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脳腫瘍 集学的治療によるめざましい成果

脳腫瘍 集学的治療によるめざましい成果 をあげています。原発性の脳腫瘍の発生率は、人口10万人に対して12.5人から15.5人といわれる。おおむね人口1万人に1人の割合で発生すると考えればよい。

脳腫瘍の基礎知識

  1. 脳腫瘍は、良性、悪性をとわず頭蓋骨で閉まれた内部におこる腫瘍である。
  2. 脳組織および脳に付属する組織からおこるものを「原発性脳腫瘍」とよぶ。一般に「脳腫瘍」とはこれをさす。肺や乳房のがんから脳に転移したものは、「転移性脳腫瘍」と呼んで区別している。
  3. 原発性脳腫瘍の半分が「グリオーマ」を中心とする悪性腫瘍(がん)で、残りの半分は良性腫瘍である。
  4. 原発性脳腫瘍は1万人に1人の割合で発生しており、けっして少ない病気ではない。
  5. 悪性の脳腫瘍は、女性より男性、若年者より高齢老に発生しやすい。
  6. 症状は、腫瘍ができた部分の機能低下(運動麻痺、言語障害、性格の変化、けいれん発と作など) と、腫瘍によって頭蓋骨の内部の圧力が高まるための異常(激しい頭痛、嘔吐、意識喪失、視力低下)がある。頓死することもある。幼児では頭囲の拡大がおこることもある。
  7. 診断は症状からおおよそのことはわかり、CTによってほぼはっきりする。脳血管造影や、最近では腫瘍を立体的にとらえるM RIによる診断も始まった。
  8. 治療の第1は腫瘍の摘出手術である。その手術は、手術用顕微鏡で患部を見ながら緻密に進められる(マイクロサージェリー)。
  9. 悪性腫瘍では、手術ですべてをとることは難しい。そのため放射線治療と抗がん剤の併用治療、あるいほ手術後の抗がん剤治療がおこなわれる。
  10. すべての脳腫瘍の半分以上、グリオーマでも3分の1は治るようになった。

脳腫瘍 どの部位に起こる腫瘍か

頭蓋骨の中におさめられている脳は、成人男子で1350グラム、成人女子で1250グラムあり、人体では最大の臓器である。この脳という臓器を大きくわけると、情報処理をになう「大脳」、協同運動をになう「小脳」、全身の環境維持や意識を支える「脳幹」の(間脳、中脳、橋、延髄) の3つになる。脳全体は、三重の膜で包まれていて、いちばん内側が「軟膜」、真ん中が「くも膜」、外側の強靭な膜が「硬膜」。

これらの三十の膜を「髄膜」とよんでいる。また、脳をつくっている細胞には2種類あり、全身の指令をだすのが「ニューロン」(神経細胞)で約140億個あるといわれている。ニューロンのすきまを埋めている「グリア」(神経膠細胞)である。グリアは、ニューロンの働きを助ける細胞である。

脳腫瘍ほ脳にできる腫瘍だが、「脳がん」とは呼ばない。これは、脳腫瘍という病気が悪性腫瘍(がん)ばかりではなく良性腫瘍も含んでいるためだ。
良性腫瘍はがんと比べて増殖のスピードが遅く転移もしないが、不完全摘出の場合は再発することが少なくない。そのつど手術を繰り返さなければならないので、良性であっても治しにくいことがある。

脳は閉鎖した頭蓋骨のなかにきっちりおさまっているので、小さな腫瘍でもまわりの脳を圧迫して異常を起こす。つまり、良性でも悪性でも脳に障害をもたらす経過は同じである。

脳腫瘍でもっとも多いのはグリオーマ( 神経膠腫)で、脳腫瘍の約3分の1を占めている。これは、脳組織の固有の細胞から発生するいわば真性の脳腫瘍で、しかも悪性(がん)である。グリオーマに続いて多いのが脳に付属する組織からの腫瘍で、脳を覆う膜(髄膜)に発生する「髄膜腫」、下垂体に発生する「下垂体腺腫」15%、12対ある脳神経におこる「神経鞘腫」8% と続いており、そのほか、数は少なくなるが、種類はきわめて多い。

