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命に関わることもある症候性頭痛

症候性頭痛とは、他の病気が原因となって起こる頭痛のことです。いわゆる「頭痛もち」の人の頭痛とちがい、なかには生命の危険に関わる病気もあります。こうした危険な頭痛の特徴を知っておきましょう。

脳梗塞、脳出血による頭痛

頭痛の起こり方は、脳梗塞や脳出血では頭痛が起こると思っている人が多いのですが、じつは想像しているような頭痛が起こることはあまりありません。まれに頭が重たい感じや、頭の奥でジーンとしびれるような痛みを感じることがある程度です。
原因は、脳の血管が動脈硬化を起こして血液の通り道をふさいでしまったり、血液中にできた血栓が血管に詰まることによって起こります。一方、脳出血は動脈硬化や栄養不足などで脳の血管がもろくなっているところに、高血圧が加わって血管が破れて出血します。
治療は、薬を使って血管の詰まった部分の血流の再開を試みます。梗塞によって血流が途絶えていた部分の脳の機能は、血流の途絶後約10分で損なわれるため、半身のマヒや言葉の障害などが残ることがあります。けつしゆ脳出血は、手術で血腫を抜きとることもあります。

くも膜下出血による頭痛

頭痛の起こり方は、激烈な一瞬の痛みです。ハンマーで殴られたような、あるいは死の危険を感じるほどの激しい頭痛に見舞われます。激痛は動脈瘡の破裂によるもので、そのあとはガンガンする強い痛みが続きます。意識障害が出たり、昏倒することもあります。
原因は、脳の表面にある動脈にできた動脈痛が破れて、脳の表面とくも膜の間で出血が起こる病気です。動脈痛ができる原因は先天的な要因で、これに高血圧が加わると破裂しやすくなります。
治療は、すぐに破裂した動脈癌をふさぐ手術が必要です。動脈癖の破裂は出血量が多いため、一刻も早く診断し、手術を受けなければ危険です。

脳腫瘍による頭痛

脳腫瘍も必ず頭痛が起こる病気だと思っている人が多いのですが、じつは要注意です。むしろ頭痛が起こつてくる前に、体のふらつき、意識障害や視覚や聴覚の異常、マヒ、嘔吐などの症状が現れることが多いからです。
頭痛が現れたときには、すでに腫瘍がかなりの大きさになっていることが多いといえます。しかしながら、まれに頭痛が初期症状として起こることもあります。
原因は、いわゆる、ガンの一種です。ほかの部位にできたガンが転移して脳腫瘍となる場合と、最初から脳にできる場合があります。また、良性腫瘍のときもあります。
治療は、腫瘍を切除することが望まれますが、腫瘍の大きさ、脳のどこにできているかによって、外科手術が可能かどうかが決まります。レーザー治療など、外科手術以外の治療法もあります。

慢性硬膜下血腫による頭痛

脳を包んでいるくも膜のさらに外側にある硬膜の内側に血腫ができるために頭痛が起こります。特徴的なのは、首を左右に振ったときなどに強い痛みがあることです。しかし、お年寄りでは痛いというよりも、ズーンと重い感じがするだけのこともあります。頭痛ではなく、痴呆のような症状が出ることがあります。
原因は、打撲、外傷などによって、硬膜の内側の静脈が傷つき、出血することによります。出血が小さく、じわじわと血腫ができるので、症状が出るまでに数ヶ月かかることもあります。
また、お年寄りでは軽くぶつけた程度でも起こることがあります。

血圧が高いことによる頭痛

中高年に多い、病気が原因でない高血圧では、のぼせや顔のほてり、頭の重い感じなどはあっても、頭痛というほどではありません。
ただし、重度の高血圧(上が200以上) や、血圧を調節するせいルモンの病気(原発性アルドステロン症や褐色細胞腫など)で高血圧になっているような場合は、脈はく拍に合わせてズキズキするような痛みを感じます。
治療は、原因となっている病気の治療が優先です。高血圧だけの場合は、降圧薬で血圧をコントロールします。

副鼻腔による頭痛

副鼻腔は鼻くの周辺にある空洞部分で、ここに膿のような鼻汁がたまるのが副鼻腔炎です。副鼻腔炎による頭痛は、主に前頭部や顔面に痛みが起こります。また、炎症が起こっている部位にもよりますが、眉間や頬骨のあたりを軽くたたくと痛むことがありこます。叩打痛といいますが、必ずしもこれがあるとは限りません。一般に、急性副鼻腔炎では高頻度で頭痛が出ますが、慢性副鼻腔炎だけでは頭痛は出ないとする説もあります。
原因は、鼻炎などがきっかけとなって、副鼻腔に炎症が起こるためです。膿がたまると、鼻づまりや鼻汁のほか、頭痛が起こります。
治療は、外科手術をして炎症を起こしている部分を取り除けば完治します。手術をするほどでなければ、消炎酵素薬で鼻づまりを軽くするなどの対症療法を行います。

