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怒りは自分の管を老けさせる

緊張すると、血圧が上がる。
緊張すると、下痢をしてしまう、または便秘になる

そんな経験、ありませんか?

どちらも、ストレスを受けた体が交感神経優位になって、腸と血管に困った状況をもたらすからです。自律神経という言葉は、もうすっかりおなじみですね。

いろいろな内臓の働きを調節してくれている神経です。自律神経のうち、興奮したときに優位に働くのが交感神経で、リラックスしたときに優位に働くのが副交感神経。この2つの神経のバランスが大事ということは、周知のとおりです。

まず、ストレスがかかると、交感神経が活発になります。そうすると、血管が収縮し、心臓が強く速く打つようになって血圧が上がります。

「白衣高血圧という言葉、聞いたことはありますか? これは白衣姿の医師や看護師の前ではちょっと緊張するため、ストレスで普段よりも血圧が上がるという現象です。
白衣性高血圧についてはこちら

また、ストレス状態に陥ると、体の中でストレスと闘うホルモンが分泌されるのですが、そのホルモンが血圧や血糖値を上げたり、血栓をできやすくしたり、活性酸素を発生させることも分かっています。

つまり、ストレスがかかると、心が疲れるだけではなく、血管や心臓にかかる負担も増ぇるのです。血管への負担は、動脈硬化を進行させる要因になります。では、ストレスを受けているときの腸はどうでしょう?

交感神経が興奮して血行が悪くなれば、腸の動きも悪くなり、消化・吸収能力も低くなり、便秘にもなりやすくなります。腸は、副交感神経が優位なリラックス状態のときのほうがスムーズに動くのです。

交感神経が優位のときには、末梢の血管はキュっと締まって、血行が悪くなり、腸の機能も落ちる。逆に、副交感神経が優位なときには、末梢の血管がしなやかに開いて、血行が良くなり、腸の機能も良くなる。ということです。

知識が怒りから解放してくれる

ところで、ストレスには、心配事や悩み、緊張、怒りといった精神的なものだけではなく、睡眠不足や過労、激しい運動といった肉体的なものもあります。どちらも長く続くと、血管や腸に負担をかけることになります。

嫌なことがあってイライラしていると、
「そんなに怒ると血圧が上がりますよ」なんてなだめられること、ありますね。
「そんなこと言われても、腹が立つものは腹が立つじゃないか」
と、思うかもしれません。

でも、相手に怒っているはずなのに、じつは自分の管をどんどん傷つけているのです。自分の腸と血管を瞬く間に悪くさせていると思うと、馬鹿らしくなりませんか?

「(相手に) 怒ることで得られる利益」と、「怒らないことで腸と血管を傷つけないですむという利益」を天秤にかけたら、怒れなくなります。イライラッときたら、「あぶない、あぶない、管が傷つけられてしまう」と考えて、まずはゆっくりと呼吸をしましょう。

腹式呼吸でゆっくりと息を吐いているうちに、だんだんと落ち着いてくるものです。その知識が、あなたを怒りから解放してくれます。知識を持てば行動が変わり、行動が変われば、管が守られるのです。

anger(怒り)についてはこちら。

腸内フローラしだいで敵にも味方にもなる「レシチン」

腸と動脈硬化の関連でもう1つ、こんな興味深い詰もあります。腸のコンディションしだいで、動脈硬化を防ぐ役割もすれぼ、動脈硬化を進める働きもしてしまうという栄養素も見つかっているのです。

それは、卵黄や大豆、牛乳、チーズ、牛肉などに多く含まれている「レシチン」です。脂質の一種で、細胞膜を構成する主成分であり、細胞内に栄養を取り入れ、細胞の外に老廃物を出す働きも行っています。
さらに、水と油の両方の性質を併せ持っているという特性から、血液中のコレステロールを溶かして排泄するのを手助けし、細胞内や血液中のコレステロール値を調整してくれること、悪玉のLDL コレステロールを減らして善玉のHDL コレステロールを増やすことも報告されていて、動脈硬化を予防する効果も期待されています。