原発性脳腫瘍のほかに、からだの他の部分にできたがんが脳に飛び火する転移性脳腫瘍も少なくない。だが、原発性脳腫瘍が脳以外の臓器に転移することはほとんどない。

どういう人に起きやすいか

原発性の脳腫瘍の発生率は、人口10万人に対して12.5人から15.5人といわれる。おおむね人口1万人に1人の割合で発生すると考えればよい。
人口1200万人の東京では年間1200人が脳腫瘍を、そのうち3分の1の4000人がグリオーマということになる。脳腫瘍の発生率は肺がんの10分の1だが、けっして少ない病気でほない。

このグリオーマのうち悪性度の高いものほ35歳以上の人に多く、しかも男性にやや多い傾向がある。まれに子どもにもみられる。もっとも、治りやすさに男女差はない。
グリオーマにはさまざまな種類があるが、「アストロサトーマ」(星細胞腫)、「悪性アストロサトーマ」(悪性星細胞腫)「グリオブラトーマ」(膠芽腫)の3種類でほとんどをしめる。この3種のグリオーマは、それぞれおこりやすい年齢に差がある。アストロサイトーマは二25~40歳、悪性アストロサイトーマは、35~50歳、グリオブラトーマは、45歳以上に多い。

脳をおおっている膜、髄膜におこる髄膜腫は30~50歳の成人に多く、その6割が女性である。神経鞘腫も30~55歳の成人に多く、やはり約6割が女性である。
下垂体腺腫では20~50歳の成人に多くやはり女性に多い。これら、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫は良性である。

転移性の脳腫瘍では、肺がんからの転移が多い。肺がんの少なくとも3割が脳に転移することほあまり知られていない。肺と脳は近いために、肺から離れたがん細胞が血液にのって脳に入り、細い血管に詰って居座り、そこで増殖をする。やや男性に多いようである。
脳に転移すると治療をあきらめてしまうケースが多いが、治療のチャンスは残されていることを申し上げたい。

子ども( 15歳未満)の脳腫瘍では、小脳にできるものが約3割をしめ、もっとも多い。

症状

症状は2つにわけられる。第1は、腫瘍ができた部分の脳の機能の低下である(神経機能脱落症状)。運動麻痺、言語障害、性格の変化、けいれん発作などが、腫瘍のできた場所に応じておこる。

第2に、腫瘍によって閉鎖された頭蓋骨の内部の圧力が高まり、それによる症状がおこる(頭蓋内圧先進症状)。激しい頭痛と嘔吐が代表的なもので、頭痛は起床時におこりやすい。最初は軽度で持続時間も短いが、進行するにしたがって激痛が長く続くようになる。からだの位置を変えたときなどに発作的に頭痛がおこったり、意識を失うこともある。

このほか、ものが二重に見えたり、視神経が圧迫されて視力が低下したり、視野が狭くなることもある。頓死するケースもある。幼児では、頭囲が大きくなることがある。

診断

頭蓋内の圧力の高まりは、眼の検査で簡単にわかる。眼底の乳頭という部分がうっ血するからだ。視野が欠ける度合やからだの麻痔が少しずつ進行しているのなら、脳腫瘍が疑われる。
25五歳以上になって初めててんかん発作がおこった場合も、脳腫瘍の可能性が高い。こういった症状からの診断(神経学的検査) に加えて、CTによる脳の断層撮影が有力な診断法である。
直径1cm以上の腫瘍なら99%発見できる。脳は、各部位でのX線の吸収の度合が異なっていて、そのデータが詳細にわかっている。ⅩX線の吸収の度合から、脳腫瘍の存在ばかりか種頬もあるていどわかる。

血管内に造影剤を送り込んで脳の血管の様子をみる脳血管撮影もおこなわれる。血管の豊富な腫瘍では、かたちをくっきりと描き出し、また腫瘍によって周囲の血管の走行が曲がっているようすもわかる。

最近では、MRIの画像診断方法も成果をあげている。腫瘍の位置やかたちを立体像としてとらえることができるので、欠かせないものになりつつある。

脳から脊髄へと循環している「髄液」を採取して、含まれている腫瘍細胞を顕微鏡で観察して種類を確認することもある。また、腫瘍組織がつくりだしている特有のタンパク質やホルモンの量を血液や髄液で調べて腫瘍の判別をする診断(腫瘍マーカー)もおこなわれている。

