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「 子宮ガン 」 2つのタイプがある

子宮ガン の種類と初期症状から治療、現状の治癒率なども。ステージごとの状態。

子宮ガン 現状

  1. 子宮がんには、膣に近い部分にできる「子宮頸がん」と、子宮本体にできる「子宮体がん」がある
  2. 子宮頸がんは性交渉の多い人に多く、子宮体がんは性交渉の少ない人に多い。
  3. 子宮頸がんは若い人にも多いが、子宮体がんは60歳代が中心で閉経後発病が多い
  4. 半年に1度、定期検診さえ受けていれば、子宮がんで命を落とすことはほとんどない
  5. 子宮頸がんの治癒率は、0期ではほぼ100%、かなり進んだ場合も含めた全体でも80%を超え、もっとも治りやすいがんのひとつである
  6. 子宮頸がんは、かなり進行した場合でも、放射線による治療がとてもよく効く
  7. 初期症状はすべて出血と関係している。ピンク色のおりものや閉経後の不正出血、性交後の出血があったら要注意
  8. 子宮頸がんは子宮の扁平上皮という腺上皮の部分から、子宮体がんは子宮の内膜という腺上皮の部分に発生する
  9. 子宮体がんは、子宮がん全体の10パーセントを超え、微増
  10. 子宮体がんは、がんが子宮部分に止まっている間に発見できれは、80パーセント以上が治る。

子宮にできるガン

子宮は、妊娠時には大きくふくらむが、ふだんは握りこぶしの2分の1から3分の1程度と、思いのはか小さな器官である。西洋ナシを逆さまにした形に似ていて、上が丸くふくらみ(子宮底部)、下は細くくびれて膣とつながっている。

上部のふくらみの両端には、2つの卵管がつながっており、その下方に卵巣がある。精子は膣から子宮に入り、さらにそこを通過して卵管に上り、卵巣から出て待機している卵子と出あい、受精する。
この受精卵は、精子がたどってきた道を戻るようにして子宮におりて、子宮の内側の壁(子宮壁)に落ち着く(着床)。

この子宮の上部の3分の2をしめるふくらんだ部分を「子宮休部」と呼び、下3分の1の細い部分を「子宮頸部」と呼んでいる。子宮がんには、子宮休部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」があり、それぞれかなり性質が違う。また、卵巣にできる「卵巣がん」もある。

子宮頸がん

ガンが起こる部位

子宮頸部のがんは、子宮につながる「頸管」と、膣の側に突き出した「子宮膣部」の境い目(移行帯)におこりやすい。

どういう人に多く発症するか

日本での患者数は年間2万人弱ほどと推測されているが、世界的にみて日本での死亡者は少ない。定期検診による早期発見が多く治癒率が高いことが、その理由である。

40~50歳代に多いが、若い人にもみられる。子宮頸がんの発病年齢は今後、さらに低くなるとされる。ただし、若い人では 0期の早期がんが多く、治療成績もきわめてよい。子宮がんはセックスと関係が深い。子宮頸がんでは多くの人とのセックスの経験があったり、早い時期からセックスを始め、しかも頻度が高い人に多く発生している。

既婚者では、妊娠回数の多い人に発生率が高いと言われている。セックスの経験がない、あるいは少ない人、l人の男性としか交渉のない人には少ない。若い世代の子宮頸がんの増加の背景に、性体験の若年化があるともいわれる。ウィルス原因説もあるので、性交渉の経験をもつようになったら定期検診を受けることである。

子宮ガン 自覚症症状

出血が発見のきっかけになる。生理以外の出血は、まず怪しいと考える。出血は、鮮血のこともあるし黒ずんでいることもある。おりものに血が混じってピンク色になったり、赤茶色になることも多い。

閉経前後は、生理が不順になるので不正出血を生理と間違えたり、閉経後の出血を生理の再来と勘違いすることがとても多いので、とくに注意する。
年をとった未亡人のがんに進行したものが多く、妊娠中の女性には早期のものが多いのも、出血に対する関心度の違いを示している。

