成長ホルモン

最近徐々にわかってきたことで、ダイエットにとって画期的なニュースになることとして、「部分やせ」が可能になるかもしれない、そんな期待を膨らませてくれる発見があります。

もともとこの研究は「部分やせを可能にするため」という目的のために行なわれたのではないのですが、ひょっとするとそうなるかもしれない、という可能性が発見されたのです。
それは「成長ホルモン」。Human Growth Hormone「HGHと」呼ばれるものです。「成長ホルモンがダイエットにいいらしい」という説が、かなり確度の高い情報として叫ばれ始めているのです。

成長ホルモン、とはその名のとおり人体を成長させるためのホルモンの一種。カラダの筋肉やその他の細胞を増やし、ボリュームを大きくする作用を持つホルモンをこう呼び、食物としてとったタンパク質やカルシウムなどを利用して、カラダをより大きく作り上げることを促進させるものです。この作用は「同化「アナボリズム」と専門的には呼ばれて、「異化「カタボリズム」とともにカラダの新陳代謝を行なう主役と考えられていたホルモンです。

そしてこのホルモンは、「カラダをつくるためのホルモン」という働きの一方、「カラダを大きくさせる=場合によっては太らせる? ホルモン」とつい最近までは考えられていました。
肥満の原因である脂肪細胞も成長ホルモンがつくると考えられていたからです。
つまり、ダイエットにとって、成長ホルモンは必ずしも「好ましい存在」と思われていなかったわけです。ところが、ある研究の成果から「必ずしもそうではない」、いやひょっとすると成長ホルモンは肥満を防ぐ役割を持っているかもしれない、と180度の転換が行なわれつつあります。

食物としてとった栄養素を利用して、細胞を増やしたり大きくすることでカラダをつくり上げる作用を「同化」といい、それを司っているのが成長ホルモンです。そしてこれとは別に、カラダに貯め込んだエネルギー源を分解して代謝する作用を「異化」といいます。
そしてこの異化を活性化しているのは、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどと考えられていました。ところが、同化の主役とばかり考えられていた成長ホルモンが、アドレナリンなどとともに実は異化にも関わってくる、「二重人格」「両刀使い」のホルモンであったことがわかってきたのです。
これをカラダに当てはめると、成長ホルモンは細胞を作る成長だけではなく、細胞を減らしたり小さくしたりすることもある、ということです。そして、「成長ホルモンが減らすだろう」と考えられている細胞が、実は「脂肪細胞」だったわけです。

成長ホルモンは骨や筋肉には「同化」というプラスの作用を持つ反面、脂肪細胞に関してはどうやらその量を減らす「異化」というマイナス方向の作用を持ち、すなわち、筋肉や骨を頑丈に太くしてカラダを成長させる面と、体脂肪を分解してボディシェイプを図る面とがあるのです。
もちろん、筋肉がより多くつけば、それだけ基礎代謝量が増えてダイエットに貢献するのですから、反対の作用を持ちながら、その実ダイエットにとっては一石二鳥の特性を持つのが成長ホルモンということなのです。

そしてより最近では、研究者たちが、血管の中に直接成長ホルモンを注射して、体脂肪に変わる前の中性脂肪が分解されたかどうか実験してみました。
その結果、約2時間後には中性脂肪が分解された時にできる、脂肪酸とグリセロールという物質の血中濃度が2倍にもなったというのです。

おまけに、この研究では、成長ホルモンを投与したとき、太ももの脂肪よりも腹部の脂肪の方がよりたくさん減ったという、太ったときに目立つ、でっぷりとしたおなかをスマートにする、「部分やせ」に通じる事実が得られました。

現段階では、成長ホルモンが脂肪細胞の分解を促すそのメカニズムはまだよくわかっていません。脂肪分解を担う酵素は「ホルモン感受性リパーゼ」というものです。この酵素を活性化させるのが( ノルアドレナリン( アドレナリンの前駆体))なので、おそらく成長ホルモンは、このノルアドレナリンの生成を促して、ホルモン感受性リパーゼの合成を促すように作用する、と考えられています。ノルアドレナリンも成長ホルモンも無酸素のレジスタンス運動によって、その部分で分泌が強く促進されると言われています。つまり、ある程度負荷のある運動を行なうことによって、成長ホルモンの分泌が促されれば、結果的に脂肪細胞の分解も行なうのでしょう。この分野の研究は、これからも大いに期待できることでしょう。