血管にとっては、かなりありがたい存在です。それだけに、サプリメントとしても売られています。

ところが、最近の研究で、このレシチンをもとに体内でつくられる、ある物質が血液中に多いと、動脈硬化が悪化し、心臓病になりやすいことが分かったのです。レシチンを腸内細菌が分解したときにできる「TMA」という物質が腸から吸収されて血流に乗って肝臓にいくと、そこで「TMAO」という物質に代わります。

これが血液中に多いと、動脈硬化ができることが明らかになったのです。レシチンは動脈硬化を防いでくれる正義の味方のはずなのに、レシチンをもとにできるTMAOは動脈硬化を促進させてしまう

「一体どっちが正しいの? 」と思いますよね。そこでこんな研究が行われました。まずは、マウスにレシチンがたっぷり入った食事を与えてみる。そうすると、血液中のTMAOが増えて、普通の食事を与えられたマウスに比べて明らかに動脈硬化が進んでいました。

ちなみに、血中のコレステロールや中性脂肪には影響はありませんでした。次に、抗生物質を投与して、腸内細菌を減らしてから、同じレシチンたっぷりの食事を与えたところ、血液中のTMAOは増えず、動脈硬化も悪化しなかったのです。この実験で分かることは、レシチンが悪いわけではなく、腸内細菌が(TMAOにつながる)TMA をつくることが悪いということです。

レシチンには体にいい作用があることが分かっているのだから、控える必要はありません。ただ、腸内細菌にTMAをあまり作らせないようにすればいいのです。どの腸内細菌がTMAOを増やしているのかはまだ分かっていませんが、どうやら、腸内フローラのバランスが良ければTMAOはあまり増えないのではないかと言われています。

この話のおもしろいのは、同じものを食べても、腸内フローラの良し悪しによって、動脈硬化を予防するものにもなれば、動脈硬化を促進するものにもなるということです。先はど、抗酸化作用のあるポリフェノールは、腸のコンディションしだいで栄養の吸収率が代わりの腸のコンディションが悪ければ吸収してくれないので、食べても意味がないことを紹介しました。

ところが、このレシチンの場合、腸内が悪ければ、血管に長いはずのものが逆に悪いものに変わってしまうのです。それだけは避けたいですね。また、マウスの研究では、レシチンをたくさん食べると、血中のコレステロール値は高くないのに動脈硬化は悪化しました。

一般的な動脈硬化は、まえにふれたとおり、血液中に余ったコレステロールが血管の内側に入り込んで酸化し、免疫細胞と攻防を繰り広げることからはじまります。でも、コレステロール値は高くないのに動脈硬化があるという方はたしかにいらっしゃいます。その背景には、じつは腸内細菌が関わっていた可能性があるというわけです。

炎症を終わらせてくれるEPA、DHA

動脈硬化の直接的なきっかけは、免疫細胞と酸化コレステロールの闘いという炎症反応です。

そして炎症が慢性的に続くことで、動脈硬化がさらに進行していきます。私たちの生活でも、なかなかケンカが終わらないこともあります。そんなときに、うまく間を取り持ってくれる人がいると、当事者同士ではどうにも終わりそうになかったケンカがピタッとおさまることがあります。

そんな風に、私たちの体の中にも、炎症を終わらせてくれる物質があることが分かってきました。その1つが、青魚に多く含まれることで有名な「EPA(エイコサペンタエン酸)と「DHA(ドコサヘキサエン酸)だったのです。

EPAについては、炎症を抑える働きだけではなく、はかにも血管に良い作用を持っることがすでに分かっていました。体内に入ったEPAは、血管の最も内側にあり、直接血液に触れている血管内皮細胞に取り込まれるのですが、EPAをとり込んだ血管内皮細胞は、さまざまな良い指令を出してくれます。

血圧の上昇を抑えて高血圧を予防したり、傷ついた血管の細胞の炎症を抑えて血栓ができないように働きかけたり、すでにできてしまった動脈硬化のコブを壊れにくい安定した状態にするように手助けしたりと、血管を健康な状態に導いてくれるのです。

