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糖尿病 薬物療法 運動療法 食事療法 について

糖尿病の手術療法(1型の根治治療)

糖尿病は基本的には一生つきあう病気で治療はこちらで紹介したとおりですが、根治が期待できる治療法として、非常に数は少ないのですが、「手術療法」が行われることもあります。
1型糖尿病で、「腎不全」を合併した人や「インスリン療法」を行っても血糖コントロールが困難な人が対象です。手術の中心は膵臓の移植ですが、近年、開腹せずに膵島だけを移植する方法も行われています。

1型糖尿病で腎不全を発症した人が対象

1型糖尿病で、合併症進行した人や、インスリン療法で血糖コントロールがきわめて困難な人に、手術療法が行われる場合もあります。手術後は、インスリン製剤が減量できたり、中止できる可能性があります。手術を希望する場合、「移植が必要か」「手術に耐えられる体力があるか」「ほかの病気がないか」などを詳細に検査した上で審査を受けて登録をして、ドナー(臓器提供者)が現れるのを待ちます。
ドナーが現れて、「血液型が一致する」などの条件に適合する場合、移植を受けることができます。手術療法には、大きく分けて「膵移植」と「膵島移植」があり、脳死・心停止したドナーからの移植が中心です。

  • 膵移植
    1型糖尿病の患者さんで、腎不全のある人や血糖コントロールが困難な人が対象です。60歳以下が望ましいとされていますが子どもにはほとんど行われません。膵移植には、腎不全のある人に対する膵臓と腎臓の「同時移植」と、すでに腎臓の移植を受けている人や腎機能が保たれている人に対する膵臓の「単独移植」があります。手術は全身麻酔のうえ、開腹して行われます(
  • 膵島移植
    原則として75歳以下で、腎機能が保たれていて、インスリン療法では血糖コントロールが困難な1型糖尿病の患者さんが対象です。局所麻酔を行い、膵臓の膵島を含んだ液体を点滴で移植します。開腹しないので、膵移植に比べると体への負担が少なくて済みます。ただ、新しい治療法のため、長期的な治療効果はまだよくわかっていません。また、インスリン療法が不要になるためには、複数のドナーからの2~3回の移植が必要です。日本では2007年3月までの約3年間に17人に行われ、全員がインスリン製剤を減量、または中止できています。

移植の問題点

どちらの治療法も、脳死・心停止ドナーの不足で移植件数が非常に少ないのが現状です。そこで最近は、生体ドナーからの移植が少しずつ試みられています。
ドナーの膵臓を30%程度切除し、膵移植や膵島移植を行います。ただし、ドナーに、開腹手術に伴うリスクや将来糖尿病を発症する可能性があるといった問題があり、移植が可能かどうかの検討は慎重に行われます。
また、移植後、臓器の拒絶反応を抑えるために、「免疫抑制薬」を長期にわたってのみ続ける必要があります。このように解決すべき問題はあります。しかし、1型糖尿病の根治的な治療法として期待されているのも事実です。

糖尿病の治療

糖尿病の治療法には、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。血糖の状態体の状態をみながら治療を進め、少しでも体に負担のかからない血糖コントロールを目指して治療法を選択していきます。
医療機関で検査を受けるだけでなく、自分でも血糖コントロールの状態を把握して、治療の効果を確かめながら行うことが大切です。食事・運動・薬が治療の三本柱でHba1C値を6.5%未満にすることが目標となります。

食事や運動、薬で血糖を調整する

糖尿病の初期状態では、ほとんど自覚症状がありません。しかし、血糖値の高い状態(高血糖) を放置すると、さまざまな合併症が起こります。
糖尿病の治療では、血糖コントロールを行うことで合併症の発症や進行を防ぎ、糖尿病があっても、生活の質を落とすことなく、健康な人と同じような生活ができることを目指します。

糖尿病の治療

治療の基本は、何度も言っていますが、血糖を良好な状態にコントロールすることです。そのために、食事療法や運動療法などで生活習慣の改善を行い、必要に応じて薬物療法も追加します。特に食事療法と運動療法は、糖尿病の治療に欠かすことのできない治療法です。

