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内臓脂肪のためには肉や甘いものは、NG?

「糖質もたんばく質も脂質も、食べすぎて余れば、中性脂肪として蓄えられる」のはこちらの説明のとおりです。

ここで、1つ耳寄りなお知らせがあります。「脂肪をため込みやすい時間帯」と「ため込みにくい時間帯」があるのです。それは、「ピーマル1(BMAL1)」という物質が関わっています。

これは、体内時計を調節する機能を持ったたんばく質です。このビーマル1 には、体内時計が正常に働くように調節するだけではなく、「脂肪の分解を抑制して体内にため込みやすくする」働きがあるのです。

また、ビーマル1は、1日の間で作用の強さが変化します。個人差はありますが、おおむね、夕方6時ころから徐々に作用が強くなり、深夜2時頃にピークを迎えて、その後は徐々に作用が弱くなっていって、午後2時頃にもっとも弱くなります。

つまりは、ビーマル1の作用が弱まる午後2時頃は、1日の間でもっとも脂肪をため込みにくい時間帯なのです。

逆に、深夜2時前後はビーマル1の作用が強まっているので、脂肪をため込みやすい危険な時間帯です。
甘いお菓子には糖質がたっぷり入っているので、脂肪に変わりやすく、本来はあまり食べないはうがいいものですが無性に食べたくなる日もありますよね。

おやつを食べるのは時間帯には気をつけて、午後2時頃にとるようにするのがいいでしょう。また、「肉=太る」というイメージがあるかもしれませんが、脂肪分の少ない肉は、むしろ貴重なたんばく源です。

具体的には豚のヒレ・モモ肉、鶏のササミ、・胸肉などが脂肪分が少なくておすすめです。でも、霜降り肉が食べたい日もあるでしょう。そんなときにはディナーよりもランチがおすすめ。ビーマル1の作用が弱まる午後2時前後に食べてはどうでしょうか。

ちなみに糖質制限食では炭水化物の制限はありますが、肉の制限はありません。お肉が大好きなら糖質制限食でダイエットするのもおすすめです。

もちろん、脂肪をため込みにくい時間帯だからと言って食べすぎは禁物ですが。

炭水化物、たんばく質、脂質…何を食べても脂肪になる

どうして脂肪は増えるのでしょう?。当然、たくさん食べているからです。とここで、口から摂りいれた食べ物はどのような経路をたどるのでしょうか?

歯で噛み砕かれて唾液で柔らかくなった食べ物は、スルッと数秒で「食道」を通り抜けかゆて「胃」に送り込まれます。胃は、胃液をたくさん出してドロッとした粥状にして、少しずつ「小腸」の「十二指腸」に送り込みます。

十二指腸では、すい臓から「すい液」が、胆のうから「胆汁」が分泌され、それらと混ぜ合わされて、さらに消化・分解が進みます。そして、その先の小腸(「空腸」「回腸」) へ。

ここで、さらに小さく分解され、小腸の壁からほとんどの栄養素が吸収されていきます。小腸で栄養素の吸収が終わった残りカスは「大腸」へと運ばれ、そこで水分が吸収されて、さらに残ったカスと、古くなってはがれ落ちた腸の粘膜、腸内細菌の死骸などがひとかたまりになって便をつくり、最終的に「肛門」から押し出されていく- 。

これが、「消化→吸収→排泄」の流れです。

ところで、何か気になることがありませんか? 食べ物の残りカスが外に出て行くまではわかったけれど、小腸から吸収された大事な栄養素は、その後、どんな経路をたどるのでしょうか。

小腸で吸収される栄養素はどこに入っていくのかと言うと、小腸の表面にある突起の内側を走っている毛細血管とリンパ管です。そして2 とおりの道を通って、全身の細胞に送り届けられます。

まず、糖質やたんばく質、ミネラル、水溶性ビタミンなどは、腸の毛細血管から、「門脈」という血管を通って肝臓へと運ばれ、そこで栄養成分の加工・貯蔵、有害な成分の解毒が行われた後、静脈を通って心臓にいき、心臓から動脈に乗って全身の細胞へと運ばれていきます。

たとえば糖質、つまりど飯やパンなどの炭水化物や甘いものは、分解されて「ブドウ糖」として吸収され、肝臓で「グリコーゲン」という物質に作り替えられて一時的に貯蔵され、いろいろな活動のエネルギー源として利用されます。

ただ、余ったブドウ糖は、脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪になります。たんばく質も、「アミノ酸」に分解されて小腸で吸収され、血液に乗って全身の細胞に運ばれて、体をつくる材料になりますが、余ったものは肝臓に運ばれて、一部はブドウ糖になり、その後は糖質と同じ運命をたどります。

つまり、エネルギーとして使われなかった分は、やっぱり脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪になるのです。

一方、脂質や脂溶性のビタミンは、小腸の壁から吸収されたら、「第3の血管」と言われる「リンパ管」に入って、静脈を経て心臓にいき、その後、動脈に乗って全身の細胞に届けられます。

脂質は、細胞膜の材料などに使われるのですが、余ったものはやっばり脂肪細胞に運ばれて中性脂肪として蓄えられます。ちょっとややこしい説明になりましたが、ここで覚えてほしいことはたった2つです。1つは、小腸で吸収された栄養素は、どんな種類の栄養素も「血管L に入り、「血管』によって、全身の細胞に届けられるということ。

もう1つは、糖質もたんばく質も脂質も、食べすぎて余れば中性脂肪として蓄えられるということです。ですから、なんであろうと食べすぎると、内臓脂肪や、怖いエイリアン脂肪などの異所性脂肪が増えてしまうというわけです。

内臓脂肪を減らす信州長野県産 干しえのき茸の効果と使用感

行き場を失った脂肪が行き着く先は心臓の外側から毒素を送る

皮下脂肪、内臓脂肪に続いて「第3の脂肪」と呼ばれる脂肪があるのです。脂肪は、通常、脂肪細胞のなかにたまります。皮膚の下に集まっている脂肪細胞が皮下脂肪、お腹の部分に集まっている脂肪細胞が内臓脂肪です。

脂肪細胞は、250億~300億個あると言われていて、脂肪が増えると、ひとつひとつの脂肪細胞がパンパンにふくれていきます。それが「太る」ということです。

ところが、もっと脂肪が増えて、皮下脂肪にも内臓脂肪にも入りきらなくなってしまうと、行き場を失った脂肪は、心臓や肝臓、筋肉など、本来はつくはずのないところに居座るようになってしまう。これが、第3の脂肪です。本来いる場所ではないという意味で、「異所性脂肪」と呼ばれます。

異所性脂肪の怖いところは、ただ「いるべきところではない場所にいる」だけではなく、余計な毒素を出して、その臓器にダメージを与えることです。

たとえば、「肝炎」と聞くと、お酒の飲みすぎというイメージがあるかもしれませんが、お酒を飲まない人でも肝炎になることがあります。それを、「非アルコール性脂肪肝炎」と言うのですが、この原因がまさに肝臓についた脂肪です。

肝臓に余計な脂肪がたくさんつくと、肝臓の細胞が弱って死んでしまいます。それを、免疫細胞の1つである「マクロファージ」が取り囲んでパクパクと食べ続けているため、炎症が続き、非アルコール性脂肪肝炎になるのです。

肝炎は放っておくと、肝硬変、肝臓がんと進みます。そのはじまりが、脂肪なのです。

さらに、心臓のまわりについた異所性脂肪は、もっと怖い存在です。まず、心臓に酸素と栄養を送っている冠動脈に、細い血管を伸ばします。

一方で、免疫紳胞の1つである「マクロファージ」から見れば、本来はつかないところに余計な脂肪がついているわけだから、「見慣れない怪しいヤツがいる!」と、毒素を出して脂肪を溶かそうとするのです。

マクロファージは良かれと思ってやっつけようとするわけですが、結果的には、異所性脂肪は、冠動脈へと伸ばした紳い血管からじわりじわりと毒素を送り込んでしまい、冠動脈の老化を進めます。そして、最悪の場合、狭心症や心筋梗塞を起こして突然死を招くのです。

しかも、冠動脈の内側から進行する老化に比べて、冠動脈の外側から毒素を送り込まれることで進行する、こうした老化は、進行が速いとも言われています。背後から急に襲いかかってくる怖い存在- ということで、1エイリアン脂肪L と呼ばれています。

こうした異所性脂肪は、皮下脂肪にも内臓脂肪にも蓄えられなくなったために、本来はつかないはずの場所につくわけですから、よっぽど太っている人につく脂肪なのだろう、とお思いかもしれません。ところが、そうとも言い切れません。

いちばん危ないのは、昔は太っていなかったのに、大人になってから太った人です。昔から太っていた人は、もともと脂肪細胞の数が多く、脂肪を蓄える場所がたくさんあります。脂肪の「棚」がたくさんあるので、休も大きくなりますが、脂肪は一応ちゃんと棚に入っているわけです。

一方で、昔はやせていた人というのは、昔から太っていた人に比べて脂肪細胞の数が少ない。脂肪を蓄える「棚」が少ないので、そこまで太っているようには見えなくても、すぐに容量がいっぱいになって、余計な場所についてしまうのです。それが、肝臓で炎症を起こしたり、エイリアン脂肪となって心臓に毒素を送ったりするというわけです。

内臓脂肪にしても、異所性脂肪にしても、皆さんが思っていた以上に恐ろしい存在だったのではないでしょうか。

これらの脂肪は、つきやすいけれど、取れやすい脂肪です。「どうやったらいなくなるのか」と言えば、やっぱり大事なのは食事と運動です。特に脂肪としてたまりやすい炭水化物を控えることと、脂肪を燃焼してくれる有酸素運動が欠かせません。

肥満、高血糖、高血圧、脂質異常がそろうと突然死のリスクがアップする

内臓脂肪が増えると、血管にとって悪い指令ばかりが増えて、血圧、血糖値が上がり、血液がドロドロになります。なおかつ、脂肪が増えすぎると、脂肪細胞から遊離する脂肪まで出てきてしまい、血液中の中性脂肪が増えてHDL(善玉) コレステロールが減ります。

内臓脂肪が増えると、血管にとっては困ったことばかりが起きます。ところで、ぽっこりお腹(内臓脂肪)、高血圧、高血糖、そして中性脂肪の増加とHDLコレステロールの減少…と言えば、何か思い出すことがありませんか?

そうですメタボ(メタポリックシンドローム)です。
腹囲(おへその高さで測った胴回り)が「男性85 cm以上」「女性90 cm以上」で

  1. 「高血圧(上が130 mmHG以上または、下が85 mmHG以上)」
  2. 「空腹時の高血糖(110 mg/dll以上)」
  3. 「高・中性脂肪( 150 mg/dl)または低・HDLコレステロール( 40 mg/dl未満)」

のうち2つ以上が当てはまると、メタボと診断されます。

メタボの怖さを物語る「3倍の法則」というもの、ど存知ですか?

健康な人に比べて、高血圧の人、高血糖の人、脂質代謝異常(高・中性脂肪や低。HDLコレステロール)の人、肥満の人は、それぞれ3倍、心筋梗塞や脳卒中などの「血管事故」を起こしやすいという法則です。

「3倍」というのはざっくりとした目安ではありますが、いろいろな研究結果から3倍前後高まることは間違いありません。
ということは、「肥満+高血圧+高血糖+脂質代謝異常」がそろうと、「3×3 ×3 ×3 =81 」倍、血管事故が起こりやすいということ。

ちなみに、タバコも3倍ほど血管事故のリスクを上げるので、前述の4つに喫煙が加わると、243倍です。恐ろしい数字です。内臓脂肪が増える(=太る) と、高血圧・高血糖・脂質代謝異常も自ずとついてきやすいわけですから、太るということは、見た目の問題だけではなく、血管事故につながる階段を1段ずつ、いえ、3段飛ばして駆け上がっているようなものです。
突然死について詳細はこちら。

ぽっこりお腹は、見た目以上に血管と全身を老けさせる

30代、40代あたりから油断をすると、つい増えてしまうお腹まわりの脂肪。久しぶりに会った知り合いに「あれ、なんだか貫禄がでてきたねぇ!」なんてやんわりと指摘されて、「そうなんですよぉ」と笑いながらもちょっとショックだったなんてこと、ありませんか?