こんな研究結果も出ています。1万8千人強の高脂血症の方を対象に、日本で行われた大規模調査です。対象の方たちを2つのグループに分けて、一方のグループではコレステロールを下げる薬のみを服用してもらい、もう一方のグループでは同じ薬に加えて高濃度のEPAが入った薬も併用してもらったところ、コレステロールや中性脂肪の数値には明らかな違いはなかったにもかかわらず、EPAも一緒にとったグループのほうが心筋梗塞や狭心症、心臓突然死を起こした人の割合は低かったのです。

つまり、動脈硬化やその先に起こる心臓病を予防するには、コレステロール値や中性脂肪値をコントロールするだけではなく、EPAを十分にとることが大事ということです。
血管のアンチエイジングにはEPA が大事ということはよく言われている最近の常識です。

一方、DHAのほうは、脳の働きを良くするということで、認知症の予防・改善に効果があることは有名ですが、これまで「血管の健康にはあまり関係していないのでは」と考えられてきました。

ところが、最近になって、炎症を抑える働きがEPA以上に強いことが分かってきて、注目されています。少し前まで、炎症がどうやっておさまっていくのかは、よく分かっていませんでした。蚊に刺されて赤く腫れ、かゆくてたまらなかった所も、1日、2日経てば、赤みもおさまり、かゆかったこともすっかり忘れていますね。

このように自然と治っている裏側では何が起こっているのか、ハッキリとは分かっていなかったのです。

ところが、最近の研究によって、EPAとDHA が炎症を終わらせる物質(炎症終焉物質) を出していることが分かってきました。ですから、EPA とDHAがリッチな状態をつくると、炎症が早く終わるようになります。「慢性的な血管の炎症」と言われる動脈硬化はもちろんのこと、皮膚の炎症である肌荒れにだって効果大です。

  • EPAとDHAには、炎症を終わらせる働きがある
  • EPAには、高血圧や血栓の予防、血管のコブを安定させる作用もある

腸内フローラ、口内フローラも炎症を引き起こす

炎症と言えば、「腸のコンディションが悪いと、腸は血管に恩を仇で返す」という内容を紹介しましたが、腸内フローラのバランスが崩れると、腸のバリア機能が低下して、腸内細菌が作りだした有害物質や生きた腸内細菌が、血管に入り込んでしまうということです。

イメージしてみましょう。生きた細菌や有害物質が血流に乗って全身をかけめぐれば、どうなるでしょう?

当然、全身の血管では、免疫細胞たちがざわつきます。「怪しいヤツがいるぞ!」と、免疫細胞たちが集まってきて攻撃をしかけようとするでしょう。
つまり、腸内フローラのバランスが悪いと、全身の血管で炎症が起こりやすくなるのです。ここでも、腸と血管が深く関わっていたのです。

ところで、血管の炎症を起こす菌は腸内細菌だけではありません。口腔内の細菌も関わっていることが分かっています。ロの中には、腸内はど多くはありませんが、それでも300~700種類もの口内細菌がいると言われています。

歯をよく磨いている人でも1000~2000億個の口内細菌が存在し、ほとんど歯を磨かない人の口の中には1兆個もの細菌が住みついています。

そして、口内細菌にも、腸内細菌と同じように善玉菌と悪玉菌がいて、口の中で善玉と悪玉の脚いが繰り広げられています。

悪玉菌の代表格と言えば、虫歯や歯周病の原因となる菌ですが、なかでも全身の血管との関わりが深いのが歯周病菌です。
歯周病菌は、毒素を生んで歯ぐきを腫らしたり、歯の周りの骨を溶かしたりするだけではなく、歯肉から血管の中に入り込んで、血流に乗って流れ者いた先で炎症を起こすのです。動脈硬化のコブから歯周病菌が見つかったことから、歯周病が動脈硬化の要因の1つになることが分かったのですが、さらに歯周病があると心臓病や脳卒中が増えることまで明らかになっています。
歯周病は歯への影響だけではない!全身への影響が!なた豆が効く(歯周病のリスク、初期症状、予防方法など)