  • 食事療法
    「食事をとると血液中のブドウ糖(血糖)が増える」というように、食事と血糖には密接な関係があります。食事療法では、患者さんの身長や体重、1日の身体活動量などを基に食生活を見直して、食事のエネルギー量や栄養のバランスなどを改善しま
  • 運動療法
    運動には、短期的にはブドウ糖を筋肉に取り込ませて消費し、血糖値を下げる効果があります。運動を長期的に継続すれば、インスリンの働きがよくなります。ただし、高度な肥満や進行した合併症などがある患者さんの場合、いきなり運動を始めるのは非常に危険です。運動を開始する前に、担当医に相談し、指導を受けることが大切です。
  • 薬物療法
    食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合に行われます。糖尿病の薬には、内服で用いる「経口血糖降下薬」と、皮下注射で用いる「インスリン製剤」があります。

体の状態に合わせて治療を進める

多くは、生活習慣と密接にかかわっています。合併症の発症や進行を抑えるためにも、食事療法や運動療法をふだんの生活のなかに積極的に組み込みましょう。また、糖尿病の場合、病気の状態や進み方が異なるので、治療は1人ひとりの患者さんに合わせて進めていきます。

1型の治療はインスリン治療が基本

「1型糖尿病」は、「免疫」の働きなどによて膵臓のβ細胞が壊されて発症する糖尿病で、インスリンがほとんど分泌されないのが特徴です。
1型糖尿病ではインスリンが絶対的に不足しているので、原則として、インスリン製剤を使って不足分を補う「インスリン療法」が行われます。インスリン製剤は、健康な人のインスリン分泌のパターンに近づけるように、使用する量と時間を計算して、1日に数回注射します。インスリン療法と並行して、食事療法や運動療法も行います。食事療法で食事の量や時間をほぼ一定にすることで、インスリン療法を安定して行うことができ、血糖をより良好にコントロールすることができます。また、運動療法を続けるうちにインスリンの働きがよくなり、注射するインスリン製剤の量を減らせる可能性もあります。

2型の治療は運動療法と食事療法が基本

2型糖尿病は、インスリンの分泌が十分でない「インスリン分泌不全」や、インスリンが十分に働かない「インスリン抵抗性」によって起こります。
2型糖尿病は、「食べすぎ」や「運動不足」などの生活習慣や、「肥満」と非常に関係が深いため、食事療法と運動療法が治療の基本です。
食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られない場合は、経口血糖降下薬が用いられます。例えば、インスリン分泌不全が主な原因であればインスリンの分泌を促進する薬が使われ、インスリン抵抗性が主な原因の場合はインスリン抵抗性を改善する薬を中心に使います。経口血糖降下薬でも血糖コントロールが改善しない場合は、インスリン療法を行います(41ページ参照)。また、薬物療法を受けているときも、食事療法と運動療法は継続します。

ほかの病気が原因の場合は原因となっている病気の治療が優先

遺伝子の異常

遺伝子の異常によって発症する糖尿病もあります。ただ、現在はまだ、そのような遺伝子を治療する方法はありません。そのため、ほかのタイプの糖尿病と同じように、食事療法や運動療法、薬物療法を組み合わせた治療が行われます。

ほかの病気や薬が原因で起こる糖尿病

膵臓の病気や肝臓の病気、薬の副作用などが原因の「二次性糖尿病」は、発症の原因をなくすことで改善が期待できます。そのため、原因となっている病気の治療などと並行して、食事療法を行ったり、必要に応じてインスリン療法などが行われます。経口血糖降下薬が使われることは、あまりありません。
なお、原因となった病気が治癒しても、糖尿病が残ることがあります。その場合は、ほかのタイプの糖尿病と同じように、食事療法や運動療法、薬物療法が継続して行われます。

妊娠中は厳格な食事と運動とコントロールする

妊娠中の高血糖は、母親にも胎児にも悪影響を及ぼします。そのため、妊娠中は、特に厳格な血糖コントロールが必要です。もともと糖尿病のある女性が出産を希望する場合は、妊娠する前からきちんと血糖をコントロールしておくことが大切です。
治療は食事療法を中心に行い、運動療法は体の状態をみながら散歩程度の運動を行います。しかし、「空腹時血糖値が10mg/dL未満、かつ食後2時間血糖値が120 mg/dL未満」に維持することができない場合は、インスリン療法が併用されます。
経口血糖降下薬は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるので、原則として使われません。妊娠中に糖尿病を発症しても、多くは出産後に血糖値は正常に戻ります。しかし、こうした人たちは糖尿病を発症しやすい遺伝的素因があると考えられ、出産後時間が経過してから糖尿病を発症する人も多いため、出産後も定期的に血糖検査を受けて糖尿病に注意することが大切です。

