女性の生涯には、エストロゲンに代表される女性ホルモンの働きが大きく関関与しています。女性の場合、脳の視床下部と下垂体前葉、卵巣などの間で行われる調節機構により、ホルモンのバランスが適切に保たれています。
女性ホルモンの産生によって初潮があり、ホルモンの産生量が増加します。そして、妊娠・出産の可能な年齢を過ぎると、ホルモンは急激に減少し、更年期から閉経を迎え、更年期になります。
また、女性ホルモンは、月経周期に伴って変動します。女性では、ホルモン産生量の変動に伴って、心身の状態が変化し、さまざまな症状が現れます。
女性特有の症状や疾患には、エストロゲンなど女性ホルモンの不均衡から生じるものが多くあります。女性ホルモンの産生・分泌は、脳の視床下部にある中枢で調節されています。
また、同じ視床下部には、自律神経の中枢もあり、お互いに影響を及ぼし合っています。日常生活のストレスや、加齢に伴うホルモン量の変化、月経異常などによって、ホルモン分泌の調節が乱れ、イライラや不眠といった不定愁訴が現れるようになるのです。
主な女性の病気には、次のようなものがあります。
ひとつめに、子宮筋腫があります。子宮筋腫は、子宮の筋肉層から生じる良性腫瘍の一種です。成人女性の4人に1人はあるといわれるほど多く、30~40歳代で生理痛や貧血などの症状が現れますが、本人が自覚せずに一生過ごしてしまう場合もあります。
子宮筋腫の原因は、エストロゲンの刺激により子宮の筋肉繊維が増殖するためと考えられています。
ふたつめは、子宮内膜症です。子宮の内面をおおっている膜が子宮内膜です。 子宮内膜症とは、本来、子宮の内側だけに存在する子宮内膜が、子宮の筋層部分や卵管や卵巣、腹腔など子宮以外の場所にまぎれ込んで、そこで増殖する病気です。特徴的な症状は、強い生理痛や過多生理、性交痛などです。 子宮内膜症は30~40歳代に起こりやすく、閉経期になると、減退します。
3つめにPMS、月経前症候群があります。生理の数日ほど前からイライラ感や不眠、抑うつ、下腹部痛、便秘、むくみ、乳房痛、悪心などの症状が現れ、生理開始とともにこれらの症状が軽快したり消失したりする病態をいいます。
『月経前緊張症』とも呼ばれます。原因は、卵巣黄体期の内分泌環境、特に黄体ホルモン(プロゲステロン)が関与すると考えられます。
4つめは、更年期障害になります。以上の他、若年女性では、自己流の無理なダイエットがホルモンバランスに変調をきたすことがあります。このメカニズムは、次のようになっています。
一般に、女性が太りやすい時期は、思春期、妊娠・出産期、更年期の3回になります。これらの時期には女性ホルモンを分泌する卵巣機能が大きく変化します。
一方、女性の正常な性周期の維持には、一定量の脂肪細胞が必要です。性腺機能と体脂肪率の相関を調べた研究では、初潮発来には17% 以上、正常な月経周期の確立には22% 以上の体脂肪率が必要であるとされています。
若年女性に認められる極端な摂食制限によるダイエットは、体脂肪量が少なくなるため、脂肪細胞から分泌されるホルモンなどのバランスを崩してしまうことになります。
その結果、初潮の遅れや月経異常といった性腺機能の異常を来すのです。
対処方法は、女性特有の症状に対して、西洋医学では、ホルモン療法や対症療法が行われます。ホルモン療法では副作用の問題が生じることもあり、医療用医薬品よりは作用が穏やかなサプリメントの成分に注目が集まっています。
植物性食品やハーブには、女性ホルモンと同じ作用をもつ物質・イソフラボンが含まれるものがあります。イソフラボンは、植物性食品に含まれるファイトケミカル(植物由来の抗酸化栄養素。「ファイト」はギリシア語で「植物」の意味)の1つです。イソフラボンは、エストロゲン受容体に対する親和性を有し、エストロゲン様の働きをもつことから、植物由来のエストロゲンという意味で「ファイトエストロゲン」とも呼ばれます。イソフラボンが女性特有の疾患や生活習慣病に効果をもつため、イソフラボンの豊富な植物性食品やハーブが注目されています。イソフラボンは、弱いエストロゲン作用および弱い抗エストロゲン作用の両方を有しています。
この相反する作用は、エストロゲン受容体にに対する親和性が、イソフラボンと内在性エストロゲンとで異なっているためです。
内在性エストロゲンの過剰や低下が原因で生じる女性特有の疾患には、イソフラボン含有食品やイソフラボン・サプリメントが効果を示すことがあります。
過剰なエストロゲンを原因とする疾患では、イソフラボンがERに結合し、アンタゴニスト(持抗剤) として作用するため、症状の改善が期待できます。
逆に、更年期障害や閉経後の骨粗髭症などエストロゲンの低下による病態では、イソフラボンがERに結合して弱いエストロゲン作用を示すため、症状が改善されます。【
ファイトエストロゲンを含むサプリメントにはいくつかの種類があります。女性ホルモンのバランスには個人差が大きいので、自分に合った成分を選ぶことが大切です。
女性ホルモンの調節に役立つサプリ
- 大豆イソフラボン
- レッドクローバー
- ブラックコホシユ
- プエラリア・ミリフィカ