よい便を出すことは、私たちの健康に必須ですが、腸は消化・吸収・排泄の作用だけでなく、さまざまな働きをしています。
腸では私たちの体を守るうえで欠かせない、免疫を作る作業が行われています。特に小腸・空腸・回腸には、全身の7割もの免疫場が存在することが、最近の研究で解明されてきました。
大腸にも全身の1割もの免疫場が存在します。また人間の大腸には、400~500種類、100~400兆個もの細菌がすみついています。腸内の細菌には大きく分けてビフィズス菌や乳酸菌などの体にいい影響を与える「善玉菌」と、クロストリジウム(ウェルシュ菌) や大腸菌などの悪い影響を当たる「悪玉菌」、そしてどちらか優性な方につく「日和見菌」の3種類があります。
腸内環境は、食べ物や生活習慣によって、大きく左右されます。腸内細菌の総量はほぼ決まっているため、善玉菌が増えれば悪玉菌は減ります。しかし悪玉菌が増えれば、善玉菌は減ってしまいます。
善玉菌は体内に侵入してきた細菌や毒素を殺したり、排泄してくれます。化学物質や発ガン物質の排除までも行っていて、私たちの体を病気から守ってくれている存在なのです。
一方の悪玉菌は、さまざまな病気や痛みを引き起こす元凶になります。例えば、膠原病(特に慢性リウマチ) は、この腸の中の悪玉菌であるウェル集菌と大腸菌のo- 一四株の抗原抗体反応が原因であることがわかってきました。
またガン患者と健康な人の腸内の細菌を比較してみると、ガンの人の便にはウェルシュ菌などの悪玉菌が3割も含まれ、健康な人の便には4~6パーセントしか含まれていないというデータがあります。
腸内環境を悪化させる原因になる食べ物やライフスタイルは、次のようなものです。
- 白砂糖、あるいは白砂糖を使った菓子(和、洋、スナック)、チョコレートなど。
- 酸化した抽(古い抽、調理してから時間がたった抽、はじめから酸化した油で揚げたり
妙めたりしたもの( いわゆる外食で食べるものは、ほぼこれに該当) - トランス型油( マーガリン、ショートニング他)
- リノール酸油の過剰摂取 油はエキストラバージンオイルがおすすめです。
- 動物性タンパク質(肉、魚、卵)の摂り過ぎ
- 高GI食品の過剰摂取
- 牛乳の飲み過ぎなど、タンパク質の過剰摂取
- 酵素のまったく入っていない食事(加熱したものばかりを食べる)酵素入り青汁などを積極的に摂りましょう
- 食物繊維、ミネラル、ビタミンの極めて少ない食事 ビタミン・ミネラル不足がおきる理由
- 午後8時以降の食事 夕食が遅い人のための教科書
- 抗生剤を始めとする化学薬剤の摂取 抗生物質の乱用で腸内環境が悪化自己治癒力が低下
- 喫煙、お酒の飲み過ぎ
このような食生活やライフスタイルを続けていると、腸内が汚れ、悪玉菌がどんどん優位になっていきます。そして、悪玉菌優勢の状態が日々続くと、次のようなことが起こつ
てくるのです。
- 悪玉菌が増えた結果、タンパク質が分解されて、アンモニア、硫化水素、アミンなどの大変毒性の高い悪臭のある物質が増えていく。
- チラミンという高血圧を誘発する有害物質が産生される。
- アミンが硝酸と反応して、ニトロソアミンという大変毒性の強い物質を産生し、大腸ガンをはじめ、あらゆるガンの元となる。
- 病原菌など有害な物質が増えると、これを排出しようとして下痢が頻繁に起こる。逆に善玉菌の減少が引き金となつて、一時的に便秘になることもある。この場合、便が出るときは悪臭の強い下痢便のことが多い。そして数日の便秘→ 悪臭の下痢が繰り返される。
- 善玉酵素は善玉菌の中から生じるため、善玉酵素の産生が極めて低下し、ますます消化不良が起こるようになる。
- 悪玉菌や有害菌によって腸管に炎症が起こり、小腸では「腸管透過性克進(リーキーガット症候群)」が起こる。腸管透過性克進が起きると、普通は吸収されない大きなサイズの分子を血液中に腸壁から取り込んでしまい、さまざまな体調不良が起こる原因になる。
- 腸管が炎症を起こすと活性酸素がたくさん産生されるようになり、あらゆる病気や痛みを引き起こす原因となる。
では、どうしたら腸内環境を守り、健康でいることができるのでしょうか?それには先にあげた悪しき食習慣・ライフスタイルを改め、酵素たっぷりの食生活に変えることがいちばんです。
ビタミンやミネラル、食物繊維なども、腸内環境を撃えるのに、欠かせない栄養素です。
また定期的に半断食をして、腸を休ませてあげることも、腸内細菌叢のバランスをよくすることに役立ちます。私たちが食べているものが、体の中でもっとも大切な免疫器官である腸を痛めつけ、さまざまな病気にかかりやすい体にしてしまうということを、よく覚えておいてください。