ぽっこりお腹の正体は、「内臓脂肪」です。女性はもともと女性ホルモンの影響で、「皮下脂肪」のはうがつきやすく、男性に比べて内臓脂肪はつきにくいのですが、年齢が高くなって女性ホルモンが減ってくると、内臓脂肪もつきやすくなってきます。「そういえば、だんだんウェストまわり、下腹が気になってきた」という方、少なくないはずです。

内臓脂肪がたまり、お腹がぽこっと出てくると、見た目がすっかりオジサン、オバサンになってしまいますよね。ところが、この内臓脂肪、見た目だけの問題ではありません。見た目以上に、体のなかでは深刻な問題が進んでいます。

少し前まで脂肪というのは、体温をキープしたり、内臓を正しい位置に保ったり、外からの衝撃を和らげるクッション役であるとしか認識されていませんでした。ところが、余計な脂肪は体にいろいろな悪さをすることが分かってきました。というのは、脂肪は単なるクッションのような存在でほなく、じつはいろいろな物質を分泌して、体にさまざまな指令を出しているのです。

  1. 食欲を抑える「レプチン」
  2. 血液中からブドウ糖の取り込みを促したり(血糖値を下げる)、傷ついた血管を修復する「アディポネクチン」
  3. 血液中からブドウ糖を取り込むのを抑制する「TNF・α」「レジスチン」
  4. 血管を収縮させる「アンジオテンシン」の原料となる「アンジオテンシノーゲン」
  5. 血液をドロドロにする「PAI・1」

これらはすべて脂肪から分泌されているものです。特に内臓脂肪はさかんに指令を出しています。そして、この1~5の物質のなかには、「良いモノ」 と「悪いモノ」がいます。
1と2は食欲を抑えたり、血糖値を下げて血管を修復してくれるのでイイモノ、3~5は逆に血糖値や血圧を上げたり、血液をドロドロにするわけですから、増えてはしくない悪いモノです。ところが、内臓脂肪が増えると、見事にいいモノの分泌は減って、悪いモノらの分泌が増えるのです。

つまり、内臓脂肪型の肥満になると、高血糖、高血圧になりやすくなり、血栓もできやすくなってしまいます。しかも、脂肪が過剰に蓄積されると、「遊離脂肪酸」として血液中に放出されてしまいます。エネルギーとして活用されればいいのですが、活用されない分は、肝臓で中性脂肪やコレステロールに変換されて、また血管に戻ってくるのです。

そうやって、内臓脂肪が増えるのに伴って、血管のなかではブドウ糖も中性脂肪もコレステロールも増えていきます。たとえて言うなら、「使用済みの揚げ油」が排水管を流れているようなものです。当然、排水管(血管)は、詰まりやすく、傷つきやすくなってしまいます。

そんな状態が続いていると、やがて血管はしなやかさを失い、硬くなってしまうのです。さらに、血管の内側にコレステロールがたまっていくと、血液の通り道が狭くなっていき、血流が滞るようになっていきます。これが、「動脈硬化」です。

さらに、血流が滞るということは、全身の37兆個もの細胞に酸素と栄養が十分に運ばれなくなるということですから、全身の細胞が飢餓状態になってしまいます。そうすれば、全身の老化につながることは容易に想像できます。

内臓脂肪が増えると、血液の状態が悪化し、血管が老化し、全身の細胞への酸素と栄養の供給がスムーズにいかなくなり、全身が老化する。「ぽっこりお腹」の陰では、血管と全身の老化が静かに進行しています。

賢い医者の選び方、医者との接し方

医者と向き合う心がまえのようなものを知っていると知っていないでは治療をすすめるときにもきっと大きく役立つでしょう。
「さわらぬ神に崇りなし」と言えば言いすぎでしょうが、医者にかかわることなく人生を送ることができれば、それが一番なのは言うまでもありません。しかし現実には、医者とかかわりをもたなければいけない場面もあるかと思います。
ある時期までは、医者との接し方なんか考えたこともなかった人が大手術のために大病院で入院したり、ガンになって病院のお世話にならなければいけない日が案外簡単にやってきます。

患者にはならない

医者に一切かかるなという意味ではないので勘違いしないでいただきたいと思います。医者にかかる際のみなさんの姿勢を述べているのです。「患者」の立場にまで、自分の身を貶めてはいけない意味なのです。

みなさんが素直に〝患者″」になりきってしまいますと、それはまさに医者の思うツボです。医者は「患者」に接する場合には、安心して医者を演じることができるのです。そして医者は強者、患者は弱者という図式が、どこまでも変わらなくなってしまいます。インフォームド・コンセントや、患者の権利、セカンド・オピニオンと言ったところで、所詮は強者である医者が、強者であることをカムフラージュするための1つの手段にすぎないのです。

医者と患者の立場がはっきりしている限り、医者としての建前が前面に立ちはだかり、まさに医者主導の、建前通りの治療が展開されることになつてしまいます。なぜならば医者にとってはそれが一番慣れているスタイルであり、快適な形ですから。
相手の土俵で相撲を取るのは負けが決まっているようなものです。それは医療現場でも同様です。医者に接するときに、「患者」という立場はすこぶる不利になります。
理想は「友人」そうでなくても最低限「クライアント」という立場を崩してはなりません。そうでなければ、本音の医療はどんどん遠いのいてしまうでしょう。

したがって「先生」「お医者様」「患者」「診てもらう」「治してもらう」「薬をいただく」「お任せします」などという言葉は死語にしてしまうほうがいいのです。

主治医は自分と考える

そもそも、自分の命は自分自身のものなのですから、自分の命の責任は自分自身が持つべきです。このことは、なにも医者に一切かかわることなく、すべて自分で対処しろということではありません。
もちろん専門家である医者を活用することが賢明な場合も多々あるでしょう。医療機器や医療施設のお世話になることも当然あると思います。

しかし、最終決定は自分でするべきだということです。なんでもかんでもすべて医者任せというのは、いただけないことです。
家を購入する際には、住宅メーカー任せという人はいないはずです。自身で情報を集め、ある程度の知識を得る努力をされるのが普通です。

家に限らず、大切な物を購入したり、あるいは人生を左右する重大事を決めたりする場合には、いろいろとアドバイスは受けるかもしれませんが、最終的には自身で決定するはずです。大きな手術や治療が医師任せになってしまうのはおかしいのです。

知識を付けて、自分自身で考える

無知は明らかに寿命を縮めます。たとえば家を購入するとき、予備知識もなく、情報収集することもなく、いきなり住宅メーアーを訪れるということはないはずです。
ある程度の知識、少なくとも質問をする程度の予備知識は持って、業者と接するはずです。まして自分の命にかかわることとなれば、ある程度、病気や健康、心身についての知識を持つことは、自分の命を守るための必須条件だと思います。そういったことに全く無関心ということであれば、それは健康を放棄したことと同じと言えます。家を購入する例で言えば、家を買う資格がないということです。

ただし、情報を数多く入手すればそれでいいということではありません。集めた情報を取捨選択する力も必要です。そのためには科学的なもののとらえ方、論理的な考え方も必要になります。

科学的、論理的という言葉が難しければ、自然な考え方、まともな発想と言い換えてもいいかもしれません。まずは、自分の頭で考えて判断することが大切です。
特に日本人は、他人の頭に頼る傾向が強いようです。テレビ、知り合い、うわさで判断するのではなく、情報を入手したら自分の頭で考えるということです。他人はあなたのためではなく、他人そのものの利益のために考えているだけなのです。

たとえば「肥満症」のところでも触れましたが「今までにない画期的なダイエット! 」というキャッチフレーズを見つけたとしましょう。
もしかしたら、本当にそうなのかもしれません。しかしその確率はどうでしょうか。そこで考えてみるのです。今までに星の数ほど多くのダイエット方法が出現しては消えていった事実。

なぜ今までに決定打がなかったのか、なぜ今回は決定打なのか。星の数ほどあるというそれ自体が、決定打はないことの動かぬ証拠ではないだろうか。そう考えるのが、自然な発想ではないでしょうか。「ここだけのいい話」というのも同じだと思います。おいしい話に釣られる人が意外に多いのには驚きますが、そのようないい話があなたのところにやってくる確率を、まずは考えてみてください。

競馬の予想屋もそうですね。もしもその予想屋が当たるとすれば、2つの理由で矛盾します。1つは、なぜその予想屋がそこにいるのか? 本当に良く当たるなら、その予想屋自身がとうに大金持ちになって、予想屋などしているはずがありません。また、よく当たるのであればレースのオッズが変わってしまうはずですから、あなたの配当金は微々たるものになるはずです。
少し脱線してしまったので元に戻しますが、もしもみなさんが医者にかかって、薬を出されたとしたら、なぜ薬をのむ必要があるのか? その根拠(※エビデンス) は? 効果と副作用は? 副作用で命を落とす確率は?

その他の方法はないのか?のまなければどうなるのか? いつまでのむのか? コストは? 根本的に治るのかどうか? 対症治療にすぎないのかどうか? 医者であれば本当にのむのか? くらいは最低限訊く必要があります。医療相談をしていてがくぜんも、意外に多くの方が、服用している薬の名前すら知らない事実に惇然とします。

なぜなら薬は毒の一種です。副作用は必ずありますし、命を落とす可能性もあるのです。薬をのめと言われて、はいわかりましたと、何も訊かずに素直にのむ神経が、私にはとうてい理解できません。それはまるで、顔も性格も年齢もわからない相手と結婚するようなものだと思います。人生を賭けたギャンブルです。

病院での診察は演技?

病院(医院) をあらためて定義してみますと、「医者と患者が芝居を演じる舞台」ということができると思います。芝居はあくまでも芝居ですから、いくら迫真の演技であったとしても、所詮は虚構の世界です。とどしたがって、病院(医院) とは必要最低限のつき合いに留めるのが賢明です。決して長居をするところでも、ずっと通うところでもありませんし、その必要もないと思います。

医者とは、本来は病院外でつき合いたいものです。そうすればこそ、建前ではなく、初めて本音のつき合いができるのです。
つまり、人間同士のつき合いが始まるのです。少し極端な言い方になりますが、痛院の中だけで医者と会っている限り、みなさんにとって有用なことは何もないと思います。
医者が患者と本音でつき合えるほどの余裕を持つことを、病院という舞台は執拗に拒むのだということを、みなさんにはぜひ知っていただきたいのです。

いい医者と友達になる

自分で病気を治す力を高めるために欠かせないことは、本音でつき合いができるいい医者が身近にいるかどうかです。しかし、先ほどから述べているように、「医者と患者」の関係でいる限り、本音のつき合いはなかなか難しいように思います。

医療現場では、医者はもっばら建前で患者さんと接することになります。とはいっても、3分くらいしか接点はありませんので、打ち解けた関係になるには無理があるのかもしれません。したがって、プライベートでいい医者を見つけておくといいでしょう。

医療相談で、こんな事例がよくあります。主治医は「薬をしっかりとのまなくてはいけない」と言うが、親しい医者に相談してみたら「ここだけの話だけど、この薬は確かに効果は抜群だけど、のみ続けるとがんになる可能性がけっこう高いので、どちらかといえば服用は勧めない」と言われたというのです。ちなみにこの場合、主治医も親しい医者も、いずれも某国公立大学病院の教授です。

ここだけの話にしないでほしいと、いつも思います。そんな場合には、ほとんど「往々にして医者としての意見よりも、友達としての意見のほうが信憑性が高いですよ」と私は答えるのですが、大方の場合はそれで正解です。

医者も人の子。親しい人にはついつい本音で接します。個人的には心根の優しいのが医者の特徴です。場合によっては小心と言うべきこともありますが。

ただ、大学の教授や、大病院の院長や部長ともなれば、立場上なかなか本音でものを言うことがはばかられるのかもしれません。公の発言ともなると、やはり歯切れが悪くなるのは致し方ない部分もありますので、なんとかプライベートでつき合える、いい医者を早く見つけてください。

信用してもいい医者の条件

そうはいっても、本音で話せる医者がすぐに見つかるとは限りません。そこで、医者の友達が見つかるまでの当座は、医者を専門家の1人としてうまく活用すればいいと思います。

ただ、医者に依存しすぎては逆効果です。がん患者さんを対象に医療相談をやっていますと、医者を信用したあまりに死期を早めた方が意外に多いことに驚きます。医者の資質の低下も原因の背景としてあるのかもしれません。しかし、患者さんの方にも自立する気持ちがなければ、自己治癒力がなかなか働かないのかもしれません。

医者を活用する場合に、みなさんが留意しなければいけない焦点は次の2点です。

1つは、その医者がきっちりとカテゴリー分けをしてくれるかどうか。もう1つは、健診結果をきっちりと評価してくれるかどうかでささいす。この2点さえ外さなければ、あとはむしろ些細なことです。

次に健康診断(健診) の受け方を考えてみましょう。健診は漫然と受けるのであれば、意味がありません。何か疾患を想定して、的を絞って受けるのが得策です。その的とは、多くの場合は「がん」ということになりますが、40歳を超えると1年に1 回、健診を受けたほうがいいと思います。健診についてはいろいろな論議があって、受けても意味がないという意見もありますが、がん患者さんの記録を見る限りにおいては有用です。

また、少し乱暴な言い方ですが、がん以外の疾患は、ほとんど手遅れになることはありません。したがって、早期発見をあまり気にしなくてもいいと思います。やはりがんに的を絞って、健診は受けるべきだと思います。
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ただ、健診で重要なことを2つ、付け加えておかねばなりません。lつは、健診は決して万能ではないということ。「健診で大丈夫だったからまったく問題ない」ということではありません。
あくまでも1つの目安です。

2つ目は、健診はあくまでもできるだけ早期に発見するための手段であり、予防の手段ではないということです。健診もうまく活用すれば有用ですが、それよりもやはり、自己治癒力を高める生き方を優先すべきでしょう。

医者に遠慮は禁物!

