糖尿病の治療 食事、運動、薬物の3つ

糖尿病の治療 には、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。血糖の状態体の状態をみながら治療を進め、少しでも体に負担のかからない血糖コントロールを目指して治療法を選択していきます。
医療機関で検査を受けるだけでなく、自分でも血糖コントロールの状態を把握して、治療の効果を確かめながら行うことが大切です。食事・運動・薬が治療の三本柱でHba1C値を6.5%未満にすることが目標となります。

糖尿病の治療 食事や運動、薬で血糖を調整する

糖尿病の治療

糖尿病の治療

糖尿病の初期状態では、ほとんど自覚症状がありません。しかし、血糖値の高い状態(高血糖) を放置すると、さまざまな合併症が起こります。

糖尿病の治療では、血糖コントロールを行うことで合併症の発症や進行を防ぎ、糖尿病があっても、生活の質を落とすことなく、健康な人と同じような生活ができることを目指します。

糖尿病の治療

治療の基本は、何度も言っていますが、血糖を良好な状態にコントロールすることです。そのために、食事療法や運動療法などで生活習慣の改善を行い、必要に応じて薬物療法も追加します。特に食事療法と運動療法は、糖尿病の治療に欠かすことのできない治療法です。

  • 食事療法「食事をとると血液中のブドウ糖(血糖)が増える」というように、食事と血糖には密接な関係があります。食事療法では、患者さんの身長や体重、1日の身体活動量などを基に食生活を見直して、食事のエネルギー量や栄養のバランスなどを改善しま
  • 運動療法運動には、短期的にはブドウ糖を筋肉に取り込ませて消費し、血糖値を下げる効果があります。運動を長期的に継続すれば、インスリンの働きがよくなります。ただし、高度な肥満や進行した合併症などがある患者さんの場合、いきなり運動を始めるのは非常に危険です。運動を開始する前に、担当医に相談し、指導を受けることが大切です。
  • 薬物療法食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合に行われます。糖尿病の薬には、内服で用いる「経口血糖降下薬」と、皮下注射で用いる「インスリン製剤」があります。

体の状態に合わせて治療を進める

多くは、生活習慣と密接にかかわっています。合併症の発症や進行を抑えるためにも、食事療法や運動療法をふだんの生活のなかに積極的に組み込みましょう。また、糖尿病の場合、病気の状態や進み方が異なるので、治療は1人ひとりの患者さんに合わせて進めていきます。

1型の治療はインスリン治療が基本

「1型糖尿病」は、「免疫」の働きなどによて膵臓のβ細胞が壊されて発症する糖尿病で、インスリンがほとんど分泌されないのが特徴です。

1型糖尿病ではインスリンが絶対的に不足しているので、原則として、インスリン製剤を使って不足分を補う「インスリン療法」が行われます。インスリン製剤は、健康な人のインスリン分泌のパターンに近づけるように、使用する量と時間を計算して、1日に数回注射します。インスリン療法と並行して、食事療法や運動療法も行います。食事療法で食事の量や時間をほぼ一定にすることで、インスリン療法を安定して行うことができ、血糖をより良好にコントロールすることができます。

また、運動療法を続けるうちにインスリンの働きがよくなり、注射するインスリン製剤の量を減らせる可能性もあります。

2型の治療は運動療法と食事療法が基本

2型糖尿病は、インスリンの分泌が十分でない「インスリン分泌不全」や、インスリンが十分に働かない「インスリン抵抗性」によって起こります。

2型糖尿病は、「食べすぎ」や「運動不足」などの生活習慣や、「肥満」と非常に関係が深いため、食事療法と運動療法が治療の基本です。

食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られない場合は、経口血糖降下薬が用いられます。例えば、インスリン分泌不全が主な原因であればインスリンの分泌を促進する薬が使われ、インスリン抵抗性が主な原因の場合はインスリン抵抗性を改善する薬を中心に使います。

経口血糖降下薬でも血糖コントロールが改善しない場合は、インスリン療法を行います(41ページ参照)。また、薬物療法を受けているときも、食事療法と運動療法は継続します。

ほかの病気が原因の場合は原因となっている病気の治療が優先

遺伝子の異常

遺伝子の異常によって発症する糖尿病もあります。ただ、現在はまだ、そのような遺伝子を治療する方法はありません。そのため、ほかのタイプの糖尿病と同じように、食事療法や運動療法、薬物療法を組み合わせた治療が行われます。