髄膜炎による頭痛

発熱や頭痛がみられます。多くは、かぜの症状に似ています。吐きけや項部硬直が起こることもあります。
原因は、脳と脊髄を覆う軟膜とくも膜の間で炎症が起こるため。多いのはウイルス性の髄膜炎です。細菌性や真菌性の場合は致死率が30~50%と高く、こわい病気です。
治療は、ウイルス性の場合は、必要に応じて消炎鎮痛薬を投与して安静にしていれば、一週間程度で頭痛は軽快します。

側動脈炎による頭痛

こめかみにある動脈が炎症を起こして膨れ、ジクジクとした持続性のある痛みみが起こります。脈拍に合わせてズキズキすることもあります。微熱が続くことも特徴といえます。
自己免疫疾患の一つです。なんらかの原因で免疫異常が起こり、自分の体の組織を攻撃してしまうためです。とくに、中高年の男性に起こりやすい病気です。
治療は、血管の炎症を鎮めるために、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン薬) を使います。

ある特定の動作で痛みが生じる労作性頭痛

痛みの生じ方には、個人差がありますが、ある特定の動作や刺激によって痛みが誘発される、めずらしいタイプです。
ほとんど知られていないため、周囲の人には「さぽり」や「怠け病Lと思われて、人知れず悩んでいる人が多いのが、この頭痛の特徴です。

痛み方の特徴

  • 重いものを持つ、咳をする、夜の生活のあとなど、ある特定の動作によって頭痛が誘発される
  • 痛みはクワーンクワーンと頭全体におよび、かなり激しく痛む
  • 頭痛の持続時間は5~60分程度。長くても1日以内に自然に消える

痛みはじめると、体を動かすと痛みガ強くなることが多く、じっと安静にしていることで痛みが治るのを待つしかない。

特定の動作後に強い痛みが生じる

重いものを持ったり、咳こむたびに激しい頭痛に見舞われて、「なぜだろう」と思いながらもがまんしている人はいませんか?
こうした頭痛が「労作性頭痛」です。グワーングワーンと頭全体におよぶ痛みで、激しいものです。原因は特定の動作や刺激が主ですが、周囲の理解を得にくいことが最大の特徴です。

労作性頭痛の原因と分類

  • 寒冷刺激による場合急激に寒いところへ出たり、体が冷えることによって起こる
  • かぜをひいたりして、せきこむことによって机1モうせい起こる。良性咳轍性頭痛ともいう
  • 運動や動作による場合、走る、ジャンプ、泳ぐなどの運動や重いものを持つなどの動作で引き起こされる。激しい運動によるものがほとんど。良性労作性頭痛ともいう。
  • 夜の生活などのあとに頭痛が起きる

原因は、血管の拡張、髄液圧の上昇

労作性頭痛は、痛みを引き起こす特定の動作や刺激など引きがねはわかっていますが、痛み自体の原因はわかっていません。現在、考えられているのは次の3つです。

  1. 頭部の血管の拡張
  2. もともと片頭痛のような血管拡張型の頭痛があって、それが特定の労作に限って著しく頭痛が現れるというものです。

  3. 髄液圧の上昇
  4. 低髄液圧性頭痛とは逆に、髄液圧が上昇して痛くなるというもの。ただし、上昇していないこともあり、決定的とはいえません。

  5. 頭蓋骨周辺の筋肉

頭蓋骨の周囲の筋肉から起こる痛みという説です。しかし、これも詳しいことは不明です。そのほか、血液中のアドレナリンが関係あるのではないか、という意見もありますが、現段階ではまだ研究中です。

治療・予防には薬とのつきあい方がポイント

一般に、労作性頭痛は生涯続く可能性は低いと考えられています。数年で頭痛が起こらなくなるケースが多いのです。
したがって、それまでの間、動作や刺激をなるべくさけて、それができないときは予防薬を使うという方針をとればよいのです。病院で処方される薬には、インドメタシンなどの鎮痛薬があります。30分~2時間前に服用しておくと、動作や刺激があっても頭痛を防げることがあります。

朝から午前中にかけて特に痛む低髄液性頭痛

あまり聞き慣れない名前の頭痛ですが、低血圧の女性に多く、症状をみると思い当たる人が多いかもしれません。午前中にいつも頭が重くてつらいというときは、このタイプの頭痛が疑われます。