なお、脳腫瘍は他の臓器への転移がほとんどないので、他のがんのような進行度を示す分類はない。

ここまで治る

脳腫瘍の治療の第一は、手術である。頭蓋骨の一部を蓋をあけるように切り、手術用顕微鏡で手術部位を拡大して見ながら腫瘍の摘出をおこなう。

こういうミクロの外科をマイクロサージェリーと呼ぶ。脳は細い血管や神経が集中しているので、わずか数ミリの損傷を与えるだけでも障害がでてしまうことがある。
そのため、脳の健康な部分の損傷を最小限にしながら腫瘍を摘出する必要がある。マイクロサージェリーなら、直径1ミの血管やきわめて細い神経でも傷つけずに操作をすすめることが可能で、手術の安全性は飛躍的に向上した。手術中は、脳の内部を探るレーダーともいえる超音波発信棒(プローブ)を当てながら、切れる部分を確認して進める。

良性腫瘍は周辺の組織を押しのけるようにして一方向に増殖しているので摘出は、比較的容易だが、グリオーマのような悪性腫瘍は周囲の組織を壊しながらしみこむように広がっていくので(浸潤)、悪性細胞の完壁な除去は難しい。

脳は、胃がんや子宮がんのように臓器まるまる摘出することができないので、どうしても腫瘍細胞のとり残しがでてしまう。そのため、手術後に放射線照射が必ずおこなわれる。米国のデータによって、放射線照射があきらかな延命効果をもたらすことが証明されている。もっとも放射線治療後も、多くの患者さんでは腫瘍がまだ残っている。そこでさらにACNUなどの制がん剤による治療が欠かせない。

脳腫瘍の治療後の経過は、一般に考えられているよりかなりよくなっている。原発性脳腫瘍の5年生存率は、58.7パーセントと、半分以上が完治している。悪性腫瘍であるグリオーマでも、5年生存率は29.9パーセントと約3分の1は助かるようになった。転移性脳腫瘍の5年生存率は10.4パーセントで、治る可能性は残されていることを知ってほしい。

ちなみに、グリオーマは種類によって経過が異なる。アストロサイトーマでは2年生存率はほぼ100パーセント、5年生存率は50パーセントだが、もっとも悪性度の高いグリオブラストーマの2年生存率は20~0パーセント、5年生存率は10パーセント以下である。もっとも、若年者ほど治りやすい傾向にある。

こういう数字をあげると、悪性度の高い脳腫瘍になったらあきらめるしかないと思いがちだが、手術、放射線、抗がん剤など脳腫瘍の治療技術は年ごとに驚くほど進歩しているので、あきらめないでほしい。脳腫瘍の治癒率の数字は、毎年書き変えなければならないほどめざましい向上を続けている。

ガン治療のポイント

眼 の ガン どこに注意すべき

眼 の ガン どこに注意すべきか でしょうか?眼のガンの基礎知識 から注意点まで。

眼のガンの基礎知識

  • 眼のがんは、乳幼児の眼球の内側におこる網膜芽細胞腫がもっとも多い。
  • 乳幼児の眼が猫の限のように光ったら、網膜芽細胞腫を疑う。
  • ほとんどの子どもほ自覚症状を訴えないので、お母さんの注意がたいせつ。
  • 片眼だけでなく、両眼に同時におこることがある。
  • 遺伝するがんではあるが、それほ5~6%にすぎない。
  • 親が網膜芽細胞腫を経験していると子どもが発病する率はかなり高く、また兄弟姉妹も発病することがある。
  • 早期に発見すれば、治療後の5年生存率は90%をこしているので心配しすぎない。
  • 万一「眼球を摘出する場合でも、片眼であれば子どもはおとなが思うほど不自由するものでほない。
  • 治療後も再発防止のため、定期的に検診を受ける。

網膜芽細胞腫

どこの部位におこるか

眼でいちばん重要なのは「レンズ=水晶体」だと思いがちだが、水晶体はほ摘出してもメガネで代用できることが多い。だが、限の奥にひろがるカメラのフィルムにあたる「網膜」が破壊されると、回復する手だてはない。
網膜芽細胞腫は、このたいせつな部分の細胞ががん化して失明させる。片眼だけにおこる場合と両眼にほぼ同時におこる場合がある。ししんけい進行するにしたがって、がんは視神経を侵しながら脳へと進んだり、眼球の外側をおおさようまくっている強膜から外にまでつき出ることもある。ふくれあがった眼球がゲソコツのようにとびだす悲惨な姿もかつてはみられた。