また、当たり前ですが、口から腸まではつながっています。口から食べたものが食道や胃を通って腸に届くように、口の中の細菌たちも、飲み込んでしまうと消化管に入っていき、腸にも届きます。

歯周病を引き起こす口内細菌は複数種類ありますが、その代表格である「ジンジバリス菌」が腸に届くと、腸内フローラのバランスが崩れ、腸のバリア機能が低下することも分かってきました。

何度もくり返しますが、腸のバリア機能が低下すれば、腸内細菌が作りだした有害物質が血管の中に入り込んで、全身の血管の炎症につながります。っまり、歯周病菌は、直接血管に入り込んで血管の炎症を引き起こすこともあれば、腸内フローラを経由して血管の炎症を引き起こすこともあるのです。

そして、血管事故を引き起こす要因になることも。腸内フローラも口内フローラも、悪玉菌を増やしてはいけないということです。

動脈硬化は「炎症がずっと続いている状態」

簡単望口ってしまえば、動脈硬化は、血管内皮細胞が傷つけられたのをきっかけに、免疫細胞たちと酸化コレステロールの闘いが繰り広げられることが、動脈硬化を引き起こすとも言えます。
免疫細胞が敵と闘う「炎症」が、結果的に動脈硬化の原因になっているのです。

炎症について補足です「炎症が起きている」とか「炎症が落ち着くまで」とか、炎症という言言葉はふつうに使われていますが、よくよくその意味を考えると、分かるようで分からない言葉ではないでしょうか。

「炎症=腫れや痛み」といった表面に表れる症状のことだと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。炎症というのは、体が何らかの有害な刺激を受けたときに、それを取り除こうとする防御反応のことです。その際、腫れや痛み、熱、発赤などを伴うのです。

たとえば、ケガをしたときには傷口から細菌などが入ってきてしまうので、それを取り除こうと炎症が起こります。それが、傷口が熱をもったり腫れたり痛んだりする原因です。

また、蚊に刺されると赤く腫れるのも、刺されたときに蚊の唾液が入ってきたことへの免のど疫反応による炎症です。風邪で喉が腫れたり、熱が出たりするのも、ウィルスと免疫細胞の闘いで起こる炎症です。

動脈硬化に話を戻すと、ケガや蚊、あるいは風邪のウイルスなどの「一時的なもの」とは違って、血管には「たえず」血液が流れていますよね。そのため高血圧や高血糖、高コレステロールなどがあると、血管の内皮細胞が傷つけられて、くすぶるような炎症がたえず起きている状態になるのです。

そのため、最近では、「動脈硬化とは血管の慢性的な炎症状態である」と考えられています。動脈硬化のベースには「血管の炎症」があるということです。そのため、「いかに炎症を抑えるか」が大事なのです。

酸化ストレスが動脈硬化を進行させる

動脈硬化になったときに、あるいは動脈硬化にならないために、「変えるべき悪い習慣」とは何でしょう?

1つは、動脈硬化の入り口である「血管内皮細胞の傷」を引き起こす高血圧や高血糖、脂質代謝異常などです。これらは内臓脂肪から分泌されるさまざまな生理活性物質によって悪影響を受け、動脈硬化を進行させるので、肥満を解消することがとても大切なのです。

内臓脂肪は過食と運動不足によってたまりますが、それがつきやすいかどうかは腸内フローラが関わっているので、腸内フローラを整えるのが効果的です。

また、LDLコレステロールが血管内に入り込んで「酸化」されることも、動脈硬化がつくられる一因です。

酸化を引き起こす「活性酸素」は、日々の生活のなかでつくられています。私たちは酸素なしには生きていくことはできません。全身の細胞は、血液から酸素を受け取ることでそれぞれの働きを行っています。そして、呼吸で体内にとり込んだ酸素の一部は、酸化力の強い「活性酸素」になるのです。

