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高血圧の天敵「ストレス」について

現代は過去に例のないストレス社会といわれます。職場での人間関係や厳しい管理、家庭内のトラブルや子育ての悩み、親の介護など、およそストレスのない人はいないといっていいでしょう。
当然、ストレスのすべてが害になるわけではありません。ある程度のストレスは生きていく活力、困難を乗り越えるエネルギーになります。問題はストレスが過重になり、支えきれなくなってしまう場合です。そうなると、心身にさまざまな悪影響が出てきます。いま急増中のうつ痛などはその代表的な症状で、最悪の場合は正常な社会生活が送れなくなつてしまいます。ヘビースモーカーが増えているのは、ストレスが原因だと指摘する専門家もいます。

では、なぜストレスがかかると、なぜ血圧は上昇するのでしょうか。過重なストレスがかかった状態は、どう猛な動物に追いかけられているようなものと考えればわかりやすいでしょう。そんな危機的な状況に遭遇したら、リラックスして寝そべっているわけにはいきません。何とか身の安全を図ろう、事態を打開しようと、心身ともに緊張します。
心臓は拍動を早め、走る、逃げる、隠れるなどの行動が少しでもすばやくできるように備えます。精神的にも、極度の緊張・興奮状態となり、敵の襲来に対処しょうとします。血管は収縮し、ストレスホルモンが全身を駆け巡ります。こうして、血圧は一気に上昇するでしょう。

現実には、どう猛な胴部鬱に追いかけられる危険性はほとんどないと思われますが、過重なストレスを抱えている人は、日常生活でそれと同じ状況に陥っているわけです。これでは体も心もたまったものではありません。血圧を上げる原因を自ら抱え込んでいるようなものです。といって、ストレスは現代人の宿命のようなものですから、きれいさっぱり解消というわけにはなかなかいきません。となると、方法はただひとつ、ストレスをうまくコントロールしていくしかありません。そのためには、ストレスと正面から取っ組み合うのを避け、うまくかわしたり、逃げたりするハウツーを身につけることです。

ヘビースモーカーの禁煙

何度、禁煙にチャレンジしても失敗ばかり、禁煙しようとするとストレスで仕事が手につかないなど、ヘビースモーカーであればあるほど禁煙はつらく、難しいものです。
朝、起きたらまずタバコに火をつけて、就寝前にもタバコを吸ってから布団に入る人も多いと思います。
しかし、どんなヘビースモーカーでも、禁煙は必ず成功できます。まずは「禁煙しょう!」という意志ですが、固ければ固いほどいいのはもちろんです。でも、意志強固でなければ成功できないかというと、決してそんなことはありません。
強い決意を固めた人が失敗し、「血圧に悪いっていうから、今日l日だけやめておこう」と、気まぐれで始めた人が成功することも珍しくないのです。とにかく気楽にチャレンジすることが大切です。

よくニコチンによる中毒だと言う人もいますが、これは間違いです。中毒である場合、寝ていても目が覚めるのが中毒です。タバコの場合、寝ている間に、欲しくて目が覚めることはありません。結局、タバコは「習慣」なのです。

自分の力だけでは自信がない人は、思い切って「禁煙外来」を受診するのがおすすめです。受診すれば、医師がニコチンガムやニコチンパッチ、最近ではチャンピックスという新しい薬剤を使って効果的な禁煙指導をしてくれます。くじけ乱丁っになったときは、カウンセリングも受けられます。ニコチンガムは、市販されています。ニコチンパッチはコイン大の貼り薬で、ニコチンをゆるやかに補充して禁断症状をやわらげてくれます。チャンピックスは、吸入したニコチンをブロックする薬剤です。現時点では医師の処方が必要です。

禁煙外来に頼らなくても、自分なりの気の紛らわせ方を実践すればOK。吸いたくなったらめ冷たい水を飲む、飴をなめる、散歩をする、歯みがきをするなどの方法は意外に効果的です。
また、家では吸わない、歩きながらは吸わないなど、喫煙の場を少しずつ、意識的に狭めていくのも効果があります。禁煙に何度失敗しても気にする必要はありません。1回で成功する人は少なく、多くの人が何度も失敗しています。なかには10回以上失敗して、やっと禁煙できたという人もいます。気楽に、とりあえず挑戦してみましょう。

起床時すぐのタバコは危険性大

タバコは、血圧を上昇させるためとにかく禁煙が必要です。実際、タバコを吸うと直後に血圧が急上昇するという医学的なレポートが数多く発表されています。
検査条件や個人差の関係で、測定値は必ずしも一定ではありませんが、一般にタバコを1本吸うと、最高血圧(上の血圧)は10~20mmHg上昇するのが一般的です。
しかも、タバコ1本で上昇した血圧は、10~15分間は元に戻りません。この間に続けてたばこを吸ってしまうと、さらに体には大きな負荷がかかるのは言うまでもありません。
また、このとき、心拍数も同時に10~20拍も上昇します。
さらに怖いのは早朝高血圧の人が、朝起きたときにタバコを吸ったときです。ヘビースモーカーの人は一般的に朝起きると、すぐに一服する習慣があります。
l本のタバコで、最高血圧は30~50mmHG心拍数も20~30拍もそれぞれ上昇することがわかっています。
早朝高血圧でない人にくらべ、2~3倍もの影響があるのです。これほどの急激な血圧上昇は、体調によっては深刻な事態を引き起こす危険性があります。

タバコには約4000種類もの化学物質が含まれており、そのうちニコチン、タール、一酸化炭素が「三悪」とされています。血圧の上昇に関係するのはまずニコチンで、体内に入ると血管を収縮させる作用があるため、心臓への負担は急激に増加します。
一酸化炭素が喫煙によって体内で増加すると、全身がいわゆる酸欠状態になります。これは血液中で酸素を全身に運ぶ役目を担っているヘモグロビンという物質に結合してしまうからです。
そうなると、全身に新鮮な血液を供給することができませんから、心臓は少しでも多くの血液を送り届けようと必死に働かざるを得ません。こうして、ニコチンで細くなった血管に、酸欠を解消するために多くの血液が流れることになり、血圧が上昇するわけです。

ニコチンも一酸化炭素も、血管・血液に悪影響を及ぼすことで、動脈硬化を促進させます。動脈硬化は心臓病や脳卒中の原因になります。血圧が高めの人、高血圧症の人にとって、タバコほど有害なものはないといえます。なお、タバコの三悪の最後のひとつ、タールにはさまざまな発がん物質が含まれていますから、肺がんや食道がんの大きな原因になります。