どういう人におこるか

1年に100人以上の子どもがこのがんに冒されており、増加傾向にある。増加の理由は、この病気が「遺伝にかかわっている」ことと、「医療の進歩により、このがんで死亡することが少なくなった」という2点にある。このがんをおこす遺伝子をもった人が発病しても、治療によって死亡をまぬがれるようになった。そのため、子孫にその遺伝子が伝2えられることが増え、このがんを増加させているのである。

発病は、1~3歳が中心だが0歳から5~6歳に多く、遺伝性の場合には兄弟姉妹にも発病する可能性が大きい。このがんのうち遺伝に原因があるのはわずか5.6パーセントだが、親がこのがんの遺伝素因をもっている場合にほ、かなりの高率で子どもにこのがんがおこる。その確率などが正確にわかってきたため、「発症の予知」や「早期対策」がとれるようになった。とはいえ、遺伝性は少数である。「遺伝、遺伝」と思いこまないことだ。

自覚症状

このがんの最大の症状は、「子どもの眼が猫の眼のように光る」こだ。網膜にできた白色のがんが拡がるにつれて、眼に入った光がそれに反射して白く光ってみえる。

この症状を、「白色瞳孔」とか「猫眼症状」とよんでいる。眼の位置がおかしくなったり(斜視)、充血や眼病などもある。がんによって眼の内部に炎症がおこったり、眼圧が上昇するための症状である。もっとも眼圧がゆっくりと上昇していくと痛みを覚えないケースもあるし、視覚障害がおこっても、乳児は「世の中はこんなもの」と思っているので、自覚症状を訴えないことのほうが多い。

よってこの病気ほ、ほとんどがお母さんの発見による。子どもの健康状態を注意深く見守っているお母さんほど早く発見している。

診断

検眼鏡で眼の内部を直接みる「眼底検査」をおこなう。簡単に診断がつくこともあるが、網膜が剥れ(網膜剥離)その下にがんが隠れていると、すぐには診断がつきにくいし、がに向かって増殖し、その表面がくずれて白くなっている場合も診う断が難しい。

「白色瞳孔」は先天性白内障や、未熟児網膜症の末期でもみられる。そこで、超音波診断や、CTによるⅩ線断層撮影、MRIなどで確かめる。遺伝性の場合は、採血し染色体検査がおこなわれる。いずれの検査も難しいものでほないが、乳幼児におとなしく検査を受けてもらうことは、とても難しい。そのため、検査にあたって睡眠剤を投与したり全身麻酔をほどこすことが多い。

ここまで治る

1960年代までほ眼球摘出がふつうだったが、現在は、眼球を残す治療が多く試みられるようになった。もっとも、がんが大きく眼球全体に拡がっていたり、硝子体中にちらばっている時は、ためらいなく眼球の摘出がおこなわれる。白色瞳孔の症状が出ている場合もかなり進行しているので、やほり摘出の対象になる。

進行度は、1~5群にわけた「レーゼ(Reesseの分類」によることが多い。2群までほ摘出せずに完治できるが、3群では治せても視力障害が残ることが多くなる。4群以上では、眼球の摘出が必要になる。両眼性の場合は、片限の進行が遅れていることが多く、片眼は摘出しても片限は保存治療することが試みられている。

眼球を摘出しない治療では、比較的大きい腫瘍の場合は放射線治療が試みられるが副作用がある。小さい腫瘍でほ、光のエネルギー(アルゴン・レーザー光線)でがんをたたく治療法(光凝固)や冷凍凝固で治療することが多い。レーザーのスポット光線を、入墨をするようにがんの周囲から中心部に向かってうちこんでいく。直径5ミリのがん全体にうちおわるには、30分ほどかかる。小さながんであれば光凝固だけで治る。

治療法が進み、網膜芽細胞腫は死なないがんになったが、発見が遅れると、眼球摘出し、失明することになる。生存率は90パーセントをこえているが、失明を防ぐ意味で、早期発見、早期治療という鉄則は、このがんではことさら重要である。このがんの男女差はほとんどない。

やむなく眼球摘出した場合ほ、義眼を入れる。子どもは成長するので、成人までには2~3回の交換が必要。「失明」と聞くと、大人は、子どもが大変な不幸におちいったと衝撃を受けるが、幼いうちに片眼を失った場合は、その片眼の世界がごくあたりまえのことと受けとめている。

病院で「おめめ、とろうね」と医師が語りかけると、子どもは、ごく自然に義眼をとり出してくれる。周囲が、深刻な顔をしないことがたいせつ。
このがんは、再発や、片眼の場合にはもういっぽうの限に発症するおそれがあるため、追跡検診を欠かさないようにする。遺伝性の場合もあるので、発病していない兄弟や姉妹も一緒に検診を受けなければならない。

ガン治療のポイントと現状

「 皮膚がん 」 日本人のがん、白人のがんでは大きく異なる

皮膚がんに関する情報です。「 皮膚がん 」 日本人のがん、白人のがんでは大きく異なる のはどういったことからでしょうか?

