激しいスポーツは、不健康と痛みの原因になる

適度な運動は健康に欠かせない」のは言うまでもありませんが、最近「ハードなスポーツは体に悪い」という説が唱えられはじめています。

運動をまったくしないと体に悪いことは誰にでもわかりやすいのですが、運動をしっかりすることが体によくないというのは、どうしてかと疑問に思う人も多いことでしょう。なぜハードなスポーツは体に悪いのでしょうか?

ショウジョウバエを使ったこんな実験があります。ショウジョウバエを同じ数になるように2つのグループに分け、片方は容量が250平方メートルの小さなガラス箱に、もう妄は27000立方センチメート〜の大きなガラス箱に入れて飼い、どちらに長生きするものが多いかを調べてみたのです。

その結果、小さい箱で飼われたショウジョウバエが78日間生きたのに対して、大きな箱のほうは、その半分以上の長さのわずか33目しか生きられなかったそうです。

普通は広い場所で飼われているほうが、十分運動ができていいように思いがちです。しかし小さな体のショウジョウバエにとって、だだっ広い空間を飛び回って生活することは、ハードな運動を強いられる環境です。運動をすると、エネルギー代謝のために大量の酸素を取り入れますが、その時これに応じて多量の活性酸素が発生してしまいます。

活性酸素は病気や老化の原因となります。人間を対象にした調査でも、体育学部がある国立大学の卒業生の死亡者について、学部別に平均寿命を割り出したところ、体育系の卒業生が60.8歳だったのに対し、文科系と理科系は共に66歳の平均寿命だというのです。

つまり「激しい運動をすると、活性酸素が体内に大量に生じて、これが引き金になってさまざまな病気にかかったり、老化を早める可能性がある」というわけです。

またスポーツを過度に行うと、筋肉やじん帯を傷めたり、骨粗鬆症にもなりやすくなります。

骨粗鬆症についての詳細はこちら

特に若い頃あまり運動する習慣がなかった人が、中高年になってから激しい運動をいきなり始めることは、大変危険です。心臓に負担がかかって心筋梗塞を起こしたり、最悪の場合突然死してしまうこともあります。

プロのスポーツ選手の中には、ガンや白血病で若くして亡くなる方がいます。もちろん激しい運動だけが原因ではないと思いますが、何かしら因果関係があるのではないかと想像できます。

特に極限まで自分を追い込んで行うトレーニングは、メンタル面でも大きな負担がかかります。心身のバランスをとりながら、トレーニングを積んでいくことが欠かせません。

スポーツ選手は食生活をはじめ、しつかりと健康管理をしながら、ハードな練習をこなしていく必要があるのです。そして現役を退いたら、大幅にライフスタイルを改善しなくてはなりません。

結局「ハードなスポーツは寿命を短くするおそれがある。極端な運動不足も、病気になりやすい体をつくるおそれがある。健康で長生きするには、適度な運動が不可欠である」といえるのではないでしょうか。

みなさんも健康づくりのため運動をするのはいいのですが、決して無理しないように気をつけてください。特に「学生時代運動部だったから、トレーニングメニューはわかっている」などと思っている体育会系の人は、自分の体力を過信せずに、無理のない運動をするよう心がけましょう。

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