医者の大方の習性として、どちらかと言えば押しには弱いところがあります。したがって医者にはあまり遠慮せず、どちらかと言えば厚かましく接する方が、結果的には得をする場合が多いと思います。

がん患者さんを見ていると非常によくわかるのですが、積極的で、自己中心的で、少々厚かましいくらいの人の方が、断然予後が良好です。私は日々がん患者さんの医療相談を行なっていますが、患者さんを大きく2つのタイプに分けることができます。

1つは非常に謙虚で、遠慮深く、あまり質問のしてこないタイプ。もう1つのタイプはしつこいくらいに質問を投げかけてくる夕イプ。相談される側としては前者のタイプの方がやりやすいのですが、結果放としてあまり予後がよくないのはつくづく感じさせられるところです。

一方、執拗に何度も質問をしてくるタイプの患者さんは、正直うるさいなと感じることもままありますが、結果的にはコみゅにケーションもより取れることになり、治癒率も高くなるのです。積極的で前向きな姿勢そのものがプラスに作用していることは確かかもしれませんが、えてして有意な情報がそういった押しの強い患者さんに流れやすいという事実もあるように感じます。
また、医者の気もどちらかと言えば押しの強い患者さんの方へ、優先して流れていくような印象を受けます。

受診時には、筆記用具や録音機器を

受診の際にメモすら取らない方も中にはいらっしやいますが、はなはだ疑問に思います。ひょっとすれば命にかかわるかもしれない大事な場面に手ぶらで来るとは、よほどの認識不足と言わざるを得ません。

これは、私だけでなく他の医者もそうだと思いますが、真剣に治そうといなう気が萎えてしまいます。患者さんの其撃な姿勢が、医者の真剣さと感応し、初めて相乗効果をもたらすのだと思います。

もちろん医者から得るものは情報だけではないでしょうが、漏れなく情報を把握するためにも筆記具もしくは録音機器の携行は必須だと思います。また、そういった情報はセカンド・オピ:オンを求めるときにも非常に有効です。そしてそういう真剣な態度を示すことにより、医者の本領も発揮されるのではないかと思います。

治療方法は定期的に見直す

今自分が受けている治療がどのようなもので、どのような意味があるのか、そしてどのような副作用(デメリット)があるのかということは、少なくとも把握しておくべきです。

もちろん、ほとんどの医者は常に全力で患者さんに臨むわけですが、ある誹一定の確率でミスも起こります。また、医者は数多くの患者さんの主治医をしており、把握できる範囲にも限界があります。したがって、すべてを医者任せにするのは非常にリスクがあると言わざるを得ません。

医療相談をしていても、残念ながら、単純なミスや見逃しによって病状が悪化してしまったと思われるケースも少なくないのが現状です。

具体的には、自分の病状や治療内容を把握しておくと同時に、定期的に治療内容を見直す機会を作ることが大切です。たとえば、薬を処方されている場合には、ずっと同じ薬剤を言われるままに服用し続けるのは問題です。時間が経過すれば病状もきっと変化するはずですし、そうであれば処方内容も変えることが必要です。慢性疾患の場合、往々にして同じ処方、同じ治療方法が漫然と続くことがあります。

それは厳密に言えばありえないことなのですが、ついつい見逃されてしまうこともあります。したがって、折に触れ、自分から治療内容の見直しを医者に促すことも必要です。

医者への「お礼」は「虚礼」

少し切り出しにくそうに、「こんなこと訊いていいのかどうか迷ったのですが、周りの方もしていらっしやるようだし 、いくらくらい先生に包んだらいいのでしょうか? よかったら相場を教えてもらえませんか」と、そんな質問を受けることがたまにあります。

「そんなこと、あんまり気にしなくていいですよ。それよりもご自身が治ることを一番に考えましょう」「「別にお礼なんか要らないですよ。病院の待合室や病室にも、お礼はしないようにと、張り紙がしてあるでしょう。どうしてもお礼をしたいのなら、退院のときにでも、2000~3000 円くらいまでで、なにか気のきいたものをプレゼントすればどうですか? 」最近、ほとんどの病院には、あちこちに「お礼はしないでください」と、まるで動物園の「えさをやらないでください」の看板のように、張ってあるのが目に付きます。

まだまだ「お礼」の悪しき風習がしぶとく残っていることの現われだと思います。昭和30年代までは、医療費そのものが公定価格ではなく自費だったので、それぞれの患者さんが自分の収入に応じて、それなりのお礼をしていたこともありました。
その名残の「お礼」だけが習慣として生き残っているのかもしれませんが、結論から言いますと、あまり好ましい風習ではありません。ここで言う「お礼」とは、手術の前などに、こっそりと主治医や執刀医に手渡しする少し高額なお金のことを指します。これとは別に、退院のときなどに感謝の気持ちを表わしたくて、看護スタッフや主治医に自分の好きなものをプレゼントするというのは、全く自然で、何も問題ないと思います。

こそでのお礼は堂々と渡しますので「堂々タイプのお礼」と呼び、前者の袖の下のごとく、こっそりと手渡しするお礼を「こっそりタイプのお礼」と区別しておきます。もちろん、ここでの話は「こっそりタイプのお礼」ですが、それがなぜ好ましくないかを説明しましょう。

理由はいくつかあります。最大の理由は、医者と患者さんの問に、大きな隔たりを作ってしまうことです。たとえば友達とのやりとりを考えてみてください。仮に友達に何かをしてもらったときに、法外なお礼をあらたまってするでしょうか? おそらくそんなよそよそしいことはしないと思います。そのかわり、そう金額ははらないもので、友達が気に入りそうなものを贈るはずです。

もちろん逆の立場でもそうだと思います。したがって、贈る方にとっても、もらう方にとっても、ごく自然なやりとりだと思います。結果として、友達関係はより円滑になることはあっても、悪くなることはないでしょう。もうみなさん、おわかりだと思います。みなさんが、あらたまったお礼を医者にすることは、とりもなおさず、よそよそしさ、水臭さの感情をメッセージとして医者にぶつけていることになり、受け取った医者は当然、それを受け止めますので、以後、そのような関係で振る舞うことになります。患者さんの心のどこかで、自分だけを特別扱いにしてほしいというあざとい気持ちと、みんながやっているのだから自分だけがやらないと、損な扱いを受けるのではないかという不安な気持ちとが、ごちゃまぜになっているのだと思います。

しかし、いずれにしてもそのようなお礼はやはり「虚礼」です。あまり意味がないですし、むしろマイナスかもしれません。

まともな医者ならば、お礼を受け取らないと思いますが、断るやりとりそのものが、気まずさを誘うことになります。また、お金で左右されると思われたことにプライドを傷つけられる医者もいるでしょう。また、私であれば「きっと周りに言われてそうしたのだろうな、無用な気遣いをさせてしまったな」と思うでしょうし、ある医者にとっては、受け取ってかえってプレッシャー になるかもしれません。はたまたお礼をもらうことに慣れっこになっていて、なんとも思わなくなってしまった名医もきっといるでしょう。きずないずれにしても、お礼によって、医者との心の群が深くなることは万が一にもないということです。かえって、よそよそしくなるのが関の山です。

もちろんお礼がなかったからといって、なおざりにする医者もほとんどいないはずです。まれにお礼の有無や金額によって、扱い方を逐一掛酌する医者もいるかもしれませんが、その場合にはぜひご一報いただき、断固糾弾していきましょう。少し話が逸れますが、医者もピンからキリまでいます。卒業したての医者と百戦錬磨のベテランの医者との差、能力・資質の個人差は、厳然とあります。そういったいろいろな医者がいる中で、誰もがいい医者にかかりたいと思うのは当然のことです。そういった希望を踏まえ、患者や医者が、医者を評価するシステムを構築し、その結果を公表し、その評価いかんによっては診療報酬などで何らかのランク分けを行なうことも、考慮する必要があると思います。

さて、話を元に戻します。医者にとっては、患者さんがお礼をくれる「おいしい患者」になるのではなく、心の触れ合いもできる、友達感覚でつき合えるような関係になつてくれた方が、結局は治療もやりやすくなり、治癒率を高めることができるはずです。そういう意味でも、医者へのお礼はしないい方が、医者にとっても患者さんにとっても大きなメリットになるでしょう。

医者の本当の正体は白衣を脱げば小心者、白衣を着れば慢心者

医者にはどんな人間が多いのでしょうか? 実を言うと、今までに同じ質問を数多くの方々に投げかけてきました。その結果、良い悪いは別にして、医者は自分たちとは違う人たちだというイメージを持っている方が多いようなのです。

でもそれは大いなる誤解です。なぜこのような質問をするかと言いますと、良きにつけ悪しきにつけ、みなさんが医者を特別視すればするほど、医療は本音から遠ざかり、建前だけの実効のないものになっていくように感じられてならないからです。みなさんが医者を特別視すればするほど、医者もますます医者を演じなければいけないのです。

つまり、医者は「決して患者になることはない医者」を演じるのです。医者は患者を客観視し、自分が患者になることがないという錯覚に陥ってしまうのです。要は、医者の偽装が常態化してしまうのです。

しかし正体は全く異なります。医者も患者になりえますし、医者が特別に長生きするというデータもありません。あるいは、「医者は聖職」などと誰かが無責任に言うから、みなさんの誤きせん解を招くのです。

聖職などというものがこの世にあるはずもありません。それほど優秀ですばらしい人たちばかりが医者になっているわけではありません。多くの医者は、かつての私も含め、白衣を脱げば小心者、白衣(権威) を着れば慢心者なのです。それは医者に限らず他の職業にも共通するところではないでしょうか。

逆らわず、従わず

昔からよく、「並のバカなら怖くはないが、なまじ権力(学問) を持ったバカほど怖いものはない」と言います。確かにその通りだと思います。

したがってその対処法として、「逆らわず従わず」が最も有効です。これは、もちろん医者に対してもあてはまります。本当に優秀で、人格もすばらしい医者に出会えればそれは幸いです。しかし、それは宝くじに当たるようなものです。

すべての医者が人格者というわけではありません。本当にどうしようもなく頭の堅い医者もいるものです。ただ、こういう輩に対していたずらに喧嘩を売るのは得策ではありません。

まずは、医者から有意な情報やアドバイスを入手できれば、よしとしましょう。うまく持ち上げて医者を活用すればそれでいいと思います。要するに、彼らよりも賢く振る舞うことが重要です。

現代医療を非常識な視点で見る 完全ガイド – メモ(健康・美容)

健康と病気のちょうどその境目について考える

健康とは?病気とは?

現代医療は、ずっと医者にかかり続けなくても治ってしまう、あるいは医者にかかる必要もない、そんな分類の方が、残念ながら数多く病院に押しかけ、いわゆるおいしい患者さんになっているのが現状です。

それでは、そんな分類の方たちが、経営のための医療につきあわなくてもいいようにするには、どうしたらよいのでしょうか。

もちろん自ら治癒する術を知り、それをしっかりと身につければいいのですが、まずその前に、健康と病気との境界をしっかりと把握しておくことが大切だと思います。そもそも健康とはどういう状態を指し、病気はどんな状態を指すのでしょうか?

「健康」「病気」、いずれもみなさんが会話で頻繁に使う、非常になじみのある言葉ではありますが、それだけに意味を聞かれると「?」となってしまうのはどうしてでしょうか?現場で働く医者に訊いても、おそらく的確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

ちなみに、みなさんもよくご存じのWHO(世界保健機関)の定義では、「健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」となっています。

しかし、言葉が抽象的でイマイチわかったようなわからないよう、そんな印象を受けます。

そんな定義はさておき、健康な状態をひらたい言葉で具体的に述べてみれば、「朝の寝覚めがよく、体に痛みや違和感もなく、食事をおいしく摂ることができ、排泄もスムーズで、仕事や勉学への意欲があって、不自由なく活動ができ、人に思いやりを持つことができ、そして夜には穏やかに眠りにつける」ということになるかと思います。

ただ、私たちが日常生活で求められる健康な状態というのは、必ずしも完全無比で、完壁な不動の状態を指すのではないことを、おさえておかなくてはなりません。1つの例です。

私たちの体の中では、毎日がん細胞が発生しているといわれています。しかし私たちは、がん患者ではありません。それはなぜでしょうか。それは発生したがん細胞が、うまく成長することができないからです。つまりがん抑制遺伝子が働いて、正常な細胞にひき戻されるか、そうでなければリンパ球やマクロファージによって、ことごとく処理されてしまうからなのです。そのおかげで、私たちはがん患者になることなく、ことなきを得ているわけなのです。

生体というのは、物質の出入りのない固定した塊ではありません。私たちの体を構成している細胞も原子も分子も、見かけは変わらないようですが、実は常に入れ替わっているのです。

今から1年経っても、私たちの姿形はあまり変わることはないでしょいなう。

私たちの1年前の細胞は、神経細胞などごく一部を除き、もちろん二の腕のだぶつきやおなかのでっばりの原因となっている脂肪細胞も含めて、すべて入れ替わっています。原子や分子レベルの話になれば、完壁にすべてが入れ替わっています。
l年前の私を形作っていた細胞、原子、分子は、今はまったく存在しないのです。常に古い細胞が死んで、新しい細胞が生まれながら、全体としては何も変化していないように見えるだけなのです。

これを恒常性(ホメオスターシス)が保たれていると言います。そしてこの恒常性、あるいは健全性を保とうとする力を「自己治描癒力」と呼んでいるのです。

この「恒常性」は、生物を無生物と区別する1つの大きな特徴でもあります。言い換えれば、「生物(生A叩) は、物質の出入りも何もない固定した存在ではなく、絶え間なく物質が出入りしているという動的な平衡を保った存在」であるという定義も成り立ちます。

つまり生命は、常に細胞(分子や原子も)が入れ替わりながらも、恒常性を保っている不思議な存在なのです。しかも、この恒常性は、実は姿形だけの話ではありません。みなさんの生命維持に直接かかわってくる「機能」においても、恒常性(健全性)を保とうとしています。

たとえば体温がその典型です。夏の暑い日であろうが、冬の寒い日であろうが、私たちの体温はほぼ一定の36.5度に保たれます。それはその温度が生体の運営に最も適した温度だからなのです。そしてこの恒常性が健全に保たれている快適な状態を「健康」と言い換えることができると思います。
いっぼう、「病気(疾病)」というのは恒常性が崩れてしまって、元に戻らなくなっているか、あるいは元に戻りづらくなつた状態だと考えると、わかりやすいと思います。

「末病」を治せば「病気」にならない!