皮膚がんの基礎知識

  1. 皮膚がんは大きく2つの種頼に分けられる。
  2. 発生率は人種や地域に大きく関係し、赤道近辺の住民や白人に多く日本人には少ない
  3. 顔、とくに唇、まぶた、鼻など皮膚と粘膜の移行部にできやすい。
  4. 太陽光線に長い時間さらされると、皮膚がんの危険が高まる。
  5. 広い範囲のやけどや、広い範囲のひきつれなどががんに移行することがある。
  6. ひどい湿疹が続き、分泌物が出るようなら要注意。
  7. 進行の遅いものが多いが、ほくろが急に大きくなり始めたら悪性黒色腫を疑う。
  8. 痛みやかゆみが必ずあるわけではなく、皮膚の色や形の変化もだいじな症状である。
  9. 出血したり、分泌物の出る変なほくろ、いぼ、うおのめなどができたら安易に切除せず、専門医の診断を受ける。

皮膚がん

皮膚がんは「一般的な皮膚がん」と「悪性黒色腫」に大別される。「一般的な皮膚がんはさらに「有棘細胞ガン」と「基底細胞ガン」に分けられる。男女差はほとんどない。

有棘細胞ガン・基底細胞ガン
どこに起こるがんか

皮膚は表面から表皮、真皮、皮下という三層構造になっているが、表皮をつくる「有棘細胞」におこる皮膚がんが「有棘細胞がん」である。
この「有棘細胞」の層の下にある「基底細胞」にできるのが、「基底細胞がん」である。
できるのは顔がほとんどで、鼻、目の周囲、ほおなど中央部に多い。がんは隆起したり、進行性の潰瘍をつくったりする。とくに頭、顔、手足など太陽光線にさらされる部分に多くできやすい。

どういう人に起こりやすいか

太陽光線がひとつの引き金になる。太陽光線の影響を弱めるメラニソ色素が少ない白人に多いのはそのためである。米国人の皮膚がんの7~8割がこのタイプである。日本人では皮膚がんの3割がこのタイプとされる。北海道、東北地方より四国、九州地方のほうが患者数が多いというのは、やはり太陽光線の強さの違いだろう。

また、外傷ややけどのあとのひきつりや潰瘍、放射線による皮膚炎などの異常からもおこることがある。20年も前の傷あとががんになることもあるので、気をつけておいたほうがいい。ただし、狭い範囲の皮膚異常から発生することは、ほとんどない。有棘細胞ガは皮膚がんの4分の1を占めるていどで、わが国では患者の数も少なく米国の100分の1程度で少ない。

自覚症状

いばやうおのめ、ほくろができ、次第に隆起し、それがザラザラしていたり、つぶれて出血したり浸出液が出たりしたら、皮膚がんの疑いは大きい。
ひどい皮膚湿疹もがんの可能性がある。いぼやうおのめの表面がツルツルしているのならば、がんを疑わないでいい。皮膚の一部が黒ずんだり赤くなり、その範囲がだんだん広がるのもがんを疑う。基底細胞がんでは、「結節潰瘍型」と呼ばれる特殊な隆起をもつものが多い。
いぼかほくろのようなものが次第に大きくなり、中央が潰瘍になって周りに堤防のような盛り上がりができる。日本人の結節潰瘍は黒ずんでいることが多い。

診断

体表にできるので、診断はつけやすい。組織の一部を切り取って調べればわかる。

ここまで治る

ここまで治るいずれのがんも、よく治る。有棘細胞ガンで転移のない直径5センチ以下のものなら治癒率は89パーセントに達している。直径5センチ以上、あるいは皮膚の深部にまで達していても転移がなければ約60パーセントは治る。
たとえ転移があっても、約40パーセントは助かる。

