間違いだらけの睡眠情報 第一線で活躍する人ほど睡眠時間は短い

すぐに飛び起きる生活習慣が身に付いている人も

世の中には、短い睡眠時間で人の3倍も4倍も仕事をこなしている人がたくさんいます。とくに、ビジネスの第一線で活躍している経営者や管理者ともなると、3時間ぐらいの睡眠できびきびと働いている人が数え切れないほどたくさんいらっしゃいます。

8時間睡眠を守らなければ病気になるのではないか?と信じている人が見れば、信じられないかもしれません。しかし、短時間の睡眠で暮らしている人ほど、顔色がよく、1日15時間以上、働きつづけてもケロリとし、健康そのものなのには驚かされるばかりです。

西武グループの総帥としてよく知られている堤義明氏は、睡眠について、「夢なんか見てちゃダメですよ」と断言しています。10万人というマンモス企業のリーダーとして分きざみのスケジュールに追われているこの人の、独特の睡眠哲学に耳を傾けてみましょう。

「私は、睡眠というのは量じゃなく質だと思っていますから、少なく寝て熟睡することをいつも心がけている。少なく寝るというのは、あっ、もう12時だからベッドにはいるというのではなく、1時でも2時でも、眠くなって居眠りが出てくるまで起きていて、それでバタンと寝ちゃうというやり方だ。こうすれば、夢なんか見ない」

堤氏によれば、「いつも夢を見る人はどこか健康状態が悪い。こういう人は、心の中にいろいろな雑念があり、そのせいで夢を見る。「だから私は、極力、夢を見ないようにしている。眠くてしかたがないギリギリまで起きていて、バタンキューと寝てしまう。ときどき、うとうとして夢を見はじめたりするけど、こんなときは朝の4時でもバッと起きる。とにかく、睡眠時間は、短ければ短いほどいい。そうすれば熟睡できる」

堤氏の平均睡眠時間はかなり短いのです。1日3時間ぐらいしか眠らないことも多いのです。そのかわり、昼間の活動時間の合間の、たとえば移動の車中などではうまく居眠りしているというのです。居眠りといえば、この堤さんにかぎらず、財界人の多くが居眠りの名人のようです。

その代表は、現在も国会に出ている政治家です。「私は、夜、ベッドで寝ているのはほんの数時間です。しかし、昼間は、新幹線だろぅが飛行機の中だろうが、必ず寝ることにしていますね。事務所にいるときでも、昼食のあとは1時間ほど昼寝しているんです」大正生まれの政治家の心身壮健の秘密は、こんなところにあるのかもしれません。

昼間、眠気が襲ってきたら、その政治家は貧乏ゆすりをして睡魔を撃退するのだそうです。聞けば、食事は3分以内、トイレは1分以内だそうです。「食事ぐらいゆっくりとりなさいよ」と私がいうと、「いや、時間がもったいない」と答えたのには苦笑させられてしまいました。ここに登場を願った方々は、いずれも、身体の生理リズムが、長年のあいだに最良の睡眠時間を選んでいるのです。だからこそ、睡眠不足を訴えることがないのでしょう。これは、頭脳とはまったくべつの働きです。

短時間睡眠で2倍の時間を生きる

睡眠時間が3~4時間という短時間睡眠は、やる気さえあれば、今日からでもすぐに可能です。気力さえ備わっていれば、べつにむずかしいことではありません。そして、増えた時間をフルに活用して、あなたの人生をより充実した多面的なものにすることも可能です。

それこそ、短時間睡眠ならではの意義といえるでしょう。このことを明確にしておかないと、いくら睡眠時間を短くしようと決意したところで、「待てよ、いったいなんのためにこんなことをしようとしているのだろうか? 」という疑問に襲われて、ハタと考え込んでしまったりするからです。

短時間睡眠が目的なのではない。要は、それによって、なにが得られるかでです。つまり、あなたは、短時間睡眠に切り換えることによって、どのようなものを得ることができるのでしょうか?

時間

もし、あなたがいま30歳だとしたら、これまでに睡眠に費やした時間は約7年の計算になります。今日から3時間睡眠を実践するとしたら、70歳まで生きるとして、これからの40年は約5年分の睡眠量です。実質活動時間は、35年にもなるのです。

これが8時間睡眠をとっている人となると、実質活動時間は27年しかありません。なんと、両者のあいだには8年もの開きが出てきてしまいます。

この8年をなににつかうかそれは、あなたの心構えひとつにかかっているということです。ビジネスの成功者となるために、情報収集につかってもいいし、人脈を広げるために、パーティに顔を出すのもいいでしょう。あるいは、いずれ独立するためにサイドビジネスをはじめてもいいし、老後に備えて手に職をつけるのもいいでしょう。
すべて、現在の時間をつぶすことなく実行できるのです。