セックス時の出血もある。性交によってがん組織が崩れて出血をおこすのである。おりものの量の増加もある。がんの周囲から浸出液がしみだして、その分、おりものの量が増える。最初は薄い色でも次第に色が漉くなり、悪臭を放つこともある。しかし、ごく早期には全く無症状のままに経過することがほとんどである。0期で発見し治療するためにも、30歳を過ぎたら半年に1回の定期検診を受け続けることが早期発見につながる。

診断

検査はとても簡単に終る。痛みもほとんどない。綿棒を膣内に入れて、子宮膣部あるいは等の細胞をこすりとるだけである。こすりとった細胞を染色したのち顕微鏡で診断する。

この検査と同時に、あるいは疑わしい場合には、コルポスコープ検査をおこなう。これは子宮膣部に薬剤を塗ったのち拡大して、肉眼ではわからない異常をみる立体顕微鏡である。そして、怪しいと思われる部分の組織を米粒の半分ほど採り、組織診をおこなう。

らに精密にがんの進行度を知るためには、麻酔をかけて円錐切除術をおこなう。子宮膣部を円錐形にくりぬくように切除し、組織を端から端まで徹底的に調べ、がんの深さもつかむ。子どもを生みたい女性でごく早期のがんの場合は、この組織の切除をもって診断兼治療にすることもある。

治癒について

正常な細胞ががん細胞に変化し始めた段階の「0期」に発見することができるようになったため、発見さえ早ければ100パーセント治せるようになった。

癌研病院では、この0期で発見される子宮頸がんがすでに50パーセントを超えた。定期検診さえ受けていれは、子宮頸がんは0期で発見できることを忘れないでほしい。

Ⅰ期は、がんがいちばん上の粘膜(上皮)からその下の筋肉層にまで進んだ段階で、Ⅱ期は子宮を支えているワイヤーローにあたる椒帯までがんに侵されている。骨盤まで進むとⅢ期になる。

子宮外の他の臓器にまでがんが飛び火(転移)するとⅣ期である。

治療後、完治とされる5年生存率は、Ⅰ期で93パーセント、Ⅱ期で80パーセント、Ⅲ期でも50パーセントにのぼる。しかし末期のⅣ期では20パーセントになってしまう。

それでも多くのがんのなかでは治療しやすいガンの部類にはいる。専門医は、Ⅰ期までのがんを発見することを目標にしている。

治療は、0期からⅡ期までが手術、Ⅲ期以降は放射線治療が中心である。進行しても放射線が非常によく効くので悲観する必要はない。

手術は、0期からⅠ期のaまでは、子宮だけをとる。(単純性子宮全摘術)。Ⅰa期は、がんが上皮部分から筋層にⅢミリまで進んだ状態である。

卵巣は、卵巣がんの予防のため閉経後の人は子宮とともに摘出するが、閉経前の人は原則として摘出しない。Ⅰb期以降になると、がんが筋層に 入り込み、どこまでがんに侵されているのか、外側からの検査ではわからない。そこで子宮だけでなく、子宮を支えている靭帯や膣の一部さらに骨盤内のリンパ節をすべて摘出する(広汎性子宮全摘術)。

卵巣は、閉経後の人は摘出するが、若い人の場合は残す。全身のホルモンバランスに欠かせない臓器だからである。

骨盤にまでがんが進んだⅢ期以降の手術は難しい。骨盤は、網の目のように血管がはりめぐらされているので出血の危険が高くメスを入れられないため、放射線療法になる。子宮頸がんには、放射線が非常によく効く。

ガンの専門病院でのすべての子宮頸がんの5年生存率は、手術をした症例では94.9パーセントだが、放射線療法でも62パーセントにおよんでいる。

放射線療法のほとんどはがんがかなり進んだ人におこなわれるのだから、放射線療法がいかに効果があるかを物語っている。子宮の摘出後、いちばん気になるのが性生活への影響である。これは、単純性子宮全摘術を受けた人の25パーセントが「性感の減退」を訴えていた。しかし膣は残っているので、肉体的には性生活に支障がおこることはない。

