糖尿病腸内フローラの乱れ が原因で急増していることがわかってきました。 腸内フローラが乱れると、血管に悪いものが入り込んでしまう」のですが、腸内フローラと糖尿病の関係も指摘されています。糖尿病がこれだけ急増している背景にはやっぱり腸内フローラの乱れを指摘する医師や専門家がここ数年で増えてきました。
糖尿病 腸内フローラ の乱れ が原因で増えている
「糖尿病」の患者数は 2019 年調査時点で 328 万 9,000 人 (男性 184 万 8,000 人 女性 144 万 2,000 人)となり、前回 ( 2014 年) 調査の 316 万 6,000 人から 12 万 3,000人増えて、過去最高となりました。
糖尿病がこれだけ急増している背景にはやっぱり腸内フローラの乱れを指摘する医師や専門家がここ数年で増えてきました。
2 型糖尿病の患者さんは腸内フローラのバランスが崩れやすいのですが、生きた腸内細菌までが血管に入り込んでいる という衝撃的な話があります。
順天堂大学の研究チームが、2型糖尿病の患者さん 50 人と、糖尿病ではない 50 人の腸内フローラを比べたところ、腸内紳菌の総数には大き違いはなかったものの、糖尿病の患者さんたちのほうがバランスの悪い腸内フローラになっていたそうです。
しかも、糖尿病の患者さんグループでは 50 人中 14 人の血液中に生きた腸内細菌が見つかりました。腸内で暮らしているはずの腸内細菌が、腸の壁を通り抜けて、血管へ潜り込んでいたのです。
と言っても、糖尿病ではない 50 人の中でも 2 人は、血液中に腸内細菌が見つかっています。ですから、糖尿病ではなくとも、血管に腸内細菌が入り込んでしまうことはあるのでしょう。
ただ、その割合は、糖尿病患者さんのほうが7倍多いという結果でした。糖尿病の人は腸内フローラが乱れて、腸のバリア機能が低下するため、余計なものが血管に入りやすくなっているのでしょう。
ところで、糖尿病の患者さんは、インスリンの分泌が悪いだけではなく、インスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)が知られています。そして、慢性的な軽度の炎症がインスリン抵抗性を引き起こす一因であると言われています。
順天堂大学の研究では、「腸内フローラの乱れによって、血管に入り込んだ腸内柵菌が炎症を引き起こすのではないか」とも指摘されています。これが正しければ、腸内フローラを改善することで、インスリン抵抗性の原因になる炎症を抑えるという新たなタイプの糖尿病治療が実現するかもしれません。
また、血糖値を改善してくれる腸内細菌も見つかっています。その1つが、「アッカーマンシア菌」という善玉菌です。
アッカーマンシア菌のよい効果は、複数の研究から報告されています。たとえば、パリの病院で行われたある研究では、次のような結果が出ました。
肥満または太り気味の人たち 49 人を集めて、食物繊維を多く摂りつつ、1 日あたり1500 ~ 1800 kcal に抑えた食事を 6 週間続けてもらったところ、アッカーマンシア菌をもともと多く持っていた人たちのグループは、ダイエット効果がより高かったのです。
6週間後の血糖値も、血中の脂質レベルも、ウェスト・ヒップ比(内臓脂肪のチェック)も、アッカーマンシア菌を多く持っていた人のグループが、より改善していました。同じような食事をしていても、腸内フローラによって結果は変わってくるということです。そのカギを1つの善玉菌が握っていたのです。
そこで気になるのは、「アッカーマンシア菌とやらの量は、人によって違うの? どうやったら増えるの? 」ということではないでしょうか。この研究結果には続きがあります。もともとアツカーマンシア菌が少なかった人も、6 週間、食物繊維が豊富なカロリー制限食を食べ続けた結果、アツカーマンシア菌が増えていたそうです。つまり、生まれつき決まっているわけではなく、食事によって替えられるということです。
食物繊維は、アッカーマンシア菌に限らず、腸内の善玉菌の大好物です。また、肥満にストップをかけてくれる「短鎖脂肪酸」も、腸内細菌が水溶性食物繊維をエサに作りだしてくれるものです。
糖尿病と腸内フローラの主な関係性
糖尿病患者は、健康な人に比べて腸内フローラのバランスが乱れている(ディスバイオシス)ことが多く、特に以下の点が重要視されています。
1. 腸管バリア機能の低下と腸内細菌の移行
- バリア機能の低下: 腸内フローラのバランスが乱れると、腸の粘膜を保護するバリア機能が低下することがあります。
- 細菌の血液中への移行: その結果、本来は腸内に留まっているはずの生きた腸内細菌やその成分(代謝物など)が、腸の壁を通り抜けて血管内に移行(バクテリアルトランスロケーション)してしまうことが、2型糖尿病患者でより高い頻度で見つかっています。
2. 慢性的な微小炎症の誘発
- 炎症の発生: 血管内に移行した腸内細菌やその成分が、全身で軽度の慢性的な炎症を引き起こすと考えられています。
- インスリン抵抗性の原因: この慢性炎症が、インスリンの働きを悪くするインスリン抵抗性の一因となり、血糖値の上昇や糖尿病の発症・悪化につながる可能性があります。インスリン抵抗性とは、インスリンが体内で十分に作用せず、糖が細胞に取り込まれにくくなる状態です。
3. 善玉菌(アッカーマンシア菌など)の関与
- 短鎖脂肪酸の減少: 腸内細菌が食物繊維を分解して作る短鎖脂肪酸は、インスリンの分泌を円滑にしたり、インスリン抵抗性を改善したりするなどの有用な働きがあります。糖尿病患者では、短鎖脂肪酸を産生する特定の善玉菌が少ないことが報告されています。
- アッカーマンシア菌: アッカーマンシア菌という善玉菌は、血糖値や血中脂質レベル、内臓脂肪の改善と関連していることが示唆されており、この菌の量が少ないことが糖尿病や肥満との関連で注目されています。
腸内フローラを改善するための対策
腸内フローラの改善は、糖尿病の予防や管理において重要なポイントの一つと考えられています。
- 食物繊維の積極的な摂取: 腸内細菌の「エサ」となる食物繊維、特に水溶性食物繊維を豊富に摂ることが推奨されます。これにより、有用な短鎖脂肪酸の産生を促し、腸内環境を整えます。
- プロバイオティクス/プレバイオティクスの活用: 乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスや、それらのエサとなる食物繊維などのプレバイオティクスを意識的に摂取することも有効です。
補足: 腸内フローラを整える方法は、糖尿病の新しい治療法として研究段階にありますが、現時点ではあくまで従来の糖尿病治療(食事療法、運動療法、薬物療法など)を補完する対策として考えられています。
腸内フローフを改善するためにも、血糖コントロールを良くするためにも、肥満を防ぐためにも、そして肥満が招く血管の老化を防ぐためにも、食物繊維が豊富に含まれている食事を心がけることが、とても大事なポイントです。内臓脂肪