集中力

短時間睡眠によって、ほんとうの熟睡が可能になれば、頭脳の働きはいきいきしてきます。想像力、集中力、記憶力がめざましくアップするが、なかでも強調しておきたいのが集中力です。たとえば、車のA級ライセンスと、小型船舶の操縦士の免許をとり、催眠術もマスターしたが、車と船は試験の前日に集中的に勉強しただけで一発で取得したし、催眠術の勉強はふつう1年半かかるところを、わずか5日でマスターできるでしょう。

これは、まさに3時間睡眠のおかげ以外のなにものでもありませんでした。7時間も8入時間も寝ていたら、催眠術をマスターするのに相当時間がかかっていたはずです。A級ライセンスも小型船舶操縦士免許も、とても1日では取れなかったはずです。

若さを保てる肉体

「眠りすぎる人は頭がボケてくる」と、紹介しましたが、眠りすぎによるデメリットは、頭だけでなく身体にもおよんできます。たとえば、たっぷり睡眠をとって身体の細胞を休ませすぎるのは、老化につながるのです。
また、いつも8時間、9時間眠っていると、体内に余分の脂肪が蓄積され、これが動脈硬化などを招く原因となるでしょう。さらに、長時間、身体を横たえることによって身体を圧迫し、血行を悪くするのである。アメリカのあるデータによると、過眠型の人の死亡率は、7時間かそれ以下の睡眠の人にくらべて4四倍も高いのだそうです。細胞の活動、新陳代謝こそ肉体の若さを保つ秘訣であることは言うまでもありません。細胞を休ませすぎないように活動させるには、短時間睡眠が一番です。

精神安定

人間は過分エネルギー(エネルギーのとりすぎ)によって、精神が不安定になることがあります。睡眠時間が多くなればなるほど、エネルギー過剰になって、昼間の時間でそれを十二分に消費できないまま、また眠りにつくという悪循環が起こってしまうのです。そこで、短時間睡眠に切り換えて活動時間を延長すれば、エネルギーの消費がうまくバランスを保つことができ、精神の安定にもつながるのです。

胃腸などの内臓の若返り

短時間睡眠は、必然的に食事の内容や食事量を変えることになります。それによって、胃腸や他の内臓をリフレッシュさせることが可能です。これまでのように胃腸に負担をかけることなく、本来の機能にあった自然状態に移行するため、内臓は若返ってくるのです。

時間の「ドケチ」に徹して無駄を切り捨てる

ところで、短時間睡眠が一種の「行」であることは間違いありません。毎日7~8時間も眠っていた人が、そのリズムを変えて睡眠時間を半分以下に減らすのだから、地獄の苦しみと感じる人がいてもそれが普通でしょう。
では、この「行」を成功させるには、どのような環境づくりをすればいいのでしょうか。おすすめは有言実行です。つまり、家族や友人、知人、会社の同僚や上役、部下などの誰でもいいから、「私は今夜から、睡眠時間を3時間にする」と決意表明してみることです。これは、きわめて有効な方法です。他人に公言することで、「いった以上は3日坊主にならないようにつづけるしかない」と、一歩も後には引けない立場に自分を追い込んでしまうからです。

スタート時において大切なことは、翌日から1週間あるいは10日後までの計画表をつくっておくことです。20時間は起きているのだから、行動目標はいくらでも考えられるでしょう。時間に不足はないのです。当面の目標について、できるだけ細かな計画表をつくり、それにしたがって行動すべく自分を追い込んでいくようにします。こうして自己規制しなければ、どうしても途中で挫折してしまうでしょう。

そこで、計画表をつくるうえで心がけるべきことを1つあげておきます。それは、時間をケチることです。

目が覚めたら、さっと行動を起こす。計画表にしたがって、つぎの行動に一直線に進んでいくことです。無駄な時間は思いきって切り捨ててしまいます。人間にとって、つねに緊張感をもって生きていくことは、ひじょうに有意義なものです。細胞の活動が活発になるから身体にいいし、頭もよくまわるようになります。「そんなにしょっちゅう張りつめていては、気疲れしてしまうのでは?」と、心配する人がいるかもしれないが、気にすることはないでしょう。

気疲れとはつまり、脳と神経の疲れですが、それは熟睡さえすれば、たちどころに回復します。人間というものは本来、怠け者にできていて、どんなに緊張感をみなぎらせていても、1日24時間のうち、どこかで気を抜いているものです。つまり、上手に「緊張」と「弛媛」のバランスをとっています。だからこそ、「さあ、やるぞ」という緊張感をもってものごとに集中してちょうどいいバランスになるのです。