子供、お年寄り

子供の場合は、以前は1型糖尿病が中心でしたが、最近は子どもの2型糖尿病が増加しています。子どもの1型糖尿病の治療は、インスリン療法が中心です。2型糖尿病では肥満がある場合が多いため、食事療法と運動療法を中心に治療が行われます。
食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合は、インスリン療法が併用されます。子どもは成長期にありますから、大人の場合のような厳格な食事療法は行わず、成長に必要なエネルギーと栄養をしっかり摂取します。学校の給食も、原則として糖尿病のない子どもと同じものを食べます。精神的な不安を招かないためにも、できる限り糖尿病のない子どもに近い生活をさせ、特別扱いしないことが大切です。

お年寄りの場合は、インスリンの働きは加齢とともに低下するといわれ、高齢になるほど糖尿病の発症率は高くなります。しかし、お年寄りの糖尿病は典型的な症状が現れにくく、異常があっても年のせいにして放置しがちです。しかし、高齢で糖尿病を発症したり、急に血糖コントロールが悪くなったような場合は、ほかの病気による二次性糖尿病の可能性も考えられるため、注意が必要です。お年寄りの場合、薬物療法が中心となることが多いのですが、本人の年齢や血糖値以外に、生活習慣や価値観、健康状態、治療への意欲などを考慮しながら、治療の目標や治療法が決められます。
例えば、何事にも意欲的な患者さんであれば、合併症の程度を考慮しながら、食事療法や運動療法を積極的に行うことがあります。

治療効果のチェック

Hba1C

赤血球中のヘモグロビン全体に占めるHba1C。の割合を測定することで、過去1~2か月間の平均的な血糖の状態を知ることができます。たとえ空腹時血糖値が低くても、Hba1Cが高ければ、血糖コントロールがうまくいっていないことがわかります。
「6.5%未満」を目標に血糖をコントロールします。Hba1Cを6.5% 未満に維持できれば、三大合併症などの、細い血管に起こる合併症の発症や進行を防ぐことができるといわれています。6.5%未満の維持が達成できたら、次は「5.8%未満」を目標にします。「動脈硬化のように太い血管に起こる合併症を防ぐには、5.8% 未満を維持する必要があると考えられています。

血糖値のコントロール

Hba1Cだけでは、1日のなかでの血糖値の変動の様子がわかりませんから、空腹時や食後の血糖値も大事な指標になります。空腹時血糖値は130mg/dl未満、食後2時間血糖値は180mg/dlを目標にします。

自宅でのセルフチェックも

  • 体重測定
    体重が増加すると、血糖値やHba1C。が上昇することがあります。また、治療の進め方に問題があって血糖コントロールが良好でないために、体重が増加している場合もあります。
  • 血圧測定
    血圧は、医療機関で測る値と、家庭で測る値が異なる場合があります。医療機関で測定して高い値出てしまう場合は「白衣性高血圧」といいます。血圧の状態を詳しく知るためには、医療機関で測るだけではなく、家庭でも毎日測ることが勧められます。
  • 血糖自己測定
    血糖自己測定器という簡単な器具を用いるとさ自分で血糖値を測定できます。血糖自己測定は、インスリン療法を行っている場合には欠かせません。

糖尿病の食事療法

食事療法は、すべての糖尿病の患者さんの重要な治療の一部分です。食事療法によって、血糖値の急上昇を抑えたり、「インスリン抵抗性」を改善したりすることで、膵臓の負担を軽減します。現状の食生活を客観的に見直し、問題点をしっかり認識することです。

食事療法の効果と目的は、インスリン抵抗性を改善すること

毎日の生活のなかで、最も大きく血糖値の変動に影響するのが食事です。糖尿病では、インスリンの分泌量や作用が不足するため、食事のとり方が血糖の状態に大きく左右します。
それだけに食事療法は、不適切な食生活が要因となることが多い「2型糖尿病」だけでなく、すべての糖尿病の方にとって、血糖コントロールに必要不可欠な治療です。

  • 膵臓の負担軽減
    『食事→血糖が増加→血糖値を下げるための「インスリン』が必要になる消費するエネルギー量以上の食事をとり続けていると、肥満を招き、インスリン抵抗性を強めます。これらを改善することで、インスリンを分泌する膵臓の負担を減らします。
  • HbA1cが1~2ポイント低下する
    食事療法の効果には個人差があります。例えば、治療の食生活が乱れている人はど、食事療法で血糖コントロールが改善します。きちんと食事療法を行えば、平均でHbA1cが1~2ポイント、血糖値は30~40mg/dl此程度改善することがわかっています。
    薬物療法を行っている人にも、食事療法は必要です。食事療法と並行して行うことで、薬の効果が高まります。2型糖尿病の患者さんは、食事療法を続けていけば、薬の減量や中止の可能性もあります。

