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糖尿病の基礎知識

糖尿病の基礎知識 です。2021 年時点における日本の糖尿病患者数は、厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」によると、成人の場合、男女合わせて約1,226万人(20歳以上の人口に占める割合は、約11.7%)です。「糖尿病」は、血糖値が高い状態が続く病気です。

糖尿病の基礎知識 血液中のブドウ糖が多すぎる状態が続く

糖尿病の基礎知識

糖尿病の基礎知識

ある程度進行しないと自覚症状が現れないため、早期のうちは糖尿病に気づかない人もたくさんもいます。しかし、血糖値が高い状態を放置すると、やがて全身にさまざまな合併症が現れ、生活の質を低下させたり、命にかかわったりすることもあります。

厚生労働省の「2013年国民健康・栄養調査」の結果によると、糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる者)の割合は、男性16.2%、女性9.2%であり、50歳以降に割合が増えることわかっています。また、年々患者数は増加しています。平成23年時点で糖尿病の総患者数は約270万人 高齢者の生活習慣病が増加しているのが特徴です。国民病といっても過言ではない糖尿病についてです。

「ブドウ糖」は、全身の細胞でエネルギー源として利用される、重要な物質です。ブドウ糖は、血流によって全身に運ばれます。血液中のブドウ糖を「血糖」といい、その濃度は「血糖値」で表されます。血糖値は本来、ほぼ一定の範囲内に収まるよう調節されています。しかし、何らかの原因で血糖値が高い状態(高血糖)が続くことがあります。これが、「糖尿病」です。

自覚症状

高血糖があると、「のどが渇いて水をよく飲む、尿がよく出る(多飲多尿)」「疲れやすい」「体重が減る」などの症状が現れます。
しかし、早期のうちはこのような自覚症状はほとんどありません。糖尿病の怖さは、高血糖が続くことで引き起こされる「合併症」が、気づかない問に進行することにあります。

糖尿病が引き起こす病気

高血糖が続くと、全身の血管が傷つけら小ささな組織が無数に点在しています。この膵島にある「β細胞」が、インスリンをつくっています。β細胞は、血糖の増減に応じてインスリンの分泌を調節しています。

インスリンの分泌や働きに障害が起こって発症する

健康な人の場合

健康な人でも血糖値は常に変動しています。食事をとると、小腸からブドウ糖が吸収されて、血糖が増加します。すると、膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を筋肉などに取り込ませたり、使わない分を脂肪組織などに蓄積させたりします。インスリンは、血糖値の変化に応じてタイミングよく分泌されるため、食後はある程度血糖値が高くなりますが、すぐに下がります1また、食事を抜いても、肝臓や筋肉などに蓄えられていたグリコーゲンが、ブドウ糖に分解されて血液中に放出されることで、血糖が増加して、血糖値が下がりすぎないようになっています。このような仕組みにより、健康な人の血糖値の変動は、ほぼ一定の範囲内に収まっています。

糖尿病の人の場合

糖尿病では、何らかの原因により、インスリンの分泌や働きが障害されているため、高血糖の状態が続きます。

  • インスリンの分泌が遅い、分泌が少ない、量が少ないインスリンの分泌が遅かったり、分泌量が少ないと、′血糖をブドウ糖として肝臓や筋肉などに十分に取り込むことができません。インスリンをテレビの「〝電波」、血糖の利用をテレビの「画像」に例えると、「電波の送信不良でテレビがきれいに映らない」状態といえます。
  • インスリンの働きが悪いインスリンを受け取る「インスリン受容体」の働きがよくないため、インスリンが分泌されても十分に働くことができません。「電波を受け取るアンテナの受信・伝達不良でテレビがきれいに映らない」ような状態です。インスリンの分泌と働きのどちらか、または両方に問題があると、高血糖が続きます。原因によって、糖尿病は次の4つに分けられます。

分類

膵臓のβ細胞が壊れる「Ⅰ型糖尿病」

Ⅰ型糖尿病はインスリンをつくる脾臓のβ 細胞が破壊されて、インスリンが分泌されなくなるタイプの糖尿病です。以前は「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれていたもので、日本で少なく、糖尿病全体の1~3%とされています。小児~青年期の発症が多いといわれますが、どの年代でも発症する可能性があります。Ⅰ型糖尿病は、発症のしかたによって、大きく次の2つに分けられます。