健康に戻るか、病に陥るかの分岐点での対処の仕方が大切です。その分岐点は、中国の伝統医学である「中医」の「未病」というキーワードを理解すれば、わかると思います。

「未病」とは、恒常性が崩れかけていて、そのままほうっておけば完全に崩淵れてしまうような危うい状態を指します。

「未病」を軸に、体の状態を要約してみますと、次のようになります。

  • 状態1 恒常性が健全に保たれている状態(健康)
  • 状態2 恒常性が崩れかけている状態(末病)
  • 状態3 恒常性が崩れ、そのままでは元に戻らなくなっていて、悪化している状態(病気)

ただ、それぞれの間に明確な境界があるわけではなく、連続的に移行しているのが実態です。

中医で「未病」と診断されるのは、検査で明らかな異常がなく、明らかな症状もないが、少し調子の悪い状態で、病気になる前段階の心身の微妙な変化を挿します。この大事な変わり目を早急にとらえ、速やかに改善を図れば未然に発病を阻止することができるのです。つまり病気になることを防ぐことができるのです。

中国には「上工治未病」(上工は未病を治す)という古い言葉があります。「上工」とは本物の医者のことで、本物の医者は発病してからでなく未病の段階で異常を察知し、速やかに対処するものだという意味で、言い得て妙だと思います。

一方、西洋医学では、未病を見過ごし、発病してはじめて治療に取り掛かります。すなわち、検査で異常が発見されるか、明らかな症状が出るようになるまでは病気とは見なしません。治療の対象にもなりません。病気だという明らかな証拠を示さなければ、医者は動いてやらないということなのでしょう。

たとえてみますと、西洋医学は火事が発生してから対処しようという考えです。

その点、中医は火事になってから対処しようというのではなく、火事になりそうな危険な場所をあらかじめ点検したり、燃えそうな建材はあらかじめめ不燃材に交換したりしておこうという考えなのです。Jもちろんいったん火事になってしまえば、とりあえず燃え盛る火の勢いを抑えなくてはいけませんので、西洋医学も必要です。

しかし、それだけでなく火事の防止を考えたり、再発を防いだりすることも非常に大切な考えだと思います。

例えば、がんの場合、いったん発病してしまいますと、治療に多大なエネルギーを要するようになります。したがって、西洋医学のように発病するまで待っていて、発病したら対処しようという考えはあまり得策とは言えません。
中医のように、未病の段階で、微細な異常を的確に察知し、自己治癒力を高めて早く対処しておこうという考えが重要です。「待つ」のが西洋医学とすれば、重篤な病には悠長すぎる考えと言えます。それに対し、事前に対処する中医は「攻め」の考え方と言えるのではないでしょうか。

「中医」の考えは自己治癒力を高めること

「中医」の考えは自己治癒力を高めることで、病気や「未病」を治そうというもので、非常に理にかなった考えです。したがってうまく「中医」を取り入れることは、私たち日本人にとっても有用だと思いますし、むしろ取り入れない手はないと思うくらいです。

ちなみに「中医」と「漢方」とがまったく異なるという事実を、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。江戸時代の末期に蘭方医学(近代西洋医学)が日本に導入された際に、それ以前からあったもともとの医学を「漢方(元をたどれば中国から伝わったものだから)」と称したのが、「漢方」という名のはじまりです。ですから、漢方とは日本の伝統医学を、「中医」とは中国の伝統医学を意味するのです。西洋医学は、特に20世紀にはすばらしい進展を見せました。

抗生物質が発見され、有効なワクチンが次々と開発され、生命を脅かす感染症は激減しました。一方、食をはじめとした生活習慣や生活環境が急速に様変わりガン、心疾患、脳血管疾患、アレルギー疾患、メタポリックシンドローム、膠原病などの慢性疾患が急増しました。

これらの慢性疾患は、西洋医学的な治療法だけでは限界があり、根本治癒も困難です。根本治癒にはどうしても、生活習慣などを是正し、自己治癒力を高めることが不可欠となりますので、心と体を一体としてとらえ、体全体のバランスとリズムを取り戻すことで病を癒すという、心身一如の思想に立脚した東洋医学、特に「中医」の考え方が必須となります。

さらに「中医」には「気」という生命エネルギーの概念も古くからあり、生命を単なる機械、臓器を部品と見なす西洋医学(近代医学)の立場とは異なり、全人的な視野に立って医療を施すところに特長があります。

日本の医療の中に「中医」の考え方を浸透させることが、大きく治癒率を向上させ、患者さんの信頼を取り戻す大きな原動力になりうるはずですし、そうすることが義務ではないかとさえ私は思っています。少なくとも数千年かけて積み上げられてきた先輩医師たちの英知を無視することは、多大な損失だと思いますし、患者さんへの人権侵害だと思います。

最近中国では、西洋医学と中医のいいところをうまく組み合わせた手法を中西医結合医療と呼び、がん治療など慢性疾患の治療の主流になってきています。西洋医学で初期治療を行ない、そのあと中医を用いて養生をしていくという非常に賢明な考え方なのです。ぜひお隣の国のすばらしい英知を、日本にも取り入れるべきだと考え、個人的に学んでいるところです。日本でも、もっともっとポピュラーになればと考えています。

ちなみにがん治療の場合、西洋医学が主流の日本では、手術や抗がん剤治療などの初期治療のあとは、基本的に放置するのみです。生活指導ももちろん、中医を奨めることもありません。ただただ再発・転移を待つのみです。そのためでしょうか、実際に半数の人が再発・転移で亡くなります。積極的に再発・転移を抑えていれば、結果は大きく異なるはずだと思うのですが、いまだに西洋医学一辺倒なのが、日本の悲しいがん医療の現状です。

分かれ道は、健康と病気の境日

では中医のキーワードである「未病」をポイントに、典型的な糖尿病の経過を例にして、健康と病気の境目を述べてみましょう。
みなさんの中にも、きっと甘いものには日がないという方が大勢いらっしゃると思います。その甘党のみなさんが、甘いおまんじゆうを一気にたくさん食べたとしても、あるいはコーラ1リットルを一気に飲み干したとしても、血糖値は一時的にはかなり高くなりますが、数時間以内には、元の値に戻ります。

それは、膵臓のβ 細胞が分泌するインスリンというホルモンの働きによって、血糖値がうまくコントロールされるからです。要は体の中で、恒常性を保つ機能が健全に働いているからだと言えます。これは「青信号」と言えます。

しかし、その後、みなさんが忙しさにかまけて運動をあまりしなくなったり、過度にストレスのある生活が続いたりすると、どうなるでしょうか。内臓脂肪が多くなると、だんだんと恒常性を保つ能力である「自己治癒力」が小さくなり、血糖値がなかなか元に戻らない状態になります。この、恒常性を保つ能力が小さくなった状態、あるいは元に戻る力が低下した状態を、「未病」と言います状態は。「黄信号」です。

この状態は、実は非常に大切な時期なのです。まさに運命の分岐点とも言うべき時期です。しかし、みなさんも、そして残念ながら医者も、それほどこの分岐点を注目していません。

さて、のこの時点で、みなさんが健康診断を受けると、おそらく空腹時の血糖値126 mg/dl 以上でしょう。是非はともかく、現在の基準値では125 mg/dlまでが正常、126 mg/dlからは異常とされているため、はれて「糖尿病」というお墨付きをいただくことになります。堂々と血糖降下剤といわれる謎の薬の処方がいただけるようになるのです。そして、ちゃんと薬をのまないと「目が見えなくなってしまう」「腎不全になって透析を受けないといけない状態になってしまう」「足の先がなくなってしまう」と散々脅されJることになります。

みなさんは不安になって、薬局へ急いで駆け込むことになり、素直に血糖降下剤をのみはじめることになります。そこから道は、大きく2つに分かれます。まさに分岐点です。

1つ日は、あまり事態を深く考えずに、素直に薬をのみ続ける道です。非常に楽な選択のように見えます。なぜなら、薬をのむだけで済むわけですから。薬をのむと最初のうちは容易に血糖値が下がりますので、みなさんは治ったのではないかと錯覚してしまいます。ついつい油断して、食生活の是正や運動習慣の取り入れなどの話は、完全に忘却のかなたにいってしまいます。つまり薬さえのんでいれば、節制などくそ食らえという、大きな気持ちにとらわれてしまうのです。

薬を素直にのんでも、それは対症治療にすぎません。膵臓β 細胞からのインスリンが増量するわけではありません。むしろ逆でインスリン量は減量していきます。血糖降下剤を服用することによって、治る方向とはまったく正反対の方向に進んでしまうのです。

それはどうしてかと言いますと、血糖降下剤を服用することによって、インスリンを分泌するβ 細胞はいよいよ仕事をサボるようになっていくからです。賢明な私たちの体は、合理的に物事を判断しますので、きっとこう考えるはずです。

血糖降下剤がちゃんと血糖値を下げてくれるのだから、何も自分たちが一生懸命努力して元のように仕事をしなくてもいいのではないかと。確かにそれは合理的です。しかし、物事はそう甘くは続かないのです。本来ならば運動や食習慣の是正、ストレス対処などをうまくやりこなすことで自己治癒力を高め、インスリンの分泌能、もしくはインスリンの感受性を改善させなければいけないところを、まったく逆のことをやっているわけです。
いくら薬をのみ続けても、治るどころかどんどん悪くなるのが道理です。やがては血糖降下剤もあまり効かなくなり、合併症も出てきて、遅かれ7早かれインスリンの注射を受け続けることになります。そしてついには、目が見えなくなったり、腎不全になって透析をしなくてはいけなくなったり、足を切断しなくてはならなくなったりと、坂道を転げ落ちていくような悲惨な状況になってしまいます。

つまり、赤信号状態に進むのです。さて、分岐点で2つ目の道を選択するとどうなるでしょうか。つまり、安易に医者に頼る前に、まず自己治癒力を高めることをいつも意識して、今までの生活習慣をうまく変えていくことに努めるのです。

少し時間はかかるかもしれませんが、確実に、いずれ「状態1」に戻るでしょう。これは決して医者に行くなというのではなく、医者に頼る前に「未病」であるかを自ら確認し、仮にそうであれば、努力をして生活習慣や考え方を是正してみることが非常に大切だということなのです。

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うつ病早期発見のために

うつ病のサインに気づく

うつ病と思わせるサインのようなものがあります。そのサインに気づいたら、なるべく早く専門医に相談することが、早期治療・早期回復につながります。
うつ病の症状は多様で、しかも似たような症状をあらわすほかの病気もありますので、うつ病かどうかの判断はそれほど容易なことではありません。

まして、それまでうつ病についてほとんど予備知識のない人(家族)が早期発見をするのはかなりむずかしいことです。
そこで、ここではうつ病のサインにはどのようなものがあるのか、もう少し具体的にみていきます。
サインは、「これまでとくらべて、どうも調子がおかしい」ということに気づくことが基本になります。
以前に比べて

  • よくとりこし苦労するようになった
  • 過去にしてしまったことを、「とり返しがつかない」と、いつまでもくよくよ後悔するようになった
  • 自分は不必要な人間だと感じるようになった
  • 特に男性の場合は、セックスに興味がなくなった

というようなこともサインとなります。次に、家族やまわりの人たちが気づくサインとしては次のようなものがあります。
以前に比べて

  • 元気がなくなった
  • 何をするにも億劫に見える
  • 口数が減った
  • ゴルフや映画鑑賞、旅行など好きだった趣味に興味がなくなった
  • 仕事が遅くなったりミスが目立つようになった
  • タバコの酒の量が減ったり、増えたりしている
  • 主婦の場合、料理や掃除洗濯な家事をするのが億劫そう
  • 女性の場合、服装や化粧に関心がなくなった

これらはほんの一例です。自分自身で気づくにしても、また家族が気づくにしても、こうしたことは日常的にはそれほど珍しいことでもないため、つい見すごしてしまいがちです。

判断は、長く続いているかどうかです。要は、「いつもとちょっと違う」ということに早く気づくことなのです。「これまでと何か違う。しかも、その違いの程度も強いし、それがいつまでも続いている」と感じたら、早めに専門医に相談する必要があります。

専門医の受診が遅れてしまうと

早期発見のためには、できるだけ早くうつ病のサインに気づくことが肝心であると述べました。ところが、せっかくこうしたサインに気づきながら、受診が遅れてしまうケースがあります。

ひとつは、精神科を訪れることに対して、いまだに抵抗感がある人の場合です。心の病気についてはメディアでもよくとり上げられ、偏見や誤解があまりなくなってきたおかげで、一般の人々の精神科に対する抵抗感はかなり薄くなったといわれます。しかし、それでもまだまだ精神科には行きづらいと思う人は多いようです。

本人も家族も、せっかくうつ痛のサインに気づいていながら、なかなか病院に行く気になれず、ぐずぐずしているうちに症状が重くなってしまうことがあるのです。また、本人が「どうも、おっくうだ」とか「どうも、このごろ憂うつだ」と心の変調を感じていても、家族やまわりの人が「たいしたことはない」「気のせいだ」と勝手に決めつけてしまう例もあります。

たしかに、だれでもこうした気分になることはよくあることなので、家族がそう思ってもしかたがないかもしれません。まして、家族にそれまで心の病気になつた人がいなければ、経験も知識もありませんから、まさか精神面の病気だとは気づかないのです。

そうしたケースとして、産後うつ病があります。女性が出産をきっかけに発症するうつ病を産媒僚期うつ病といいますが、夫や家族は産婦のいつもと違う様子に気がついても、「お産という大役をしたあとなのだから、疲れて元気がなくなるのはあたりまえ」と考えて、まさかうつ病などとは思わないことがあるのです。
産後うつについてはこちら

