脂肪肝 診断 された人のための情報です。健康診断で見つかる肝障害で最も多いのが、肝臓に脂肪が過剰にたまる「脂肪肝」です。これまではそれほど深刻な病気と考えられていませんでしたが、近年、脂肪肝のなかにも肝硬変に進行するもののあることがわかり、早期の治療が必要となっています。
脂肪肝 診断 された人のための情報 脂肪肝 ってどんな病気?
「脂肪肝」とは、肝細胞(肝臓の細胞)に脂肪(主に中性脂肪) が過剰にたまった状態をいいます。もともと肝臓には、エネルギー源として脂肪を蓄え、必要に応じて肝細胞で燃焼(酸化)させたり、血液中に送り出すという働きがあるが、たまった脂肪の量が多くなりすぎてしまうと問題になります。
脂肪がたまりすぎて肝細胞が膨れると、肝細胞の間の毛細血管(類洞)が圧迫されて血流が悪くなり、酸素や栄養の供給が妨げ・えしられたり、ひどい場合には肝細胞が壊死したりして、肝機能が低下することもあります。。主な原因は、お酒の飲みすぎ、食べすぎ(肥満)、糖尿病です。
そのほか、薬物(ステロイド薬、エストロゲン製剤、メトトレキサート、テトラサイクリン系抗菌薬など)、妊娠、代謝・内分泌障害、循環障害、高カロリー輸液、極度の栄養不良や急激な体重減少などが原因で起こることもあります。
脂肪肝の症状としては、全身倦怠感、腹部膨満感、右上腹部の痛みなどの症状現れることもありますが、ほとんどの場合は自覚症状がなく、健康診断などで発見されている。脂肪肝の多くは治療すれば元の健康な肝臓に戻すことができますが、なかには、長く放置すると肝硬変に至るタイプがあるので、軽視できません。
検査
脂肪肝の診断は、問診、診察(触診など)に加え、血液検査、腹部超音波検査が行われます。血液検査では、脂肪肝の場合、一般に、AST(GOT)、ALT(GPT) の値が軽度から中等度に上昇し、AST より ALT のほうが高値になります。
ただし、アルコール性の場合は、AST が高値になることが多いのが特徴です。
そのほか、γGPT 、コリンエステラーゼ、総コレステロール、中性脂肪などの値が高い場合に脂肪肝が疑われます。
そのほか、糖尿病の有無をみる空腹時の血糖やヘモグロビンA1Cなどを調べたり、ほかの肝臓病との鑑別のために、ウイルス肝炎マーカーや自己抗体を調べます。さらに腹部超音波検査で、脂肪肝に特有の画像が確認されれば、診断がつきます。鑑別診断のためにCT検査や肝生検を行うケースもあります。
肝機能を見る検査と基準値
- AST(GOT) 14~32IU/L
- ALT(GPT) 8~41IU/L
- γ-GPT 男性/11~78 女性11~42IU/L
- 血清アルブミン 4.3~5.2g/dl
- 総コレステロール 135~240ml/dl
- コリンエステラーゼ 212~469IU/L
- 総ビリルビン 0.4~1.4mg/dl
- 胆汁酸 10μmol/L以下
- ALP 135~310IU/L
- プロトロビン時間 70~140%
- ヘパプラスチンテスト 70~130%
治療
生活のなかで脂肪肝の原因を取り除くことが治療の基本となります。
- 食事療法食べすぎている食生活を見直して、総エネルギー量と脂肪の摂取を抑え、バランスよく栄養をとる。
- 断酒・節酒アルコールが原因の場合は、原則として「禁酒」。アルコール性脂肪肝は飲酒をやめれば、通常2~4週間で改善される。主な原因とはいえなくても、飲酒の習慣のある人は、1日の飲酒量を日本酒1合相当以下に抑える。
- 運動療法有酸素運動(ウォーキングや水泳など、呼吸をしながら持続して行う運動)を1日30分以上、なるべく毎日行う。
- 肥満の人では、体重を減らすだけで脂肪肝の改善が見られることが多い。30~40歳代の人ならこちらのダイエット情報が参考になります。
- 薬物療法脂肪肝自体に対しては、基本的に薬は不要。ただし、脂肪の代謝に必要なビタミン、抗酸化薬などを補助的に用たり、肝庇護薬(肝機能改善薬) としてウルソデオキシコール酸を用いることもある。高脂血症や糖尿病があれば、その治療薬を用いる。
脂肪肝と診断されたら
脂肪肝と診断された場合、いくつかのライフスタイルの変更や治療法を通じて病状を管理し、改善することが重要です。
肝臓単体での病気ではなく全身病が肝溝に現れた形と理解する
脂肪肝というと、従来、特別な治療をしなくても心配ない病気と考えられていましたが、近年、認識が変わってきています。ひとつは、NAS Hのように、お酒を飲まない人の脂肪肝にも、放置すると肝硬変にまで至るタイプの少なくないことがわかってきて、脂肪肝のうちに治療することの重要性が認識されるようになったからです。
また、ほとんどの脂肪肝は食事や飲酒、運動不足など、日常の生活習慣に起因し、インスリン抵抗性をはじめ、糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病と共通の背景のもとに生じています。これらはいずれも動脈硬化を促進し、脳血管障害や心筋梗塞などの命にかかわる病気を招く危険因子です。
こうした点では、脂肪肝は単に肝臓病というより、全身病の肝臓での表れのひとつといえます。症状がないからとあなどらず、注意信号と思って、きちんと対処することが大切です。
脂肪肝のうちなら、多くが生活改善でよくなります。脂肪肝の治療は、ほかの生活習慣病の危険を減らすことにもなるのです。どういう原因で脂肪肝になったのか、日常生活のなかの問題点を探り、改善策を講じてください。一時の我慢ではなく、継続できる方法を見つけることがとても大事なポイントとなります。
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