手術で多少膣が短くなるため違和感を感じることもあるが、やがて傷跡もやわらかくなり長さも伸びる。性感減退感は、むしろ子宮を喪失したという意識にあるようだ。

性欲中枢は、子宮ではなくいや大脳にある。女性の心の痛手を癒せるのは夫のいたわりであり、夫婦の心の交流である。心とからだの回復には、夫のあたたかい手助けがいちばんである。それが、女性の性感を回復させ、充実した夫婦生活を取りもどしてくれる。そうやって、多くの方がいきいきとした人生をとり戻されている。

治療後のもう1つの心配は、卵巣を同時に摘出しておこるホルモン失調である。閉経前の女性が卵巣をとった場合、更年期障害のような症状が現れることがある。これには、個人差があり、実際は何の異常も感じない場合のほうが多い。万「更年期障害の症状がおこった場合でも、やがて解消されるので心配はいらない。症状が強い場合は、医師に相談する。

子宮体がん

起きる場所

子宮の内側(内膜)は、月経周期に応じて組織がはがれ落ち、また再生を繰り返している。子宮体がんはこの内膜におこる。とくに子宮の奥、子宮底部という部分に発生率が高い。

このがんは、女性ホルモンとの関係が濃い。月経時に月経血といっしょにはがれ落ち排泄された内膜は、卵巣から分泌されるエストロゲン(ホルモンの一種)の作用によってふたたび増殖し再生される。
子宮体がんは、このエストロゲソが何かの間違いで正常細胞ではなくがん細胞を作るのではと考えられている。

子宮体がんの発生率は、これまで子宮頸がんの9に対して1とといわれ、欧米の7対3に比べると日本ではとても少ないとされていた。

しかし最近は急増しており、子宮がんの20パーセント以上を占めるという報告もある。子宮頸がんのように、集団検診の対象になっていないところが多く、発見も頸がんより難しい。閉経後の高齢者に多いので、40歳を過ぎたら半年に1度はこの検査も受けてほしい。

どういう人に起きるか

子宮頸がんとは反対に、セックス経験の少ない人、出産経験のない人、は不妊症などの人に多い。つまり、性生活が活発で出産経験の多い人は未婚で妊娠経験のない人は「子宮体がん」の危険を抱えるわけで、いずれにしても女性は子宮がんの危険から逃れられない。
年齢的には40歳以→ にはまれで、50~80歳代がピークである。子宮頸がんに比べ、年齢層の高いがんである。

自覚症状

初期の自覚症状はほとんどない。あるていど進むと、頸がんと同じょうに出血と関連した症状が出てくる。ただし閉経後の出血が多いので、注意さえしていれば頸がんの出血より異常に気がつきやすい。

診断

検診は頸がんほど普及していないが、最近はどこの婦人科でも受けられるようになった。

方法は、器具を使ったものと指による内診である。かなり進んだがんの場合、熟練医師なじんたいら、内診だけでがんの大きさや靭帯まで侵されているかどうかも判断できる。

内診と同時に「内膜吸引細胞診」という検査がおこなわれる。細いチューブ状の器具を膣から子宮膣内に入れ、注射器で子宮の内面をおおっている内膜の組織を吸引する。こうして採取したそうは細胞を染色し顕微鏡でみて、がんと疑わしい場合ほさらに内膜を掻爬して組織をとり、さらに詳しく検査する。この他に、Ⅹ線断層撮影(CTスキャナー)やリンパ節転移の有無を調べる診断方法もある。

治療の成果

子宮体がんも治りやすいがんに入る。がんの進み方によって0期からⅣ期までに分類されているが、その分類のしかたは、頸がんとは、多少異なる。0期は、子宮体部に限定されたがんだが、はっきりした定義はまだない。しかしこの段階で発見できれば、100パーセント治せる。
子宮内膣の、長さが8ミリ以下で子宮体部に限局されたがんをa期、8ミリ以上になったものがⅠb期。Ⅲ期は、がんが頸部まで浸潤したもの、Ⅲ期は子宮を支える敬帯まで進んだものである。
Ⅳ期は頸がんと同じで、膀胱や直腸など骨盤内の他の臓器にまでがんが広がったⅣa期と、遠くの臓器まで飛び火(転移)してしまったⅣb 期とにわけている。

