体の健康 夜眠っている間につくられる 睡眠中に作られる体と心について紹介します。
健康を考えたときに、食生活や運動、生活習慣を見直すのが一般的です。当然、大事な要素ですが、夜の健康づくりについて考える人が少ないのはどうしてでしょうか? 夜の睡眠は、健康維持にはとても重要なのです。
体の健康 夜眠っている間につくられる
夜間の睡眠は、単なる休息時間ではなく、体と心の健康を維持・回復するための「生産と修復の時間」です。
眠っている間に私たちの体内では、日中の活動で生じたダメージを修復し、明日への活力を生み出すための重要な活動が静かに、しかしダイナミックに行われています。
特に、成長ホルモンの分泌による肉体のメンテナンス、脳内の老廃物排出と記憶の整理、そして心の安定に不可欠なホルモン生成といった働きは、健康な生活を送る上で欠かせません。
あなたが眠っている間に、体と心に具体的に「作られているもの」と「起こっている変化」について詳しくご紹介します。
風邪をひいたり、調子がよくない、だるいときに、まず何を考えるでしょう?
ほとんどの人が「 早く寝る 」という方法ではないでしょうか? 早く寝ることがどれだけ効果的であるかはみんなよくわかっているのです。頭で考えるよりも体が睡眠を要求しているのです。
では、睡眠が1日の疲労を癒し、明日への活力になっていることは、体はわかっているのに、行動は伴わないことが多いのはどうしてでしょうか?
生理学的にも睡眠の疲労効果は科学的に証明されています。また、人間の体は、病気に対して免疫力と快復力を備えています。そして重要なことは、この体がもつ自然の力は、夜眠っている間につくられるということです。病気の人が眠れない日が続くと、病状に変化はなくても回復が遅いことがわかっています。
健康を考えたときに「 睡眠 」は必要不可欠なのです。ところが健康の情報に、眠りのことを訴えている専門書などはあまり見かけません。もっと睡眠に関心を寄せるべきです。
1. 体の健康に関する生成物と変化
| 分野 | 主な生成物/物質/変化 | 役割・作用 |
| 成長・修復 | 成長ホルモン | 疲労回復、細胞の修復(筋肉、骨、内臓、皮膚などのダメージ修復)、免疫力の強化、脂肪の代謝促進など。特に入眠後最初の深いノンレム睡眠時に多く分泌されます。 |
| 睡眠調節 | メラトニン | 睡眠ホルモンと呼ばれ、夜になると分泌量が増加し、眠りを誘い、覚醒と睡眠を切り替えます。日中に作られたセロトニンを材料に夜間分泌されます。 |
| 免疫システム | 免疫関連物質 | 免疫システムを強化し、病気や感染症に対する抵抗力をつけます。 |
| 身体の休息 | 自律神経の切り替え | 副交感神経が優位になり、体が休息モードに入ります。筋肉がゆるみ、血圧や心拍数が下がります。 |
| メンテナンス | 細胞の修復と再生 | 肌のターンオーバーや、筋肉・骨のメンテナンスと強化が行われます。胃酸の分泌も夜間にピークを迎えます。 |
2. 心と脳の健康に関する生成物と変化
| 分野 | 主な生成物/物質/変化 | 役割・作用 |
| 脳のメンテナンス | 老廃物の排出 | 脳は活動中にたまった老廃物(有害物質)を排出し、クリーンな状態にリフレッシュします。 |
| 記憶・学習 | 記憶の整理・定着 | 脳内で情報の整理が行われ、記憶が整理・定着されます。特にノンレム睡眠が深く関わります。不要な記憶の削除なども行われます。 |
| 心の安定 | – | ストレスや不安を軽減し、心の安定をもたらします。 |
| リフレッシュ | 物質交換の活発化 | レム睡眠中には、大脳皮質で活発な物質交換が行われ、脳がリフレッシュしていることが示唆されています。 |
| 覚醒準備 | コルチゾール | 起床前になると分泌が増え始め、日中の活動に備えて体を活動モードに切り替える準備をします。朝の目覚めを促すホルモンです。 |
睡眠は、単に体を休ませるだけでなく、これらの重要な「心身のメンテナンス」を行うための時間です。質の良い睡眠をとることで、これらの働きが最大限に発揮され、翌日の健康と活動につながります。
個人差があって当然の睡眠時間
何時間眠るのが最適か? これについては、とても難しい問題で、個人差はもちろんありますが、現実的には 6~8 時間ぐらいが最適と言われています。ただ、無理にこの時間を満たそうとして不眠になってしまう人もいます。
歴史的人物のナポレオンは、3時間しな眠れなかったとも言い伝えられています。真偽はわかりませんが、短時間の睡眠でも元気に過ごしている人がたくさんにるのも事実です。
人間の睡眠は、個人差が大きく、その人が置かれている状況や立場、年齢などによっても違ってくるので、あまり気にする必要はありません。
短時間の睡眠でも昼間、正常に活動でき、支障をきたさないのであれば心配はいりません。
眠らないとどうなるのか?
徹夜をした経験は誰にもあると思いますが、かなりの疲労が蓄積し、ふらふらします。一晩徹夜をすれば、一晩が限界だな、と思うのが普通です。
第一夜は目覚めていることは、容易ですが、午前3時~6時ごろまでに強烈な睡魔がおそってきます。目のかゆみやなどの症状があらわれます。ところが、翌日に昼頃には、眠気は少なくなり、普段とそれほど変わらない生活ができます。
第二夜になると、第一夜と異なり、目覚めているのが困難になり、覚醒状態を保つために食べたり、しゃべったりという筋肉を動かしていないといられなくなります。目はかゆみだけでなく、乾いてまぶたを閉じないと乾燥がひどくなります。しきりにまばたきをしなければいられなくなります。
歩いたり、動いたりしても眠気が絶えずおそってきます。昼間でも腰をおろすと寝てしまいそうになります。
第三夜は、目覚めているのが一層困難になります。ギネスブックには10日以上、眠らなかった人がいますが、通常は、2日~3日が限界です。日本で行った実験では、4日が最高でした。
人間は、どのくらい眠らずに過ごせるのか?という答えは、せいぜい4日が限界です。そして最後には寝てしまうのが答えです。非常に単純明快な答えです。

