血圧が高めの人は、朝の起床時は要注意です。明け方に限って血圧が上昇する早朝高血圧などの症状もみられることも一因です。
高血圧症が進んでいる高齢の方は特に注意しなければなりません。
早朝高血圧のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、基本的には血管と血流の関係です。就寝中は体は安静状態ですから、多くの血流を必要としません。そのため血管は収縮して細くなっています。
一方、目が覚めて活動を開始すると、血流が増えて血圧は一気に上昇します。また、血液は、活動的な昼間はケガなどのトラブルに備えて固まりやすくなっていますが、夜の間はその必要がなく、凝固しにくくなっています。そして、起き抜けには、固まりやすい状態に変化することがわかっています。
つまり、朝の起床時には、血管は収縮して細く、血液は固まりやすい状態になっています。血流が悪くなる条件がそろっているわけです。血圧が上がり、心筋梗塞や脳梗塞などの急性発作を起こす危険性が高くなります。
朝の通勤時に一電車に乗ろうとしで急ぎ足で階段を駆け上がったり、赤倍号になりかけている横断歩道をダッシュで渡ったりするのは危険です。また、思い切り踏ん張って重い物を持ち上げたりするのも避けましょう。
以上のことから、早朝の起床時に体に負担をかけるのが最も危険なことがわかります。寒さを我慢してトイレに立ったり、ベッド体操で急に体を動かしたりするのは避けましょう。
また、着替えや洗面なども、できるだけゆっくり、スローペースで行うのがいいでしょう。早めに起床し、余裕を持って一日のスタートを切りましょう。くれぐれも避けたいのは、朝寝坊をして駅の階段を駆け上がる行為です。高血圧症の人にとっては自殺行為といってもいいくらいです。