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腸内環境が悪いと、腸は「恩を仇で返す」

腸内環境が悪いと、腸は「恩を仇で返す」 という表現が正しいでしょうか?口から食べたものは、胃や十二指腸で体にとり入れやすいように小さく分解されて、小腸から吸収され、血管によって全身の細胞に運ばれていきます。

血管は「動脈」「静脈」「毛細血管」の 3 種類で成り立っています。心臓を飛び出した血液は、全身の動脈をかけめぐり、網目状の細い毛細血管に入って、そこで全身の細胞に酸素と栄養を渡し、二酸化炭素と老廃物を回収して、今度は静脈に乗って心臓に戻ってきます。この一連の作業にかかる時間は、たったの 60 秒ほどです。

1人の人間の血管の長さは、全部で 9 〜 10 万 km にも及びます。地球の外周は 4 万 km ほどなので、なんと地球を 2 周半する分ほどに相当します。また、血液の通り道である血管内の内陸を平らに広げると、サッカーグラウンドと同じくらいの面積になります。
血液は、これだけの長くて広い血管をかけめぐって、全身の細胞を養っているのです。

腸も臓器の 1 つなので、腸の細胞も血管から栄養をもらっています。くり返しになりますが、栄養素は腸の壁から直接、腸の細胞にしみ込んでいくわけではありません。血管から酸素と栄養を受け取り、養ってもらっているのです。ところが、腸内環境が良くないと、恩を仇で返すような現象が起こります。
血管に養ってもらっているにもかかわらず、その血管に、腸が悪いものを送り込んでくることがあるのです。

なぜ、腸は、恩を仇で返すようなことをするのでしょうか。それは、「腸のバリア機能」が損なわれているからです。腸の内側では、「上皮細胞」という細胞が密集して、腸の壁を守るように覆っています。腸のなかは、食べたものが分解されて流れてきたり、口から入ってきた病原菌が潜り込んだり、100 兆個もの腸内細菌がすんでいたりするので、余計なものが侵入してこないようにバリアを張っているわけです。

ただし、その一方で、必要な栄養素や腸内細菌たちが作ってくれた良いものは、積極的に体内に摂りいれなければいけません。ですから、腸の表面では、上皮細胞たちが「悪いものの侵入は防ぎ、良いものは通す」という取捨選択をしています。その結果が、血液の質を決めているのです。

そして、腸内フローラが悪くなると、その取捨選択が甘くなって良くないものまで通してしまい、結果として血管に悪いものを送り込んでしまうというわけです。

腸は血管によって養われているので、血管が元気でなければ腸も元気がなくなります。腸のコンディションが悪いと、血管に悪いものが送り込まれてくるので、血管も悪くなってしまいます。
つまり、腸と血管は持ちつ持たれつの関係で、お互いのコンディションを支え合っているのです。
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