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硬くなってしまった血管もやり方次第で柔らかな血管に回復できる

硬くなってしまった血管もやり方次第で柔らかな血管に回復できる という情報です。

血管が詰まる「梗塞」と破れる「出血」

私たちの体には網の目のように血管が巡っています。血管には「動脈」「静脈」そして「毛細血管」の3種類があります。これらをすべてつなぎ合わせると、およそ9~10 万km。

これは、地球を約2周半する長さにもなります。動脈硬化に関係する「動脈」の長さだけを想像しても、いつ、どの場所でトラブルが発生するのか。事前に把握することは、現実的には難しいところです。
さまざまな重篤な病気を併発する大敵「動脈硬化」は、どこに進行するかによって、誘発される病気が変わります。

たとえば、心臓を養う冠動脈で起これば「心筋梗塞」「狭心症」を、脳の血管で起これば「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」などを発症します。

とくに脳の動脈硬化は、「脳血管性認知症」の原因にもなります。これら、動脈硬化が加齢現象を超えて進行し、誘発する病気をまとめて「動脈硬化症」と呼びます。血管が原因の病気なので、私はこれらの病気を「血管事故」と呼んでいます。
これらは、自覚症状がほとんどないままに進行し、発症したときには生命にも関わる致命的なケースが少なくありません。まさに、動脈硬化は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」なのです。

「血管事故」はここに起こる

動脈硬化が発生した血管の部位ごとに起こる病気を以下にまとめました。ぜひ参考にしてください。血管の病気はたくさんあるので、脳と心臓の病気について簡単にご説明します。

脳動脈
  • 脳梗塞(脳の血管が詰まる)
  • 脳出血(脳の血管が破れて出血する)
  • 脳血管性認知症(脳梗塞や脳出血などの後遺症として認知症になる)
大動脈
  • 大動脈癌(動脈硬化によって大動脈の壁がもろくなり内圧に負けて膨らむ)
  • 大動脈解離(大動脈壁が裂け、血液が流れ込んで壁が内側と外側に解離する)
冠動脈
  • 虚血性心疾患(冠動脈が狭くなったり、詰まったりする)
腎動脈
  • 腎硬化症(腎臓の血管に動脈硬化が生じ、腎臓が硬く萎縮して機能が障害される)
  • 腎不全(糸球体の機能60%以下まで低下した状態。10%以下になると人工透析治療が必要になる)
末梢動脈
  • 閉塞性動脈硬化症(下肢の血管の動脈硬化が進み内腔が狭くなったり詰まったりして血流が不足する)

意外と知らない動脈硬化「3つの起こり方」

1.アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)
血管壁の内膜に、コレステロールなどの脂肪からなるドロドロした粥状物質(アテローム)がたまってコブのようなものができ、次第に大きくなることで動脈の内腔が狭くなる。大動脈や脳動脈冠動脈などの比較的太い動脈に起こる。
2.細動脈硬化
脳や腎臓の中の細い動脈に起き、3層になっている血管の壁(内膜・中膜・外膜)全体が厚くもろくなる。しなやかさが失われると血管壁は破れやすくなる。高血圧症が長く続いて引き起こされることが多いのが特徴。

3.中膜硬化(メンケルベルク型硬化)血液中のカルシウムが血管の壁の中腰にたまって石灰化を起こす。中膜が硬くもろくなり、血管壁が破れることもある。大動脈や下肢の動脈、頸部の動脈に起こりやすい

すべての始まりは、「血管内皮細胞」の障害が原因

一般的に動脈硬化というと、1の「アテローム性動脈硬化」のことを指しています。「頚動脈エコー検査」で調べられるのは、主にこのタイプの動脈硬化です。それでは、アテローム性動脈硬化の起こり方を簡単にご説明していきましょう。

血管内皮細胞の障害と半球(白血球)の侵入
まず、生理的な加齢や高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの危険因子により、血管の内側の「血管内皮細胞」が障害されます。傷ついた血管内皮細胞には単球(白血球)がくつつき、やがて血管内皮細胞の固から壁の内側へと侵入します。続いて内皮から血管壁の中へと侵入した単球は、輿物を貪り食うようにして処理する細胞「マクロファージ」へと変化します。
異物の侵入
傷ついた「血管内皮細胞」のバリア機能が弱まると、血管内に異物が侵入しやすくなります。異物の代表格が「LDLコレステロール」で、これが血管壁に入り込むと「活性酸素」の影響で「酸化コレステロール」となります。
LDLコレステロールとは、血液中の脂質の一種で、酸化すると動脈硬化を進行させるため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。また、「活性酸素」とは、反応性の高い分子の総称で、体内でエネルギーをつくり出すときに発生します。ストレスや喫煙などで増えることもわかっています。

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非常に不安定な物質で、「活性酸素によって体内が酸化する」などといった表現をよく耳にしますが、活性酸素によって細胞が傷つけられることを意味しています。血管内に活性酸素が増えると、血管が傷つけられやすくなり、動脈硬化が進行してしまいます。喫煙が「血管力」を下げるのは、体内の活性酸素を増やすことも関係しています。