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別の病気だと勘違いしてしまう

更年期障害の場合も、この障害についてはよく知られていますから、うつ病のサインがあらわれていても、「それも更年期障害のせいだろう」と考えて、専門医にかかるのが遅れてしまうケースがしばしばあります。

同様に、「仮面うつ病」では体の症状が前面に出ますから、どうしても体の症状ばかりが気になり、結果として精神科の医師にみてもらうことが遅くなって症状を悪化させてしまう例が少なくありません。また、神経症と軽症うつ病の症状は非常によく似ています。

このため、本人に元気がなくなっても、「単なるノイローゼだろう」と軽く考えて、受診が遅れてしまうこともあります。もちろん神経症であっても、きちんとみてもらう必要があるわけですが、ノイローゼというと軽くみられる風潮もあって、専門医にみてもらう機会を逸してしまうことが多いのです。
女性特有のうつの症状

うつ病は心だけでなく、 体全体の病気である なまけているように見える場合も…正しい知識を

うつ病というと、心の変調ばかりに目がいきがちですが、その症状のあらわれ方は実にさまざまです。まず、うつ病の症状の全体像もとても重要です。

「うつ病は心の風邪」という意味について

最近、どうも調子が出ない。何をやろうとしてもおっくうで、「よし、やろう」という気力が出ない。気分が落ち込んで、いやなことばか暑えてしまう。もしかすると、うつ病かもしれない、うつ病は、テレビや雑誌、新聞、書籍、さらにはインターネットなど、さまざまなメディアでとり上げられるようになって、かなりよく知られた病気になっています。

それだけに、ちょっと心の調子が悪いと、もしかすると自分はうつ病かもしれないと考える人がふえてもおかしくはありません。最近、うつ病について語られるとき、たびたび使われるのが「うつ病は心のカゼ」とい、言葉です。

その意味は、うつ病はカゼのように、だれもがかかる可能性のある、ごくありふれた病気だということです。つまり、うつ病は特別な病気というわけではなく、カゼのようにごく身近な病気であるとともに、多くの人がかかる病気であるということを言おうとしているわけです。

ところが、「カゼ」という言葉から、まるで別の意味に解釈してしまう人がいます。「カゼぐらいだったら、たいした病気ではないのだ」と軽く考えてしまうのですが、それはまちがいです。たしかにカゼであれば、市販の薬を飲めば治ることもありますが、だからといつて、カゼをばかにしてはいけません。

「カゼは万病のもと」といわれるように、軽くみてはいけないのです。まして、うつ病はけっして放置しておいてよい病気ではありません。うつ病を軽くみて、治療をおろそかにしていると、さらに重症化したり、ときには自殺に至る、非常にこわい病気であることをまず知っておく必要があります。

心と体に症状があらわれる

うつ病の症状は精神面ばかりでなく、体の面でもさまざまなあらわれ方をします。つまり、うつ病は心と体、つまり体全体の病気なのです。やっかいなことに、精神面の症状は、目には見えないこともあり、なかなかわかりにくいところがあります。
まわりの人はもちろんのこと、軽い場合などでは自分自身でもうつ病と気づかないこともあります。まず、うつ病の症状の特徴をざっとみてみます。

典型的な症状としてよくいわれるのが、気分の落ち込み、疲労、食欲不振などです。
気分としては、

  • 憂うつ
  • 気分が晴れない
  • 気分がふさぐ
  • 悲しい
  • ツライ
  • 苦しい

などという感じが、長く続きます。こうした気分に、不安が重なったり、眠れなかったり、また性欲がなくなったりもします。体調としては、

  • だるい
  • 下痢
  • 食欲がない
  • 頭痛
  • 肩こり

などがみられます。これだけみても、うつ病の症状は実にさまざまであることがわかると思います。しかも、これらの症状は日常の中でだれもが経験することばかりです。それだけに本人はもとより、家族などまわりの人たちもうつ病と疑わずについ見過ごしてしまう場合もあります。

生活のリズムに変調をきたす

日常生活のリズムの中で基本となるのは、睡眠と食事です。うつ病になると、これら基本的な生活にも大きな影響を与えます。うつ病の症状として、最も大きな特徴にといわれるのが、いわゆる「日内変動」です。

うつ病の人の気分は、1日中同じ状態というわけではありません。一般的には、朝方に気分がとても悪く、夕方から夜にかけて調子がよくなっていくという傾向がみられます。これを日内変動といいます。

このことから、うつ病の診断でも、この日内変動があるかどうかがひとつの目安となります。朝の落ち込み方が激しいため、寝床からなかなか出られず、洗面や歯磨きはもとより、新聞を読んだり、テレビを見ることすらおっくうになります。気力や意欲もあまりありませんので、学校や会社に行くことができないこともあります。それが夕方から夜になるにつれて、少しずつ改善されていきます。

症状のもうひとつの大きな特徴として、「不眠」があります。不眠にはさまざまなタイプがありますが、うつ病では「早朝覚醒」といって、かなり早い時間に目が覚めてしまいます。早朝といっても、深夜に近い午前3時とか4時に日が覚めます。

熟睡したために、そんな時間に目が覚めてしまうことはよくありますが、うつ病の人はよく眠れていないにもかかわらず、早く目が覚めてしまうのです。しかも、再度、眠ろうとしてもできません。目が覚めたとたんに、頭の中に次から次へといやなことや悪いことばかりが浮かんできてしまうためです。いやな考えがどんどんふくらんでいって、さらに落ち込んでいきます。そのため、ふとんの中で悶々とすることになります。

こうしたことから、うつ病の人の朝の気分は最悪となってしまうのです。食欲がなくなり、その結果、体重も減っていきます。それとともに、うつ病では消化器系、循環器系、呼吸器系、泌尿器系など、体のいたるところに不調が出てきます。

周囲からはなまけているように見えてしまう

うつ病の人は、このように心と体にさまざまな症状が出ます。

しかも、その多くはうつ病ではない人でも日常生活の中でよく経験することです。このため、まわりの人たちは自分の経験をもとにして、うつ病の人をみてしまいがちです。うつ病の人の症状は、一見さぼっていたり、なまけているようにみえます。
家族でさえ、「ぐずぐずしないで」と文句のひとつも言いたくなるほどです。

たとえば、「よくため息をつく」「ごろごろ寝てばかりいる」「やらなければいけないことを、少しもやらない」「仕事や勉強をなまけている」というようにみえてしまうのです。しかし、家族やまわりの人がまずいちばんに注意しなければいけないのは、うつ病の人の様子をみて、なまけていると誤解してはいけないということです。このような誤解は、うつ病の症状をよく知らないために起こってしまうものです

5分間セロトニントレーニング

脳を動かす冷静な覚醒

私たちの身体は、身体の内外で感じたことをすべて情報としていったん脳に集めます。脳はその情報を判断し、それに対してどういう行動(アクション)をとるのか、身体の各部署に情報を伝達しています。こうした「情報の通り道」になっているのが、神経です。

神経は神経細胞の集合ですが、細胞同士はぴったりとつながっているわけではなく、ほんの少しだけ間隔を空けながら連携しています。その神経細胞同士の隙間を移動し、情報を伝えているのが、「神経伝達物質」です。

例えるなら神経細胞はリレーの走者、神経伝達物質はバトンのようなものです。神経細胞には、「軸索」と「樹状突起」と呼ばれる2種類の突起があります。この突起が互いに手を伸ばし合うようにして神経細胞は「神経」を構成しています。
これらの突起は、それぞれ働きが違います。樹状突起は情報の取り込み口、軸索は情報の出力口です。

つまり、樹状突起から情報を受け取った神経細胞は、インパルスと呼ばれる電気信号を使い軸索の末端までその情報を伝え、そして軸索の先端にインパルスが到達すると、そこから神経伝達物質が放出され、次の神経に情報が伝わるのです。

この神経細胞同士の接合部分を「シナプス」といいます。これが、一般的な神経の構造と働きです。普通の神経は、1つの情報に対して1つの信号を発し、次の情報が来るまで自分からは何もしません。

ところが、セロトニン神経は、他の神経から刺激がなくても、規則的にインパルスを出すという通常の神経にはない性質を持っています。そのインパルスは、他の神経からの刺激とは関係なく、自立的に一定のリズムで発せられ続けます。そんな他の神経の影響を受けないセロトニン神経の活動に、規則性を与えているのが、睡眠と覚醒のサイクルです。

セロトニン 神経は、目覚めている間、つまり脳が覚醒している間は、1秒間に2~3回の間隔でインパルスを出し続けています。
しかし眠ると、その頻度はまばらでグッと少なくなります。さらに、レム睡眠という深い眠りに入ると、インパルスはまったく出なくなります。そして、朝になり再び目覚めると、またもとの1秒間に2~3回という規則的なインパルスに戻るのです。

セロトニン神経は、脳幹の縫線核という部分から脳全体に軸索を張りめぐらせています。そして、起きている間はずっと、一定の頻度でインパルスを送り続けます。そのため、セロトニン神経からは、起きている間はずっと一定量のセロトニンが放出され続け、脳内のセロトニン濃度が一定に保たれるということになります。

セロトニンは、脳に「クールな覚醒(静かな覚醒)」をもたらすので、セロトニンがある程度出続けている間、脳は覚醒し続けます。そして眠るとインパルスの頻度がまばらになり、それに伴って脳内のセロトニン量が減り、覚醒状態も失われるというわけです。

こうしたセロトニン神経の働きは、ちょうど車のエンジンのアイドリングとよく似ています。車はエンジンをかけると、低速で規則的なエンジン回転が始まります。脳も目覚めると、セロトニン神経が低速度で規則的なインパルスを出し続けます。

私たちは、よく寝起きがいい日と悪い日がありますが、実はこの「寝起きがいい」という状態は、覚醒してすぐから、セロトニン神経のインパルスが規則正しく発せられている状態のことなのです。目覚めとともに、脳がセロトニン神経の働きによって、クールな覚醒状態にスムーズに移行した状態、それが私たちが感じる「爽快な目覚め」です。

反対に目覚めが悪いというのは、セロトニン神経の働きが低下し、インパルスが規則的に出ていない状態です。これは、エンジンでいえば、アイドリングが安定せず、すぐにエンストしてしまうような状態です。アイドリングが安定しなければ、快適なドライブができないように、脳もセロトニン神経のインパルスが安定しないときちんと働くことはできません。そうならかいためにも、普段からセロトニン神経を鍛え、活性化させておくことが大切なのです。

心身を健康にする「5つの働き」とは

セロトニン神経の役割というと、「うつに効く物質」にすぐに結びつけてしまう人がいますが、それは大きな間違いです。また、セロトニン神経が活性化すると、クールな覚醒や平常心がもたらされると言いましたが、セロトニン神経の機能は、決してそれだけではありません。

ここでセロトニン神経の働きをまとめておきましょう。セロトニン神経には、全部で5つの機能があります。

  1. クールな覚醒
  2. 平常心の維持
  3. 交感神経の適度な興奮
  4. 痛みの軽減
  5. よい姿勢の維持

1つ目の「クールな覚醒」は、大脳皮質の活動を適度に抑えながら、その働きを高いレベルで維持するという、人間の脳にとって理想的な覚醒状態をもたらす働きです。すでに触れましたが、この働きは、脳の中のセロトニン濃度が一定のレベル以上に保たれることによってもたらされます。

2つ日の「平常心の維持」というのは、心の状態を整える機能です。セロトニン神経は、ノルアドレナリン神経とドーパミン神経という、ときには暴走してしまう2つの神経に働きかけ、暴走を抑え適度な興奮状態にとどめることができます。
そのため、セロトニン神経がきちんと働いていれば、精神的なストレスのコントロールがしやすくなり、多少のストレスがあっても、それに負けてイライラしたり、キレやすくなったりすることもなければ、逆に嬉しいことがあっても、はしゃぎすぎたり舞い上がってしまうこともなくなります。もちろんつらいことはつらいし、嬉しいことは嬉しいと感じているのですが、そうした自分を冷静にコントロールできている状態が「平常心」です。

こうした平常心の大切さは、アスリートの人たちを見ていると痛感させられます。スポーツにはミスがつきものです。
たとえば野球のピッチャーが配球を間違えてヒットを打たれたとしましょう。そこで動揺してしまったら、その後、いい球を投げることは難しくなってしまいます。でも、失敗は失敗と理解して、心を落ち着かせることができれば、自分の投球を取り戻し、失敗を挽回することができます。冷静な判断が重要です。

平常心というのは、適度な緊張をもって、その人の能力を最も発揮させることができる心の状態なのです。

3つ目は、「交感神経の適度な興奮」です。私たちの身体は「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律した神経の働きによって支えられています。自律神経というのは、私たちの意志とは関係なく働いてくれる神経です。

たとえば、私たちの身体はものを食べると、消化器官が勝手に消化し、勝手に栄養を吸収してくれます。私たちはこれを意識的に行うことも、意識的に止めることもできません。こうした意識的にコントロールできない働きを行ってくれているのが自律神経です。

この自律神経も、セロトニン神経と同じように睡眠と覚醒のサイクルに合わせて変動します。覚醒しているときは交感神経が優位に働き、眠ると副交感神経が優位に働くようになるのです。副交感神経から交感神経へのスイッチングには、セロトニン神経の規則的なインパルスが重要な働きをします。

