皮膚の状態から内臓の異常がわかる

ガンの場合、特徴的な症状がでるケースが多い

昔から「皮膚は内臓の鏡」といわれます。内臓を含む全身が健康であれば皮膚の状態は良好だが、内臓に病気があるとき、皮膚は鏡のように内臓の状態を映して、なんらかの異常が現れるこのことについては、古くから気づいていたといわれています。
便秘が続いたら肌が荒れてきた、体が疲れて目の下にクマができたなどの現象は、多くの人が体験しています。
こうした比較的軽い、しかし皮膚はなんらかの変化を見せますが、内臓の重大な病気のサインとして皮膚に症状が現れることも少なくありません。特に内臓にガンができたときや、ガンの前兆の1つとして、皮膚症状が現れるケースがあります。具体的な症状では次のようなものがあります。

  • 胃がん…わきの下や首が黒ずんだりカサカサしたりする
  • 肝臓がん…手のひらが赤くなる
  • 膵臓がん…水疱やただれ、赤い斑点などが出る
  • 精巣がん・卵巣がん…急に毛深くなる

このほか、胃や大腸などのガンに伴って急に体にイボがたくさんできることや、消化器のポリープで唇などにホタロのような斑点ができることもあります。
皮膚科の領域では、こうした内臓のガンなどの病気と皮膚症状の関係の研究が進められていて、皮膚を見て内臓の異常を疑うということは少なくありません。患者さんが単なる湿疹か虫刺されだと思って皮膚科を受診したところ、その皮膚症状が手がかりとなり、ガンが発見されるといったケースも珍しくありません。現在は検査機器や技術が発達し、大きな病院に行かなくても内視鏡や血液検査のほか、CTスキャンやMRI(磁気共鳴断層撮影装置)での検査ができるようになってきました。皮膚の症状から早期にガンを疑い、これらの検査によって確認することが可能です。

ガン細胞が成長したり酵素やホルモンのバランスが崩れることで肌に異常が出る

内臓のガンに伴っていろいろな皮膚症状が現れる理由は、いくつか考えられます。ガン細胞は酵素やホルモンを分泌することもあります。すると、体の中で保たれている、酵素やホルモンの本来あるべきバランスがくずれるため、毛細血管が異常に拡張したり、体毛が過剰に生えたりするということが起こります。
また、ガンの成長因子が皮膚症状にかかわっているとも考えられています。ガンの成長因子とは、ガンが体の中で成長し増えていくとき、細胞分裂を促したりガンの組織を大きくしたりするために作られる物質です。ガン細胞は、これを足がかりにして広がっていきます。成長因子はガン細胞の成長を助けるだけでなく、人体になんらかの作用を及ぼすことがあります。その皮膚反応の一つが、ザラザラした黒色の皮膚や、急なイボの増加なのです。内臓のガンなどに伴って現れる皮膚の症状は、デルマドロームと呼ばれています。デルマドロームはこれまで、しゆよ、つ主にガンなどの内臓悪性腫瘍に伴う皮膚病変とされていましたが、最近は悪性腫瘍に限定せず、内臓の病気に伴う皮膚病変と解釈が広げられています。皮膚科医にとって、デルマドロームはよく知られた症状です。
が、専門医でも内臓疾恩とb関連があるかどうかは、なかなか即断できないのが実情です。とはいえ、内臓のガンに伴ってなんらかの皮膚症状が現れるのは事実であり、ガンを発見する貴重な手がかりになります。皮膚科医がガン特有の皮膚症状に注意を怠らないことはいうまでもありませんが、一般の人たちがこの種の知識を持ち、内臓のガンを発見できるきっかけになるとしたら、大いに意義のあることです。それまでになかったような肌荒れや皮膚の黒ずみ、斑点が気になるときは、精密検査を受けてみるといいでしょう。