ほかの病気や薬が原因で起こる糖尿病

膵臓の病気や肝臓の病気、薬の副作用などが原因の「二次性糖尿病」は、発症の原因をなくすことで改善が期待できます。そのため、原因となっている病気の治療などと並行して、食事療法を行ったり、必要に応じてインスリン療法などが行われます。経口血糖降下薬が使われることは、あまりありません。
なお、原因となった病気が治癒しても、糖尿病が残ることがあります。その場合は、ほかのタイプの糖尿病と同じように、食事療法や運動療法、薬物療法が継続して行われます。

妊娠中は厳格な食事と運動とコントロールする

妊娠中の高血糖は、母親にも胎児にも悪影響を及ぼします。そのため、妊娠中は、特に厳格な血糖コントロールが必要です。もともと糖尿病のある女性が出産を希望する場合は、妊娠する前からきちんと血糖をコントロールしておくことが大切です。
治療は食事療法を中心に行い、運動療法は体の状態をみながら散歩程度の運動を行います。しかし、「空腹時血糖値が10mg/dL未満、かつ食後2時間血糖値が120 mg/dL未満」に維持することができない場合は、インスリン療法が併用されます。
経口血糖降下薬は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるので、原則として使われません。妊娠中に糖尿病を発症しても、多くは出産後に血糖値は正常に戻ります。しかし、こうした人たちは糖尿病を発症しやすい遺伝的素因があると考えられ、出産後時間が経過してから糖尿病を発症する人も多いため、出産後も定期的に血糖検査を受けて糖尿病に注意することが大切です。

子供、お年寄り

子供の場合は、以前は1型糖尿病が中心でしたが、最近は子どもの2型糖尿病が増加しています。子どもの1型糖尿病の治療は、インスリン療法が中心です。2型糖尿病では肥満がある場合が多いため、食事療法と運動療法を中心に治療が行われます。

食事療法と運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合は、インスリン療法が併用されます。子どもは成長期にありますから、大人の場合のような厳格な食事療法は行わず、成長に必要なエネルギーと栄養をしっかり摂取します。

学校の給食も、原則として糖尿病のない子どもと同じものを食べます。精神的な不安を招かないためにも、できる限り糖尿病のない子どもに近い生活をさせ、特別扱いしないことが大切です。

お年寄りの場合は、インスリンの働きは加齢とともに低下するといわれ、高齢になるほど糖尿病の発症率は高くなります。しかし、お年寄りの糖尿病は典型的な症状が現れにくく、異常があっても年のせいにして放置しがちです。

しかし、高齢で糖尿病を発症したり、急に血糖コントロールが悪くなったような場合は、ほかの病気による二次性糖尿病の可能性も考えられるため、注意が必要です。お年寄りの場合、薬物療法が中心となることが多いのですが、本人の年齢や血糖値以外に、生活習慣や価値観、健康状態、治療への意欲などを考慮しながら、治療の目標や治療法が決められます。

例えば、何事にも意欲的な患者さんであれば、合併症の程度を考慮しながら、食事療法や運動療法を積極的に行うことがあります。

治療効果のチェック

Hba1C

赤血球中のヘモグロビン全体に占めるHba1C。の割合を測定することで、過去1~2か月間の平均的な血糖の状態を知ることができます。たとえ空腹時血糖値が低くても、Hba1Cが高ければ、血糖コントロールがうまくいっていないことがわかります。

「6.5%未満」を目標に血糖をコントロールします。Hba1Cを6.5% 未満に維持できれば、三大合併症などの、細い血管に起こる合併症の発症や進行を防ぐことができるといわれています。

6.5%未満の維持が達成できたら、次は「5.8%未満」を目標にします。「動脈硬化のように太い血管に起こる合併症を防ぐには、5.8% 未満を維持する必要があると考えられています。

血糖値のコントロール

Hba1Cだけでは、1日のなかでの血糖値の変動の様子がわかりませんから、空腹時や食後の血糖値も大事な指標になります。空腹時血糖値は130mg/dl未満、食後2時間血糖値は180mg/dlを目標にします。

自宅でのセルフチェックも

  • 体重測定体重が増加すると、血糖値やHba1C。が上昇することがあります。また、治療の進め方に問題があって血糖コントロールが良好でないために、体重が増加している場合もあります。
  • 血圧測定血圧は、医療機関で測る値と、家庭で測る値が異なる場合があります。医療機関で測定して高い値出てしまう場合は「白衣性高血圧」といいます。血圧の状態を詳しく知るためには、医療機関で測るだけではなく、家庭でも毎日測ることが勧められます。
  • 血糖自己測定血糖自己測定器という簡単な器具を用いるとさ自分で血糖値を測定できます。血糖自己測定は、インスリン療法を行っている場合には欠かせません。

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