そのため、セロトニン神経が弱まりインパルスに乱れが出ると、自律神経のスイッチングにも乱れが生じ、自律神経失調症になってしまうのです。そうなると、めまいや立ちくらみが生じたり、体の一部が震えるなどの症状が出ることもあります。
自律神経失調症に分類される13の症状と病気

ここで注目すべきところは、セロトニンが交感神経を「適度に」興奮させるという点です。交感神経が非常に強く活性化した状態というのは、簡単に言うと「ストレス状態」です。
たとえば、激しい運動をしているときや精神的に興奮したとき、私たちは心拍数が1分間に120~180ぐらいにまで上昇します。いわゆるドキドキした状態です。これが、交感神経が強く活性化した状態ですが、心身にストレスが加わった状態であることがその心拍数から充分におわかりいただけると思います。
では、適度な興奮状態とはどのようなものなのでしょう。そのよい例が、スッキリとした朝の目覚めの状態です。寝ているとき、私たちの心拍数は1分間に50回程度しかありません。

それが目覚めると、70~80回ぐらいまで上昇します。明らかに交感神経が興奮しているのですが、それは運動したときのような激しい興奮ではありません。穏やかだけど、活動する準備の整った状態、それが交感神経の「適度」な興奮です。

4つ目の機能は「痛みの軽減」です。実はセロトニンというのは、脳内で鎮痛剤の役目を果たすのです。普段私たちは痛みを、身体のさまざまな部分で感じているように思っていますが、実は痛みを感じているのは「脳」なのです。

歯の治療をするときなど痛みをなくすために麻酔薬が使われますが、あれは、その部分の神経を一時的に薬で麻痺させて、脳に痛みの情報が伝わらないようにするので痛みが感じられなくなるのです。
でも、セロトニン神経を活性化させると痛みが軽減されるのは、神経が麻痺するからではありません。

そのため、痛みがあることは明確に認知されます。痛みはあるのですが、それほどつらくは感じないですむ、というのがセロトニン神経による痛みの軽減の特徴です。こうしたことが起きるのは、セロトニンを活性化させることによって「痛みの伝導」を抑えることができるからだと考えられます。

つまり、ストレスによる神経の伝導をセロトニンが抑制してくれるために、一定の痛みに対しても、それほどつらさを感じなくなるというわけです。そのため、身体的ストレスのコントロールがずっとしやすくなるのです。

大したケガでもないのにひどく痛みを感じたり、自分は他の人より痛みに弱いのではないかと思う人は、セロトニン神経が弱っている可能性があります。普段からセロトニン神経の活性化を心がけるようにしてください。

最後の5つ目の機能は、「よい姿勢の維持」ができるようになるということです。セロトニン神経は、「抗重力筋」につながる運動神経に直接、軸索を伸ばし刺激を与えています。抗重力筋というのは、姿勢を維持するのに重要な、文字通り重力に逆らって働く筋肉です。

首筋、背骨の周りを支える筋肉や下肢の筋肉、そしてまぶたや顔の筋肉も抗重力筋に含まれます。しかん抗重力筋は、寝ているときは弛緩して休み、目覚めると持続的に収縮を続け、姿勢を整えるとともに引き締まった表情をつくり出します。

セロトニン神経が弱ると、抗重力筋の緊張も弱まるので、きちんとした姿勢を維持するのがつらく感じられ、ついついゴロゴロしてしまうことが多くなります。また、表情も目元に力がなくなり、何となくダラッとした印象になってしまいます。

このように、セロトニン神経の働きは、私たちの心身に多くの影響を及ぼします。セロトニン神経が活性化していれば、頭がクリアになり、元気がみなぎり、心は安定し、ストレスや痛みに強く、姿勢も表情も引き締まるのですから、いいことずくめです。
反対にセロトニン神経が弱ると、これとまったく逆の症状が表れるので、仕事はもちろん生活のクオリティまで下がってしまいます。その上、心の病気にもなりやすくたたなるのですから、まさに弱り目に崇り目です。

セロトニン神経の活性は、抗ストレス能力の1つですが、単にストレスに強くなるだけではなく、あなたの人生のクオリティを上げることにもつながるものなので、ぜひ生活の中に取り入れていただきたいと思います。

セロトニン神経とストレスの関係性

セロトニン神経は、それ自体は直接ストレスの影響は受けません。ストレスがあろうがなかろうが、関係なく一定のリズムでインパルスを送り続けます。しかし、セロトニン神経の「機能」はストレスによって低下してしまうのです。

なぜこのようなことが起こりうるのでしょうか。セロトニン神経は日々の食事から吸収した「トリプトファン」を材料にセロトニンを合成します。そして、軸索の末端(神経終末)から放出し、その放出されたセロトニンは、受け手の神経細胞にある「セロトニン受容体」に結合し、受け手の神経を抑圧したり興奮させたりします。

このとき、セロトニン受容体に結合するセロトニンの量が多ければ影響は強く、少なければ弱く表れます。セロトニンはインパルスの頻度に合わせて放出されるので、インパルスの頻度が高ければ、分泌されるセロトニンの量は多く、頻度が低ければセロトニンの畳も少なくなります。

では放出されたセロトニンの中で、セロトニン受容体に結合しなかったものはどうなるのでしょう。実は、あまったセロトニンは、「セロトニントランスポーター」という運撒役によって、もとのセロトニン神経の末端にある再取り込み口から吸収され、リサイクルされるのです。

一定の頻度でセロトニンを放出し続けるセロトニン神経には、自分の働きを自分で点検し、ちょうどよい状態に整える「自己点検回路」というものがあります。セロトニン神経の軸索は、途中から何本にも枝分かれしてさまざまな標的神経につながっているのですが、

その中の1本がぐるりと細胞に戻り、「自己受容体」につながっています。ここで自分が出しているセロトニンの量を把撞し、多すぎれば抑制し、少なければ多く出すようになっているのです。さて、ストレスはこうした構造のどこに影響を与えるのかというと、セロトニンの分泌土そのものに作用するのです。

ストレスを受けるとストレス中枢である視床下部・室傍核に刺激を与えます。その結果、縫線核を経由してセロトニン神経のインパルス発生を低下させてしまい、セロトニン量そのものを減少させてしまうのです。
つまり、ストレスが溜まり、ストレス経路が動き出し、ストレス中枢の室傍核が刺激されると、それによってセロトニンの分泌そのものが阻害され、慢性的なセロトニン不足が生じ、セロトニン神経の機能が低下してしまう、ということなのです。

なぜセロトニンが不足するとうつ病になるのか

慢性的なセロトニン不足が続くと、標的神経にも変化が表れます。不足しているセロトニンをもっと多く受け取るために、セロトニン受容体の数を増やしてしまうのです。しかし、いくら受容体を増やしてもセロトニンの量がもともと不足しているのです。残念ながら効果は上がりません。

こうして脳内のセロトニン量が慢性的に不足することによって、脳の活動が全体的に低下し、その結果「うつ病」を引き起こしてしまうのです。
うつ病と脳内セロトニン濃度の低下が関係していることは、うつ病で自殺した人の解剖結果からも明らかになっています。誤解がないように言っておきますが、すべてのうつ病がセロトニンの不足によって生じるわけではありません。
うつ病の原因はさまざまです。うつ病でよく見られる9つの症状

うつ病には、もともとの遺伝子の問題からセロトニン不足が生じて発症する先天的なうつ病と、生活習慣などからセロトニン不足が生じて発症する後天的なうつ病の、2種頬があります。
先天的なものは家系的に発症者が多かったり、うつ状態と操状態が繰り返されるなど、特有の症状が見られます。

セロトニン不足によって生じるものは、最近増加傾向にある「心の風邪」といわれるような、比較的軽いうつ病です。現在の日本で、こうした軽いうつ病を患っている人の数は、約300万人といわれています。潜在的にはもう少し多いのかもしれません。

現在の日本の人口は約1億2000万人なので、100人いれば2人ぐらいはうつ病の人がいるということになります。でも、人によっては、600万人という数字を掲げている人もいるぐらいですから、実際にはもっと多いのかもしれません。でも、
これは本当に最近のことです。50年前はどうだったかというと、いなかったとは言いませんが、これほど多くの人が発症することなどありませんでした。それこそ、戦時中などは、衣・食・住あらゆる面においてストレスはかなり大きかったはずですが、それでもうつ病が問題になったことなど、まずありませんでした。

今、増加しているうつ病は、不規則な生活やコンピューター浸けの生活など、現代生活特有の問題に起因しています。つまり、うつ病は生活習慣病と考えられるのです。しかし、生活習慣病であるということは、生活習慣を改善しさえすれば病気はちゃんと回復するということでもあるのです。
どのように治っていくのか

現在、うつ病の治療によく用いられる薬に、SSRIというものがあります。
セロトニン濃度を高めるSSRI – うつ病

SSRIというのは、「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」といって、セロトニントランスポーターの働きを抑える薬です。先に受容体に結合しなかったセロトニンは、セロトニントランスポーターによって再取り込み口に運ばれると述べましたが、実はセロトニン神経の末端の他にもセロトニントランスポーターは存在しています。

それは、脳の血管内皮です。この血管にあるセロトニントランスポーターによって、余分なセロトニンは血管の中に取り込まれ、最終的には尿として排泄されてしまいます。SSRIを用いると、セロトニンの再取り込みと同時に脳血管への流出が抑えられるので、受容体と結合しなかったセロトニンは、軸索の先端と標的神経の間の空間に漂い続けることになります。

なぜこれによってうつ病の症状が改善するのかというと、隙間にとどまるセロトニンが増えることで、脳内のセロトニン濃度が高くなるからです。でも、これは見せかけの改善でしかありません。なぜなら、セロトニンを放出するインパルスの頻度は、低いままだからです。

うつ病を根本的に改善するためには、セロトニン神経のインパルスの頻度を高め、セロトニンの放出量そのものを増やすことが必要です。そのためにはセロトニン神経を活性化させるよう生活習慣を改善するとともに、リズム運動を積極的に行うことが必要なのです。もちろんうつ病治療には、それぞれの患者の状態によって薬の処方が必要なケースもあるので専門医の治療を受けることが必要ですが、その場合でも生活習慣の改善を併用することはよい結果につながります。
そして、うつ病自体が軽いものであれば、薬に頼らなくても、生活習慣の改善とリズム運動だけで充分回復させることができると考えています。
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セロトニン神経を鍛えることで「遺伝子」も変わる

セロトニン神経を「鍛える」といっても、いったい何ができるのでしょうか。理想的なのは、標的神経の受容体の数が少なく、そこに充分な量のセロトニンが結合し、刺激が強く伝わるという状態です。「鍛える」といって一番イメージしやすいのは、筋肉を鍛える場合でしょう。

毎日、筋肉に適度な負荷を与える運動を続けると、筋肉は見た目でもわかるほど太くたくましいものに変化します。これは日々のトレーニングによって、筋肉の構造自体が変化した結果です。つまり、「鍛える」とは「構造を変える」ということなのです。

でも、神経の構造を変えることなどできるのか、と疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。神経の構造を変えられるのはセロトニン神経など、限られた神経だけなのです。そういう意味でも、セロトニン神経は特殊な神経といえるでしょう。

セロトニン神経が構造を変えることができるのは、「自己点検」の回路を持っているからだと考えられます。構造を変化させるうえで重要なのが、自己点検回路の中の「自己受容体」です。セロトニン神経は、この自己受容体に結合するセロトニンの量を感知することで、「そんなに出さなくていいな」とか「もっと出さなきや」という判断をし、インパルスの頻度を調節しています。

この回路があるからこそ、セロトニン神経はドーパミン神経やノルアドレナリン神経のように暴走することがないのです。でも暴走しないということは、別の見方をすれば、せっかくセロトニンの量を増やそうと刺激を与えても、簡単には増やすことができないということです。増えると自己抑制機能が働いてしまい、すぐにまた放出量を少なくしてしまうからです。

ではどうすればいいのでしょう。すぐに増えなくても、多く出すように働きかけ続けるのです。筋肉を鍛える場合も、すぐには変化しません。毎日根気よくトレーニングを続けることで、筋肉は構造を変えていきます。セロトニン神経の場合も同じです。

すぐには変化してくれませんが、毎日セロトニン神経を活性化させ続けていると、構造自体が変化し、セロトニンの放出量が多くなるのです。どのように構造が変化するのかというと、セロトニン神経を活性化させ続けていると、まず自己受容体の数がだんだんと減っていくのです。

自己受容体の数が減ると、セロトニン神経が感知するセロトニン量が減るので、抑制が弱まります。こうして抑制機能が弱まることで、セロトニンの放出量そのものが増えていくのです。実は、この自己受容体というのは、タンパク質でできているのですが、タンパク質をつくる命令は、遺伝子から出ています。つまり、自己受容体の数が減るということは、それをつくらせている「遺伝子が変わる」ということなのです。

すべては最初の「3ヶ月」で決まる

同じ状況を繰り返し続けることで、遺伝子のスイッチが切り換わり、セロトニン神経の構造が変化します。では、どのぐらいの期間やり続ければ変化するのでしょう。3ヶ月間、セロトニンを増やすための「セロトニントレーニング」を続けると、セロトニン神経の構造が変化し始めます。

そして6ヶ月ほどたつと、かなりよい状態にまで変化します。しかし、トレーニングを繰り返すことによって遺伝子構造が変わるということは、セロトニン神経を弱らせるような生活習慣を続けてしまえば、悪い方に構造が変化してしまうということでもあります。この場合も、やはり3ヶ月ほどで弱った状態が固定されていきます。ですから、セロトニン神経を鍛えるトレーニングは、よくなったからと、そこで終わりにするのではなく、生活の一部としてずっと続けていくことが効果的なのです。
でもまずは3ヶ月間を目指してください。それだけでこれまでの生活を確実によくできるのです。そのためにも最初の3ヶ月間だけは、休まず頑張ってトレーニングを続けることが何よりも大切です。なぜなら、最初の3ヶ月感を続けることが、実は最も難しいことだからです。

