問こえが悪くなっていても耳鼻咽喉科で診察を受けてみたら、耳あかが詰まっていた、滲出性中耳炎で鼓膜の前に液体がたまっていた、といったケースもあります。これらが聞こえの悪い原因ならば、補聴器を使わなくても、治療を受ければ聞こえはよくなります。そこで念のため、耳鼻科で確認する必要があるのです。
- 耳鼻咽喉科で詳しい聴力検査耳鼻咽喉科では、必ず、聴力検査を行ってもらいましょう。どの音域の音が、どれだけ聞こえているかを詳しく調べます。それが、補聴器を入念に調節するときの貴重なデータとなります。耳鼻咽喉科では補聴器を販売していないので、補聴器店に補聴器を買いに行くときに、この聴力データを耳鼻科でもらってから行きます。耳鼻咽頭科で補聴器店を紹介してもらいます。専門医は、その地域の優良補聴器店を知っているはずですから医師が勧めるよい店を教えてもらい、紹介状をもらっていくのがいいでしょう。
- 自分に合った補聴器を試し最適な補聴器を選ぶ補聴器店に行ったら、耳鼻科でもらった聴力検査データ、補聴器の使用日的、補聴器の操作性、費用などを考慮しながら、いろいろな器種を試し、自分に適した補聴器を選びます。
- 補聴器を使用して補聴効果を確認する使用する場所の音環境を作って、補聴器を実際に使用し、言葉の理解度などを確かめます。十分な時問をかけて試聴し、聞こえに合わせた入念な調整を行ってもらい、補聴効果を確認します。
- 装用指導やアドバイスを受ける補聴器を使いこなして長年使い続けていくためには、装用指導や微妙な調整などのアドバイスを受けると、使い心地がより違ってくるものです。日常の話し相手になる人も、話し方の指導を受けるとよいでしょう。
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