基底細胞がんは、転移もほとんどなく進行も遅いので、治療成績はさらによい。まず死亡することはない。ただし顔に多いので治療後の整形美容的な処置が必要になる。レーガン元大統領の鼻の頭にできたのがこのがんで、簡単な手術で復帰できたのは周知のとおり。米国では皮膚がんは簡単に治せるので、皮膚がんをがんの統計に含めていないほどだ。治療は切除が中心である。

有棘細胞ガンはがんといっしょに周囲の皮膚を3 センチほど切り取る。基底細胞がんでは、切り取る部分は有辣細胞がんより小さいことが多い。切除したのでは機能を失うような部位( まぶた、唇、耳など) では、放射線治療をおこなう。小さく転移がないのなら放射線治療だけで完全に治せる。リニアックという装置の電子線を25回照射するだけで終る。化学療法も効く。しかし、完全治癒はむずかしいので、初回の治療にこれを用いるのはよくない。治療の際には抗がん剤を週2回、注射する。その軟膏をがんに直接塗ることも試みられている。

悪性黒色腫

どこに起こるがんか

「メラノーマ」「ほくろのがん」とも呼ばれる悪性黒色腫は、皮膚がんのなかではきわめて悪性で、進行が早く、全身に転移しやすい。日本人でほとくに足の裏にできやすい。
足の裏のホクロはガンへの早道か?

どういう人に起こるがんか

30~40年前まではきわめて少なく年間の死亡者数も50人に満たなかったが、年々増え続け、1988年には302人にまでなっている。不気味な増加率である。

40歳以降に多く、60~80歳がピークである。また、男性の発生率が女性の1.3倍と高い。なんでもない「ほくろ」が、この悪性がんに変わることが多い。日本人ほ人口の約4パーセントの人が足の裏にほくろやしみのような黒い斑点をもっているが、それが悪性黒色腫になる率は55万分の1といわれている。それでも、広い範囲のもの0は要注意。皮膚表面に露出し、分泌物を出すようになったら極めて危険である。

自覚症状

どんな自覚症状があるか今まで何もなかったところ(とくに足の裏)にほくろができる、ほくろが1ヶ月で2~3ミリも大きくなる、ほくろの周囲がピンク色に染まるといった変化が現れたらがんを疑わねはならない。
顔や手足のしみのなかにできた色むらが、このがんである場合もある。ほくろを自分で削りとったり、美容整形で取ってもらったりする人がいるが、もしそれが悪性黒色腫だと全身への転移の原因になるので、必ず専門医にまかせなければならない。顔や爪のつけ根が変に黒ずみ、それが広がってきた場合も悪性黒色腫の疑いがある。

診断

疑いのある部分の色を調べる。「黒色」腫というものの紫色、赤褐色、青など色はさまざまだからだ。周囲の健康な皮膚との境目がピンク色になっていたり、病変部の色がにじみ出していないか、表面の凹凸はどうかといったこともチェックされる。皮膚がんでは、皮膚のひび割れや角化、びらんが見られるが、悪性黒色腫も同じである。最終的に組織をとり顕微鏡で検査するが、一部だけをとると転移の可能性大になる。悪性とわかったらできるだけ大きな病院を受診したほうがいい。

がんが表皮にとどまっていれば約80パーセントは治る。皮膚の深い部分へ浸透していくほど治癒率は低くなる。真皮の深い部分まで広がっていると、転移がなくても治癒率は20~30パーセントになる。転移が早いがんなので早期発見、早期治療が欠かせない。治療は、患部を切り取る手術が中心になる。早期なら、がんと周囲の健康な皮膚を5センチの範囲で切り取る。しかし広がるのが早いので、足の裏にできた場合は足首から先を切断するケースも少なくない。

手術に放射線治療が組み込まれることも多くなった。普通の電子線より粒子の大きい連中性子線(サイクロトロン) はがん細胞に与える衝撃が大きいので、これでがんを小さくしてから切除手術をするといった方法がおこなわれ、効果をあげている。
かつて悪性黒色腫は手術後に再発したり転移するとほとんどなすすべがなかった。全身への転移で、内臓がまるで墨で塗りつぶしたようになりお手あげという悲惨なことも多かった。しかし、放射線治療の進歩などにより、手術後の再発や転移もかなり防げるようになった。
また、このがんは人間の免疫力と深いかかわりのあることがわかってきたので、免疫力を高める薬を与え手術後の再発防止に役立てようという試みもおこなわれている。皮膚がんは色素の多い黄色人種や黒人よりも色素の少ない白人に圧倒的に多い。
ガン治療のポイントと現状