行き場を失った脂肪が行き着く先は心臓の外側から毒素を送る

皮下脂肪、内臓脂肪に続いて「第3の脂肪」と呼ばれる脂肪があるのです。脂肪は、通常、脂肪細胞のなかにたまります。皮膚の下に集まっている脂肪細胞が皮下脂肪、お腹の部分に集まっている脂肪細胞が内臓脂肪です。

脂肪細胞は、250億~300億個あると言われていて、脂肪が増えると、ひとつひとつの脂肪細胞がパンパンにふくれていきます。それが「太る」ということです。

ところが、もっと脂肪が増えて、皮下脂肪にも内臓脂肪にも入りきらなくなってしまうと、行き場を失った脂肪は、心臓や肝臓、筋肉など、本来はつくはずのないところに居座るようになってしまう。これが、第3の脂肪です。本来いる場所ではないという意味で、「異所性脂肪」と呼ばれます。

異所性脂肪の怖いところは、ただ「いるべきところではない場所にいる」だけではなく、余計な毒素を出して、その臓器にダメージを与えることです。

たとえば、「肝炎」と聞くと、お酒の飲みすぎというイメージがあるかもしれませんが、お酒を飲まない人でも肝炎になることがあります。それを、「非アルコール性脂肪肝炎」と言うのですが、この原因がまさに肝臓についた脂肪です。

肝臓に余計な脂肪がたくさんつくと、肝臓の細胞が弱って死んでしまいます。それを、免疫細胞の1つである「マクロファージ」が取り囲んでパクパクと食べ続けているため、炎症が続き、非アルコール性脂肪肝炎になるのです。

肝炎は放っておくと、肝硬変、肝臓がんと進みます。そのはじまりが、脂肪なのです。

さらに、心臓のまわりについた異所性脂肪は、もっと怖い存在です。まず、心臓に酸素と栄養を送っている冠動脈に、細い血管を伸ばします。

一方で、免疫紳胞の1つである「マクロファージ」から見れば、本来はつかないところに余計な脂肪がついているわけだから、「見慣れない怪しいヤツがいる!」と、毒素を出して脂肪を溶かそうとするのです。

マクロファージは良かれと思ってやっつけようとするわけですが、結果的には、異所性脂肪は、冠動脈へと伸ばした紳い血管からじわりじわりと毒素を送り込んでしまい、冠動脈の老化を進めます。そして、最悪の場合、狭心症や心筋梗塞を起こして突然死を招くのです。

しかも、冠動脈の内側から進行する老化に比べて、冠動脈の外側から毒素を送り込まれることで進行する、こうした老化は、進行が速いとも言われています。背後から急に襲いかかってくる怖い存在- ということで、1エイリアン脂肪L と呼ばれています。

こうした異所性脂肪は、皮下脂肪にも内臓脂肪にも蓄えられなくなったために、本来はつかないはずの場所につくわけですから、よっぽど太っている人につく脂肪なのだろう、とお思いかもしれません。ところが、そうとも言い切れません。

いちばん危ないのは、昔は太っていなかったのに、大人になってから太った人です。昔から太っていた人は、もともと脂肪細胞の数が多く、脂肪を蓄える場所がたくさんあります。脂肪の「棚」がたくさんあるので、休も大きくなりますが、脂肪は一応ちゃんと棚に入っているわけです。

一方で、昔はやせていた人というのは、昔から太っていた人に比べて脂肪細胞の数が少ない。脂肪を蓄える「棚」が少ないので、そこまで太っているようには見えなくても、すぐに容量がいっぱいになって、余計な場所についてしまうのです。それが、肝臓で炎症を起こしたり、エイリアン脂肪となって心臓に毒素を送ったりするというわけです。

内臓脂肪にしても、異所性脂肪にしても、皆さんが思っていた以上に恐ろしい存在だったのではないでしょうか。

これらの脂肪は、つきやすいけれど、取れやすい脂肪です。「どうやったらいなくなるのか」と言えば、やっぱり大事なのは食事と運動です。特に脂肪としてたまりやすい炭水化物を控えることと、脂肪を燃焼してくれる有酸素運動が欠かせません。