免疫システム発動

LDL コレステロールが「酸化コレステロール」になると、私たちの体を守る免疫システムはそれらを異物とみなして攻撃します。

免疫細胞である白血球の「単球」から分化した「マクロファージ」は、アメーバのような細胞で、病原菌などを自らの体内に取り込んで殺し、私たちの体を守っています。
「酸化コレステロール」はこうした異物とみなされて、マクロファージに処理されます。

限界まで働いた免疫細胞が破裂、蓄積

限界を超えるまで酸化コレステロールを取り込んだマクロファージは泡沫細胞となり、脂肪のかたまりとなって血管壁内に蓄積してしまい、やがてコブのように隆起します。これが、「プラーク」と呼ばれるもので、その内部に詰まったジュクジュクとした軟らかい脂肪のようなものが「アテローム」です。プラークは、その状態がおかゆに似ているため「粥腫」とも呼ばれます。

プラークが大きくなると血管の内腔が狭くなって、血液が流れにくくなってしまいます。また、動脈硬化によって血管壁が、もろくなり、切れてしまうこともあります。

「LDLコレステロール」が、どうして血管の内膜に侵入して酸化するのかはまだよくわかっていません。ただ、加齢や生活習慣病などによって血管内皮細胞の機能が低下し、傷つきやすくなった血管の内膜にコレステロールが侵入することはわかっています。動脈硬化は血管内皮細胞の衰えとともに発症するといってもいいでしょう。

ふさぐ・詰まる元凶「血栓」はなぜできる?

できたばかりの「プラーク」は非常にもろく、血管の収縮などの刺激をきっかけに一部が破れてしまうことがあります。すると、それを修復しょうとして血小板が集まり、血液のかたまり(血栓)ができます。この血栓がやっかいで、血液の流れが滞るのはもちろん、血管をふさぐまで大きくなることもあります。
そこで詰まらなくても、血流に乗って別の場所に運ばれ、そこで動脈を詰まらせてしまうこともあるのです。

脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす血栓はこうしてつくられています。プラークが大きくなって血管の内腔が狭くなると、小さな血栓でも詰まることがあります。また、動脈硬化のリスクとなる喫煙習慣や生活習慣痛が放置されると、できたてのプラーク同様の、内部に脂がたまった傷つきやすいコブが、いつまでも血管の内壁にでき続けますので、注意が必要なのです。

厄介なプラークは、「安定性」がカギ

プラークは大きいから危険だとは限りません。むしろ、できたばかりでそれほど大きくもない小さなプラークでも、不安定で傷つきやすいことも多く、「血管事故」を起こしやすいことがわかっています。プラークは大きく2種類に分けることができます。

  1. 内部の脂質が多く、また表面を覆う膜が薄くてはがれやすい「不安定プラーク」。突然死を招きやすい
  2. 内部の脂質が比較的少なく、また厚く丈夫な膜に覆われ傷つきにくい「安定プラーク」

できて間もないプラークのほとんどは「不安定プラーク」で、時間をかけて段階的に成長したものが「安定プラーク」になります。

もしも、悪しき生活習慣をそのまま放置し続けると、動脈硬化のコブは不安定プラークのまま次第に大きさを増していきます。

ところがある程度の大きさのところで、脂質を覆っているプラークの膜が傷つき、血管事故を発生することがあるのです。一方、生活習慣を改善したり、適切な治療を受けたりすることで「不安定プラーク」は「安定プラーク」へと変化します。不安定プラークは炎症を起こしています。

たとえるなら、蚊に刺された直後の皮膚の状態と同じようなものです。蚊に刺された直後は炎症が起こり、ブワ一つと大きくはれ上がって強いかゆみをともないます。そして爪で引っ掻けばジクジクして容易に傷ついて出血してしまいます。ところが、引っ掻いて傷つけないようにしていれば、時間の経過とともにだんだん炎症がやんで、ふくらみも小さく固まるようにして治っていきます。

プラークも同じで、最初は炎症を起こしてジュクジュクしていても、時間がたつと徐々に固まっていきます。積極的な治療を施せば、プラークが小さくなってたいしゆくいくこともあるのです。これを動脈硬化の「退縮」と呼びます。

できたての「小龍包」プラークが大事故を招く

コレステロールなど脂肪がたっぷり詰まって破れやすい「不安定プラーク」は、中華料理でおなじみのク小龍包クのようなものです。熱々の小龍包を箸でつついて破れると、ジュワッとした肉汁があふれてきます。

不安定プラークもこれと同じで、ちょつとした刺激で破れて中に詰まった脂が出てきてしまいます。そうすると、傷ついたプラークを修復するために血栓ができてしまいます。

一方、「安定プラーク」は「肉まん」にたとえられます。肉まんは、中身を包む皮がしっかりしていて、ちょっと触ったくらいで破れることはありません。また、中の肉汁は少なめでしっかりしています。安定プラークも、外側の膜が丈夫で内部の脂も少ないため、いきなり破れて血栓をつくることはほとんどありません。