トレーニングを始めた当初は、必ず少し調子が悪くなります。なぜせっかくよくなるための努力をしているのに調子が悪くなるのか、きちんと知っておかないと、トレーニングをしたために調子が悪くなったのだと思い、トレーニングを続けるのが嫌になってしまいます。
トレーニングを始めて症状が悪化しても、それはセロトニンがちゃんと増え始めた証拠だと思ってください。なぜならその不調は、セロトニンが増えたため、自己点検回路が働き、セロトニンが抑制されたことによって生じたものだからです。

もちろん、この不調は一時的なものです。そのままトレーニングを続けていれば、今度は自己受容体が減少し、恒常的にセロトニン放出量が増えていきます。そうなれば、それまでの不調は消え、心身ともに元気が出てきます。最初の3ヶ月間さえ続けることができれば、後はどんどん調子がよくなっていくのを実感できるようになるでしょう。

「冬季うつ病」の治療法とは

ここからはいよいよセロトニン神経を活性化させるための具体的な方法をご紹介していきましょう。セロトニン神経を活性化させるものは、主に2つあります。1つは「太陽の光」、もう1つは「リズム運動」です。

まずは、「太陽の光」の方からお話ししましょう。みなさんは「冬季うつ病」という病気をご存じでしょうか?文字通り冬になると発病するうつ病なのですが、これは北欧など、冬に極端に日照時間が短くなる地域に多く見られる病気です。

この治療には、冬でも比較的日照時間が長く暖かな地域への転地療法が効果的です。

たとえば、北欧で冬季うつ病になった人を、南イタリアの太陽が燦々と輝くところへ連れていくのです。すると、それだけでこの病気は回復してしまいます。それは、この病気の原因が「日照不足」にあるからです。私たちの生命活動には、私たちが思っている以上に太陽光が密接に関係しています。

たとえば、私たちはものを見るとき、光を必要とします。「見る」ということは、光によって媒介される映像が網膜から入り、視神経を経て、最終的には大脳皮質の視覚野で映像として認識されるということだからで影響を与えています。

私たちの身体は地球の自転に合わせ、約24時間サイクルで変動する「生体時計」を持っていますが、この生体夏時計のズレを修正してくれているのも太陽の光です。
脳は、日没とともに、自律神経を副交感神経優位に切り換え、生体の活動レベルを下げ、エネルギーを蓄積する冬ように司令を出します。そして、太陽の光を受けると、自律神経を交感神経優位に切り換え、活動レベルを上げるように司令を出します。

海外旅行へ行くと、時差ボケに苦しむ人が少なくありませんが、これは生す。網膜から入ってきた「光」の信号は、「見る」以外にも、脳のさまざまなところに体時計の周期と、光による調節作用の間に生じた大きな「ギャップ」によって起きる不調です。

同じように、網膜から入った光信号の影響を直接受けるのが、セロトニン神経です。セロトニン神経は、覚醒と睡眠によってインパルスの頻度を変えますが、このスイッチングに影響を与えているのが光信号なのです。網膜から入った太陽の光が信号として達することによって、セロトニン神経は興奮し、インパルスの頻度を上げ、脳の覚醒状態を演出する、ということです。おもしろいのが、このようにセロトニン神経を興奮させる光信号は、「太陽の光」でなければダメだということです。

最近は、冬季うつ病の治療には、必ずしも太陽の光でなくても、2500~3500ルクスという太陽光と同じ程度の強さの光であれば、その効果が確認されています。
ですから、正しくは、「太陽の光のような強い光」がセロトニンを興奮させるということです。冬になると、どうも気持ちが落ち込みやすいという人や、雨や曇りが続くと気分がうつうつとしてくるという人は多いと思いますが、これは日照不足からセロトニン神経の機能が低下し、その結果、脳内のセロトニン濃度が低くなったことによって軽いうつ状態が生じているのです。
ちなみにうつ病には必ずきっかけとなる出来事があります。
うつ病になったきっかけ(私の体験談)

規則正しい生活とは

「規則正しい生活」といったとき、多くの人は自分の生活のリズムを、時計に合わせようとしていますが、実は、時間そのものに意味はありません。しかし、私たちは、規則正しい生活が、心身によいことを知っています。

うつ病の治療でも、必ず「規則正しい生活をしてくださいね」と医師は言います。そして朝7時に起きて、8時に朝食をとって、12時に昼食をとって、午後5時には仕事を終えて、夜7時には夕食をとって、11時には寝る、という生活を送るようになります。しかし、医師は決してそういうつもりで、「規則正しい生活」と言っているわけではないと思います。

確かに時間は目安になりますが、時間そのものに意味があるわけではありません。大切なのは脳に刺激を与える「太陽の光」なのです。私たち人間は、それこそ何百万年という長い年月をかけて進化し、身体をつくり上げてきました。身体に備わっているさまざまな機能も、それを動かすシステムも、その長い年月の間につくり上げられたものです。

そして、自律神経の交替サイクルや、脳の覚醒と睡眠のサイクルといった生存にとても重要な機能のスイッチングが光信号によってなされているというのは、人間が長い間、太陽のサイクルを自らの生活のサイクルにしてきたことを意味しています。

事実、ほんの百年ほど前まで、ほとんどの人は太陽とともに起き、太陽が沈むと休むという生活をずっと続けてきていました。不規則な生活や、昼夜逆転の生活が可能になったのは、電灯の普及によって、「夜でも明るい世界」が生まれてからなのです。それまではどんなに仕事が忙しくても、夜になったら暗くなってしまうのですから仕事などできません。寝るしかなかったのです。

でも今は、人工的な明かりによって、しようと思えば仕事ができてしまいます。私たちを取り巻く環境は変わっても、長い年月をかけてつくられた身体のシステムは簡単には変わりません。私たちの身体は、今も太陽の光とともに活動して、太陽が沈んだら休むことを前提に、すべての機能が整っています。

ですから、うつ病やキレやすいといった現代社会ならではの生活習慣病の改善のために規則正しい生活を心がける場合は、太陽の光を取り入れることを第一に心がけることが大切なのです。まず、朝起きたら、カーテンや雨戸を開けて、朝の日の光を部屋いっぱいに取り込みましょう。通勤・通学をしている人なら、なるべく日の当たる場所を選んで歩く、通勤の必要のない人は、太陽の光を感じながらウォーキングやジョギングをするといいでしょう。

セロトニンは朝につくられるので、朝の太陽光を浴びることが、セロトニン活性には最も効果的なのです。太陽光を浴びる時間は短時間で充分です。あまり長時間光刺激を受けてしまうと、かえってセロトニン神経の自己抑制機能が働いてしまうからです。

最も効果的にセロトニンを活性化させるのは、太陽の光を30分程度浴びることです。そして、いくら光刺激が必要だといっても、直接太陽を見るようなことは、網膜を傷めてしまうので絶村にしないように気をつけてください。太陽の光の降り注ぐ場所で景色を眺めるだけで、セロトニン神経は充分に活性化します。朝、部屋の中に陽光をたっぷり取り込み、家の近くを少し散歩する。
または、通勤通学のときになるべく日の当たる場所を選んで座ったり歩いたりする。特別なことをしなくてもそれだけで、太陽の恩恵は充分に得られるので、ぜひ毎日の生活に取れ入れてください。

セロトニンは不眠症も解決する

私たちの脳は自前の「睡眠薬」を持っていて、夜になるとちゃんとその睡眠薬を出すことで健やかな眠りについています。その睡眠薬というのが、脳の中の松果体という部分から分泌される「メラトニン」というホルモンです。

そして、メラトニンが出る条件は何かというと、太陽が沈み、「暗くなる」ということなのです。ですから夜になっても寝られないという人は、このメラトニンが不足していることが原因で不眠になっているのです。そして、このメラトニンの材料となっているのが、実はセロトニンなのです。

うつ病の人やストレスの多い生活を送る人は、不眠を訴えることが多いのですが、これもセロトニン不足から説明ができます。つまり、日中にセロトニンがきちんとつくられていないと、夜になっても充分なメラトニンがつくれず不眠になってしまう、というわけです。

日中に身体を使ってよく遊んだ子供は、夜になるとぐっすり眠りますが、これも、日中身体を使ったことでセロトニンがたくさんつくられているからです。セロトニンとメラトニンの関係が明らかになる以前は、睡眠薬が処方されることが多かった不眠外来でも、最近では生活習慣を聞き、セロトニン不足が原因だと判断した場合は、薬に頼らず、「寝られなかったら、朝早くからウォーキングをしてください」と指導します。そうして日中にセロトニン神経を活性化させておけば、夜は電気を消しさえすればたっぷりメラトニンが出て安眠できるからです。

このメラトニン、きちんと分泌されると、実は安眠の他にもよいことがもう1つあるのです。それはアンチエイジングの効果です。メラトニンは抗酸化物質の1つで、夜ぐっすり眠らせてくれると同時に、日中活動している間に発生してしまった悪玉物質「活性酸素」を処理してくれるのです。日本やヨーロッパ諸国ではメラトニンは医薬品ですが、そのアンチエイジングの効果の高さから、アメリカではメラトニンがサプリメントとして販売されています。

メラトニンは化学的に合成することも可能ですが、やはり最も安全なのは、自分の脳がつくるメラトニンです。メラトニンの豊富な睡眠をとるために心がけていただきたいのは、まずは日中に太陽の光やリズム運動によってしっかりとセロトニン神経を活性化させておくこと。
そしてもう1つ。夜、太陽が沈んでいる間に睡眠をとるということです。徹夜で仕事をして朝になってから寝る人がいますが、これはメラトニンの分泌を考えるなら、最悪の睡眠です。なぜなら、太陽が昇ってからではいくら寝てもメラトニンは分泌されないからです。

つまり、体の疲れはとれるかもしれませんが、アンチエイジングの効果はまったくないということです。ですから、深夜勤務があり不規則な生活を余儀なくされている人や、徹夜仕事が続いている人は、手入れをしても肌荒れがなかなか治らないという人が多いのです。

しかし本当に怖いのは、その肌荒れの奥に潜んでいる活性酸素の存在です。すす私はよく活性酸素を、火を燃やしたときに出る「煤」に例えるのですが、メラトニンが出ない睡眠を続けるということは、体の中の煤掃除が行われず、ずっと煤が溜まっていくということです。煙突の中に煤が溜まると火を燃やしても不完全燃焼を起こしてしまうのと同じで、私たちの身体も活性酸素が溜まると、多くの場所で病気の原因となってしまいます。

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太陽とともに起き、日没とともに眠る。そうした太陽に合わせた規則正しい生活を送ることが、人間が健康で生きるために最もよい生活サイクルなのです。

「ちょっとしたエ夫」でリズム運動を習慣化する方法

これまではセロトニン神経を活性化させるものの1つ、「太陽の光」について詳しく見てきました。しかし、太陽に合わせた生活をすることがよいとわかっていても、現代社会の中で生きる私たちには、さまざまな事情でそれができないことも数多くあります。

また、太陽を充分に浴びたくても、冬になると雪が多く、なかなか太陽が姿を現してくれない地域に住む人もいます。仕事で1日中パソコンと向かい合っているので、セロトニン神経がダメージを受けやすいという人もいるでしょう。
どんな環境にも負けず、日々セロトニン神経を活性化させるためには、太陽に合わひけつせた規則正しい生活を心がけるとともに、セロトニン神経を高めるもう1つの秘訣、「リズム運動」を行う習慣を身につけることが必要です。

たとえ太陽の光を浴びる環境でなくとも、リズム運動を取り入れるだけでストレスは解消され、生活は大きく変わります。リズム運動にはさまざまなものがありますので、ぜひ自分の生活に合ったものを選び、取り入れてほしいと思います。

リズム運動というのは、「一定のリズムを刻みながら身体を動かすこと」なので、人間は、生まれてから死ぬまでずっと、意識をしなくても何らかのかたちで「リズム運動」を行っているといえます。たとえば、産声とともに始まる「呼吸」は、人間が最初に行うリズム運動です。お乳を吸うのも、泣き続けるのも、赤ちゃんにとっては立派なリズム運動です。そして離乳食を食べるようになると、食べものをかむ「阻囁」のリズム運動も加わります。また、ハイハイや歩くことができるようになると、リズム運動の幅はぐっと広がっていきます。

リズム運動は、成長に伴いさらにその種類を増やしていきます。ウォーキング、ジョギング、マラソン、サイクリング、水泳、エアロビクス、スクワット、ダンス等々。リズム運動は一定のリズムを身体が刻みさえすればよいのですから、激しさは必要ありません。

もちろん、座禅に用いられる腹筋を使って、ゆっくりとしたリズムで行う腹式呼吸も、立派なリズム運動です。同様にヨガや太極拳、お経を上げたり念仏を唱えることも呼吸を意識して行うものなので、立派なリズム運動といえます。

たたちょっとユニークなものとしては、ガムをかむことや、太鼓を叩くことも一定のリズムで行えば、リズム運動となり、ちゃんとセロトニン神経を活性化できるのです。セロトニン神経を活性化させるという点では、激しい運動の方がより効果が高いというようなことはありません。ウォーキングもマラソンも、同じようにセロトニン神経を活性化させるので、無理に激しい運動をする必要はないのです。むしろセロトニン神経を鍛えるためのトレーニングでは、無理は禁物です。疲労してしまうとかえって効果が低くなってしまうからです。

