ぽっこりお腹は、見た目以上に血管と全身を老けさせる

30代、40代あたりから油断をすると、つい増えてしまうお腹まわりの脂肪。久しぶりに会った知り合いに「あれ、なんだか貫禄がでてきたねぇ!」なんてやんわりと指摘されて、「そうなんですよぉ」と笑いながらもちょっとショックだったなんてこと、ありませんか?

ぽっこりお腹の正体は、「内臓脂肪」です。女性はもともと女性ホルモンの影響で、「皮下脂肪」のはうがつきやすく、男性に比べて内臓脂肪はつきにくいのですが、年齢が高くなって女性ホルモンが減ってくると、内臓脂肪もつきやすくなってきます。「そういえば、だんだんウェストまわり、下腹が気になってきた」という方、少なくないはずです。

内臓脂肪がたまり、お腹がぽこっと出てくると、見た目がすっかりオジサン、オバサンになってしまいますよね。ところが、この内臓脂肪、見た目だけの問題ではありません。見た目以上に、体のなかでは深刻な問題が進んでいます。

少し前まで脂肪というのは、体温をキープしたり、内臓を正しい位置に保ったり、外からの衝撃を和らげるクッション役であるとしか認識されていませんでした。ところが、余計な脂肪は体にいろいろな悪さをすることが分かってきました。というのは、脂肪は単なるクッションのような存在でほなく、じつはいろいろな物質を分泌して、体にさまざまな指令を出しているのです。

  1. 食欲を抑える「レプチン」
  2. 血液中からブドウ糖の取り込みを促したり(血糖値を下げる)、傷ついた血管を修復する「アディポネクチン」
  3. 血液中からブドウ糖を取り込むのを抑制する「TNF・α」「レジスチン」
  4. 血管を収縮させる「アンジオテンシン」の原料となる「アンジオテンシノーゲン」
  5. 血液をドロドロにする「PAI・1」

これらはすべて脂肪から分泌されているものです。特に内臓脂肪はさかんに指令を出しています。そして、この1~5の物質のなかには、「良いモノ」 と「悪いモノ」がいます。
1と2は食欲を抑えたり、血糖値を下げて血管を修復してくれるのでイイモノ、3~5は逆に血糖値や血圧を上げたり、血液をドロドロにするわけですから、増えてはしくない悪いモノです。ところが、内臓脂肪が増えると、見事にいいモノの分泌は減って、悪いモノらの分泌が増えるのです。

つまり、内臓脂肪型の肥満になると、高血糖、高血圧になりやすくなり、血栓もできやすくなってしまいます。しかも、脂肪が過剰に蓄積されると、「遊離脂肪酸」として血液中に放出されてしまいます。エネルギーとして活用されればいいのですが、活用されない分は、肝臓で中性脂肪やコレステロールに変換されて、また血管に戻ってくるのです。

そうやって、内臓脂肪が増えるのに伴って、血管のなかではブドウ糖も中性脂肪もコレステロールも増えていきます。たとえて言うなら、「使用済みの揚げ油」が排水管を流れているようなものです。当然、排水管(血管)は、詰まりやすく、傷つきやすくなってしまいます。

そんな状態が続いていると、やがて血管はしなやかさを失い、硬くなってしまうのです。さらに、血管の内側にコレステロールがたまっていくと、血液の通り道が狭くなっていき、血流が滞るようになっていきます。これが、「動脈硬化」です。

さらに、血流が滞るということは、全身の37兆個もの細胞に酸素と栄養が十分に運ばれなくなるということですから、全身の細胞が飢餓状態になってしまいます。そうすれば、全身の老化につながることは容易に想像できます。

内臓脂肪が増えると、血液の状態が悪化し、血管が老化し、全身の細胞への酸素と栄養の供給がスムーズにいかなくなり、全身が老化する。「ぽっこりお腹」の陰では、血管と全身の老化が静かに進行しています。