つまり、普通に生きているだけで、活性酸素は日々つくられているわけです。ただし、活性酸素が必ずしも悪者というわけではありません。その強い殺菌作用をいかして、体内に入り込んだ細菌などを撃退するなど、体を守る働きもしています。
ところが、活性酸素が必要以上に増えてしまうと、力を持て余し、正常な細胞にまでダメージを与えてしまうのです。そのことを「酸化ストレス」と言います。

私たちの体には、活性酸素をつくる仕組みだけではなく、活性酸素を除去し、酸化ストレスから守る仕組みもちゃんと備わっています。通常であれば、そのバランスが取れているのですが、活性酸素が過剰に作られたりするとバランスが崩れて、体をさびつかせる方向に傾いてしまうのです。

腸内環境しだいでポリフェノールの吸収率が変わる

動脈硬化につながる酸化ストレスを減らすには、

  1. 活性酸素を増やす要因を減らす
  2. 酸化ストレスから守る仕組みを強める

という2通りの考え方があります。

まず、活性酸素を増やす要因を減らすことを考えましょう。血管内皮細胞を傷つける原因となる高血圧、高血糖、脂質代謝異常も、活性酸素を増やして酸化ストレスを増大させることが分かっています。そのはか、ストレス、激しい運動、たばこ、飲みすぎ、紫外線、排気ガス、食品添加物なども活性酸素を増やします。

一方で、酸化ストレスから体を守る仕組みはと言えば、活性酸素の害を抑える働きのことを「抗酸化カ」と言います。体内にも抗酸化力は備わっていますが、加齢とともに衰えてしまいます。

ピークは20代で、40代になるとピーク時の半分程度になると言われています。そこで力を借りたいのが、抗酸化力を持った食品です。

代表的なのが、植物に含まれる色素や苦み成分の「ポリフェノール」有名な赤ワインの「アントシアニン」も、ポリフェノールの1つです。アントシアニンがたっぷり含まれるのはアサイーベリーです。目の疲れ、病気、トラブルに最適です。

ポリフェノールは色とりどりの野菜に多く含まれるので、「動脈硬化を予防するために、カラフルな野菜を食べましょう」と言われてきました。ただ、その一方で、ポリフェノールは吸収率が低いため、「食べても抗酸化作用が体内で発揮されないのではないか」とも、専門家の間では指摘されていました。

たしかに食べても腸で吸収されないのであれば、血管で効果を発揮してくれません。ところが、ここにも腸内フローラが関わっていたのです。腸内フローラのバランスが良ければ、ポリフェノールの吸収率も上がり、ポリフェノールをとることで腸内フローラのバランスも変わってくることが分かってきています。

腸は「恩を仇で返すこともある」と紹介しましたが、恩返しをしてくれるかどうかも、腸内フローラが関係していたということです。

動脈硬化はこうして起こる

命や生活を脅かす血管事故のベースには必ず動脈硬化があるわけですが、そもそも動脈硬化はどうやって起こるのでしょうか。

動脈硬化は、血管の内側が傷つくことからはじまります。血管のいちばん内側の壁には「血管内皮細胞」という紳胞がびっしりとシート状に並んで、血液や血管の機能をコントロールしています。腸では「上皮細胞」がびっしりと並んで腸管を守るバリア機能を果たしていたのと同じように、血管は内皮細胞が守ってくれているのです。

