元気な脳づくりは朝食が大事

脳は体重の2パーセントの重さしかないのに、エネルギー消費は18パーセントもしめます。つまり、非常に燃費の悪い臓器なのです。

その唯一のエネルギー源はブドウ糖です。ただし、脳自体にはブドウ糖を貯めておくところがありません。常に補給していかないとダメなのです。

ブドウ糖は肝臓にグリコーゲンとして貯蔵され、脳が要求したときにブドウ糖に変換します。ところが、この蓄積はそれほど長くはもたず、12時間が限界です。それを過ぎると予備のブドウ糖もなくなつてしまいます。ということは、数時間の睡眠のあと、朝日覚めたときには、脳はほぼエネルギーゼロの状態。

朝食を食べないで会社に行ったり、学校へ行ったりしようものなら、脳はブドウ糖不足のため十分なカを発揮できなくなります。

朝食を与えられた者と欠食者とで、絵の記憶や、単語の記憶にどのような違いがでるのかを比較しました。その結果、朝食を食べたグループが明らかにすぐれた成績を示しました。

また、デンマークの研究では、1日の必要摂取量の25五パーセントを朝食で摂取すると、計算能力・創造力が高まったとしています。

ほかにも朝食抜きの子供ほど成績が悪いという研究結果もあります。これらの研究から、いかに朝食が重要なのかがわかってきます。

朝食は、単なる健康のためというイメージでとらえないで、脳のエネルギー切れを補給するために必要なものとして理解すべきでしょう。とくに受験生などは、しっかり朝食を食べてから、勉強開始です。

別の実験では、食後のほうが脳の機能がよくなることもわかっています。それはどうしてでしょうか。からだの中にはいろいろな種類の成長因子(増殖因子)があって、細胞を刺激して細胞の機能をよくしたり、増やしたりしています。その中の1つに、「線維芽細胞成長因子というものがあります。

FGFは、線維芽細胞や血管内皮細胞、脳神経細胞を増やしたり、活性化させる働きがあり、いまは神経栄養因子の仲間として考えられています。

ネズミを使って実験してみると、血液中のブドウ糖が増えてくると、FGFが増加して、脳神経細胞を活発化させ、とくに海馬に作用します。これは食後2.5時間くらいがピークになります。このとき、FGFは通常の7倍くらいに増えます。

FGFが海馬の脳神経細胞に取り込まれると、海馬の機能を活性化させ、その結果、記憶力がアップします。こうしたメカニズムによって、食後、脳の機能はよくなるわけです。もちろん、食べた直後は、胃や十二指腸などへ血液が集まるので、脳へ行く血液は減って、ぼんやりしてしまいます。

お腹が満杯になれば眠気が襲うのは、だれでも経験したことがあるでしょう。こんなときは、やはり脳の機能も低下しています。
脳の働きと食事の関係を考えるならば、最大限に「脳力」を発揮させるために食事のタイミングをどこに置くかを考える必要があります。

食後、脳の機能がもっともよくなるのは、先ほどのネズミの実験からもわかるように、しっかり食べた食後2時間後あたりといえます。

そこで、食後はゆっくり休んで、2時間後あたりから仕事や勉強を始めてみてはどうでしょうか。試験の日なども、食後2時間後にテストが始まるように、工夫するといいかもしれません。

仕事や勉強で結果をだすには、知識を詰め込めばいいわけではありません。こういった脳のコンディションづくりもとても重要なことなのです。