食事療法を開始する前に現在の食習慣を見直す

ただ何となく食事量を減らしたりするだけでは、なかなか長続きしません。まずは、これまでの自分の食生活を見直してみましょう。
「食事量」「食事内容」「規則的に食べているか」「食事にかける時間」「間食の有無」などを具体的に記録して見直します。例えば、2型糖尿病で多いのは、「食べすぎ」や栄養の偏った「偏食」です。このような問題点を見つけ、実際に改善していくようにします。こうした問題点を正すだけでも、血糖値が改善します。

食生活を見直す際のポイント

  • どのくらい食べているか
    「1 回の食事でご飯を3杯お代わりする」「1人前では足りないから2 人前は食べてしまう」など、ふだん食べている量をチェックする。多すぎる場合は食べる量の見直しが必要。
  • 何を食べているか
  • 「揚げ物や甘いものが好き」「肉ばかり食べて野菜はほとんど食べない」など、ふだんの食事の内容をチェックする。食事の内容が偏っている人は見直しが必要。
  • いつ食べているか
    「夕食の時間が遅い」「朝食を抜いて昼食や夕食は多めに食べる」など、食事の時間帯と、3食の量のバランスをチェックする。遅い時間帯に食事をとったり、3食とっていない場合は見直しが必要。
  • どのくらい時間をかけているか
    1回の食事にかけている時間をチェックする。「1食に10分かけない」など、急いで食べる習慣は、食べすぎや血糖値の急激な上昇につながりやすい。時間が短すぎる場合は見直しが必要。
  • 間食をしていないか
    「テレビを見ながらお菓子をつまむ」「常に何か食べている」など、間食の習慣をチェックする。意識せずに食べていることもあるため、間食も記録することで客観的に見直す。

「自分ではそんなに食べていないはず」と思っていても、食生活を記録すると客観的に自分の食生活を見直すことができ、問題点に気づきやすい。意外と食べていることに気づくはずです。食事療法を行っているときも記録をとると効果がでやすくおすすめです。

血糖値を下げる食生活

食事療法の原則は、

  • 摂取エネルギー量を適正にすること
  • 栄養バーフンスをよくすること
  • 食事をとるタイミングを適切にすること
  • 継続すること

の4つです。外食の多い人も、ちょっとした工夫を加えることで、これらの原則に沿った食事をとることは十分に可能です。

適正な量であれば何を食べてもいい

糖尿病の食事療法は、「これを食べれば治る」という類いのものではありません。また、合併症のない人は、適正な量と質であれば、何を食べてもかまいません。「食事療法は難しい・面倒」と感じる人もいるかもしれませんが、食生活をちょっと工夫するだけでも血糖値を下げることはでき、合併症を防ぐ大切な習慣となります。

食事療法の原則

次の4つの原則のもとに、食生活を改善していきます。

  1. 摂取エネルギー量
    自分の体重や身体活動量に合った、適正な摂取エネルギー量を算出します。ただ、あまり厳密に考えすぎず、目安としてとらえるとよいでしょう。食事は「腹八分目にとどめることを心がけ、体重の変化などをみながら、食事量を調節していきます。もう少し食べたいと思うところで止めておくと食事療法の効果がでやすいといいます。
  2. 栄養バランス
  3. 1つの食品に偏らず、さまざまなものをとります。特に野菜は、エネルギー量が少なく、ビタミンや食物繊維が豊富なため、食事療法には欠かせません。脂肪をなるべく控え、野菜をたくさんとることを心がけましょう。
  4. 食事の摂り方
    食事を抜かず、1日の摂取エネルギー量を、朝昼夕の3回に均等に割りふります。また、食事をとる時問も間食は基本的に避けますが、仕事なLどの都合で食事と食事の問が大きくあく場合はとってかまいません。ただし、1日の摂取エネルギー量の上限は守りましょう。

外食時の注意点

月に2回以上外食する人は、血糖コントロールが不安定になりやすく注意が必要です。外食は、摂取エネルギー量が多くなりやすく、栄養バランスが崩れやすいのです。そのため、外食では工夫が必要です。
気をつけるポイントは3つです。

  • 和食中心にする
  • 食材の種類が多いものを選ぶ
  • 食べすぎに気をつける

の3点です。いつも意識するようにします。

仕事が忙しい…時間がない…人には少し面倒ですが、糖尿病は食事をしっかりコントロールできればコワイ病気ではありません。


制限食でお悩みの方へ!