ただ、いちばん内側で直に血流と接しているだけに、傷つけられやすくもあります。順を追って、動脈硬化が起こる流れを説明しましょう。

1.血管内皮細胞が傷ついて、白血球が集まる
高血圧や高血糖、脂質代謝異常などで血管のいちばん内側の内皮細胞が傷つけられるとその傷ついた部分に「単球」という白血球(免疫細胞) の一種がくっつき、内皮紳胞のすきまから血管壁の内側に入ってきます。
2.異物が侵入する
内皮細胞が傷つけられると、血管のバリア機能が弱まって、血管内に異物が入り込みやすくなってしまいます。そこで入ってくるのが、血液中に余っていた「LDLコレステロール」です。血管壁の内側に入り込んできたLDLコレステロールは活性酸素によって酸化され、「酸化コレステロール」になります。
免疫細胞が集まってくる
LDLコレステロールが酸化コレステロールになると、体に備わった免疫システムが「異物だ!」と判断して攻撃を開始します。その際、処理をするのが先ほどの「単球」から分化した「マクロファージ」です。マクロファージは、病原菌などを自らの体内に取り込んで殺し、体を守ってくれています。そのマクロファージが酸化コレステロールを次々と食べていきます。
満腹になった免疫細胞が蓄積してコプになる
次々と酸化コレステロールを体内に取り込んで満腹になったマクロファージは、「泡沫細胞」という、油の詰まった泡状の細胞に変わります。そしてやがてパンクし、脂肪のかたまりとなって、血管壁の内部に蓄積してしまうのです。これが、血管のコブの正体です。そうやって血管の内側にできたコブのことを「プラーク」と呼びます。プラークが大きくなるにつれて、血管の内腔は狭くなり、血管の壁が硬くなっていきます。こうして、動脈硬化ができあがるのです。

ところで、腸に発生するガンも、内側の膜の変化からはじまります。そして、管の内側にコブができるのも同じです。
血管の内側にできたコブは「プラーク」と呼びますが、腸の内側にできたコブは「ポリープ」と呼びます。血管と腸という「菅つながり」の2つは、できる病気もよく似ているのです。

さて、血管にできたコブが成長して大きくなれば血流を障害してしまうので、それはそれで良くないのですが、実際に血管が詰まるタイプの血管事故の原因となりやすいのは、じつはそれはど大きくはないコブなのです。

できたての動脈硬化のコブは、コブの中身がまだやわらかく、コブを覆っている膜もどく薄いので、崩れやすくなっています。何かのきっかけでコブが崩れると、そこに血小板が集まって血液の流れを止めてしまったり、あるいは集まった血小板の一部が「血栓」という血液の固まりをつくって、血流に乗ってどこかへ流れてしまうことがあります。

血流に乗って漂う血栓が、血管が細くなったところに引っかかると、血液の流れを止めてしまいかねません。それが心臓の血管だったら心筋梗塞を、脳の血管だったら脳梗塞を引き起こしてしまうというわけです。できたてのコブは不安定で、とても危険だということです。

ただし、時間が経てば安定するのかと言うと、それは私たちの心がけ次第です。血管に良くない生活を続けていれば、コブの表面はずっとブヨブヨとしたまま、いつ壊れてもおかしくないような状態が続きます。コブができたということは、「悪い習慣を変えてね! 」という血管からの切実なメッセージなのです。

血管の若返り法はこちらです。

腸内環境がよくても血管がつまったらアウト

100歳以上長生きしている人のことを「百寿者」と呼びますが、中国で高齢者の食事内容と腸内フローラを調べたところ、百寿者は、食物繊維をよくとっていて、食物繊維を分解する能力を持っている種類の腸内細菌が多かったのです。

そんな話を聞くと、「とにかく食物繊維をたくさん摂って、腸内フローラのバランスを整えればいいのね」と思われそうですが、そんなに単純ではありません。

たしかに食物繊維も腸も大事。でも、どんなに腸内環境に気を遣っていても、血管が切れたり詰まったら元も子もありません。たった1度の血管事故が命取りになります。

心臓に血流を送る冠動脈が詰まる「急性心筋梗塞」を起こしたら、およそ2割の人が亡くなります。脳の血管が詰まる「脳梗塞」の死亡率は1~2割程度。およそ2割の人が亡くなります。

脳を覆うくも膜の下で出血する「くも膜下出血」を起こすと、3人に1人が亡くなっています。日本人の死因を見ても、がんに次いで多いのが、「心臓病」です。

そして、「脳卒中(脳出血+脳梗塞)」も4番目に多い。心臓病と脳卒中という代表的な「血管病」で亡くなる人は、毎年30万人を超えています。

また、命を取り留めても、元通りに元気になるとは限りません。特に脳梗塞やくも膜下出血、脳出血など、脳の血管が切れたり詰まったりした場合、手足のまひや言語障害など、後遺症が残ることが多いのです。

