間違いだらけの睡眠情報 「睡眠のメカニズム」を活用して惰眠を排除する

爽快な目覚めは90分サイクル

正睡眠と逆説睡眠を合わせた睡眠のサイクルは、時間にして1.5時間前後で、ほとんどの人は、これをひと晩に4回は繰り返しています。つまり、6~8時間の睡眠をとっているのです。

逆説睡眠の持続時間は、サイクルを繰り返すごとにすこしずつ長くなっていくのがふつうです。したがって朝方の第4回目のサイクルともなると、40分から1時間近くもつづくことがあります。このことから、大脳が完全に眠っている時間が、夜中から朝になるにつれてしだいに減っていることがわかります。では、さわやかに目覚めるためにはいつ起きればいいのでしょうか。

それは、逆説睡眠が終わった直後です。たとえば、7時間よりも6時間のほうが起きやすくなります。睡眠のサイクルは90分前後ですかあ、7時間眠ると、どうしても中途半端なところで起きなければならないからです。
これに対して、6時間なら、90分のサイクルでちょうど4回、逆説睡眠が長くなって2時間ぐらいのサイクルになったとしてもちょうど3回になり、目覚めがスムーズになるのです。
同様に、5時間よりも3~4時間のほうが起きやすくなります。
とくに、3時間睡眠は熟睡できるから、90分のサイクルで十分であり、それが2回繰り返された直後は、実に目覚めがさわやかです。

短眠は、成長ホルモンの分泌が活発になる

生後6ヶ月ぐらいまでの赤ちゃんは、平均すると1日に16時間も眠っています。赤ちゃんの睡眠のサイクルは、大人とはちょっと違って、せいぜい1時間ぐらいで繰り返されます。そのうち半分の30分は眼球を動かしながら眠っています。

つまり、全睡眠量の半分が逆説睡眠です。乳幼児には、なぜこんなに逆説睡眠が多いのでしょうか。

人間の成長ホルモンというのは、昼間起きているときにはほとんど分泌されません。ホルモンの分泌がさかんになるのは、夜、眠っているときです。そのなかでも、逆説睡眠時にはとりわけ多くなります。成長ホルモンは成長するにつれて分泌が少なくなり、成人に達すると微量になってしまいますが、これは逆説睡眠が占める割合がどんどん低くなってくるからです。

ちなみに、乳幼児から小学生までの逆説睡眠の割合は、1歳児(睡眠22~14時間) で40%、4歳児( 睡眠11~12時間) で30%、7歳児( 睡眠10時間前後) で25%です。小学校最上級生の12歳ぐらいになると、睡眠時間も大人と差がなくなり、逆説睡眠も20%強に落ちついてしまいます。もちろん、このころには、脳波も成人とほとんど同じパターンを示します。
骨格や性徴の面では、まだとても大人の城には達していないのに、睡眠に関しては大人の仲間入りを果たしてしまうのです。

人間は歳をとるほど朝の目覚めが早くなり、夜中に目を覚ますことが多くなります。ある学者は、「老人になると、幼児に逆行するような眠りのリズムがあらわれ、逆説睡眠が再び増えだす」といっていますが、これには諸説あって、「いや、正睡眠の中の深眠期が減って、中等度睡眠期が増えるのだ」と唱える専門家もいる。しかし、こうした論議の対象となる老人というのは、だいたい七〇歳をすぎていることが多く、六〇代の場合はほとんど変わりはないだろう、と思っています。

ところで、受験生で毎晩、短時間睡眠を余儀なくされている人はこんな心配をするかもしれません。「眠りが少ないと、成長ホルモンの分泌も少なくなるのでしょうか。ボクはまだ成長期にあるから、短時間睡眠は身体に悪いのでは? 」しかし、その心配は不要です。人間には自然に保護本能が働くから、睡眠が少なければ、むしろ、ここぞとばかりに成長ホルモンを出すようになります。
受験生で、十分な睡眠時間をとれない期間がずっとつづいていても、急に背が伸びたり、以前よりも運動神経が発達したりすることがあるのですが、これがなによりの証拠です。

誰にでもできる48時間サイクルの睡眠法

寝るのは2日、つまり48時間に一度、という生活サイクルを送っている人が世の中には大勢います。鉄道員、警察官、消防署、タクシー運転手、夜間運送業者、看護婦などがそうである。これらの人たちは、たいてい徹夜を繰り返しています。
きちんと眠るのは2日に1回だから、当然そうなります。そして、その人たちは、仕事の効率上、この生活サイクルがまことにいいのです。

ここで、48時間サイクルで生活をする具体例として、あるタクシー運転手の生活パターンを紹介します。

まず、朝はふつうに9時ごろ出勤します。それから夜中の3時、4時まで乗務がつづきます。1日の勤務時間は18~19時間にも及ぶこともあります。乗務を終えると会社にもどり、洗車や雑用をすませたあと、朝、家へ帰ります。
この日はもちろん休日です。ところが、家へ帰ってもすぐに寝床にもぐり込むわけではありません。風呂にはいり、食事をし、新聞を読んだり、テレビを見たりして、寝るのは午後になってからです。

徹夜明けのあとはどうしても神経が高ぶっているから、帰宅してもなかなか眠くならないのです。昼食をすませてからようやく寝床へはいりますが、これは昼寝のようなもので、せいぜい2~3時間眠る程度です。

そして、夕食、団らんのあと、夜10時すぎになってふつうに眠り、翌日は朝から出勤します。このタクシー運転手さんは、こうした生活を繰り返して5~6年になりますが、一度も病気になったことがないそうです。

このように、通常の生活よりはるかに変則的な生活をしても、身体に毒だと心配する必要はありません。むしろ、2日に1回本格的に寝て、あとは仮眠だけというほうが、労働時間も長くて能率があがり、休日もたっぷりとれるから合理的でもあります。

この48時間サイクルの生活を人にすすめると、「2日に1回の睡眠だから、7時間の倍としても14時間は眠らないと疲れがとれないのでは?」と、早合点されかねないのですが、けっしてそうではありません。2~3時間仮眠し、7~8時間眠るだけで十分に疲労がとれるのだから、われわれが2日間にとる睡眠時間より4~5時間は少なくなるのです。
こうして浮いた時間を、1~2年後に合計してみるといい、かなりの時間になります。

10年、20年、一生を考えれば、この時間は実に有意義なものになるのです。