Ⅱ期までの5年生存率は80%台だが、Ⅲ期になると、48%と急激に低くなる。しかしより重要なのは、リンパ節への転移の有無になる。リンパ節転移の有無によって、同じⅠ期でも治る率に大きな差が出る。

転移なしならⅠ期の5年生存率は約90%だが、転移があると約10%にまで低下してしまう。リンパ節転移がなけれは、Ⅲ期でもⅤ年生存率は80%以上が望める。

つまり子宮体がんは、Ⅱ期までのリンパ節転移がないうちに発見することが理想である。
治療は、やはり手術になる。ただし、手術範囲は頸がんの場合よりやや広い。つまり、Ⅰ期でも子宮摘出だけでなく卵巣も摘出し、さらに骨盤内のリンパ節の切除がおこなわれる。

Ⅱ期~Ⅲ期では、靭帯も含めた「広汎性子宮全摘術」がおこなわれる。卵巣も必ず摘出するのは、体がんの原因とされるホルモンの分泌源を残しておかないためだ。Ⅳ期になると手術だけで完全に治すのは難しいので、放射線療法と抗がん剤の併用治療がおこなわれる。ただし、子宮体がんは頸がんほど放射線の効きはよくない。

がん組織には、「腺がん」と「扁平上皮がん」のⅡ種あり、扁平上皮がんは放射線がとてもよく効くが、腺がんは効きにくい。子宮頸がん90パーセント以上は「扁平上皮がん」なので放射線がよく効くが、子宮体がんは「腺がん」なので効きにくい。子宮体がんの治療成績がⅢ期以降になると急落する理由がここにある。子宮体がんはホルモン依存性の強いがんなので、手術後にはがんの再発を防止するためにホルモン療法もおこなわれる。

卵巣がん

生じる場所

子宮がんに比べると発生率はずっと少ないが、卵巣がんは早期発見が難しく手遅れになることが少なくない。からだの内部にある臓器なので外部から診察器具を挿入することができず、白覚症状もかなり進んでからでないと現れにくいためだ。

発生年齢も、10歳代から80歳代のお年寄りまで非常に吾が広く、子宮がんのように検査対象をしばりにくいことも原因のひとつになっている。がんの種類からみても悪性度の高いものから低いものまで10種棟以上もあり、非常にバラエティに富んだ顔をもったがんである。

しかし、最近は、超音波やCTスキャナーによる診断もおこなわれるようになり、強力な抗がん剤もできたので治療成凍も少しずつ向上してきている。

自覚症状

初期には自覚症状ははとんどない。出血、腹痛、微熱などの症状が出る場合もあるが、せいぜいおなかに少し肉が付いたかな、腹部が経れた感じがする、という程度のことが多い。

診断

検査は、内診が中心になる。膣と肛門から指を入れて、卵巣の腫れを触れて診察する。これによって卵巣の腫れが認められた場合には、開腹手術をおこない、直接卵巣の組織を採ってがんかどうかをみきわめる。

ここまで治る

治療は、手術と抗がん剤の併用が多い。手術では両側の卵巣の切除、さらに子宮と小腸や大腸の上に広がる大網と呼ばれる網のような膜を取るのが基本である。

場合によっては骨盤内のリンパ節もきれいに取る。卵巣は、腹膜や腸間膜などと接触しているので、完全にがんを叩くために、手術後も引き続き抗がん剤を用いることになる。

妊娠を希望する若い女性に対してほ、卵巣の表面にまだがんが出ていない場合に限り、正常と思われる片側の卵巣だけ残す方法もある。しかし、やほり再発の危険は高くなるので、慎重な検討が必要となる。

残念ながら、治癒蓮はあまりかんばしくない。最近、有効な抗がん剤が使われるようになった。

ガン治療ポイント

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