血管が切れたり詰まったりすると、命や生活が脅かされます。ですから、腸をケアするだけではなく、血管を老化させないこと、つまり動脈硬化を防ぐことが大事になってくるのです( といっても、腸のコンディションが悪いと動脈硬化も起こりやすくなるので、どちらも大事なのですが)。

便秘は腸、血管の不調の原因に

食べたものは、口、食道、胃、十二指腸と消化管を通り抜けながら分解されて、必要な栄養素だけ小腸から吸収されて、残りのカスは大腸を通りながら水分が吸収されたり、はがれた腸の粘膜や腸内細菌の死骸などと合流して便になって、最終的に排出されます。

ところが、排出されるべきものがなかなか排出されないことがあります。便秘です。「どのくらい出なかったら便秘か」という明確な線引きはありませんが、1週間~10日もお通じがなければ明らかに便秘です。2、3日に1回であっても、スッキリと出るようであれば、便秘とは言いません。便秘が体に悪いのは言うまでもありません。腸と血管にとっても大敵です。

まず、出るべきものが出ないく腸内で便が腐敗して、悪玉菌が増え、善玉菌が減少してしまいます。つまり、腸内フローラ「のバランスが悪くなるのです。

血糖を改善してくれるアッカーマンシア菌も、慢性的に便秘の人の腸内フローラでは減っていることが報告されています。

ちなみに、便秘が続いて肌荒れがどくなるという経験はありませんか?これも、腸内で悪玉菌が増えた結果です。悪玉菌がつくる有害な物質やガスが、腸から血管に移って、血流に乗って全身に行き渡った歩果、肌も荒れてしまったのです。

有害物質やガスが血管に入ってくるということは、もちろん血管自身にとってもダメージになります。そういう意味で便秘は血管に悪いのですが、それだけではなく、便秘が血管事故の引き金になること酋もるのです。

お通じが悪くなると、トイレでいきむことが増えます。いきむと血圧がガツンと最大60 mmHG上がります。上が140 mmHGの人は200 mmHGになってしまうわけです。脳出血や脳梗塞の原因になります。特に、寒い冬はただでさえ血管が収縮して血圧が上がりやすくなっているので、より注意が必要です。

なんらかの病気が原因で生じる便秘は別として普通の便秘は、原因別に次の3つのタイプに分かれます。

  1. 腸のぜん動運動が低下している弛緩性便秘L
  2. 大腸の筋肉がゆるんだり、収縮力が低下したりすると、腸のぜん動運動が十分に起こらなくなり、便が大腸内をスムーズに流れなくなります。そうすると、便が長時間大腸にとどまるため、必要以上に水分が吸収されて便が固くなり、便秘になってしまうのです。

  3. 直腸に便が停滞している「直腸性便秘L
  4. 通常は、直腸に便が入ると、直腸の壁が伸びて、その刺激で便意が起こります。ところが、せっかくのチャンスを逃したり、がまんしたりしているうちに、便意を感じにくくなり、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなることがあります。

  5. 大腸の過緊張で起こる「けいれん性便秘L
  6. ストレスなどで自律神経がアンバランスになると、腸も緊張してけいれんし、その部分狭くなって便がスムーズに流れなくなります。硬くてコロコロした便が出るのはこのタイプです。

便秘のタイプによって、予防策は変わります。

まず1の弛緩性便秘の場合は、筋力の衰えが原因です。ですから、スクワットの形で両膝を曲げてお尻を突き出し、左右の足に交互紅体重を移動させるなど、排便に役立つ筋肉を鍛えましょう。

2の直腸性便秘や、3のけいれん性便秘の場合は、便意をがまんしないことと、なるべく規則正しい生活を心がけて、決まった時間紅トイレに座ることを習慣にしてしまうことが大切です。

また食事では、どのタイプの便秘でもやっぱり食物繊維がおすすめです。特に水溶性食物繊維を多くとるように意識してください。それから、腹式呼吸も効果的です。

水溶性食物繊維ならトクホのイサゴールがおすすめです。

腸内フローラの乱れが糖尿病の原因か?