プラークが大きい場合、血管の内腔は狭くなりますが、心筋梗塞などによる突然死のリスクはそれほど高くありません。事実、1998 年の厚生省(現・厚労省)のデータによると、急性心筋梗塞の 8 割強はそれほど大きくなっていないク「龍包プラーク」が傷ついたことによって発症していたことがわかっています。「小籠包プラーク」つまり「不安定プラーク」こそ、突然死を招く黒幕といっていいでしょう。

ランニング中「突然倒れる人」に起きていること

困ったことに、できたばかりのプラークは小さく、血管内腔が狭くなっていないため、自覚症状がほとんどありません。みなさん、自分の血管がそのような危険な状態にあるなどと思いもよらないことでしょう。

マラソンなどで急性心筋梗塞を発症して亡くなる方は、こうした「小籠包プラーク」が、走っている間にバチッとはじけて、そこにできた血栓で冠動脈が詰まってしまうのです。マラソンは、汗を大量にかき、長時間体を動かすハードな運動ですから、そのストレスが一気に血管に襲いかかり、こうした「血管事故」が起こることが少なからずあるのです。

プラークの中には、ジュクジュクした不安定な状態のまま大きくなるものもありますし、膜が硬くなって安定するものもあります。ジュクジュクした状態のまま徐々に大きさを増す「小龍包プラーク」はとても危険です。血圧の上昇などちょっとした刺激で破れてしまいます。

「血管事故」を防ぐには、プラークを覆う丈夫な膜をつくり、安定させることが大切だとおわかりいただけたと思います。

「プラークの安定化」が突然死を防く最大のコツ

一方、「肉まんプラーク」、つまり「安定プラーク」ができた場合は、血管の内腔が狭くなっているので、血液が流れにくく、小さな血栓が詰まりやすいため、胸の痛みなどなんらかの自覚症状があります。深刻な状態に陥る前に医療機関で適切な治療を受ければ、突然死を迎えることなく、おだやかな状態でそのまま維持できます。

では、どうすれば、危険な「小籠包プラーク」を、丈夫な膜で覆われた「肉まんプラーク」に変えることができるのでしょうか。ここで活躍するのが「血管内皮細胞」です。

血管内皮細胞が正常に機能していれば、できてしまったプラークを、ある程度のところまで小さくすることもできます。大きくなってしまった「小籠包プラーク」をなくすことは難しいのですが、固めて少し小ぶりの「肉まんプラーク」にすることは可能です。

たとえるなら、不発弾をセメントで固めて爆発しないようにする、不発弾処理のようなものです。

「血管内皮細胞」といえば、「NO」です。「NO 」は、「血管内皮細胞」の機能を維持します。「NO力」を高め、できてしまった「プラーク」も速やかに安定化できることを目指しましょう。
また、そもそも「血管内皮細胞」が正常に働いてくれてさえいれば、血管内皮細胞の障害から始まる、一連の動脈硬化のプロセスは抑制されます。血管内皮細胞の傷は、血管内皮細胞自らが出す「NO」によって修復されますし、また、血管壁への白血球や血小板などの沈着も起こりにくくなり、炎症や血栓の形成も抑制されるのです。
NOをたっぷり効率よく分泌させる3つの方法
「NO力」を高めることの大切さ、改めておわかりいただけたのではないでしょうか。

脳卒中のリスクを半分に減らせる食べ物

さらに、血管内皮細胞を助け、安定化を早めてくれるのが、青魚に含まれる EPA ( エイコサペンタエン酸 ) です。EPA には血管内皮細胞の炎症をしずめ、血管の膜をつくる(コーティング)作用があります。魚が「血管事故」予防によいことは、さまざまな研究で明らかになっていて、魚に含まれる EPA は脳卒中のリスクを 40 ~ 50% 、心筋梗塞のリスクを約 20 % 低下させるという研究結果もあります。

最近、中国などでマグロの買い占めが始まったことがニュースになりましたが、こうした研究結果に影響されているのではないでしょうか。治療の一環として EPA の摂取をすすめているクリニックや病院も増えています。食事での摂取が難しいという方には、治療薬としての高純度EPA製剤を摂取していただいています。

脂質異常症の患者さん26人に、毎日、高純度EPA製剤 ( EPA 1800mg 含有 ) を摂取していただいたところ、2 ヶ月で血液中の脂質データが改善し、血管の壁がしなやかになって若返返りました。

ただし、市販されているサプリメントは純度が低いものもあるので注意が必要です。
血管の若返りにDHAたっぷりのマンボウの肝油」などがおすすめです。

EPA のほかに、ブルーチーズに含まれている LTP  (ラクトトリベプチド) にも血管内皮細胞の機能を高める作用があることがわかっています。これには血管拡張作用とそれにともなう降庄作用がありますが、そのメカニズムのひとつとして血管内皮機能の改善が考えられています。

血管若返り

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