人間の体には「ツボ( =経穴)」があります。その数は全身に300以上にも上りますが、ツボとツボの間には経絡という道があり、そこを流れているのが「気」です。
気とは神経のことでもなければ、血液やリンパの流れでもありません。3000~4000年も前から、中国の医学ではこの「気の流れ」を重視しており、病気は「気が滞る」ことで起きると考えられています。
気の流れの不良は体の痛みにつながります。気とは言葉を変えれば、体内のエネルギー のようなものだといえます。人間は血液の循環や筋肉の収縮、リンパの流れ、内臓の状態が円滑ならば、生命反応がしっかり出ます。
その生命反応を与え続ける流れこそが、「気の流れ」なのです。気を流すには、ヒーリング、気功、鍼灸治療、指圧きの方法が効果的です。また遠赤外線の照射、温泉、岩盤浴なども気の流れを改善します。
中でも鍼治療は、ダイレクトに効きます。腰痛や肩こり、頭痛などがある人には、特におすすめです。鍼治療には、不調のある部分に直接鍼を打つ「局所治療」と、経絡上のポイントとなるッボに鍼を打つ「経絡治療」があります。
局所治療では痛みはいったん治まっても、またぶり返すことが多いのですが、経絡治療は全体の気の流れをよくするため、効果に持続性があります。私は鍼治療も診療に取り入れていますが、痛みを軽くするのに、鍼には目覚しい効果があります。
ガンの転移で背中全体がひどく痛むという患者さんに、鍼を右足と左足に一本ずつ打っただけで、モルヒネでも治まらなかった痛みが消えたこともありました。
残念ながら西洋医療では、こういった気の流れのようなものは、ほとんど重視されることがありません。しかし痛みや疲れといった個人によって感じ方が異なる、主観的な症状の改善には、気の流れをよくするといった治療は、とても効果があると私は考えています。気の流れをよくするには、ストレスをうまく発散して、心の安定を図ることもとても大事です。笑ったり、気持ちを明るくもつように意識することで、全身の気の流れがよくなります。