  • 自己免疫性本来は細菌やウイルスなどの異物を攻撃して排除しようとする働きである「免疫」の仕組みが、自分の体の一部であるβ 細胞を攻撃してしまいます。
  • 突発性原因がわからないタイプです。このなかには、突然重症の糖尿病を発症する、「劇症Ⅰ型糖尿病」が含まれます。

Ⅰ型糖尿病は、比較的ゆっくりと進行するものや、突然発症して急激に進行するものなど、経過はさまざまですが、どのタイプでもインスリンが絶対的に不足し、ほとんどの場合、インスリンを補充する治療が必要になります。

インスリンの効きが弱くなるⅡ型糖尿病

Ⅱ型糖尿病は、これまでは「インスリン非依存型糖尿病」と呼ばれていたタイプの糖尿病です。日本では、糖尿病の90%以上が、この2型糖尿病です。40歳以上に多く、「体質」などの遺伝的素因のほか、「食べすぎ」「運動不足」などの生活習慣や、「肥満」「ストレス」などが、発症に深くかかわっているといわれています。
Ⅱ型糖尿病では、長い時間をかけて、血糖値が徐々に上がっていきます。インスリンの分泌のタイミングが遅れることで、食後の血糖値が特に高くなります。また、不適切な生活習慣が積み重なると、だんだんインスリンの働きが悪くなって、血糖値が下がりにくくなります。

膵臓が原因となりやすい糖尿病

遺伝子の異常が原因

Ⅱ型糖尿病は、遺伝とのかかわりがありますが、遺伝だけが原因で起こるわけではありません。これに対して、最近の研究で解明されてきたのが、遺伝子の異常を原因とする糖尿病です。
特定の遺伝子に異常があり、それを直接の原因として、糖尿病を発症します。日本では、糖尿病の患者さん全体の2%程度を占めると考えられています。このような遺伝子は、これまでに9つほど知られています。発症のしかたによって、次のⅡつに大きく分けられます。

  • インスリンをつくって分泌する機能に異常がある膵臓のβ細胞の働きにかかわる遺伝子に異常があるタイプです。通常と構造が異なるインスリンがつくられてインスリンが十分に働かないケースや、インスリンの分泌が低下するケースなどがあります。
  • インスリン受容体などインスリンの伝達経路に異常がある肝臓や筋肉などにある、インスリン受容体の遺伝子に異常があるタイプです。インスリンが分泌されても正常に働かず、血糖値が下がりません。

ほかの原因

糖尿病以外の病気があり、それが原因となって、二次的に糖尿病が起こることがあります。「二次性糖尿病」とも呼ばれます。例えば、原因の1 つに膵臓の病気があります。「慢性膵炎」や膵臓に結石ができる「膵石症」などによって膵臓の機能が障害されたり、「膵臓がん」で膵臓の一部を摘出したりすることで、糖尿痛が引き起こされるこ・つ場合があります。ほかにも、「甲状腺機能亢進症(バセドゥ病など)」「クッシング症候群」などのホルモンが関係する病気や、「慢性肝炎」「肝硬変」などの肝臓の病気など、さまざまな病気が糖尿病の原因になることがあります。
「副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)」などの薬が原因となって、糖尿病を発症することもあります。また、「ダウン症候群」や「筋ジストロフィー」など、遺伝子の異常が原因で起こる病気で、糖尿痛を伴うことが多いものもあります。

妊娠がきっかけとなるもの

妊娠をきっかけとして糖尿病を発症した場合、あるいは以前からあった糖尿病が妊娠をきっかけに発見された場合を「妊娠糖尿病」といい、糖尿病の患者さんが妊娠した場合を「糖尿病合併妊娠」といいます。
妊娠中は胎盤で、胎児の成長に必要な「イスリン括抗ホルモン」がつくられます。このホルモンにはインスリンの働きを抑える作用があるため、インスリンの働きが悪くなります。
通常は、働きが悪くなった分、インスリンの分泌量が増えて調節されますが、十分に分泌されないと高血糖になります。一般的な糖尿病の判定基準は「空腹時血糖値126mg/dl以上、またはブドウ糖負荷後2時間値20mg/dL以上」ですが、妊娠中の高血糖は胎児にも影響を与えるため、基準がより厳しくなっています。
「空腹時血糖値100 mg/dL以上」「ブドウ糖負荷後1時間値180mg/dL以上」「ブドウ糖負荷後2時間値150mg/dL以上」のうち2つ以上に該当すると、妊娠糖尿病と診断されます。