腸内フローラが乱れると、血管に悪いものが入り込んでしまう」のですが、腸内フローラと糖尿病の関係も指摘されています。

2型糖尿病の患者さんは腸内フローラのバランスが崩れやすいのですが、生きた腸内細菌までが血管に入り込んでいる…という衝撃的な話があります。

順天堂大学の研究チームが、2型糖尿病の患者さん50人と、糖尿病ではない50人の腸内フローラを比べたところ、腸内紳菌の総数には大き皇虐いはなかったものの、糖尿病の患者さんたちのほうがバランスの悪い腸内フローラになっていたそうです。

しかも、糖尿病の患者さんグループでほ、50人中14人の血液中に生きた腸内細菌が見つかりました。腸内で暮らしているはずの腸内細菌が、腸の壁を通り抜けて、血管へ潜り込んでいたのです。

と言っても、糖尿病ではない50人の中でも2人は、血液中に腸内細菌が見つかっています。ですから、糖尿病ではなくとも、血管に腸内細菌が入り込んでしまうことはあるのでしょう。
ただ、その割合は、糖尿病患者さんのほうが7倍多いという結果でした。糖尿病の人は腸内フローラが乱れて、腸のバリア機能が低下するため、余計なものが血管に入りやすくなっているのでしょう。

ところで、糖尿病の患者さんは、インスリンの分泌が悪いだけではなく、インスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)が知られています。そして、慢性的な軽度の炎症がインスリン抵抗性を引き起こす一因であると言われています。

順天堂大学の研究では、「腸内フローラの乱れによって、血管に入り込んだ腸内柵菌が炎症を引き起こすのではないか」とも指摘されています。これが正しければ、腸内フローラを改善することで、インスリン抵抗性の原因になる炎症を抑えるという新たなタイプの糖尿病治療が実現するかもしれません。

また、血糖値を改善してくれる腸内細菌も見つかっています。その1つが、「アッカーマンシア菌」という善玉菌です。
アッカーマンシア菌のよい効果は、複数の研究から報告されています。たとえば、パリの病院で行われたある研究では、次のような結果が出ました。

肥満または太り気味の人たち49人を集めて、食物繊維を多く摂りつつ、1日あたり1500~1800kcalに抑えた食事を6週間続けてもらったところ、アッカーマンシア菌をもともと多く持っていた人たちのグループは、ダイエット効果がより高かったのです。

6週間後の血糖値も、血中の脂質レベルも、ウェスト・ヒップ比(内臓脂肪のチェック)も、アッカーマンシア菌を多く持っていた人のグループが、より改善していました。同じような食事をしていても、腸内フローラによって結果は変わってくるということです。そのカギを1つの善玉菌が握っていたのです。

そこで気になるのは、「アッカーマンシア菌とやらの量は、人によって違うの? どうやったら増えるの? 」ということではないでしょうか。この研究結果には続きがあります。もともとアツカーマンシア菌が少なかった人も、6週間、食物繊維が豊富なカロリー制限食を食べ続けた結果、アツカーマンシア菌が増えていたそうです。つまり、生まれつき決まっているわけではなく、食事によって替えられるということです。

食物繊維は、アッカーマンシア菌に限らず、腸内の善玉菌の大好物です。また、肥満にストップをかけてくれる「短鎖脂肪酸」も、腸内細菌が水溶性食物繊維をエサに作りだしてくれるものです。

腸内フローフを改善するためにも、血糖コントロールを良くするためにも、肥満を防ぐためにも、そして肥満が招く血管の老化を防ぐためにも、食物繊維が豊富に含まれている食事を心がけることが、とても大事なポイントです。
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