最近の調査によると、不眠を訴える人が急増しており、5人に1人が不眠で悩まされていることが確認されています。たとえば、北里大学が1 万人を対象に行った調査では、半数の人が「不眠症」あるいはその疑いがあるとされました。脳には、睡眠を司る「睡眠中枢」と、覚醒を司る「覚醒中枢」とがあり、この両者の調節機構が正常に働かないと、睡眠障害の1 つとして不眠症を生じるのです。不眠症の原因としては、過労やストレス、うつ病、いくつかの身体的な疾患などが知られています。
「昨夜はよく眠れなかった」といった「不眠」は、一過性のストレスや身体的苦痛などによって起こります。一時的に眠れない状態は、生体の生理的な反応としての不眠ですが、医学的には「不眠症(睡眠障害)」とは呼びません。単なる不眠は、医学的には疾患ではなく、治療対象とはされません。
一方、代替医療・統合医療では、一時的な不眠に対しても、カモミールやレモンパーム、バレリアンといったハーブを利用します。
特に、カモミールやパッションフラワーなどのハーブティーは、安全性も高く気軽に用いることができます。病気としての不眠症とは、次のいずれかの症状が週2回以上認められ、少なくとも1ヶ月間持続する場合をいいます。
- 入眠障害…寝つきが悪く、入眠するのに長い時間を要する病態。就床後1 ~2時間以上眠れない状態。
- 中間覚醒(中途覚醒)…夜中に目が覚めやすい病態。複数回日が覚める場合や、目が覚めたあと眠れない場合があります。うつ病や脳血管障害に伴って生じることも知られています。
- 早朝覚醒…意図したよりも早く日が覚める病態。生理的現象として高齢者に多く、また、うつ病の症状の1つでもあります。
- 熟眠障害…熟眠したという満足感がなく、覚醒時に睡眠不足を感じる病態。以上が不眠症の代表的な病態です。
れらの不眠症をもたらす原因として、「精神生理性不眠症」の他、身体的疾患や精神疾患などがあります。「概日リズム睡眠障害」という病態もあります。これは、入眠と覚醒の時刻が一般的に好ましいと考えられる時間帯ではない状態をさします。
この障害には、朝寝坊型になる「睡眠相後退症候群」と、朝早く覚醒する「睡眠相前進症候群」があり、社会生活において問題になる前者では、メラトニンなどの投与が行われます。うつ病によって生じる不眠症もあります。うつ病では入眠困難、中間覚醒、早朝覚醒のいずれも起こりえます。最近、肥満の合併症として生じる「睡眠時無呼吸症候群」が注目されています。2003年には、新幹線の運転士が、この症候群のために居眠り運転を起こしたことで大きなニュースになり注目を集めました。
うつ病や脳血管疾患、肥満症、医薬品の副作用による不眠症であれば、サプリメントではなく、主治医に相談します。 医療機関での不眠症に対する治療は、睡眠薬の投与が中心となります。睡眠薬の多くは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬という種類であり、覚醒中枢を刺激する感情中枢の興奮を抑制します。
特に問題となる基礎疾患がないのに、不眠を訴える人も少なくありません。代替医療・統合医療による不眠の治療では、個人の体質や症状に合わせて次のようなサプリメントを利用しますが、基本的に体が緊張状態(交感神経優位)の状態では眠気がやってきません。体をリラックスさせる方法を自分なりにさがしてみます。音楽を聞いたり、おいしいものを食べたりして自分で「心地よい」と感じることをすることが一番です。
穏やかに働くハーブは、「バレリアン」です。睡眠のリズムに作用するホルモンは、メラニンです。うつ病などの抗うつに作用するのは、「セントジョーンズワート」です。