幼稚園の園児を対象に、運動とセロトニン神経の活性度について、さまざまなデータを取っていますが、その中にとても興味深いデータがあります。それは、同じセロトニントレーニングを行っても、遠足の翌日はトレーニングをしたことによってかえってセロトニンの数値が下がってしまう子供が多いというものです。

見た目には、園児たちは普段と変わらず元気に運動しているように見えたのですが、やはり身体には前日の遠足による疲労が蓄積されていたのでしょう。それほど大きな下がり幅ではありませんでしたが、平均値でおよそ10~20% 下がってしまったのです。

リズム運動は、最低5分間行えば、脳の中でセロトニン神経が活性化し、セロトニンの放出量が増えることがわかっています。たったの5分です。ですから疲れているときはあまり無理をせず、その日の体調に合わせて5~30分の間で、時間を調節しながら行うようにしてください。リズム運動を行う時間は、長くても30分程度で充分です。長くやったからといって、それだけ多くセロトニンが出るわけではありません。

大切なのは「長時間」行うことではなく、「長期間」続けて行うことです。セロトニン神経は、毎日の生活の中前で、少しずつその機能を低下させてしまいます。ストレスに勝つことのできない人間にとって、それは仕方のないことです。でも、だからこそ毎日セロトニン神経を活性化させて、日々ストレスで下がってしまう初期値をもとに戻すことが大切なのです。

リズム運動自体は何を行ってもいいので、自分で楽しみながら続けられるものを選んでください。これなら一生続けられる、そういうものを選ぶのが理想です。もちろんいくつかの運動を組み合わせて行うというのもいい方法です。

たとえばジョギングを行うと決めていても、雨が降るといきなりテンションが下がってしまいます。そんなときは晴れたらジョギング、雨だったら室内で呼吸法と決めておくと、毎日続けることができます。病気で安静が必要な人や、身体が不自由な人も、呼吸法やガムかみ、歌を歌うなどのリズム運動であれば生活に取り入れることが可能です。

普段の生活の中で行っていることを、ちょっと意識してセロトニン神経を活性化させるために行う。たとえば、朝の通勤時にだらだらと惰性で歩いていたのを、リズムを刻むという意識で歩けば、それだけでも効果はあるのです。ぜひみなさんも、日々の生活の中で、工夫してみてください。

リズム運動の効果を「最大」まで高める方法がある

では、いくつか代表的なリズム運動を取り上げ、どのようなことを意識して行えばセロトニン神経が活性化するのか、具体的に見ていきましょう。

呼吸法

呼吸は生まれてから死ぬまで、絶えず行われているものです。この、普段は無意識に行っている呼吸も、ちょっと意識して行えば、セロトニン神経の活性化につながります。普投の呼吸をトレーニングに変える最大のポイントは、腹筋の収縮を意識して行うということです。

お腹を出したり引っ込めたりして行う呼吸を「腹式呼吸」といいますが、実はこの腹式呼吸には、横隔膜呼吸と腹筋呼吸の2種類があります。実はこの2つ、見た目には似ているのですが、身体の中で使われている筋肉は全然違うのです。
もちろん、その効果も違います。そして、セロトニン神経に活性化をもたらす呼吸法は、腹筋を使って行う腹筋呼吸の方なのです。では、両者の呼吸は何が違うのでしょうか。

まず横隔膜呼吸の方から見てみましょう。「お腹を使って呼吸をしてください」と言ったとき、ほとんどの人は、まずお腹を膨らませながら息を大きく吸い込みます。この、初めに「吸気」から入るのが、横隔膜呼吸です。普段のフラットな状態から、横隔膜を意識的に下げることで肺の容量を広げ、呼吸の量を増やすのが横隔膜呼吸なのです。

横隔膜呼吸で意識するのは吸気、つまり息を吸うときです。めいっばい息を吸い込めば、吐くことは意識しなくても自然と行われます。これに対し腹筋呼吸法は、まずフラットな状態から「呼気」、つまり息を吐くことから始めます。吐いて吐いて、もうこれ以上は吐けないというところまで息を吐くと、吸気は意識しなくても自然と行われます。これが腹筋呼吸法です。例えるなら、バネを引き伸ばしてバッと手を離すようにして行う呼吸が横隔膜呼吸。バネをこれ以上縮まないというところまで圧縮してバッと手を離すように行う呼吸が腹筋呼吸ということです。座禅でもヨガでも太極拳でも、リズム運動に用いられている呼吸法は、すべてこの「呼気」を意識して行う腹筋呼吸法です。意識するのは、「まず呼気から行うこと」それだけなので、慣れてしまえば簡単にできます。この呼吸法は、ウォーキングやサイクリングなど、日常のあらゆる場面に用いることができるので、呼吸法の基本としてしっかりと身につけていただきたいと思います。

座禅

座禅は、深い腹筋呼吸に瞑想を組み合わせたものです。お寺などで行う場合には、足の組み方や、姿勢を維持すること、雑念の祓い方などの指導も行われますが、セロトニン神経活性化のために個人で行う場合には、あまりいろいろなことを意識せず、まずは腹筋呼吸を徹底的に極めるという意識で行うことをおすすめします。

姿勢を気にしても、セロトニン神経が弱っている人は、抗重力筋も弱っているので姿勢を維持することができないからです。姿勢は、セロトニン神経が活性化されれば、抗重力筋が強化され自然とよくなっていきます。座禅のときに行う腹筋呼吸は、無理のない程度で、でもできるだけ吐ききることを意識し、ゆっくりとしたテンポで行うようにします。

禅宗の僧侶など座禅に熟達した人の中には、30秒かけて息を吐き、10秒以上かけて息を吸うという驚異的にゆっくりとした腹筋呼吸ができる人もいますが、これは何十年もの修行の結果です。一般的には12秒ぐらいかけて吐き、8秒ぐらいかけて吸うという1呼吸20秒程度の呼吸を目指すのがいいでしょう。

もちろん最初は20秒で1呼吸も難しいと思います。初めのうちは無理をせず、苦しくならない範囲で、できるだけゆっくりとした腹筋呼吸を心がけるようにしてください。もう1つ、座禅を行う際に注意してほしいのは、目を閉じないことです。座禅では「半眼」といって目を閉じずに行うよう指導されますが、これは脳の働きからみても大きな意味があることなのです。

目を閉じると、心身ともにリラックスしたときに現れる脳波「α波」が出るのですが、これは、α 彼の中でも8~10ヘルツというゆっくりとしたものです。でも、目を開けたまま座禅を行っていると、5分を過ぎたあたりから、目を閉じたときとは異なるα 波が出てきます。これは10~13ヘルツという速いもので、りそうかいラックスと同時に脳が「爽快ですっきりした感覚」になったことを示すものです。実は、この速いα 披こそがクールな覚醒をもたらしているものだったのです。

ウォーキング・ジョギング

一定のリズムで歩けば、セロトニン神経はそれだけで活性化します。でも、あまりだらだら歩いてはいけません。セロトニン神経を活性化させるためには、時速5~6キロ程度のスピードで20~30分程度のウォーキングを行うのがいいでしょう。このとき、腹筋呼吸を併用すると、効果はさらに上がります。ウォーキングの場合は、歩くテンポに合わせることが必要なので、「ハッハッハッ」と腹筋を使いながら3回続けて呼気を行い、次いで「スー」と1回リズミカルに吸気を行うようにしてください。

基本的にはこの呼吸は鼻で行いますが、苦しい場合は口から吐いてもかまいません。でもその場合も吸気は鼻で行うようにしましょう。ジョギングの場合のスピードは、最初は時速八キロぐらい、慣れてきて物足りなくなったら10kgぐらいまでピッチを上げてもいいでしょう。ピッチが速くなると、呼吸量も多くなるので、ウォーキングのときの「3呼1吸式」を「2呼2二吸式」、つまり「ハッハッ、スースー」と、2回吐いて2回吸う呼吸にすると、リズムにも乗りながら楽に呼吸ができるようになります。

咀嚼

ものをかむことがリズム運動になるなんて、と思うかもしれませんが、これも意識して行えば、ちゃんとセロトニン神経を活性化させてくれます。朝ご飯を抜いた子供は、朝ご飯をきちんと食べた子供と比べて、午前中の授業に対する集中力が低いといいますが、これは朝ご飯を食べるときの岨噂によって、セロトニン神経を活性化させたか、させていないかの違いでもあるのです。

ガムも一定のリズムでかめば、セロトニン神経を活性化させることができるので、忙しい人にも手軽にできるリズム運動といえます。ただ、リズム運動は同時に言語脳を使ってしまうと効果が下がるので、あまりいろいろなことを考えながら行うのではなく、ある程度「かむこと」に集中して行った方が効果は高くなります。
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言語脳とは、言葉をしゃべったり、本を読んだり文章を書いたりするときに働く場所です。テレビや映画を見るのも、言葉を聞き理解することが必要なので言語脳が働きます。ですから、リズム運動をするときは、こうしたことをしながら行うのは避けなければなりません。映画やテレビを見ながらのリズム運動はよくありませんが、リズミカルな音楽を聴きながら行うのは、集中力が増すので効果が高まります。

リズム運動は、上手に組み合わせると、相乗効果が望めます。たとえば、朝のさわやかな陽光の中でリズム運動を行ったり、ウォーキングに呼吸法を合わせたり、リズミカルな音楽を聴きながらジョギングをしたり。どれも単独で行うより高い効果が表れます。
上手に組み合わせて、無理なく楽しみながらストレスに強い身体づくりを工夫してみてください。

セロトニン神経の達人になれば「できる」人になれる

毎日ハードなスケジュールで忙しく仕事をしているのに、心身ともにいつも元気な人はいます。普通の人よりも多くのストレスを受けているはずなのに、そんな様子はまったく見せないのです。
芸能界で活躍している人、経済界で活躍している人、スポーツ選手。そういう人たちの生活習慣を聞くと、みんな何らかのかたちでリズム運動を上手に日常に取り入れていることがわかります。

80歳を過ぎても舞台で主役を務めている森光子さんが毎日スクワットを行っていることは有名ですが、あれも典型的なリズム運動の1つです。

故人ですが、楽壇の帝王と呼ばれた世界的な指揮者カラヤンは、指揮をする前に必ずヨガを行っていたといいます。会社の経営者やエグゼクティブと呼ばれるビジネスマン、政治家や医者など、ストレスの多い世界で活躍している人の多くも、朝ジョギングをしたりジムへ通っていたりします。中には座禅や瞑想を習慣にしているという人も珍しくはありません。こういう人たちに「お忙しいのに、よく続きますね」と言うと、ほとんどの人が「やっていると、調子がいいからね」と答えます。

セロトニン神経の活性化の恩恵を、彼らは自分の身体で実感しているのです。スポーツ選手は基本的に日々身体を動かしているので、セロトニン神経が活性化している人が多いのですが、その中でも飛び抜けてよい成績を残しているイチロー選手は、まさにセロトニンの達人といっても過言ではないと思います。イチロー選手を見ていると、守備につくまでのランニングや守備位置についてからの身体の動かし方など、絶えずリズミカルに動いています。

どんな世界でも第一線で活躍している人は、人前では言わなくても、みんな自分なりのやり方でリズム運動を生活の中に取り入れているということです。セロトニンを高める秘訣は「太陽の光」と「リズム運動」。決して難しいことではありませんので、ぜひ今からでも実践してみてください。それだけで、身体的ストレス、さらには人間特有の「脳ストレス」にも確実に強くなれるのです。

快眠ぐっすり酵素「セロトアルファ」

5つの厳選された成分が凝縮されており「幸せ成分」が安眠効果を発揮します。

  1. 大麦発酵酵素
    日本酒を発酵させる際に使われ、大麦を麹で発酵させた物質を体内で効率よく吸収できるよう研究開発を重ね大麦発酵酵素の製品化に成功。
  2. ビフィズス菌
    脳は第2の脳と言われています。善玉菌、悪玉菌をバランスよく機能させることで健康な状態を維持することできます。セロトアルファにはビフィズス菌BB536が含まれ、他のビフィズス菌に比べて酸や酵素に強く、生きたまま腸に到達すること出来ます。
  3. 各種アミノ酸
    最近、話題のアミノ酸の一種であるグリシンをバランス良く配合させています。自律神経の調整に不可欠です。
  4. 焼成カルシウム
    牡蠣の殻を特殊製法で微粉末にした「焼成カルシウム」は長時間にわたり酸化還元作用が確認されています。

成分表

原材料名
発酵大麦エキス末(発酵大麦エキス、デキストリン)、焼成カルシウム、 ビフィズス菌(乳成分を含む)
PMC、加工澱粉、グリシン、トレハロース、ステアリン酸カルシウム、フェルラ酸、パントテン酸カルシウム、着色料(カラメル)、二酸化ケイ素
内容量
34.6g【1粒重量385mg(1粒内容量300mg)×90粒】
保存方法
直射日光を避け、風通しがよく湿気の少ない場所に保管してください
発売元
アイシー製薬株式会社
東京都大田区蒲田5-29-3 酒巻ビル9F
うつ・不眠でお悩みなら。全く新しいサプリ【セロトアルファ】
栄養成分表示
栄養成分表示【3粒(1.15g)あたり】
エネルギー 4.33kcal たんぱく質 0.28g 脂質 0.05g 炭水化物 0.70g ナトリウム 2.47mg(食塩相当量 0.01.g)