Ⅱ型糖尿病

遺伝的要因や生活習慣

糖尿病の患者さんは年々増加、血糖値が少し高めの「糖尿病予備軍」も含めると約2000万人に届きそうな人数がいるといわれています。その多くを占めるのが、Ⅱ型糖尿病です。Ⅱ型糖尿病の原因は、インスリンの作用不足です。その背景には、「インスリン分泌不全」と「インスリン抵抗性」があります。

ンスリン分泌不全

インスリンの分泌が遅れたり、分泌される量が不十分であることを、インスリン分泌不全といいます。Ⅱ型糖尿病では、インスリンがタイミングよく分泌されない人が多くみられます。また、膵臓のβ細胞の働きがしだいに悪くなり、十分な量のインスリンを分泌できなくなることもあります。インスリン分泌不全は、遺伝的素因が大きな原因です。日本人には、インスリン分泌不全のある人が多いともいわれます。

インスリン抵抗性

インスリンの分泌量は十分でもインスリン受容体の働きが悪く、ブドウ糖の消費や蓄積が進まないことを、インスリン抵抗性といいます。Ⅱ型糖尿病の特徴の1つが、このインスリン抵抗性です。インスリン抵抗性は、食べすぎや運動不足などの生活習慣が長く続くことや肥満、ストレスなどの影響で、だんだん強くなります。特に、腸を包む「腸間膜」に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」があると、インスリン抵抗性が強くなります。

Ⅱ型糖尿病の進行

インスリン分泌不全とインスリン抵抗性のどちらかが特に強いこともありますが、多くの場合、両者が重なっています。インスリン抵抗性があっても、インスリンが大量に分泌されれば、働きの悪さを何とか補えます。しかし、インスリン分泌不全を伴うと、補えるだけの量のインスリンを分泌できず、血糖値が下がらなくなります。また、高血糖が続くと、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性が強まり、さらに高血糖が進行するという悪循環が起きます。これを「ブドウ糖毒性」といいます。
一般的には、まず食後の血糖値から上がり始め(食後高血糖)、しだいに空腹時の血糖値も上がってきて(空腹時高血糖)、本格的な糖尿病になります。また、作用不足を補うためにインスリンを大量に分泌し続けていると、やがてβ細胞が疲弊し、インスリンを分泌できなくなることもあります。

メタボはⅡ型糖尿病が原因

最近広く耳にするようになった「メタポリックシンドローム」は、糖尿病の原因の約4割を占めるともいわれています。メタポリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満を基盤として、血中脂質や血圧、血糖値が〝少し高め″ の状態が複数重なった病態です。内臓脂肪型肥満があると、その脂肪細胞から分泌されるホルモンの影響で、インスリン抵抗性が強くなります。そのため、血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病を発症する危険性が高まるのです。
また、脂肪細胞から分泌されるホルモンの影響で血圧も上がります。そして、内臓脂肪が分解されてできる「遊離脂肪酸」が増えることで、血液中の脂質も増えます。このような関係から、内臓脂肪型肥満があって血糖値が高い場合、血圧や血清脂質にも問題が出てくる可能性が高くなります。
メタポリックシンドロームがあると、動脈硬化が促進され、心筋梗塞や脳卒中などの病気を発症しやすくなります。血糖値が「少し高い」程度の段階から、肥満や血清脂質、血圧にも注意することが大切です。

メタボの診断基準

内臓脂肪型肥満は、おへその高さの腹囲が「男性で貼85cm以上、女性で90cm以上」が基準です。この基準に加えて、次の1~3の2 つ以上に当てはまる場合に、メタポリックシンドロームと診断されます。

  1. 血清脂質中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール値40mg/dl未満の一方、または両方。
  2. 血圧上が135mmHG、下が85mmHG以上のどちらか一方、または両方高血圧の国際基準はこちら
  3. 血糖値空腹時血糖値110mg/dl以上

糖尿病

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