痛み方の特徴

  • 横になっていると痛みが軽くなるか、上体を起こすと痛みが強くなる
  • 痛みは頭全体かジーンと重いような感じ。強く痛むときは、脈に合わせて痛む
  • 痛みは起床から30分後ガもっとも痛く、午後から夜にかけて軽くなる
  • 無張しているときや、なにかに集中しているときは、痛みが軽くなる

頭全体がじーんと重くなるように痛む

低髄液性頭痛は、あまり知らせんぎいてきれていませんが、潜在的には意外に多いと思われます。とくに、軽度の場合はただの低血圧による不調のように自覚するからです。
低髄液圧性頭痛は、朝起きてから5~30分で痛みがピークに達します。ジーンと頭が重くなったようで、痛みが強いときは軽い拍みやくはく動感( 脈拍に合わせて痛む)があります。また、頭痛が起こるとき、めまいが現れる人が多いようです。痛みは横になると軽くなります。

午前と午後、活動時と安静時で痛みが変動する

低髄液圧性頭痛は、痛みに日内へ変動があります。起床後から午前中は痛みが強く、午後になると軽快します。また、じっとしているときよりも忙しく立ち働いたり、仕事などで緊張状態にあるときや、なにかに熱中しているときには痛みが軽くなります。
これは低髄液圧性頭痛の原因である髄液圧が、血圧の変動に連動しているためです。そのため、血圧が低下しやすい夏に悪化することが多くなります。

低髄液性頭痛はこうして診断する(自分の頭痛にあてはまるかどうかの自己診断)

横になると痛みが軽減するか?
横になって痛みが軽くなれば低髄液圧性頭痛の可能性大。
いきんで腹圧をあげると痛みが軽減するか?
ベルトをきつく締めるか、腹圧を上げて痛みが軽くなったときは、低髄液圧性頭痛の可能性大。
上体を起こしたまま頸を両手で圧迫すると、痛みが軽減するか?
頸静脈を軽く圧迫して痛みが軽くなれば、低髄液圧性頭痛の可能性大。

痛みの原因は、髄液圧が下がって血管や神経を引っ張るため

脳や脊髄は、髄液という透明な液体に浸っています。低髄液圧性頭痛は、この髄液圧が低下するために起こります。

髄液圧が低下することによって、脳や脳の表面にある微小な血管や末梢神経、硬膜(脳を覆っている膜)に対する圧力に変化が生じ、痛みが起こると考えられています。この現象は、検査などで骨髄液を採取し、減少したときにもみられます。骨髄液が減少したことによって髄液圧が低下し、頭痛が起こるのです。
ただし、腰椎穿刺に就寝中よる場合は髄液が新しくつくられて補充されれば、1週間程度で頭痛は消えます。

低髄液圧性頭痛は髄液圧の低下が原因であることはわかっていますが、なぜ、髄液圧が下がってしまうのかはわかっていません。ただ、低血圧の人に多いことから、血圧と深い関係があることは予測されます。
頭痛薬も使用しますが、低髄液圧性頭痛は、ふだんの生活の注意や工夫で頭痛を軽減できることが多いようです。そのため、薬だけに頼るよりも生活療法をうまくとりいれていくことが、この頭痛とうまくつきあっていくポイントになります。

頭痛薬はこちら。

低髄液性頭痛の治療

薬物療法

低血圧傾向の人に多いことから、血圧を上げる薬を使う。また、血管収縮薬で間接的に血圧を上げることもある。原則として、髄液が増えれば髄液圧が高くなるので、薬を飲むときに多めの水で服用するなど、水分摂取をするとより効果的。

点滴

水分を摂取すると髄液圧が上昇して頭痛が治まるが、実際には頭痛が著しいときは吐きけや嘔吐で水が飲めないこともある。この場合は点滴によって水分を補給する。点滴後はすぐに効果が出るものの持続性がなく、水分を補給しないと、もとに戻ることが多い。

外科的療法

現実には手術が必要なほどの患者さんはあまりいない。しかし、外傷などによって硬膜が破れて、髄液が漏れているような場合は外科手術が必要。パッチ手術といって、自己血夜を硬膜外へ注入する方法もある。

生活の改善

水分や塩分をやや多めにとって血圧を上げたり、血液の循環量生を増やすと髄液圧も上昇する。活ベルトをきつめに締めたりする療ことで腹圧を高くしてもよい。法こうした生活療法を欠かさずに続けることで、頭痛を軽減できる。

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